MAKERS 21世紀の産業革命が始まる

  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140815762

感想・レビュー・書評

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  • メディアで積極的に発言する哲学者である東浩紀のメールマガジン『ゲンロンサマリーズ』で2012/12/07(vol.54)で紹介されたので興味を持ち購入。メーカーの勤め人としては本書の内容に憧憬を覚えざるを得ない。21世紀の消費は大量生産(mass production)からDIY(do it yourself)にシフトする。「みんなが同じものを欲しがる」という傾向は薄れ、「自分だけのものを組み立てる」という嗜好が強くなったからだ。一方、高度な生産技術はPCとインターネットの普及により「日曜大工」のように一般消費者にも行き渡るようになり、大手メーカーの商品に頼ることなくDIYを達成できるようになり、さらにウェブ上に「フリーマーケット」を立てることで小売業者として生計を立てられる可能性が出てきた。つまり、だれもが「モノづくり」の方法をインターネットを通じて簡単に習得することができ、原料を適正な費用でインターネットを通じて検索・都合でき、インターネットで製造委託業者と契約することで省設備投資でラインを立ち上げることができ、販路をインターネットで世界的に広げることができ、宣伝広告をインターネットのSNSで訴求したいマーケットに打てる。頭痛のタネの開発費もSNS上の人材ネットワークを組織することで安く上がる。このように、インターネットにより世界はつながり、製造業として起業するリスクが減ったことで、高付加価値の商品を売る魅力的なビジネスが展開できる。このスキームだとスケールメリットで利益を出すことを狙わなくて済むので、こコモディティ化せず中国勢などと競争しなくて済む。筆者は自分のビジネスを含め、豊富な事例で世界中のオタク(geek)が起業することで多彩な生き方が実現できると説く。これを読むと日本てホントに遅れていると実感します。英語とファイナンスしっかり勉強しよ。

  • 自分が何でファブラボに惹かれたのか、今までぼんやりしてたけど、こうやって文字におこしてあるものを読むことでやっとわかった気がする。
    ただ、後半の企業とかビジネスの話は今の私にはよくわからなかった。

  • 「ロングテール」「フリー」に続く、クリス・アンダーソンの著作。モノを購入する側だった消費者は、今はモノを製造することが可能になったことを説明している。いわゆる3Dプリンターも廉価な製品もあり、また3Dプリントするためのソフトウェアもフリーの製品も出てきている。そして、その製品を販売しようとすれば、インターネットを使えば簡単にできる。第2の産業革命の日も近い。

  • 3Dプリンターがもたらすモノ作りと産業構造の変化。
    60億総メイカー時代の到来か!?という楽しい内容でテンションあがる。

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00182411

  • FREEの人
    いくらか疑問点あったものの良作

  • IT革命に続く革命がモノ作りの現場でも起きようとしている。
    一昔前まで産業機器だったコンピュータが今や個人に行き渡った。ビットの世界で起こったことがアトムでも起きると論じている。
    つまり、3Dプリンタやサプライチェーンの発達により、大企業による大量生産から個人によるモノ作りが可能になる。
    現在の仕事はモノ作りに関わっており、更にインクジェット技術(3Dプリンタはインクジェット技術を使っている)にも関わっているのでこの本は面白く読めた。
    大企業の技術者として色々考えさせられる本だった。

  • 未来を予測している。非常に納得感があります。なぜなら、現実にそれがはじまっているから。

    だから、これはクリス・アンダーソンが独自に考えたことではない。しかしながら、こうした潮流をいち早く嗅ぎつけ、読者に気づきを与える、素晴らしい本だと思います。

    問題は、私が一体なにをつくりたいのか、わからないことです。

  • 2012年に読んだ本で最も刺激的かつワクワクした本。

  • ビットの世界とアトムの世界、ネットの向こう側の世界と、現実の我々の手に触れれるものの世界が繋がることによって新たな工業の可能性が生まれる(もう生まれている)というのが本書の主な内容だ。

