ゲーミフィケーション―<ゲーム>がビジネスを変える

著者 :
  • NHK出版
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本棚登録 : 1217
感想 : 148
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140815168

作品紹介・あらすじ

なぜソーシャルゲームはCMで大量に宣伝するほどに莫大な利益を生んでいるのだろうか?"ゲーム"を読み解けば、今のビジネスが見えてくる。これからのキーワードである「ゲーミフィケーション」を知るための一冊。

感想・レビュー・書評

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  • しまった。完全に食わず嫌いだった。この言葉について、もっと早く知っておくべきだった・・・

    本書は今、注目を集めつつある「ゲーミフィケーション」の何たるかを説明した一冊。ちなみに、ゲーミフィケーションとは「ゲームの要素をゲーム以外のものに使う」ということ。ゲーム以外のことに使うのだから、ゲームの話ではない。僕はそこを大きく見誤っていた。

    いったいゲームのどのような要素を持ち込むのか?それは大きく分けると二つ。まずルール決めるということと、そしてゴールを明確にするということ。このシンプルな原則で、世の中のアクティブな参加型サービス、組織、コミニティなどが、なぜ上手くいっているのかの説明がつく。

    例えばオバマの選挙活動中に、支援活動の内容に応じて支援者がレベル付けがされ、ステータス表示されていたというのはよく知られている話だ。これも本書ではゲーミフィケーションの一例として紹介されている。また、電気使用量、消費カロリー、家計簿、体重のようなライフログをパブリックに晒して競い合うのも、一種のゲーミフィケーションと言えるだろう。

    この面白さ、僕には凄く腑に落ちた。なぜなら、HONZのメカニズムは完全にゲーミフィケーションで動いているからだ。ルールは単純。知られざる面白い本を見つけて競い合う。ただしジャンルはノンフィクションのみでビジネス本はなし。僕がHONZに感じる面白さのベースは、このルール設定にある。

    身近にあるルーティンな行為、ちょっと気の進まないことなどを、ほんの少し楽しいものにし、毎日を前向きなものしたい。そんなことを感じている人の、良きパートナーになってくれそうな一冊だ。

  • 面白かった
    ゲーミフィケーション導入本としてはとても良い本だと思う。
    例が多く、実際に何が、どれがゲーミフィケーションなのかわかりやすく解説されている。
    研究用と思って読んだが商業の側面が強く、例が多いことからもこの本を読む限りだと研究は終わり、すでに応用の段階にあるように思える。
    ただ、実際ゲーミフィケーションを取り入れたい場合にはこうすると良い、より効率的、といった具体的なやり方が書かれている点は評価できる。
    今後ゲーミフィケーションをやっていくなら、買っておいてもいいかも。

    研究というより商業色が強いので、-1。
    普通に趣味、ビジネスのために読むならぜひお勧めです。面白いよ!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「具体的なやり方が書かれている点」
      参考にします。
      これを読んだ後に良い本があるなら、教えて頂けると幸いです、、、」
      「具体的なやり方が書かれている点」
      参考にします。
      これを読んだ後に良い本があるなら、教えて頂けると幸いです、、、」
      2012/04/10
  • 2017年11月19日に紹介されました!

  • サブタイトルに「<ゲーム>がビジネスを変える」とあるけど、「ゲームをプレイするときの楽しい感覚がビジネスを変える」という意味で、決してなんでもゲームにしちゃおうぜ、じゃないことが重要。

    ゲーミフィケーションが普及しつつある背景には、(1)様々なモノを数値化するためのセンサーの普及したこと、(2)スマートフォンの普及により、その数値の記録とそのフィードバックが速やかに行えること、(3)いわゆる「ゲーム」を遊んで育った世代が、マジョリティになったこと、と本書では整理されている。

    (1)は数値化することにより簡単に競争できる(e.g.ギネスブックやランキング)、(2)はSNSなどのソーシャルでの共有とそれに対するフィードバック、(3)は(1)(2)によって生み出される行為と経験自体を楽しむことができるということに繋がっている。

