NHK さかのぼり日本史(3) 昭和~明治 挫折した政党政治

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  • NHK出版
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レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140814871

作品紹介・あらすじ

歴史には時代の流れを決定づけたターニングポイントがあり、それが起こった原因を探っていくことで「日本が来た道」が見えてくる。民主党が実現した政権交代により、「二大政党」の時代に入ったとされる現代日本-1928年→1918年→1905年→1898年の政党政治の"失敗"から、いま見えてくるものとは。

感想・レビュー・書評

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  • 政治不信が広がる今日の視点から、政党政治の課題を明治にさかのぼって検証している。

    第1章 自壊する二大政党 1928
    立憲政友会と立憲民政党、二大政党間の対立の先鋭化は、相互のネガティブ・キャンペーンによるつぶし合いにつながった。もともと政策にそれほど大きな「幅」のないはずの政党同士が、その違いを強調するためにスローガンだけを叫び、一致協力できる部分でも対立を続けた。不況に苦しむ状況を打開できない政党政治に国民は失望し、軍部への支持が拡大することにつながった。

    第2章 原敬 政党内閣の光と影 1918
    原敬は、現実的に政党政治を進めるため、藩閥政治へ反対する一方、山県閥に配慮と妥協(普選に反対)をしながら、政権運営を行った。藩閥を数で圧倒するため、議会では安定多数の議席を求め、政治は利益誘導型のものになった。そこに腐敗が生まれ、政策論争不在の党利党略の政争という土壌が醸成されることになった。

    第3章 もたれあう政党と藩閥 1905
    桂園時代は、藩閥と政党のもたれ合いの時代であった。その結果、立憲政友会は責任ある立場で統治の能力と実績を高められたが、他の政党が育たないといった弊害を生んだ。藩閥の影響力を如何に削ぐかが次代の課題となった。

    第4章 理念なき政党の迷走 1898
    初の政党内閣であった隈板内閣の失敗(自由党勢力と進歩党勢力による猟官争い)は、政党が自己の利益だけを追究する存在であるというマイナスイメージを強く国民に植え付けることになった。

  • [評価]
    ★★★☆☆ 星3つ

    [感想]
    国民が政治に対する不信感を募らせる様子は現代の政治でも度々発生しているので、この巻で書かれている内容はよく理解できるとともに、その後の歴史を考えると我々は注意深く見守っていく必要があると感じた。
    しかし、歴史は繰り返すというがここまで酷似してくると、日本人の国民性のようなものが政治に強く現れているということなのだろうか。

  • 戦前は二大政党制が実現されていた。しかし党利党略にかたより軍部の進出を抑えることができなかった。その政党政治の源流をたどる。ここに現在の政党の性質の大元をみる。

  • 近代は「関ヶ原・幕末」を軽く押さえておいて、ここからを真剣にやった方がいいのかも、と考え直させられた。御厨の「歴代首相物語」と合わせて色々と考えていきたい。

  • 日本の政治って戦前もグダグダだったのだとよくわかる本。政党制って本当に良い体制なのかな。。。専制政治よりマシってことなのかな。ムダが多いような気がしてならない。がしかし、この部分にあまり効率性ばかりを求めてはいかん、ということなのだろう。
    それもこれも、冒頭に記載されているように、国家の力が強大かつ洒落にならない影響力(破壊力)を持つようになって、国家を運営するには、国民が統治システムに参加することが必要にならざるを得ない‥‥からなんですよね。デモクラシーって、まだまだ発展途上な制度ってことなんですかねって改めて感じた。

  • (2014.02.11読了)(2014.02.07借入)
    副題「挫折した政党政治」
    昭和初期から明治末期まで遡ります。この時代の内閣は、選挙でえらばれた人がなるとか、政党の党首がなるというわけではないし、国会で決まるというわけでもなく、実に分かりにくい時代です。それでも、時代が進むにしたがって、現代に近づいてくる。
    国会議員の選出も、成人が全員投票してという形にもなっていないので、国民の声が反映されていくようにもなっていない。
    現代も、意見が多様過ぎて、まとまることはむつかしい時代にはなってきている。

    各章の扉ページにポイントが書いてありますので、拝借しておきましょう。
    第1章、ターニングポイント1928年、第一回普通選挙実施
    国民の期待にこたえず、つぶし合いに終始する二大政党への失望が、軍部の台頭を招くことになった。
    第2章、ターニングポイント1918年、原敬内閣成立
    藩閥打倒のために、政党勢力の拡大を図ったことが、党利党略・国民無視という政党の体質を生んだ。
    第3章、ターニングポイント1905年、日比谷焼打ち事件
    桂園体制は、藩閥と政党との妥協の産物だったが、政党が、統治能力を高めていくプロセスでもあった。
    第4章、ターニングポイント1898年、第一次大隈内閣成立
    初めての政党内閣の挫折は、藩閥勢力の強化を促し、その後の政党政治の発展を妨げる結果を招いた。

    【目次】
    はじめに
    第1章 自壊する二大政党―1928年(昭和3年)
    第2章 原敬 政党内閣の光と影―1918年(大正7年)
    第3章 もたれあう政党と藩閥―1905年(明治38年)
    第4章 理念なき政党の迷走―1898年(明治31年)
    参考文献
    年表

