NHK「100分de名著」ブックス ニーチェ ツァラトゥストラ

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  • NHK出版
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レビュー : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140815229

作品紹介・あらすじ

神は死んだ-。既存の権威と価値観を痛烈に批判した十九世紀の哲学者フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェは、神による価値づけを失った人間がどう自分の生を肯定すべきかを考え続けた。己の境遇をどのように受けとめ、いかに力強く創造的に生きるかという彼の生涯の問いは、時代を越えて、いま私たちの深い共感を呼ぶ。二大思想「超人」「永遠回帰」を軸に、『ツァラトゥストラ』の書に込められた「悦びと創造性の精神」を紐解く。

感想・レビュー・書評

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  • ニーチェの本には手が出ないけど、思わず「ツァラトゥストラはかく語りき」を読んでみたくなる。自分の人生を肯定できるか…。自由という不安の真っ只中に放り出された現代人には宗教的なものに回帰する必要があるのではないかと素人考えに思っていたが、すでに120年前にニーチェが示唆していたのですね。そう、神は死んだのだから、依拠できるものは自分で探さねばならないのだ。
    ちなみに「私が大切にしてきたものは何だったかな、どんなことが自分にとって喜びだったかな」と問いかけて悦びを見出し、その悦びを得るためであれば永遠回帰を受け入れる…この部分は「ほぼ日」の就職論っぽく、「ルサンチマンなんか関係なく常にクリエイティブに生きようとする力強い存在」である超人は、ビジネスモデルとして参考書に取り上げられそうなスタンフォード的存在として読み取れる。ツァラトゥストラって、学問のすすめとならんでビジネススクールの教科書になるのでは?

  • もっとも、ヘーゲルとニーチェでは、語り方にニュアンスの違いがあります。ニーチェはまず「高揚」や「悦び」を強調するのに対して、ヘーゲルは「普遍性」(自他ともに認める普遍的な価値)を強調するからです。ニーチェならば、「まずは元気になること、悦ばしいことをやれ」というでしょう。他者に承認されるかどうか、価値があるのかどうかなどは放っておいて、まず自分が元気の出てくることをやれ、というセンスです~。
    ヘーゲル:社会派
    ニーチェ:実存派
    ルサンチマン うらみ、ねたみ、無力からする意思の歯ぎしり
    ニヒリズム 神は死んだ
    固定的な真理や価値はいらない。自ら価値創造する意識。
    現状を前向きに受け止め、主体的に創造的に生きて行く

  • 西研せんせー好きとしては一読せねば、ということで。
    どのテーマもそうだが、テキストブックよりこちらの方が読み応えがある。

  •  NHK「100分de名著」という番組のテキスト。レギュラー化一発目に取り上げたのがニーチェの『ツァラトゥストラ』です。

     ニーチェの人生をおさらいしつつ、ルサンチマン、超人、永遠回帰とは何かについて説明されるのですが、これが要領よくまとまっていてとにかくわかりやすい!

     第二回では超人についての説明がされるのですが、その中で出てくる「末人」の話に爆笑!

    《『ツァラトゥストラ』にはこうした「末人」の例がしばしば出てきます。たとえば第一部「徳の講壇」という節には、よく眠ることを説く賢者が登場します。「ちゃんと労働をしなくてはいけない。なぜなら、そうしないとよく眠れないから」「人に嘘をついてはいけない。なぜなら、胸にしこりが残るとよく眠れないから」「あなたは日に十回は自分を顧みて自分の悪いところを乗り越えなくてはいけない。なぜなら、そうしないとよく眠れないから」といった具合です。これを聴いたツァラトゥストラは「彼はどうみてもアホだ」と断定します》(44-45頁)

     いや、ツァラトゥストラに言われなくてもわかりますって!(笑)

     全体的に少しポジティブ思考な解釈だなと感じられましたが、そっちの方が読みやすくわかりやすいし、何より面白いです(ニーチェに対するイメージが少し変わりました)。コストパフォーマンス的にも優れていますし、ニーチェの入門(の入門)として断然オススメです!

