NHK「100分de名著」ブックス サン=テグジュペリ 星の王子さま

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  • NHK出版
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140815922

作品紹介・あらすじ

砂漠に不時着した飛行士が、遠い星から来た不思議な少年と出会う物語『星の王子さま』。子どもの心の大切さを説く哲学的童話として、いまなお多くの人を魅了し続ける。一度読んでも「?」がいっぱいの、謎めいた挿話の向こうに見えてくるものとは何か。内側からの作品理解はもちろん、新たな特別章「味わいながら目指すいい人生」などを加え、サン=テグジュペリが物語にこめた「目には見えない幸せの世界」を読み解いていく。

感想・レビュー・書評

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  • 私が『星の王子さま』のレビューをブクログにあげたのは、まだ始めて間もない頃で、今よりだいぶザックリとした感想の書き方だった。
    その頃に感じた事柄が、本書に全て書かれていた。
    いや、感じたこと以上だ。

    『星の王子さま』は読者の心に大方を任せている書き方なので、さらっと読むと何が言いたいのか分からないかもしれない。
    でも、大事なことは目に見えないし、言葉にするのも難しいときもある。
    キツネは言う。
    「とても簡単なことなんだ。心で見ないとよく見えない。大事なことは目には見えないってことさ。」
    本書は、それを優しく解いた作品だ。
    『星の王子さま』には言葉で書かれていない、読者に任された部分を、分かりやすい言葉で改めて楽しませてくれている。
    王子が辿るのは、心の成長。
    帯にある、「おとなは、みんな、最初は子どもでした」は、年齢だけじゃない。

    「一つの愛が生まれれば、愛するものを包む周りの世界までもが輝きだしてくる」

    「自己嫌悪は強すぎる自己愛の裏返し」

    「外に探すのではなく自分でつくり出す、最初は不完全なものでも少しずつ完全なものに近づけていく」

    「ものには交換価値や使用価値の他に、関係価値とでも呼ぶべきもう一つの価値が隠れている」

    「王子とパイロットは人々がその存在を忘れていた井戸を見つけた、あるいは思い出した」

    「この井戸は私たちが他のものと結ぶ幸福な関係、すなわち"きずな"を意味し、水というのはそのきずながもたらす喜びだろう」

  • 「星の王子さま」を読んでから読んだ本。この本に書かれていた「すべては心で変わる」という言葉と関係価値の話が1番印象に残った。この本を読んで自分の解釈で世界が変わるということを思った。子供に「星の王子さま」を読ませたくなった。次にサン=テクジュペリの著作を「100分de名著」で紹介するなら「人間の大地」を紹介して欲しいと思った。

  • 星の王子さまの読解本。
    読み込んだし、感想も書ききったと思うからこそ、大和図書館で目にとまった、この本と自分の解釈を比較してみた。
    中には疑問が出てくる内容もあったけれども、色々な星の大人と、王子の成長を絡めて検証し、その結果をバラと接する際に足りなかった物をどう得たのか、という観点は感心した。
    王様とは、何でも思い通りになると思ってる者の空しさと、星を去る際の気遣いの気持ち。
    自惚れやは自信のなさからくる、周りの目を気にする弱さがあった。バラも見栄っ張りな所があり、ここは大いに共通点がありそう。バラも自信のなさから来る不安を強がって隠そうとしていたのかも。
    酒飲みは悪循環の典型であり、その恥じらいの根本は強すぎる自己愛の裏返しの自己嫌悪という考えは、鋭いと感じた。
    特に、この本で感心するのは、自己愛を支えるのは完璧な自分ではなく、変われる自分、という説には希望が持てる。
    バラも、最後の別れには自分の非を認めていたのが、そこと通じるのかもしれないらしい。なかなか面白い指摘だと思う。
    ビジネスマンは、お互いが役に立つことが所有するという事であると王子の口から発せられており、ここに王子とバラの関係を見いだせる。そして、その大切さも。
    点灯夫は、夜間飛行にあるような仕事に、殉じる姿勢の素晴らしさを誉めつつも、なんの為に、という大事な点が欠けているのを指摘している。そして、バラとの関係の中では、衝立や、ガラスの覆いなど、言われたままの事をこなすだけの王子の姿と重なる。ただし、この点に関しては、作中でも甘く見られていも思う。
    地理学者からは、大切な物の価値観を巡り、また、強いと思っていたバラが、実は弱い存在であると知らされて後悔をする所である。

    色々と書き連ねたが、おおまかには同じ意見。
    整理されているから、説得力もある。
    王子の価値観も、所有物の交換価値、使用価値から関係性の価値観へと成長している。
    成長とは、学力のみならず、価値観こそがこの作品で伝えられるべきアイデンティティだと思う。
    また、井戸の水も、大事なものは目に見えないはずが、ようやく見え、水の正体を絆と捉えるのは中々に鋭い。
    だからこそ、もともとそこに存在していたが、目に見えないだけであったんだ!!!

  • これを読んだあとは星の王子さまが読みたくなる。
    1度読んだだけじゃ分からないことが
    解説で分かって助かった。

    王子さまときつねの絆は素敵だし
    いつまでも経ってもバラのことを
    忘れずに思い続けてる王子さまと
    バラの絆もすごく素敵。

    何度読んでも心が洗われる作品。

  • こういった解説書に対して最高評価である★5を与えることに、なんとなく違和感はある。が、それでもやむを得ず★5にしたいと思わせるような内容で、超絶おすすめの一冊と言いたい。

    名著『星の王子さま』を読んで、「何を伝えたいのかよく分からないなぁ」と感じたことのある人間は、きっとボクだけではないと思う。それは『星の王子さま』の伝えたいテーマである「大切なことは目には見えない」を本当の意味では理解できていない何よりの証拠だったように、本書を読んだ今思う。

    表面的な文字としての意味だけ受け取っていては、あまりにも勿体無い。それが『星の王子さま』という作品だったことに、気付かせてくれる。

    本書を読めば、きっともう一度、いや、あと何度でも『星の王子さま』を読み返したくなることだろう。

  • 一度読んだだけではわからない、そして難解な部分もある「星の王子さま」をわかりやすく解説した一冊。星の王子様の世界をより深く知りたい人におすすめ。
    (海さん)

  • あまりよく原作を読んでいなかったので、再読したいと思います。心温まる、優しいお話で暫し癒されました!

  • 星の王子さまをより深く理解したくて読みました。丁寧な解説なのですが、読む人それぞれがそれぞれの星の王子さまを心に描くことが大切だなと思いました。

    本書の交換価値、使用価値、関係価値の考え方はとてもスッと頭の中に入る説明で印象に残りました。資本論的な文脈で、関係価値は論じられないが、人間の豊かな人生においては最重要な価値だなと思いました。

  • 著者 水本さんの読みの深さに感動します。

  • より深く理解するためには良いシリーズ。星の王子様を一回読むだけでは到達し得ないレベルの納得感を得られた。

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