    これからは数個から数万個単位の受注に応じるような「ロングテール」な製品の生産を個人レベルで行うことができるようになる。これまで「発明家」と「産業家」の間には深い溝があった。いかに素晴らしいアイディアを個人が生み出したとしても、それを実現するには大きな”資本”の力を借りるしかなかった。その過程で多くのアイディアが闇に葬られ、また”資本”にアイディアを根こそぎ奪われてしまうことも多々あった。しかし、現代はそうした”発明家”たちが同時に”ビジネスマン”にもなることを可能にしてくれる時代なのである。
    世界に広範に張り巡らされたウェブによる通信網、ビットの世界のデータ(例えばCAD)を印刷ボタンをクリックするだけで現実の世界に産み落とすことの出来る3Dプリンターを始めとする”魔法”のツールが登場したからだ。また、生産ラインも一つ一つ異なった仕様の製品を作り出すことのできる”カスタムメイド”に対応したものが生まれ、「どんな色でもお受けします、ただし黒なら」という言葉に代表されるような画一的な規模の経済をターゲットとした従来の工業とは一線を画したようなものまで生まれている。

    と、ここまでは、凄いぞ世界のハッカーとテクノロジーというようなありがちなDIY称揚本に見えてしまうのだが、本書の面白さはそれらのテクノロジーがコンピューター言語というある意味で”ユニヴァーサル”な世界中で”共的に”しかも、”同期的”に行われていることであろう。アントニオ・ネグリが「マルチチュード」の中で述べているように、非物質的労働はコードを媒介して行われるため、そこには必然的な”共的”な恊働が含まれてくるのである。その恊働性が人種や国境の境無くウェブで結びついて、個人の欲するモノを生み出してゆく。
    資本家はその生産手段を”秘匿”し流通を”支配”することによって遠隔地から取り寄せた材料を加工させ、利益を我がモノにしてきた。そして、労働者はそのサイクルの中では利益という”秘密”からは遠ざけられ、また自分自身の欲求すら産業化・商品化されきった世界の中で何かを消費することによって「代補的」に満たすことしかできなかった。しかし、今やオープンソースや、ITや遺伝情報等のコードを扱う非物質的な労働が生まれ、新たな労働のモデルの一つとして登録されて久しい。
    そういった”共性”が生み出す世界的な連帯が我々が剥奪され、また疎外され続けて来た”生”を再領有する契機になるのではないかという、アイディアを、アトム(モノ)の世界に顕現する受肉したコードとしての「Maker movement」が行えるのではないかということまで話が及ぶ。
    あくまで本書は事例を中心に書かれており、こうした話にまで歩を進めるのは飛ばしすぎな感はあるだろうが、それが僕の感想ではある。決してこうした産業形態や労働形態が支配的なものになる等と言っているわけではない。そして、筆者もそれは十分に否定している。これまで世界を回して来たスーパーパワーは、これまでと同じように存在はして行く、(AT&TやGEは一夜にしてなくなったりはしない)がその周辺で、これ迄は見ることのできなかった「ロングテール」なモノ達が私たちの生活の中により多く入り来んでくるだろうと遠慮がちに筆者は述べるに留まっている。

    大事なのは規模ではない、そのライフスタイル、労働形態にどれだけの人間が心動かされ、また一つの常識として世界に組み込まれて行くかだ。我々は超越的な存在や自我から世界を認識しているのではなくて、我々の回りに存在している物質的な世界や諸条件が私たちに世界よこうあれ!と認識させているのであれば、この新たな可能性とモノ達は少なからず我々の世界の方向をまた異なった方向にドライヴしていく主要な要素の一つになりえるのではないかと思えるのである。
    そういった意味から、本書をアメリカだけのケースだとかヨーロッパではという視点から読んで、日本は特殊だから云々と紋切り型に切って捨ててしまうのは短絡に過ぎる。
    星三つにした理由は、ニュース的な内容がほとんどで、あまり考察の部分が無いので少々読むのが退屈だったから。

