NHK さかのぼり日本史(2) 昭和 とめられなかった戦争

著者 :
  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140814864

作品紹介・あらすじ

歴史には時代の流れを決定づけたターニングポイントがあり、それが起こった原因を探っていくことで「日本が来た道」が見えてくる。満州事変から敗戦までの十五年、政府と軍部が繰り返した"誤算"とは-戦局拡大の要因を1944年→1941年→1937年→1933年の"指導者たち"の姿に見出す。

感想・レビュー・書評

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  • 敗戦への道・1944年:緒戦の大勝→暗転 絶対国防圏 サイパン失陥 和平工作 サイパン以後の死 日米開戦・19941年:国力と精神力 泥沼からの脱出→南進 北進or南進 40歳代の共通体験 戦争を辞せざる決意→戦争を決意 最後の問い 日中戦争長期化の誤算・1937年:長江 自衛と膺懲 中国、屈服せず 精神と物質 迷走する理論・大義 国民政府を相手とせず 暗澹たる覚悟 満州事変暴走の原点・1933年:起こったvs起こされた 満蒙誕生 条約を守らない国 光と陰の日本 公理に訴える 諒解を取り消したし 開拓移民

  • 歴史をさかのぼることで、出来事の羅列ではなくて、“なぜ”の視点が強調されてわかりやすかった。
    最初に読んだときに印象に残ったのが、サイパン島での転機で、死傷者がぐっと増えた、そしてそれは想定できたことに、戦争の恐ろしさを改めて実感した。

  • [評価]
    ★★★★☆ 星4つ

    [感想]
    この著者の本はいくつか読んでいるので、それらの本の概要的な内容となっている。
    著者の本を読んだ際にも感じたことだが、当時の国民が軍隊の行動を支持していたということが強く印象に残る。リットン調査団の結論に対する意識調査でも武力行使を是とする回答が多かったことが、その印象を強く支えている。
    終戦に関して掛けば、もう一年早く終戦できていれば、本土の民間人への被害は激減したであろうことはこの本を読めば簡単に理解できる。個人の人生においても引きどきというものはわきまえるようにしたいものだ。

  • 歴史のTerning Point。なぜ日本は戦争にのめりこんで、米国を相手に戦うようになってしまったのか。精神力で国力の差が12倍ある米国に勝つと本当に思っていたのか?

  • 浅くもなく広すぎも深すぎもせず、ちょうどいい塩梅の量と質の良書。何があったかではなく何故そうなったかという視点が、近代史を知るうえで、また将来に生かすために、とても重要なポイントだと思う。中学2年生の3学期の社会科の授業では本書を読ませるだけで十分だろう。

  • 幕末以降は知れば知るほどジャングルに分け入って行くような感じがしてしまうのだが、「ターニングポイント」というところに絞ってあるので読みやすかった。また日本だけでなく大陸・英米の思惑なども書かれてあり、やはりこの時代は一筋縄ではいかない。当然これとは異なる見方もあるだろう。けれど最後の「近代史をはるか昔に起きた古代のことのように見る感性」にはハッとさせられた。近代史は現在に直結している。第三者目線で歴史を見つめ、未来をどうして行くのか、歴史を学ぶ意味はこういう事なのだろうかとも考えさせられた。

  • サイパン陥落が大転換だ、というのは頷ける一面もあった。

  • このシリーズ、簡潔にまとまってて良い。
    あらためて第二次世界大戦中の日本というのは、精神論が蔓延してて、今見ると笑えるくらいだったんだなぁと思った。
    その反動で、近年までのスピリチュアル嫌いの風潮(?)が生まれたんじゃないかとも思った。

  •  NHKの番組に沿って書かれているだけあって、本書はとてもわかりやすくまとまっている。
     こうして昭和をさかのぼってみると、日本が歩んできた道がよくわかる。
     しかし、やはり戦争は避けられなかったのだろうか。本書を読むと、戦前にはなかった「言論の自由」がいかに大切なものかがよくわかる。
     国家と人々がひとつになれるということは、素晴らしいことでもあるが、危険なことでもあるということを本書は実によく教えてくれるとつくづく思った。

