NHK「100分de名著」ブックス フランクル 夜と霧

著者 :
  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140815915

作品紹介・あらすじ

ナチスによるホロコーストを経験した心理学者フランクル。彼は強制収容所という過酷な状況に置かれ、絶望にあえぐ人間の様子を克明に記録しながら、それでも人生には意味があり、希望があることを訴え続けた。「あなたがどれほど人生に絶望しても、人生のほうがあなたに絶望することはない」。時として容赦なく突きつけられる"運命"との向き合い方を探る。姜尚中氏の特別寄稿/新規写真/読書案内などを新たに収載!

感想・レビュー・書評

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  • はじめて『夜と霧』を読んだのは20年以上前だったか。
    当時は、収容所の悲惨さだけが強烈に印象に残り、同じ人間がこんな所業が本当にできてしまうのかという思いが先走った覚えがある。

    その後、フランクルの『それでも人生にYesという』を手にする機会があり、そうだった、この人はこの思いであの過酷な状況を生き抜いてきたんだと改めて気づかされた。
    図書館でたまたま本書が目につき読んでみたのだが、NHKの「100分de名著」という番組で放映された内容がまとめられたもので、『夜と霧』のエッセンスがギュッと詰まっていて読みやすく、とっかかりにはもってこい。また『夜と霧』をしっかりと読み返したくなった。

    どこまでもその人の存在そのものを肯定するフランクルの言葉に、非常に勇気づけられる。

  • 「夜と霧」自体は以前読んでいるが、改めて本テキストを読むと新しい発見がある。
    「人間は人生から問いかけられている」
    自分の内側に何かを探し求めるのではなく、この人生で自分は何をすることを求められているのかを考える。
    人生で悩む時々で思い出したい言葉だ。

  • フランクル「夜と霧」読了後に読みました。とてもわかりやすい解説でした。希望を見失う人達も多い現代でこの言葉は救いの言葉だと思いました。
    どんな時も、人生には意味がある。
    あなたを待っている"誰か"がいて、あなたを待っている"何か"がある。

  • ”あなたがどれほど人生に絶望しても、
    人生のほうがあなたに絶望することはない。”

    「人間精神への絶対的な信頼のまなざし」
    「人間は、人生から問いかけられている」
    「創造価値、体験価値、態度価値」

  • 『フランクル 夜と霧』諸富祥彦さん

    仕事で悩んでる時に、職場のケースワーカーさんがお勧めしてくれて買った本。

    人生の意味、追い求めてたけど、私が求めるんじゃなくて、もう決まってるから、目の前のことに没頭するのが良いんやなと感じた。

    読みやすく、わかりやすい。要点だけまとめられてる感じ。
    私が絶望しても、人生が私に絶望することがないのなら、もう今はただ生きるだけで良いなと思う。
    生きる上で、希望、大事やな。

    これでいいのか悩み、答えでやんと思ってたけど、
    「ホモ・パティエンス(悩む人、苦悩する人間)」やから、必要なことで、さらなる高みに今、自分がなろうとしているからやなと思って、成長してると思えて嬉しかった。

    待ってくれている「誰か」のために、日々私らしく生きよう!