    もちろん、単に数字化して競争するだけではダメで、これらによって「ゲーミファイ」されたある仕組みを継続して利用してもらえるようなモチベーションを産み出す「ルール」も必要。短調で飽きちゃうとか、ズルする人がいるとやる気なくなる、みたいなのはダメと。

    面白くて、さらさらっと読めたけども、さてこの内容を如何に仕事に活かせるかが頭の使い所なんだろうな。Kindle版を手元に置いておこうとおもった。

  • ビジネスやいろいろなものにゲームの要素を取り入れるという話。
    この本を書くきっかけは震災後の節電をしながらこれはゲームになると気づいたところから。
    冷蔵庫以外のコンセントを全て抜けば何Whとか、#denkimeterと言うタグでツイッター上でつぶやくところからゲームが広がり、iphoneアプリまでできてしまった。
    オバマは選挙活動にゲームの要素を取り込んだマイバラクオバマ・ドットコムという選挙支援サイトの中で電話勧誘や戸別訪問をするとサイト内でのランクが上がって行く。RPGで経験値を積むとレベルが上がるのと似た様な設計である。
    スターバックスでは紙コップ削減キャンペーンにあるアイデアが使われた。マイカップ持参でポイントを付与するのであればだれでも思いつくところを店に黒板とチョークで来店者がマイカップを持ってくるごとにチェックを入れる。記念すべき10人目はタダというゲームだ。
    Facebookは従業員の満足度が非常に高い。その秘密として取り上げられるのがリップルという社内システムで、社内のメール、進捗管理、さらに評価制度にもつながるシステムになっている。インターフェースはfacebookと似ており簡単な連絡はチャットの様なやり取りができる。(そういえば中国のQQもそんな感じらしい)いいねボタンだけでなく特別な際にはサンクスボタンがありこれが評価に直結するらしい。

    ゲーム要素を入れれば何でもうまく行くということではないらしい。
    敷居を低くし入りやすくすること、ハマる要素をうまく盛り込むことなどいくつか条件はある。
    40代前半以下は子供の頃から普通にゲームに慣れ親しんでいるので受け入れられやすくなっているんじゃないかと言ってるがまあわかる気はする。

  • 仕事をするのが楽しくなるようにするために読みました。

    日本だとDeNAやGREEで有名になったソーシャルゲームの
    考え方や理屈が書かれています。
    もう少し日本の事例が多いと良かったのですが、
    まだ事例が少ないということはチャンスということでもあります。

    行動科学マネジメントと似ていて、というか基本は同じで
    それをより楽しくする方向にしたような感じでしょうか。

  • ゲーミフィケーションの面白さ、可能性を教えてくれました。内容は、色んな事例を出しつつ、初心者向けに説明してくれてる感じでわかりやすかったです。
    最近友人に「foursquareってなんか今キテるらしい」とか知ったかぶりしてしまいましたが、みんな本書の受け売りです、ゴメンナサイ。

  • ゲーミフィケーション。「遊戯化」などと漢訳してしまうと少し意味が変わってしまうかもしれませんが、横文字よりも漢字のほうが、字面である程度の意味がわかるような気がします。つまりは日常生活の何らかの場面にゲームの要素を取り入れ、楽しみながら何かをしていくということで、実際には昔からあった考え方だと思います。
    たとえばビジネスの場において、会議で使うために資料を何十部もコピーしないといけない。単純作業ですが、「どうすれば早くコピーがとれるか」と考えながらいろいろな方法を試して、実際に所要時間の記録を取っていくと、単純作業だったはずが記録更新のためのチャレンジに変わってしまいます。

    そういった昔からの話が、なぜ今「ゲーミフィケーション」という言葉を与えられ、注目されているかというと、ソーシャルメディアの発達が重要な役割を果たしているからだということになるのでしょう。
    本書の最初に書かれている事例は、作者自身が関わった、節電ゲームです。ちょうど1年前(本レビューの執筆が2012年3月11日)、東日本大震災の被害を受けて電力需給が逼迫し、関東では輪番停電が実施される事態となりました。そのことから節電意識が高まったのですが、「どれだけ節電できるのか」をゲーム化し、ツイッターを用いて節電寮を競わせることを実行しています。
    同様の事例がツイッターなどのソーシャルメディアと、スマートフォンアプリで広まったことで、これまで個人や仲間内で行われていた日常のゲーム化が、「ゲーミフィケーション」に進化したといえるわけです。