  • 3Dプリンタ一家に一台の時代到来か!? というわけで3Dプリンタの活用とその将来性から,今ある「ハードウェア」の世界に起こりつつあるパラダイムシフトを著者の視点から論じる.
    まずは3Dプリンタでできることできないことを確認し,それが個人単位でのDIYにどのような影響を与えているかを,著者自身の経験を交えながら確認していく.続いてネットの普及により,そうした製作のノウハウがいとも簡単に共有できて,さらに自分の創ったものを発展させることができる時代であることを確認する.例えば,フリーのCADソフトで書いた設計図を送ると,材質のアドバイスをもらいながら図面通りに作ってくれるネットサービスだったり,電子キットの改造ノウハウを共有しながらコミュニティが発展していくサービスを紹介する.
    そして大量生産でしか採算の取れなかった製造業が,個人別のカスタマイズでもマネタイズできると繋げる.製造業界の大企業はかつての力強さを失っており,Amazon / Google / Facebookといったネットの覇者がそのまま雇用の受け皿にはなることはない.しかし,それらのプラットフォームを使って,製造業でのマイクロ起業が盛んになって製造業のビジネスモデルが変わる,という主張はとても整理されていて分かりやすかった.大企業もなくなりはせず大企業にしかできないことに特化して生き残るとしているところが面白い.
    本著で紹介されている製作者=“MAKERS”向けサービスはアメリカに住んでいない身としてはそこまでの現実感はないが,日本では大人の科学シリーズが流行したり,Arduinoが輸入されてきたりと,本著で語られていることはあながち夢物語では終わらない気もしてくる.解説にもある通り著者は常に10年先を見据えていたのか,ただ流行しそうなものに名前を付けて大衆を煽ったのかは解釈次第としても,著者の前2作がなんらかの利益になった人は一読の価値あり.
    訳者解説や紹介文にはやたらと「モノのロングテール」と繰り返されているが,著者のロングテールを読まないと分か辛い (読んでいて当然という方針なのかもしれないけど).どちらかというと,“ヒトのロングテール”という例示の方が面白かった.ひとまず,今まで資本社会の根幹となしていた製造業が確かにパラダイムシフトを迎えてつつある,という点が重要なのだと思う.

  • パソコンとプリンターが、従来の印刷業・出版業を個人で出来るものにしたように、3D工作機械が、製造業を個人のものにする、という話。自らの体験を含む実例を豊富に紹介し、時代が動いている感覚を本書を通じて追体験出来る。

    Wiredの編集長としての知見の広さゆえ、クラウドファンディングやオープンソースの動向など、インターネット業界で起きている様々なイノベーションを「メイカーズ」の文脈でもって解説しており、2012年時点における「インターネット」を最も網羅的・本質的に理解できる一冊と言えるかもしれない。

    インターネットビジネスが単なるウェブ制作やゲーム制作でしかない、と思っている人には必読。

  • ものづくりのスタイルが変わっている。大量生産から、CADや3Dプリンターを使った、個人やベンチャーでの生産が可能になった。
    資金調達もクラウドファウンディングの成功例も増えている。
    生産工場も中国の人件費の安さのメリットは薄れつつある。

    仕事で3Dプリンターを使うが、なかなか大変。材料費も結構するし、失敗もある。
    3Dソフトも3Dスキャナーも使っており、この本で書かれているような仕事を自分が一部だがすでにやっていることに気づいた。
    この本に書かれているような新しいものを生み出すことはできていないが。

  • ある程度の規模の製造でも、個人ですばやくやれるような時代になってきた、ということを説く本。確かにこの本を読むと、何かやりたくなる。
    なので、うっかりArduinoを購入してしまった(笑)

    キーワードとして印象に残ったのは、ハードウェアのオープンソース化ということ。材料はオープンではないけど、デザインとか製法はオープンソースのSWと同じように開発することができる、という発想が面白い。

    ふと、アリストテレス哲学にある形相=デザイン、質料=材料、みたいな哲学的なトピックに還元したら面白かったりしないかな、と思ってみたり。

  • タイトルがMAKERじゃ分からないが、中身はモノのロングテール、そしていま起きている未来の起業家についての話。同著者のロングテール、フリーと合わせて読むと非常に面白い。すぐに起業したくなりました。モノもそのうち無料(無視できる価格)になるのか??

  • 今年読んだ本の中で、最大の衝撃。「ものづくり」について、この本を前提に考え直さないと。3Dプリンタはすでに導入済みだが、オープンソースがものづくりにまで広がっているとは衝撃だった。学生も教員も製造業の人も必読。

  • 「発明家」は同時に「起業家」でなければビジネスにおいて成功はできない。
    デジタルの世界(ビットの世界)ではコンピュータとインターネットによってそれが可能になった。

    3Dプリンターやレーザーカッターといった「ラピッド・プロトタイピング」の技術が進化したこと、デジタルの世界で始まったオープン化の発想がものづくりというリアルの世界でもデザインの共有などの形で始まったこと、あらゆるツールが安く、あるいは無料になったこと……
    これらによって、モノの世界(アトムの世界)におけるイノベーションは民主化された。これが新たなムーブメントになる、という。