  • (2014.01.31読了)(2014.01.30購入)
    副題「とめられなかった戦争」
    太平洋戦争から満州事変まで遡ります。なぜ太平洋戦争まで突き進まないといけなかったのかを探ります。
    各章の扉ページにポイントが書いてありますので、拝借しておきましょう。
    第1章、ターニングポイント1944年、マリアナ沖海戦・サイパン陥落
    太平洋戦争の敗戦が決定付けられた、サイパン陥落の恐るべき意味とは?
    第2章、ターニングポイント1941年、太平洋戦争始まる(日米開戦)
    アメリカとの開戦にふみきった背景には、中国をめぐる利害対立や、日露戦争の勝利の記憶があった。
    第3章、ターニングポイント1937年、日中戦争始まる
    日中戦争の長期化は、指導部の甘い見通しや国際情勢の読み違いによってもたらされた。
    第4章、ターニングポイント1933年、熱河侵攻
    「とめられない戦争」の契機となった、熱河侵攻をめぐる軍の暴走とは?

    【目次】
    はじめに
    第1章 敗戦への道―1944年(昭和19年)
    第2章 日米開戦 決断と記憶―1941年(昭和16年)
    第3章 日中戦争 長期化の誤算―1937年(昭和12年)
    第4章 満州事変 暴走の原点―1933年(昭和8年)
    参考文献
    年表

    ●B29(25頁)
    四四年の五月、サイパンの戦いの直前に運用を開始した、「B29」というアメリカ軍の爆撃機があります。翼幅四十三メートル、全長三十メートルもある大型爆撃機で、一万メートルの高度を航行することができるし、最大で九トンもの爆弾を投下できる、当時最新鋭の爆撃機でした。しかも、航続距離も長く伸ばされていました。爆弾搭載時で約五千三百キロです。
    マリアナ諸島から日本本土までの距離、約二千四百キロ。
    マリアナ諸島は、ここから飛び立ったB29が日本本土を空襲して帰って来るのに、ちょうど間に合う位置にあるのです。
    ●ハル国務長官の四原則(56頁)
    ①他国領土保全と主権の尊重、②他国の内政への不干渉、③通商上の機会均等、④太平洋の現状維持
    ●日露戦争の記憶(62頁)
    一対一〇もの国力差のある大国ロシアに勝ったではないか、それを思えば、どこが相手であろうときっと勝てる、という信念。日本海海戦のような大胆な短期決戦を挑めば、きっと勝てる、という信念。
    ●財政的準備(66頁)
    一九三七年七月に日中戦争が始まった直後、近衛内閣は「臨時軍事費」というものを特別会計で組み、膨大な軍事費をさしたる審議もなしに確保していた。そして、この軍事費で何を購入、生産していたかといえば、三割は当面の日中戦争遂行のために当てていた。では、残りの七割はどうしていたか。実は、陸軍は対ソ戦争の準備のために、海軍は対米戦争のために、軍需品確保などに流用していた。要するに、日中戦争を遂行しつつ、来るべき太平洋戦争の準備をしていたわけです。それが三七年から太平洋戦争開始の四一年までの四年間に、積もり積もって二百五十六億円。現在の貨幣価値に換算すると、二十兆四千八百億円です。
    ●日米開戦(77頁)
    日中戦争が長期化・泥沼化し、そこから日本が南進政策をとったことでアメリカとの対立が深まり、それが日米開戦へといたった
    ●アメリカの中立法(81頁)
    戦争状態にあると認められた国に対してアメリカは、①兵器・軍用資材の輸出禁止、②一般の物資・原材料の輸出制限、③金融上の取引制限などの措置をとる、というもの。

    ☆関連図書(既読)
    「日中戦争」古屋哲夫著、岩波新書、1985.05.20
    「日中戦争 新版」臼井勝美著、中公新書、2000.04.25
    「爆笑問題の戦争論-日本史原論-」爆笑問題著、幻冬舎、2006.07.31
    「満州事変から日中戦争へ」加藤陽子著、岩波新書、2007.06.20
    「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」加藤陽子著、朝日出版社、2009.07.30
    「上海にて」堀田善衛著、ちくま学芸文庫、1995.11.07
    「NHKさかのぼり日本史①戦後」五百旗頭真著、NHK出版、2011.07.25
    (2014年1月31日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    歴史には時代の流れを決定づけたターニングポイントがあり、それが起こった原因を探っていくことで「日本が来た道」が見えてくる。満州事変から敗戦までの十五年、政府と軍部が繰り返した“誤算”とは―戦局拡大の要因を1944年→1941年→1937年→1933年の“指導者たち”の姿に見出す。

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著者プロフィール

東京大学大学院人文社会系研究科教授

「2023年 『「戦前歴史学」のアリーナ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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