    【本文より】
    ・どんな時も、人生には、意味がある。
    なすべきこと、満たすべき意味が与えられている。
    この人生のどこかに、あなたを必要とする「何か」がある。あなたを必要とする「誰か」がいる。
    そしてその「何か」や「誰か」は、あなたに発見され実現されるのを「待って」いる、
    「何か」があなたを待っている。
    「誰か」なあなたを待っている。
    私たちは、常にこの「何か」「誰か」によって必要とされ、「待たれている」存在なのだ。
    だから、たとえ今がどんなに苦しくても、あなたはすべてを投げ出す必要はない。
    あなたがすべてを投げ出しさえしなければ、いつの日か、人生に「イエス」と言うことのできる日が必ずやってくるから。
    いや、たとえあなたが人生に「イエス」と言えなくても、人生のほうからあなたに「イエス」と光を差し込んでくる日が、いつか、必ずやってくるから。
    ・たとえ苦しみが取り除かれない時でも、その苦しみからなんらかの意味をつかみ取ることができるはずだ、と。・・・・さあ、ヴィクトール、今度はおまえ自身がそれを生きる番だ。
    ・どんな時でも人生には意味がある
    ・「何のために生きているのか」という問いの答えは、私たちが何もしなくても、もうすでに、与えられてしまっている。
    したがってむしろ、私たちがなすべきこと、行うべきことは、私たちの足下に、常にすでに送り届けられてきている「意味と使命」を発見し、実現していくこと。「自分の人生には、どんな意味が与えられており、どんな使命が課せられているのか」ーそれを発見し、実現するように日々を全力で生きていくこと。ただそれだけであり、私たちは何もそれを求めて思い悩む必要はないのだ。
    人生のこの、素晴らしい事実。あとはただ、私たちが素晴らしい真実に目を開くだけ。勇気をもち、こだわりを捨てて、人生のこの素晴らしい真実を受け入れていくだけ。人間は、「人生から問われている」とフランクルが言う時、それはこのことを意味しているのです。
    ・幸福それ自体を追い求めるのはやめて、仕事にただ没頭したり、愛する人を心を込めて愛し続けていれば、結果として、おのずと幸福は手に入ってくるものだ。
    ・自分に与えられた仕事にどれだけ最善を尽くしているか
    ・誰かと深く愛し合えたという「思い出」が、人間を最終的に救う力を持つのです。
    ・ドストエフスキー「人間は結局、何よって救われるのか。それは、たった一つでいい。本当に自分が愛した人、自分が本当に大切と思う人と深く触れあうことができたという、その一瞬の思い出があれば人間は救われるのだ」
    ・ただ、そのことを思い出すだけで、心が豊かに満たされ、生きていてよかったと思えるような記憶。それが体験価値です。
    ・フランクルは、容易なポジティブ・シンキングによって前向きに生きるよりも、悩むべき人生の本質的問題に直面した時には、それをごまかさず、目をそらさず、真正面から、とことん苦悩してよいし、そうするべきだ、苦悩には意味があるし、苦悩の極みにおいてこそ人間精神は真に高められていく、と考えたのです。
    ・悩んで、悩んで、悩みぬくこと。
     苦しんで、苦しんで、苦しみぬくこと。
    ・あなたがどれほど人生に絶望しても、人生のほうがあなたに絶望することはない
    〈寄稿 姜 尚中(カン・サンジュン)さん〉
    ・フランクルは、その人が苦しみ抜いて得ようとしているものを尊いといっている。
    ・絶望の底に落ちても、人間には容易に崩れ去らない精神というものがあります。そして、それは苦悩すればするほど大きな実りをもたらしてくれるのです。それこそが「悩む力」であり、フランクルが訴えたかったことです。
    ・生きることがどんなに辛くても、逃げない、避けない、否定しない。
    ・「時の痛みとともに、永遠の至福が訪れる。」
    時とともに忘却の力が働き、痛みが薄れていくのではないのです。むしろその逆で、時がたっても痛みはなかなか薄れぬ。フランクルは、その辛さとしっかり向き合っていけと言っているのです。苦しみから逃げず、yesと答えて耐えていけーーと。そうすることによってこそ、いつか至福の瞬間がやってくると言っているのです。

  • 夜と霧と続けて読んだことでフランクルの思想の理解が深まりとても良かった。
    「人が生きる意味を問うのではなく、常に人生から問われているのだ」という思想は、試練に押しつぶされずに生きていくために希望の光となる言葉だと思う。

