NHKさかのぼり日本史(7) 戦国 富を制する者が天下を制す

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  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140814918

作品紹介・あらすじ

歴史には時代の流れを決定づけたターニングポイントがあり、それが起こった原因を探っていくことで「日本が来た道」が見えてくる。血で血を洗う抗争が繰り広げられた戦国時代-信長・秀吉・家康が勝ちあがれた秘訣とは。1615年→1590年→1575年→1467年の転機となった合戦と"富の力"の関係を検証する。

感想・レビュー・書評

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  • 徳川家康 富の独占・1615年:カネが武将の勝ち負け決定 待ちの十四年 優秀な人材登用と富の集中 七十三歳にして立つ 大砲・トンネル・堀の埋め立て 秀吉に学び秀吉を潰した 豊臣秀吉の物流革命・1590年:金使いの天才 人たらしの商売人 モノ→カネも動く 算勘にしわき男 見せつけの戦織田信長の開放経済政策・1575年:伊勢湾舟運で巨万の富 楽市 きれいな道路 先頭専門軍団 長篠で勇名 戦国大名の経済改革競争・1467年:室町幕府弱体化 守護→戦国大名 北条早雲 人は誠・武田信玄 北条氏の商業振興 危機→創意

  • 戦国大名で台頭したものは領地経営も優れていた。経済力によって富を蓄積したものが覇者となった。

  • 歴史は大抵の場合、古い方から新しい方へと記述されるが、本書では、新しい方から古い方へと遡ることとしている。降順では見えなかったもの、見過ごされてきた変化を見出すのが目的。切り口は経済。百以上の群雄が割拠した時代にあって最後まで勝ち残った武将は間違いなく経済戦略にも優れていた。武勇に優れているだけでなく、領国経営にもぬかりがなく、しっかりとした財力を持っていたのである。毎日、死と隣り合わせの危機的状況の中で創意工夫をこらしながら必死に生きてきた武将達から学ぶべきことは非常に多い。

  • (2014.04.06読了)(2014.04.04借入)
    副題「富を制する者が天下を制す」
    天下をとるには、経済力がないとできないという話です。
    徳川家康が天下をとったのは、関ヶ原の戦いに勝った時ではなく、大坂夏の陣で豊臣秀頼を破ったときということです。関ヶ原の戦いに勝った時点では、まだ、経済力で豊臣方に劣っていたので、豊臣方にお金を使わせると同時に、徳川方の財力を蓄えて勝つための準備を整えたうえで戦った。
    豊臣秀吉も、鉱山を押さえたりして経済力をつけていた。
    織田信長も、経済力をつけたおかげで、鉄砲が購入でき、戦に専念できる軍団を作ることができた。信長以前では、武士といっても半分農民で農繁期には、戦ができなかった。
    戦国時代のはじまりは、応仁の乱のあととのことです。
    戦国大名は、自分の領地を治めるにあたっては、統治のための工夫をしているとのこと。

    各章の扉ページにポイントが書いてありますので、拝借しておきましょう。
    第1章、ターニングポイント1615年、大坂夏の陣
    関ヶ原合戦で勝利した家康は、優秀なブレーンの登用と富の集中を成し遂げて、最後の決戦に打って出た。
    第2章、ターニングポイント1590年、秀吉、小田原を平定
    信長の後継者たる地位を確立した秀吉は、「物流」革命を断行し、天下人へと登りつめた。
    第3章、ターニングポイント1575年、長篠・設楽原の戦い
    関所をやめ楽市をひらき資金を蓄えた信長は、戦い専門の軍団をつくり、戦国大名の頂点へと躍り出た。
    第4章、ターニングポイント1467年、応仁の乱
    11年にわたった戦乱で京の都は焼き尽くされ、室町幕府は衰退し、群雄割拠の世へと突入した。

    【目次】
    はじめに
    第1章 徳川家康 富の独占―1615年
    第2章 豊臣秀吉の物流革命―1590年
    第3章 織田信長の開放経済政策―1575年
    第4章 戦国大名の経済改革競争―1467年
    参考文献
    年表

    ●家康と秀吉(37頁)
    戦国の天下取りレースの最終選抜に残った徳川家康と豊臣秀吉―。その勝負を分けたのは、ただ、家康のほうが長生きであったことと、家康のほうが子供の数が多かったことだけだ、などといわれることがあります。
    ●信長の旗印(68頁)
    信長の旗印は「白地に永楽銭」ですが、これは単に図柄の面白さだけでなく、信長の明確な意思表示と読んでもよいのではないでしょうか。すなわち、「銭の力で天下を取ってやろう」という信長の決意の現われであったと、私は見ているのです。
    ●信長の引っ越し(83頁)
    信長は部下を引き連れて、生涯のうちに、次から次へ、目まぐるしく城を移しました。試みに言うと、那古野城→清須城→小牧山城→岐阜城→安土城です。信長の場合は、攻略する敵によって拠点を移している面が強く、一つ敵を降すと、次の目標の攻略にふさわしい場所を選んで移動しました。

    ☆関連図書(既読)
    「NHKさかのぼり日本史①戦後」五百旗頭真著、NHK出版、2011.07.25
    「NHKさかのぼり日本史②昭和」加藤陽子著、NHK出版、2011.07.25
    「NHKさかのぼり日本史③昭和~明治」御厨貴著、NHK出版、2011.09.30
    「NHKさかのぼり日本史④明治」佐々木克著、NHK出版、2011.10.30
    「NHKさかのぼり日本史⑤幕末」三谷博著、NHK出版、2011.12.30
    「NHKさかのぼり日本史⑥江戸」磯田道史著、NHK出版、2012.01.30
    「図説 織田信長」小和田哲男著、河出書房新社、1991.12.20
    「山内一豊」小和田哲男著、PHP新書、2005.10.31
    「集中講義 織田信長」小和田哲男著、新潮文庫、2006.06.01
    「江史跡紀行」小和田哲男監修、新人物往来社、2010.11.25
    (2014年4月6日・記)

  • 苦しい乱世の中、秀吉がどうやってあれだけの大金を作ったのか疑問に思ったのが読むきっかけ。わかりやすく、とても面白かった。
    余談だけど、昔の政治をただ面白いと思って読んでるだけの私にとって、著者の最後の一言にはちょっとどっきりさせられた。今は平和な世だから必死になる為政者がいないんだろうけど。

  • 個人的に経済学に興味があるタイミングだったので、経済をメインに据えた構成はとても面白かったです。
    群雄割拠時代の領地経営の差異って興味深いですね。色々な時代の領地経営の話を見てみたくなりました。

  • ≪目次≫
    第1章  徳川家康 富の独占
    第2章  豊臣秀吉の物流革命
    第3章  織田信長の開放経済政策
    第4章  戦国大名の経済改革競争

    ≪内容≫
    戦国時代市の第一人者 小和田哲男の著書。特に目新しい物はないものの、手慣れた感じの内容。戦国~安土桃山期、地域を制し、全国を制するには、経済感覚が必要とされたことを述べている。

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著者プロフィール

1944 年、静岡市に生まれる。1972 年、早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。2009 年3 月、静岡大学を定年退職。静岡大学名誉教授。著書本、監修本、多数。NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の時代考証も務める。

「2021年 『東京の城めぐり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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