    まだ世の中が変わったという実感はないが、いつかこれが大きな流れになって経済において大きな存在感を持つ時がすぐに訪れるのだろう。

    -----

    MEMO:

    p15
    デジタル経済はおよそ20兆ドルの売上規模がある。〜アトムの世界はビットの世界より少なくとも5倍は大きいのだ。

    ギリシア人は、物語の原型は七つしかなく、あらゆる物語はそのいずれかの細部を変えたものにすぎないと言う

    p103
    昔は「ラップトップを持った人が三人集まればウェブのスタートアップができる」と言われた。今ではそれがハードウェア企業にも当てはまる。「ハードウェアはますますソフトウェアのようになりつつある」

    p141
    特許の目的はそもそも発明家に金を儲けさせることではなく、発明家に発明を公開させ、他社が学べるようにすることだった。今日の発明家たちは特許の保護を受けずに、イノベーションをシェアするようになっている。

    p184
    数世代に一度、製造の基本的な手段が根本的に変わる。

    p201
    BCGの試算によると、中国での製造コストは2015年にはアメリカに並ぶという。

  • テクノロジーの進化とオープンソースの普及で、個人による製造業が徐々に広がっているというのは、とてもワクワクする話だ。日本でももっと広がっていけば良いと思う。ただ、それが発展途上国に奪われた製造業の雇用の受け皿になるかというと、それは厳しいのではないか?

    政府は、公共事業でダムなんかを作るのではなくて、”ファブラボ”を沢山整備するべきだと思う。ファブラボで遊びなら育った子供たちが、好奇心を忘れずに大人になれば、将来の日本の産業を牽引する力になれると思う。

    近所にファブラボができたら、僕も何か”物作り”に挑戦してみようと思う。

  • これまで「アトム」から「ビット」へ移行してネットワークで接続されたことによって生まれた「ビット」の経済原理により世の中が大きく変わってきた。これからは「アトム」の世界も大きく変わっていく、というのがこの本の主張。
    著者はWIRED編集長のクリス・アンダーソン。『ロングテール』や『フリー』の著者としても有名。この本は「ビット」の世界における新しいビジネスモデルを描いた『ロングテール』や『フリー』を一歩推し進めたものである。「ようこそモノのロングテールへ」(P.291)

    技術の進展によって「アトム」の世界においてももはや生産手段を保有する必要がなくなる。「ビット」よりも大きな経済規模を持つ「アトム」の世界のこの変化がどれほど世界を変えることになるのか期待をして考えよということだ。

    「アトム」の世界を変える革新は、著者が4種の神器(P.108)と呼ぶ3Dプリンタ、CNC装置、レーザーカッター、3Dスキャナーだ。さらに資本調達のメソッドとしてのキックスターターに代表されるクラウドファンディング(これは「ビット」の世界の進化が可能にした)が変化を促進。後は組織や知財のオープン性が革新を支えることになるだろうというのが著者の想定する世界だ。

    ある意味日本の中小企業にこそ、この流れはチャンスと言えるだろう(そういえば自分は中小企業診断士だった)。
    日本の中小企業には技術もある、優良でかつ富裕で時間的余裕のあるカスタマー層がいる。これまでは借金の個人保証というリスクが挑戦や成長を阻んでいたが、クラウドファンディングは上手くこの問題を解決する可能性がある。中小企業への提案の中にサイト改善に加えてクラウドファンディングの提案みたいなものもひとつの定番みたいに加えられるのかもしれないな、と考えるのは意味があるだろう。

    とはいえ大量生産にもこれまで変わらぬ意味がある。どちらかといえばグローバル化によりますますその傾向は高まっている。その一方として新しいMAKERSを位置付けるべきだというのは正しい。「「ロングテール」が示すように、新しい時代とは、大ヒット作がなくなる時代ではなく、大ヒット作による独占が終わる時代なのだ。」(P.291)
    中途半端なポジションに留まるものにはますます苦しくなる世界なのかもしれない。

    また著者は、この流れが生物学や遺伝学にも及ぶ世界をDIYバイオロジーと呼んで肯定的に想定している。「人々が生命をハックしはじめる時代がやってくるのだ」(P.285)
    これにはいくつかの方面から即座に異論があることが想定されるが、著者としてはそこまでの議論をしたいのだろう。