  • 多くの心理学的援助では、
    ・あなたは本当は何を望んでいるのか
    ・それをみつけるために、あなたの心の中を覗いてみましょう
    フランクルは
    ・あなたの内側に何かを探し求めないでください
    ・あなたの心の内側を覗き込まないでください
    ・この人生から、あなたは何をすることを求められているのでしょうか
    ・この人生で、あなたに与えられている意味、使命は何でしょうか
    ・あなたのことを必要としている誰か、あるいは何かがこの世界にはあるはず。その誰かや何かに目を向けましょう
    ・その誰かや何かのために、あなたができることは何でしょうか

    ・生きる力というのはあくまでも自分の意思の問題であり、あたかも自分の内部から湧いてくるもののように考えがちだが、実際はそうでないことが多い
    ・人間という存在の本質は、自分ではない誰か、何かとのつながりによって生きる力を得ているところにある
    ・自分が持っている何か(eg. 仕事)、自分を待っている誰かとのつながりを意識した人は決して自らの命を立つことはない

  • 『夜と霧』霜山徳爾・訳の理解を深めたくて読みました。
    霜山訳を底本としている100分de名著の『夜と霧』では、引用箇所が霜山訳本で何ページに掲載されているか記載されていて便利です。

    <印象的だったところ>
    フランクルはまったく異なる視点から人生をとらえ直すことを提案します。なぜなら、フランクルによると、「人生の意味」についての嘆きは、その問いの立て方そのものが誤っているからです。というのも、「人生の意味」は、そもそもこちらから問うことのできるものではないからです。
    「人生の意味」は、私たちがそれを問い求めるのに先立って、常に、そしてすでに人生のほうから送り届けられている。私たち人間がなすべきことは、生きる意味はあるのかと「人生を問う」ことではなくて、人生のさまざまな状況に直面しながら、その都度、「人生から問われていること」に全力で答えていくこと、ただそれだけだというのです。(P56-57)

    このあとに、『夜と霧』霜山訳 みすず書房、P183からの引用(フランクルの言葉)が紹介されています。

    ・・・・・
    このようにして、解説本(100分de名著)のほかに『夜と霧』をお持ちであれば、2冊の間をいったりきたりすることで、フランクルの思想への理解を深めていけると思いました。

  • 素晴らしい解説本だと思う。姜尚中さんの寄稿も非常に心にくるものがあり、私のように今人生最大の危機に陥っている方はぜひ読んでほしい。そして、人生に絶望せずに困難と向き合って生きてほしい。

    印象に残ったフレーズを記載する。

    ——
    どんな時も人生には意味がある。
    あなたを待っている誰かがいて、あなたを待っている何かがある。
    そしてその何かや誰かのためにあなたにもできることがある。
    ———

    —-
    あなたがどれほど人生に絶望しても、人生の方があなたに絶望することはない。
    ———

  • 230101〜230103
    夜と霧を読む前の導入本。
    簡潔にまとめられているし、これ一冊でも心動かされる。

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著者プロフィール

筑波大学人間学類卒業、同大学院博士課程修了。英国イーストアングリア大学、米国トランスパーソナル心理学研究所客員研究員、千葉大学教育学部講師、助教授を経て、明治大学文学部教授。教育学博士。日本トランスパーソナル学会会長、日本カウンセリング学会認定カウンセラー会理事、日本生徒指導学会理事。臨床心理士、上級教育カウンセラー、学会認定カウンセラーなどの資格を保有。テレビ、ラジオ出演多数。著書に『カール・ロジャーズ カウンセリングの原点』(角川選書)、『フランクル心理学入門 どんな時も人生には意味がある』(角川ソフィア文庫)、『はじめてのカウンセリング入門 上 カウンセリングとは何か』『下 ほんものの傾聴を学ぶ』(ともに誠心書房)、『思春期のこの育て方』(WAVE出版)、『50代からは3年単位で生きなさい』(KAWADE夢新書)など多数。

「2022年 『プロカウンセラーが教える 1on1コミュニケーション入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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