    ゲーミフィケーションは、日常の様々な活動にモチベーションを与えます。たとえば、モチベーションを感じて自立的に仕事に取り組める状況は理想的ですが、実際にはなかなかうまくはいきません。与えられたタスクをこなすのにゲームの要素を加えることで、自主的に取り組むことができるようになりますし、よりよい方法を見つけ出すことにもつながるでしょう。仕事はつらいものであり、我慢して取り組むものだという考え方は、すでに古いものとなっているといえます。
    ただし、ゲーミフィケーションはゲームではないので、ゲームが目的となってしまうのは本末転倒。あくまでも日常の活動を楽しみながら行うことが目的なので、その仕組み作りには注意が必要だと感じます。

    また、ゲームではないとはいえ、ゲーミフィケーションにおけるゲームバランスは非常に重要で、バランスが崩れてしまうとゲーミフィケーションが成り立たなくなってしまいます。難しすぎたり、特定の行動だけが有利になったり、特定の人だけが有利になったりすると、もはやモチベーションにはなりません。
    個人や内輪でやっているときにはバランスの調整が簡単でしたが、ソーシャルになると途中でルールを変えるのは困難で、最初のバランスの設計が重要な課題になってきます(といいつつ、ルールの隙間をつく裏技が発見され、運営側が穴をふさぐといういたちごっこになってしまいがちなのですが)。

    ゲーミフィケーションは、これからいろいろな分野に広まっていくでしょう。どうせやるなら楽しくやりたいし、ソーシャルメディアで個人間のネットワークが広がりましたから、何をするのにも対戦相手が見つかりやすい状況が生まれています。
    それを、「ふざけている」「不真面目だ」と批判するのは筋が違う。どんな行動であっても、誰しも熟練し、成長したいと考えているはず。そのための目標設定は当然のことであり、設定した目標(=ゴール)にいかにたどり着くか、というのは、ゲームの要素に他ならないのですから。

  • 昨今ソーシャルメディアと共に注目を集めているゲーミフィケーションについての本です。かなり面白かったですね。2008年の米大統領選挙にオバマ陣営が使ったシステムから始まり、iPhoneアプリやビジネスのキャンペーンに使用されているゲーミフィケーションの内容、さらにはどういった観点に着目して実際に組み込んでいくか、そしてその先に訪れる未来はどうなるのか、といった盛り沢山の内容です。所謂ソーシャルゲームとは違って、ビジネスに限らない人々のあらゆる行動の喚起や持続性を保持するシステムであり、どんな分野にでも少なからず存在する重要な要素でありながら、多くの人々が上手く活用出来ていない現状というのも非常に興味深いですね。下手なビジネス書よりもよっぽど現実的に活用出来得るシステムだなぁと認識しました。「これを知る者は、これを好む者に如かず。これを好む者は、これを楽しむ者に如かず」という孔子の言葉そのものですね。

  • ビフォー
    ゲーミフィケーションは例えば〇〇を××時までに終わらせるのようなミッションを課すものと捉えていた。本書を読むことで面白いミッションの課し方が学べると思った。

    気づき
    本書はそういったノウハウ本ではなかった。一方で、スタバのカルマカップなどゲーミフィケーションを取り入れた事例がいくつも紹介されており、気づきを得るヒントになった。また、一般のゲーム設計についても触れられており、ゲーミフィケーションの理論的なものが知れた気がする。

    TODO
    とはいえ、タイムアタックや日々のタスクをミッションとして課すことは個人のゲーミフィケーションとしては成立していると思うので「今月は何冊本を読み、感想を残す」のようなミッションを作り、生活をメリハリあるものにしていく。

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