    ----
    本書が世に出た後、WIREDでも3DプリンタがStaplesで利用可能になるというニュースを取上げている。

    http://www.wired.com/design/2012/11/staples-goes-3-d/

    今はまだ一家庭に一台とはいけないが、プリンタのように利用する日が来るのだろうか。
    MAKERS FAIRSを東京でも12月3日にやっていることを後から知った。ネットが与えたビットの世界のインパクトと比べてどうかということは議論の余地はあるが、世の中動いていることは確かだわ。

  • 「facebook? ザッカバーグ?若造がビットの世界でチマチマやってんじゃねーぜ、この草食系が!これからは、アトムだよ! 3Dプリンタだよ! メイカームーブメントなんだよ!」
    と、著者の魂の叫びが聞こえてきます。
    (続きはブログで)
    http://nekura-tohsan.blogspot.jp/2012/12/makers.html

  • ようやく読み終わる。
    学生時代ぶりに、メモを取りながら本を読んだら、頭の中が少しすっきりした。情報収集やプレゼンのためでなく、自分の理解を助けるメモの取り方とか、きっと色々あるんだろうな。

    読み始める前は、劇的な変化が今から起こりますよ!製造業全部変わっちゃいますよ!という話かと思ったけれど、読み進めていくと、既に変化は進んでいて、これからも少しずつ進んでいくでしょうという話だったと思う。そう思ってから、現実的な話として素直に受け止められて、とても面白かった。

    個人的には、手書きの壁新聞やチラシが憂鬱だった自分が、初めてイラレでパンフレットをデザインしたら、思い通りに恰好良く出来て、調子に乗って、自分は物作りが嫌いってわけじゃないことを発見した嬉しい記憶と重なったりして。

    でも、何より興味があるのは、文中にもあった「産業革命では、生産性の向上ばかりに目が向くが、それが人々の生活の営みにどんな意味を持つか、考えてみるべきだ」ということ。
    単にメイカーが本当に伸びていくかの予想ではなく、メイカーズが多少なりとも増えていくことによって、働き方、生活の仕方、家族の形にどう変化が起こっていくか、そういうことのほうが気になったりする。ウェブやそれに伴う起業の波で、人々の生活が変わったように、大きな変化はあるのだろうか。

    そのあたりは、まだ全然想像できておらず、正直あまり変わっていく景色が浮かんで来ないので、いろんな人の意見を聞かせてもらうのが楽しみ。

  • 製品開発のアイディアがあれば、3Dプリンタやネットワークを使ってそれを具現化できるので、ロングテールのマーケットにデスクトップから入っていくことができます、という話。
    私は食品業界にいるので、このような手法で味覚や嗅覚といったところを消費者に訴えるにはなかなか敷居が高かろう、と思いつつも、コンビニがニッチマーケットにより深く参入してきたときに、コモディティーで付加価値を出していくことは現実的に可能なのだろうか、と考えたりします。
    ユーザーとしては焼酎をネットで頼むとその多様性に驚かされつつも楽しんだりもしていますけれどね。

  •  変革のツール
     だが、言いたいことはわかってもらえるはずだ。頭の中で想像したものをコンピューターに描くと、機械が現実の形にしてくれる。ボタンを押すと、ものが目の前に現れる(最終的には)。アーサー・C・クラークが言ったように、「極度に進化したテクノロジーは、マジックと見分けがつかない」。いまはそれにかなり近づきつつある。

    (「MAKERSより」)

     「3Dプリンターが何でも生みだす魔法の杖になる」まさかこんなプリンターが現れるとは思いもしなかった、しかし、それはインターネットにしても同じだった。人間の創造力と実現力には本当に頭が下がる。

     アメリカではすでに3Dプリンターが一般化しつつあるとも聞く、そうなると多品種少生産の個人工場も可能になる。このブログに何度も書き続けてきた、「万人がレオナルド・ダビンチになる」、いや、なった。この現象が更に現実味を帯び進化するのだ。

     これにより企業や生活のあり方も変わる、「ワークシフト」も合わせて読み解けば世界は劇的に変わる。面白い時代に生まれたものだ、個が生き生きとしてみんなとツナガル時代。世界に未来はあるぞ。

