動物が幸せを感じるとき 新しい動物行動学でわかるアニマル・マインド

  • NHK出版
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140815151

作品紹介・あらすじ

動物と人間の共生関係は、いま新しい時代を迎えている。犬に必要なのは、たんなるリーダーではない?猫のほんとうの喜びとは?神業のようなホースウィスパラーの秘密とはどんなものか?人間は動物たちに「身体的な幸せ」より、ワンランク上の「精神的な幸せ」を与えることができる。そのために重要な4つの情動システム(探索・怒り・恐怖・パニック)をわかりやすく解説。

感想・レビュー・書評

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  • 動物はどうすれば幸せを感じるのか?不快な感情を抱かないのか?そういった問いに答えた本だ。
    本書は、自閉症の動物行動学者、テンプル・グランデイン氏によって書かれた。どこかで見たことがある経歴だと思ったら、オリヴァー・サックス著の『火星の人類学者』で取り上げられていた動物行動学だった。
    本書で印象に残ったのは、著者がなぜ精肉業界に反対する活動家にならずに、精肉業界で仕事をしているのかの理由を述べてるところだ。著者いわく、1970年代までは、今のように畜産業界において動物が劣悪な環境には置かれていなかったらしい。これをみて私は、このような環境の変化が起きた一つの理由は、合理主義の浸透ではないかと思った。合理主義は目的達成のためにはとても有効だ。人びとはゴールから逆算し、最短距離を駆け抜けるように仕事を進め、富を増やす。しかし、合理主義が強くなると、その過程にある人と人とのつながりは無視され、人間の関係の中にある豊かさは知らぬ間に失われる。動物の世界も同じではないか。以前は、動物の豊かな生活と人間の利益がともに達成できるような環境があった。だが、そこに効率を追求する思想が入ってきて、人間の利益のみが強調され、その過程における動物の豊かさは失われてしまった。合理的であろうと、効率的に生きようとしすぎて、もともとの欲求を忘れてしまう。いつのまにか手段が目的になってしまうことはよくあるように感じる。合理主義もいきすぎると、中にいるものはつらくなりうるのではないかと、本書は私に感じさせた。

    • 伊都さん
      これアメリカではかなり流行ってたらしい
      これアメリカではかなり流行ってたらしい
      2023/09/28
  • 動物行動学ということで、動物とともに生きるうえで大切なことを学んだ。動物も生きており、人間が飼うということは、動物の幸せにも配慮してともに生きるということを気付かされた。自分たちの都合で動物たちに苦しい思いをさせているのではないか。
    我が家の犬も常同行動をするときがある。普段は可愛い犬なのだが。こちらの都合で何か我慢させていること、不幸せだと感じていることがあるのだろう。犬との生活はまだまだ続く。共に幸せになれるように、飼い主として犬にとって幸せなことは何かを考えて共に生きていきたいと思う。

  • 人と動物が共有する、脳の情動のシステムについて、とてもわかりやすく、興味深く読むことができる数少ない本。
    そして、人間の都合に振り回されている動物の事を思うと苦しくなってしまうところも...
    世界中の人が読めば、人が関わる動物の生活の質が驚くほど上がるんじゃないかという気持ちになります。
    少なくとも動物に関わる人は知っていないと絶対にダメ。沢山の人にすすめたい本!

  • ペットである犬・猫、動物園で飼育されている動物の幸せはもちろん、使役や食用のために飼育されている馬・牛・豚・ニワトリの特性をあげて、どういった環境を作るのが良いのかを挙げている。

    -動物のおかげで人間として生きているのだから、動物に幸せな暮らしをさせる責任があり、どうすればその責任を果たせるか(訳者あとがきより)

    人間を含めて、動物にとっていちばん大切なものは、生活の質だ。そのために必要なものは
    1.健康
    2.痛みや好ましくない情動(怒り・恐怖・パニック)からの解放
    3.「探索」と「遊び」を刺激する活動

    動物園好きなので、とても興味深く読んだ。
    ペットを飼っている人にも是非読んでほしい本だ。

  • サイエンス
    動物

  • 動物学者のグランディンが一般向けの第2弾。前著は、動物感覚

    ☆本書を読むと、動物の行動・心理について、いろんな研究により知見が得られていることがわかる。
    ペットとして飼っているヒトも、最終的には、食肉用として飼っている人も読むべき本。

  • 読み始めてから作者が自閉症であることを知りました。だからなのか、変に動物を擬人化したり、人間のものさしではかったりせず、ちゃんと理論で説明されていて分かりやすかったです。しかも根底には愛情があるし。うちにも猫がいますが、彼の幸せを前よりも意識するようになりました。良書だと思います。この人の著書をもっと読んでみたくなりました。

  • 動物と人間の共生関係は、いま新しい時代を迎えている。犬に必要なのは、たんなるリーダーではない?猫のほんとうの喜びとは?神業のようなホースウィスパラーの秘密とはどんなものか?人間は動物たちに「身体的な幸せ」より、ワンランク上の「精神的な幸せ」を与えることができる。そのために重要な4つの情動システム(探索・怒り・恐怖・パニック)をわかりやすく解説。

  • 2015/05/12

  • 理想主義に行き過ぎない、現実を見据えた動物愛護。筆者は犬猫の飼い方以外の、家畜の屠殺処理等についても多くの章を割き、動物が幸せを感じながら生き、生を全うする方法ついて真摯に考えている。

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著者プロフィール

1947年生まれ。世界各地の家畜施設を設計する動物科学者。コロラド州立大学で教鞭をとり、自閉症関連の講演や執筆でも活躍中。著書として『アスペルガー症候群・高機能自閉症の人のハローワーク』(ケイト・ダフィーとの共著、梅永雄二監修、柳沢圭子訳、明石書店、2008年)、『我、自閉症に生まれて』(マーガレット・M・スカリアノとの共著、カニングハム久子訳、学習研究社、1994年)、『自閉症の才能開発』(カニングハム久子訳、学習研究社、1997年)ほか多数。

「2009年 『自閉症スペクトラム障害のある人が才能をいかすための人間関係10のルール』 で使われていた紹介文から引用しています。」

テンプル・グランディンの作品

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