NHK「100分de名著」ブックス サン=テグジュペリ 星の王子さま
- NHK出版 (2013年11月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140815922
作品紹介・あらすじ
砂漠に不時着した飛行士が、遠い星から来た不思議な少年と出会う物語『星の王子さま』。子どもの心の大切さを説く哲学的童話として、いまなお多くの人を魅了し続ける。一度読んでも「?」がいっぱいの、謎めいた挿話の向こうに見えてくるものとは何か。内側からの作品理解はもちろん、新たな特別章「味わいながら目指すいい人生」などを加え、サン=テグジュペリが物語にこめた「目には見えない幸せの世界」を読み解いていく。
感想・レビュー・書評
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私が『星の王子さま』のレビューをブクログにあげたのは、まだ始めて間もない頃で、今よりだいぶザックリとした感想の書き方だった。
その頃に感じた事柄が、本書に全て書かれていた。
いや、感じたこと以上だ。
『星の王子さま』は読者の心に大方を任せている書き方なので、さらっと読むと何が言いたいのか分からないかもしれない。
でも、大事なことは目に見えないし、言葉にするのも難しいときもある。
キツネは言う。
「とても簡単なことなんだ。心で見ないとよく見えない。大事なことは目には見えないってことさ。」
本書は、それを優しく解いた作品だ。
『星の王子さま』には言葉で書かれていない、読者に任された部分を、分かりやすい言葉で改めて楽しませてくれている。
王子が辿るのは、心の成長。
帯にある、「おとなは、みんな、最初は子どもでした」は、年齢だけじゃない。
「一つの愛が生まれれば、愛するものを包む周りの世界までもが輝きだしてくる」
「自己嫌悪は強すぎる自己愛の裏返し」
「外に探すのではなく自分でつくり出す、最初は不完全なものでも少しずつ完全なものに近づけていく」
「ものには交換価値や使用価値の他に、関係価値とでも呼ぶべきもう一つの価値が隠れている」
「王子とパイロットは人々がその存在を忘れていた井戸を見つけた、あるいは思い出した」
「この井戸は私たちが他のものと結ぶ幸福な関係、すなわち"きずな"を意味し、水というのはそのきずながもたらす喜びだろう」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
こういった解説書に対して最高評価である★5を与えることに、なんとなく違和感はある。が、それでもやむを得ず★5にしたいと思わせるような内容で、超絶おすすめの一冊と言いたい。
名著『星の王子さま』を読んで、「何を伝えたいのかよく分からないなぁ」と感じたことのある人間は、きっとボクだけではないと思う。それは『星の王子さま』の伝えたいテーマである「大切なことは目には見えない」を本当の意味では理解できていない何よりの証拠だったように、本書を読んだ今思う。
表面的な文字としての意味だけ受け取っていては、あまりにも勿体無い。それが『星の王子さま』という作品だったことに、気付かせてくれる。
本書を読めば、きっともう一度、いや、あと何度でも『星の王子さま』を読み返したくなることだろう。 -
一度読んだだけではわからない、そして難解な部分もある「星の王子さま」をわかりやすく解説した一冊。星の王子様の世界をより深く知りたい人におすすめ。
(海さん) -
あまりよく原作を読んでいなかったので、再読したいと思います。心温まる、優しいお話で暫し癒されました!
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星の王子さまをより深く理解したくて読みました。丁寧な解説なのですが、読む人それぞれがそれぞれの星の王子さまを心に描くことが大切だなと思いました。
本書の交換価値、使用価値、関係価値の考え方はとてもスッと頭の中に入る説明で印象に残りました。資本論的な文脈で、関係価値は論じられないが、人間の豊かな人生においては最重要な価値だなと思いました。 -
著者 水本さんの読みの深さに感動します。
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より深く理解するためには良いシリーズ。星の王子様を一回読むだけでは到達し得ないレベルの納得感を得られた。