     「ワークシフト」と合わせて読まなければいけない必読の書、「MAKERS」。今年の両横綱だ。

  • ロングテール、フリーという概念を広めたクリス・アンダーソンの本ということで読むことにした。

    この本を読むと、すぐにでも、ものを作りたくなる。

    3Dレーザープリンタなどのデジタル工作機械を利用すれば製造側は少量多品種であっても安価にものづくりができるようになる。規模の経済を働かせ、大量生産でなければ安くものが作れなかった時代とは異なり、だれでもメーカーになれる時代がくる。CADを使って設計し、デジタルデータをネット経由で送信し、製造を依頼する。あとは先の通り、量とは無関係に安価にものが作れてしまう。家庭にまだまだロクなプリンタがなかった30数年前からみれば、今日のようにハイスペックなプリンタどの家にもあるのは夢のようだが、同じように3Dプリンタもコストが下がればいずれは各家庭に置かれるようになる。そうなれば、いよいよ“誰でもメーカー時代の到来”。また、3Dレーザープリンタなどのデジタル工作機械の到来は、製造コストに占める労働力の割合を圧倒的に下げることを意味する。コストの安い中国に工場を置く意味はもはやなくなり、工場は設計者の近くに回帰する。興味深い一冊。

    関係無いが、毎年年末になると、この手の大型の洋書が一冊登場してくるのは偶然か?

  • 画像編集のスキルすらままならないのに、CADソフトを使いこなすことなんてできるかな?と思ってしまうが、これから必要になってくるスキルの一つには違いない。今のうちにいじくりまわして使えるようにしておきたい。

  • デスクトップ工房
     3Dプリンタ メイカーボット社 シングオマチック
     CNC装置 MyDIYCNC
     レーザーカッター エピログ社
     3Dスキャナー

    ArduPilot mega 中国製の模造品ができる 模造品を作ったメンバーが中国製のマニュアルを作る コードのバグを直し始める
    ローカルモータース
    人材のロングテール
    テスラモーターズ 映画 アイアンマン

    オートメーションの割合が増えて労働力に依存する部分が減れば、人件費の低い国で生産する意味はあまりなくなる
    ロボット工場の台頭によって、これまで数世紀の間つづいてきた、安い労働力へと向かうグローバルな貿易の流れは、終わりを迎える可能性がある。
    数世代に一度、製造の基本的な手段が根本的に変わる。蒸気、電気、標準化、組立ライン、リーン生産方式、そしていま、それがロボティックスになった

    人材のロングテール ウェブのおかげで、人は教育や経歴にかかわらず、能力を証明することができる。またグループを作り、本業かどうかにかかわらず、企業の外で協力することが可能になる。そしてこうした非公式な組織には地理的な制約がほとんどない。才能ある人材はどこにいてもいいし、組織のために引っ越す必要もない
    トーマス・フリードマン かつては海外の工場労働力だけが安く手に入った。いまでは海外の天才が安く手に入る

    資金調達 クラウドファウンディング キックスターター

    MFGドットコム サイトにCADファイルをupload 製造業者が見積りをいれる

    僕らはいま世界を再びフラット化しつつある。だが、その次元は以前とは違う。オートメーションのおかげで、製造業に占める人件費の割合はほんの小さなものになっている。電子機器の場合は、ほんの数パーセントといったところだ。そうなると、輸送費や時間といったほかの要素がより重要になっていくる

  • ロングテール、フリーに続く、メイカーズ。著者の視点は、常に刺激を与えてくれる。これからの「ものづくり」、大企業による大量生産の時代から、個人による少量多品種生産の時代へ。人体のパーツも3Dプリンターで作れる時代が来るのか、これから未来が楽しみである。

  • 技術の進歩によって、これまで工場生産されていたモノが、個人でも作成できるようになった。市場の細分化によってニーズの多様化、オーダーメイド、オンリーワンの商品が望まれている中でメイカーズの存在はますます大きくなってくる。

  • フリーで一躍時の人となったクリス・アンダーソンの新作。

    一読すると、口当たりの良い事を言ってるようだが、実は大きな問題を孕んでいる内容だ。

    産業革命以降、世の中が大きく変貌したことは異論のないところであると思う。本書は、産業革命に比せられるほどの大きなパラダイムシフトが、製造業に起こることを示唆している。

    それは、一般生活者にも容易にメイカーとして起業できる時代が来るということだ。

    3Dプリンタの進化が、それを可能にすると言う。

    3Dプリンタのような、家庭や小型工場にも設置できる工作機を使う事で、小ロットの受注やオーダーメイドの高付加価値商品の生産に対応できるという。
    クラウドコンピューティングシステムを通して消費者の様々なニーズに答える事で、今まで不可能だった生産システムに革命を起こし、需要が活気づくということだ。

    誰でもが新たな家内制工業に参入できる、ハッピーな時代の幕開けとして語られる。
    アイデア次第で、グローバル展開ができるのだ。
    クラウドコンピューティングシステム上に製品の設計図をのせることで、ヨーロッパであろうが中国やインドであろうが、同一の製品を生産できる。
    コスト面の折り合いが悪ければ、すぐに工場を変更できることも可能になる。
    ガチガチの生産システムに縛られていた現状から見れば、まさにバラ色の未来だ!