  • 「ツァラトゥストラ」を読むのに、なかなか書かれていることが理解できなかったため併読。ツァラトゥストラで書かれている内容を、ニーチェが書いた他の本も合わせて解説してくれるため、やっとなんとなくですが読みとることができたので、解説として非常にお勧めです。

  • 苦しんで創作して何かを成し遂げることが人生の醍醐味だと改めて悟った。ただ楽して生きるのは、楽かもしれないが、どこかで自分の人生にこれでいいのだろうかという疑問が耐えないであろう。ニヒリズムの時代だからこそ、本当にほしいものは何か自分自身に問いかけ、それに目掛けて努力するのみである。

  • 宮沢賢治もニーチェもこの手の参考書の助けがないと理解が進まない。


  • ニーチェの解説本を超えて、日本人がどうやって生きていくことを考えるか、まで語っている本。

    311の発災直後の影響が著者の自論に反映されていて、言論としても読みごたえのある良書かと。


    以下読書メモ


    私たちはどうやって行きていけば良いのか

    ゾロアスター教の開祖の名を借りて描いた聖書のパロディー これまでの西欧価値の批判

    科学、計画経済、経済成長に変わる価値
    価値がわからなくなってニヒリズムの無
    固定的価値や真理でなく自ら価値創造を

    主要なテーマは超人と永遠回帰
    ヘーゲルの社会派に対する実存派
    自分がどう生きるかの問題

    バッカス 闇や陶酔 欲望や享楽
    アポロン 輪郭や秩序 理性や論理

    悲劇を滅ぼしたアポロン的楽天主義を批判

    ルサンチマン
    ループ センチメンタル
    繰り返す感情としてのひがみや復讐感情

    良いの本質
    貴族的価値評価 自己肯定 自己感情
    僧侶的価値評価 自己犠牲 神への忠誠

    ニヒリズムと日本人
    目標に向かって頑張るから生活を楽しむへ
    憧れを持たず安楽を第一とする人への警鐘

    三段の変化 守破離に似ている
    1 忍耐強い精神
    2 欲する 伝統や権威の否定
    3 創造の遊戯

    語り合い
    超人が孤独にならないために
    頼ることを学ぶ
    尋ね合う関係を作る 聞き取る姿勢
    強くなるのは体力じゃなくビジョン
    語り合いで自他の意見を確かめる
    これがないとますます個別化されて不安に

    永遠回帰
    繰り返しても後悔せず納得できることを
    本当に素晴らしいことがあれば後は辛くてもいい
    失恋を私がそう欲したに作り変えること
    受け入れられないならはっきり叫んで呪う
    恨みに埋没すると主体性と悦びを失う

    都市と市場経済
    自分の人生を選べるようになった
    生きがいを問う人間が生まれた
    日本は一人で生きられる自由を求め個別化
    その個別化はもう限界にきている

  • ニーチェの思想を解説する本はたくさん出版されており、そのうちの何冊かを読んできているが、この本はその中でもよくできていると思う。ニーチェの思想の核になる部分を、やさしい言葉で簡潔に解説している。そしてまた、後半では著者の考えを展開することで、ニーチェの思想に足りなかったもの、あるいはその思想史的な位置を浮かびあがらせている。装丁や頁の体裁も見やすく、今、初学者に勧めるならこの本ではないかと思う。「100分de名著ブックス」は玉石混淆。これは大当たりだと思う。

  • NHKの番組「100分de名著」の第1弾「ツァラトゥストラ」のテキストが単行本化されたもの。

    一番の特徴は、解説しているのがヘーゲル研究者であることだと思う。

    これによってニーチェから適度な距離感がとられていて、ニーチェの「超人」のイメージに対しても批判的な見方がされる。
    それは「孤高の超人」では駄目で、「周囲との協力」という考え方がニーチェには欠けていたのではないか、というものだ。

    一方、対談で登場する斎藤環氏はあくまで孤高の「超人」を支持している。

    『ツァラトゥストラ』はそれだけ様々な「読み」が可能な作品ということでもあり、先に解説本を読むのではなく、原典から読むことがオススメの本のうちの1冊だと思う。

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著者プロフィール

(にし けん)
1957年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。和光大学現代人間学部教授を経て、現在、東京医科大学教授。哲学者。著書に、『実存からの冒険』『哲学的思考』(ともにちくま学芸文庫)、『ヘーゲル・大人のなりかた』(NHKブックス)、『哲学のモノサシ』(NHK出版)、『完全解読ヘーゲル『精神現象学』』(共著、講談社選書メチエ)などがある。

「2010年 『超解読! はじめてのヘーゲル『精神現象学』』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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