    ●政党政治(9頁)
    政党政治とは、極言すれば選挙によって明らかになった民意、すなわち有権者、国民の意志を政治に反映するシステムです。
    ●首班指名(11頁)
    当時(1924年)、内閣の首班は天皇が任命することになっていましたが、天皇にその候補者を推薦するための、実質的な決定権を持っていたのは元老・西園寺公望でした。西園寺が指名した人物が総理大臣になるという仕組みができていたのです。
    ●政権交代(21頁)
    政権交代は、選挙とは事実上何の関係もなく、現内閣の失政によって引き起こされていました。したがって、この時期の政党間競争は、政策論議ではなく野党による現内閣の失政攻撃を軸に展開されることになります。
    ●政党(44頁)
    山県にとって、国民とはあくまでも統治の対象であり、自らが国民によって選ばれるということ、つまり国民の支持をもって自らの権力基盤とするという意識はきわめて希薄であったと思われます。山県にとって政党とは、自分たちが国家の元首として確立した天皇の座を脅かし、自分たちがつくりあげた明治国家の根幹を揺るがすかもしれない、恐るべき対象だったと言えるでしょう。
    ●原首相暗殺(60頁)
    一九二一年十一月四日、東京駅乗者口で原は暗殺(刺殺)されます。犯行に及んだ大塚駅員を務める青年は、政治腐敗や原が普選法に反対したことに対する憤りを動機として語っています。
    ●財政難(87頁)
    桂園時代は、なぜ崩壊したのか。さまざまな要因が考えられますが、もっとも本質的で決定的な理由は財政難でした。陸海軍の軍拡要求をベースとする藩閥は、財政難によって手足を縛られる。そして、農地地主、地方名望家の利益を媒介して支持を集めていた政友会も、財政難によって公共事業を始めとする積極政策を維持できなくなる。
    ●政党のマイナス面(116頁)
    政党は個別利益の代表者にすぎず、大きな政治理念のもとで結集できないというマイナス面です。

    ☆関連図書(既読)
    「NHKさかのぼり日本史①戦後」五百旗頭真著、NHK出版、2011.07.25
    「NHKさかのぼり日本史②昭和」加藤陽子著、NHK出版、2011.07.25
    (2014年2月12日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    歴史には時代の流れを決定づけたターニングポイントがあり、それが起こった原因を探っていくことで「日本が来た道」が見えてくる。民主党が実現した政権交代により、「二大政党」の時代に入ったとされる現代日本―1928年→1918年→1905年→1898年の政党政治の“失敗”から、いま見えてくるものとは。

  • 本書全体を貫く「民意を無視した政治の失敗」という指摘自体は誤りではないが、桂園時代での藩閥との妥協(による安定)や、1920年代の二大政党時代の党利党略を、全て「民意無視」で片付けてしまっているのは安易に感じる。党利党略によるネガティブ・キャンペーンや、原敬内閣時の鉄道拡張にみられる地方への利益誘導はむしろ「民意」を得るためであり、およそ民主主義には付き物とも言えるのではないか。また、日比谷焼き討ち事件や政党政治末期の世論の軍部支持を「民意」として肯定もできないだろう。自分はこの時代を、大隈内閣で産声を上げた政党政治が、藩閥との妥協や巧妙な勢力拡大を経て現実的な統治能力を獲得して行くが、やはりその未熟さや時代背景により挫折するまでの過程、と解釈した。

  • 帯文:"戦前の政党がおかした「失敗」-それが軍の対応を招いた!" "いま注目の政治学者が、日本の政党政治のあり方を問う。" "国民の期待を受けて実現した政党政治は、なぜ、自壊してしまったのか?"

    目次:第1章 自壊する二大政党-1928年(昭和3年)、第2章 原敬 政党内閣の光と影―1918年(大正7年)、第3章 もたれあう政党と藩閥-1905年(明治38年)、第4章 理念なき政党の迷走―1898年(明治31年)

  • 戦前の二大政党時代の簡潔な纏めになってて、オススメしやすい本だと思う。
    今だからこそ皆この時代の事を学ぶべき。

  • びぶりお工房:録音版製作担当者決まりました。

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著者プロフィール

御厨貴

1951年(昭和26)東京都生まれ。東京大学法学部卒業。東京都立大学教授、政策研究大学院大学教授、東京大学教授を経て、東大先端研客員教授(名誉教授)、放送大学客員教授。サントリー文化財団理事、サントリーホールディングス株式会社取締役。東日本大震災復興構想会議議長代理(2011年4月~12年2月)、復興庁復興推進委員会委員長代理(2012年2月~13年3月)、「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」座長代理(2016年9月~17年4月)などを務める。著書に『明治国家形成と地方経営』(東京市政調査会藤田賞)、『政策の総合と権力』(サントリー学芸賞)、『東京』、『馬場恒吾の面目』(吉野作造賞)、『権力の館を歩く』『平成の政治』(共著)などがある。

「2020年 『天皇退位 何が論じられたのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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