    が、本当にそうだろうか?

    クラウド上の制作データに対応できる3Dプリンタが同一プラットフォームになければ、実現は難しそうだ。
    仮にそれが可能になった場合、それ自体が新たな既得権益となる。
    また、世界中の工場が同一プラットフォームになったら、先進国は製品自体をつくる事が不可能になってしまう。
    人件費の面でアジアやアフリカの諸国に太刀打ちできないからだ。
    つまり、先進国はモノづくりのできない国になってしまう(個人の小ロット生産を除いて)。
    本書では、ロボットが生産を担った場合、人件費は変わらないと主張しているが、為替相場がある以上現実的には影響する。
    先進国は知的財産権から生じる利益で、膨大な人口をまかなえるだろうか?

    しかもオープンプラットフォームになった場合、知的財産権は済し崩し的に侵害される。
    これは雇用の不安定を加速させ、経済を混乱させるのではないかと思う。
    企業の都合で世界中の工場への発注と撤退を自由に繰り返した場合、生産国の経済に影響が出、為替の混乱にもつながる。

    この3Dプリンタだが、プラモデルから工業製品・食品など多岐にわたって対応できるように進化するというが、イマイチビジネスモデルがピンとこない。

    で、最後に紹介されているプランが最も現実的かつ訴えたいことなのかもしれない。

    医療面である。

    DNA/RNAの指示に従ってつくられるアミノ酸の配列から、タンパク質自らが立体構造をつくるというもの。
    ips細胞の成功からも想像しやすいのだが、もし可能になった場合あらゆる大病院に3Dプリンタを設置し、研究機関の指示系統のもとに臓器を造り出すことができる。
    この分野は参入障壁が高く機密性が高いため、独占的なビジネス展開は可能だろう。

    穿った見方をすれば、冒頭からのの90%は3Dプリンタを身近に感じてもらうための前段。
    最後の10%で語られる医療面利用への心的ハードルを下げる構成とか。。。?

    著者の主張には、異論を感じる部分はあるものの、世の中の起こりつつある胎動を意識させてくれた読書体験は有意義でした。

  • ワタクシが参加しておりました「働くキュレーターLAB」の河尻所長が絶賛しておりましたこともありますし、他の知人も「本好きでこれを読んでいないなんてモグリである」と焦点の定まらない眼で仰っていたこともあり、購入いたしました。
    いやこれは読んで良かったのです。さすがでございます。河尻所長様と武田社長様に置かれましては感謝の限りをここでお伝えしたい所存でございます。ありがとうございました。


    カムバック!近代初期的マニュファクチャー

    さてさて、そこで肝心の内容でございますが、これがまたさすがの著者様でございます。煽る煽る。ワタクシもGoogleスケッチアップと3Dプリンターを駆使して何かこういろいろなものを作り出したくなりました。そう例えば本とか本とか。プラスチックですけど!本なのに開きませんけどぉ!(実際問題、3Dプリンターで読める本って作れるんですかね。気になります)

    そんな情熱的な文章で書かれますは、民主化されたサプライチェーンと格安の試作ツールとデザインツールによって誰でもがメイカーになれる夢のような世界でございます。これはどういうことかと申しますと、詳しくは本書を見て頂ければと存じますが、つまりはネオ近代初期でございます。高度な技術が必要ない家内制手工業を誰でもが世界に向けてお届けできるということなのであります。
    誰もが夢見るカスタムオーダーメイド製品を格安とは言わないまでも気軽に手に入れることができ、しかも、うまくすれば自分で作ることすらできる世界なのであります。

    まさに夢。夢物語なのでございますが、ワタクシがここでこうやって駄文を如何にこねくり回そうとも説得力なぞある訳もなく、だということはつまるところ「漢は黙って読みやがれ」とそういう次第なのでございます。

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