日本人はなぜ戦争へと向かったのか 戦中編 (NHKスペシャル)
- NHK出版 (2011年11月26日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140815113
感想・レビュー・書評
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[評価]
★★★★★ 星5つ
[感想]
始まってしまった太平洋戦争は最終的に広島、長崎への原爆が投下されるまで続いた。
戦争中に既に勝つどころか和平を結ぶことすら難しくなり、最終的に無条件降伏を受け入れることになったが、日本本土に対する攻撃が開始される前に降伏することはできなかったのか。出来ない理由は何だったのかという点を言及している。
結局、指導者が明確ではなく、決定することが出来ないということが全ての問題に悪影響を与えていたということが分かる。
この本を読み、改めて現代の政治においても同じことが起きる可能性があるという事を念頭に置き、関心を持ち続けたいと思う。 -
読めば読むほど日本人のリーダーシップのなさに、決断力のなさ、無責任体制、自分の組織だけ大事、国民の死に対する痛みの鈍感を嘆く。現在の日本もこの流れにあるのだな。どうしたら転換できるのやら。
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テレビ制作用ということもあるのだろうけど、とても分かりやすい語り口と明晰な切り口だ。
一方、ここで語られていることが一面的な事実という以上の真実なら、帝国憲法下の日本は、とても民主国家とは言えない。国民には情報がなく、政党は機能不全、軍と政府も国に対する責任感は感じられない。で、このシステムで必要なのは天皇の指導力ってことになってしまうが、それは発揮できるようにはなっていないし、第一そんな能力や資質があるはずもない。元老の踏ん張り頼みの国家だったわけだ。その元老がいなくなったのが昭和だったんだな。 -
「勝てない」「負ける」といえない戦争の専門家達が導いた破局。ジリ貧を怖れてドカ貧に陥った過程は東芝や東電、そして政治と変わらぬ風景。インパール作戦に辿りついた機能不全の組織が、シンガポール攻略を成し遂げた組織の数年後の姿かと思うと因果を語るむなしさにぶち当たります。
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新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:210.75//N77
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ソ連を仮想敵とし、実際には中国と戦い、戦線拡大はせいぜい東南アジアまでにとどめて資源を確保してから持久戦に入る構想の陸軍。米国を仮想敵とし、豪やNZも含め太平洋の大半を短期に攻撃してから講和に入る構想の海軍。両者の調整メカニズムやトップダウンの決断が機能していなかった。1942年3月の「戦争指導の大綱」での両論を折衷させた文章のあまりに官僚的なテクニックは現代にも通じ、よく理解できるとともに笑えるほどである。また、聯合艦隊(特にミッドウェイ海戦)や現地軍、中央では中堅幕僚層の方針がそのまま通ってしまったことも問題点として挙げられている。平時ならその方が効率的なのかもしれないが、危機的状況の時はやはり強いリーダーシップが必要だということか。