NHKさかのぼり日本史 外交篇[3]大正・明治 帝国外交の光と影 なぜ、欧米列強とならぶ「一等国」になりえたか

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  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140815632

作品紹介・あらすじ

大戦後の世界で大いなる発展をとげたアメリカと日本-第一次世界大戦への参戦(1914年)、ポーツマス条約(1905年)、三国干渉(1895年)、鹿鳴館外交の開始(1883年)。外交リアリズムを追求した「帝国外交の時代」をたどる。

感想・レビュー・書評

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  • 保守的な近代史の大家らしいよくまとまったさくひん。原、山県、陸奥の評価などは流石。アメリカがいわゆる列強の中でもと特殊であることがよく書かれている。(あまり植民地を持ちたがらない)

  • 過去の著作から著者は保守的な立ち位置の歴史家と思っていたが、戦後70年の安倍晋三首相談話に関する政府の有識者会議「21世紀構想懇談会」の座長代理を務めた著者は、比較的バランスのとれた「戦後70年談話」をまとめていた。ということは、著者は学者として歴史観が変化したか政治的配慮もできる人間だったかのどちらかなんだろうと思う。
    本書を読むとたんたんと歴史を詳細に追いかけてはいるが、過去を現在から見据える新しい知見はあまり見かけられない。歴史的事実の勉強にはなるが面白味はない。ちょっと残念。

  • (2014.07.08読了)(2014.06.27借入)
    副題「帝国外交の光と影―なぜ、欧米列強とならぶ「一等国」になりえたか」
    明治維新の後、富国強兵をめざし、欧米列強と肩を並べるまでになり、欧米列強と同じことを始めた日本。欧米も自国の利益となる範囲で、日本を認め、活用しようとする。
    いままで知らなかったことがいくつかあり、勉強になりました。
    日本の軍艦が、欧米の輸送船などの護衛のため、地中海へ派遣されたりしていたとは。
    日清戦争の前には、中国海軍の方が強かった時代があり、日本が負けたりしているとは。
    「坂の上の雲」「八重の桜」等と、重なる部分があり、興味深く読めました。

    【目次】
    はじめに
    第1章 誤算の第一次世界大戦
    第2章 日露戦争薄氷の総力戦
    第3章 日清戦争三国干渉の“教訓”
    第4章 鹿鳴館欧化からナショナリズムへ
    年表

    1914年、第一次世界大戦
    第一次世界大戦に列強が没頭するなか、日本は大陸権益の拡大に邁進する。その結果、米中との関係は難しくなった。
    1905年、ポーツマス条約
    ポーツマス条約で戦勝国の地位を得た日本。それを導いたのは外交と軍事が一体となった政治のリーダーシップだった。
    1895年、三国干渉
    三国干渉によって、遼東半島を返還させられた日本は、その挫折から、あらためて富国強兵路線を強化することになる。
    1883年、鹿鳴館落成
    鹿鳴館に象徴される急速な西洋化によって、政府は条約改正をめざす。しかしそれは国内のナショナリズムを強く刺激する。

    ●満州権益(18頁)
    遼東半島(旅順・大連)の租借期限は、もともとロシアが中国から1898年に租借した25年間の権利を引き継いだものであり、1923年に満了することになっていた。つまり第一次世界大戦が勃発した1914年から数えて、わずか九年しか残っていなかったのである。
    ●駆逐艦の派遣(39頁)
    1917年1月11日、イギリスは日本に地中海に駆逐艦を派遣するよう要請してきた。これを日本は受け入れ、二月、地中海に向けて艦隊は出発した。
    英仏などと植民地を結ぶ輸送船団の護衛が主たる任務であった。インド洋と地中海で連合国商船767隻など、計348回の輸送護衛をした。
    とくに1917年後半には、地中海でアレクサンドリアからマルセイユに至る輸送活動を支援した。駆逐艦「榊」は潜水艦の攻撃を受けて大破し、59名が戦死した。その他、合計78名が死亡し、マルタ島には墓地がある。
    ●日清戦争(56頁)
    明治初期より、朝鮮半島が日本に敵対的な第三国の勢力下に入らないようにすることが、日本外交の大きな目的だった。朝鮮半島を支配して、日本を脅かす可能性のある国は、まず清国だった。そして、この清国の勢力を排除しようとしたのが、日清戦争だった。
    ●三国干渉の衝撃、徳富蘇峰(113頁)
    「この遼東還付が、予のほとんど一生における運命を支配したといっても差し支えあるまい。この事を聞いて以来、予は精神的にほとんど別人となった。而してこれというも畢竟すれば、力が足らぬ故である。力が足らなければ、いかなる正義公道も、半分の価値もないと確信するに至った」
    ●清国優位(122頁)
    清国の北洋艦隊は日本を質量ともに圧倒していた。その主力艦である定遠、鎮遠は、1885年に導入されたドイツ製の世界最高水準の戦艦で、基準排水量7000トンを超えていたが、これに対し日本が1890年に導入した防護巡洋艦松島は、4000トン台であって、はるかに見劣りがした。
    ●条約改正(168頁)
    1871年12月、岩倉具視を特命全権大使とし、大久保利通、木戸孝允、伊藤博文らを副使とし、政府首脳の半ば以上を網羅した大使節団が欧米視察に出発したが、その際の目的の一つは、条約改正の予備交渉だった。

    ☆関連図書(既読)
    「NHKさかのぼり日本史外交篇[1]戦後」井上寿一著、NHK出版、2012.09.25
    「NHKさかのぼり日本史外交篇[2]昭和」服部龍二著、NHK出版、2012.09.25
    「NHKさかのぼり日本史③昭和~明治」御厨貴著、NHK出版、2011.09.30
    「NHKさかのぼり日本史④明治」佐々木克著、NHK出版、2011.10.30
    「回想の日本外交」西春彦著、岩波新書、1965.02.20
    「日本の外交」入江昭著、中公新書、1966..
    「アメリカ外交とは何か」西崎文子著、岩波新書、2004.07.21
    「条約改正」井上清著、岩波新書、1955.05.20
    「岩倉使節団の西洋見聞」芳賀徹著、日本放送出版協会、1990.01.01
    「日清戦争-東アジア近代史の転換点-」藤村道生著、岩波新書、1973.12.20
    「日清・日露戦争」原田敬一著、岩波新書、2007.02.20
    「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」加藤陽子著、朝日出版社、2009.07.30
    (2014年7月8日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    大戦後の世界で大いなる発展をとげたアメリカと日本―第一次世界大戦への参戦(1914年)、ポーツマス条約(1905年)、三国干渉(1895年)、鹿鳴館外交の開始(1883年)。外交リアリズムを追求した「帝国外交の時代」をたどる。

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著者プロフィール

国際協力機構(JICA)特別顧問、東京大学名誉教授、立教大学名誉教授

「2023年 『日本陸軍と大陸政策 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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