天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い

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  • NHK出版
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感想 : 61
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140816158

作品紹介・あらすじ

なぜ、日本人の医師が1600本の井戸を掘り、25キロに及ぶ用水路を拓けたのか?内戦・空爆・旱魃に見舞われた異国の大地に起きた奇跡。

感想・レビュー・書評

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  • 2019年末に逝去された中村医師の自伝。
    彼が行ってきた偉業の紹介は別の場所に置いておき、この本で彼が語るのは、徹底的な現場の辛苦。
    中村先生の数多の苦労、葛藤、そして決意と失望と希望、そういったものが淡々と描かれる。
    ハンセン氏病に苦しむ少女から声を奪う決断をしたとき、9・11の後の混乱、築き上げた水路に大雨がきたときのとっさの大洪水を間一髪で防いだとき。凄まじい苦難と決断をしてきたのだとわかります。

    沙漠という強大な環境に水路を引いた。戦争・空爆もあり、多くの命が失われる場面を目にしながら、彼は「天と共に」進んできた。
    いつの時も、なにかを完遂するのはこういう覚悟だと思い知らされます。改めて中村先生に合掌を。

  • 本当に中村哲さんという方の人生の生き方の素晴らしさを感じた。私にはなぜ、死ぬかもしれない場所に自ら身を捧げられるのかわからなかった。
    しかし、この本を読んで、なぜそこまでして身を捧げられたのか分かった。本当にオススメの本です。この人の人生の生き方を他の日本人いや世界に住む人々が真似していけば、日本という国が変わるのではと思いました。
    人は自然の一部であるということを身を持って証明され、天(自然・神様)共に在りというタイトルをつけられたことが最後にわかりました。

  • ハンセン病患者の治療から始まり、戦争や厳しい環境の中、医療行為をし続け、人を救うこと。医療行為から、発展し、井戸を掘ること。温暖化による旱魃という今後世界が直面するであろう環境問題に対して、灌漑事業を素人ながら成し遂げ、砂漠を緑化すること。「本質的に人を救う」ことを継続し続けた30年間。何人分の偉業を成し遂げているのだろうか。
    例えではなく、本当に命をかけて仕事をまっとうするということのすさまじさが表されている。
    不条理な現場で、翻弄され、命を落としていく貧しい人たち、その中に分け入り、弱音を吐いたり、批判をするのではなく、本質的に求められている真に必要なことをつかみ、すさまじい推進力で推し進める。気合と熱意で進めたといわれても、絵空事には聞こえない。にわかに信じがたい偉業は、コツコツと本質を曲げず、志をもつことによって成し遂げられるのだろう。その志を持つことによって、たくさんの犠牲者が、人の命がなくなっていること、一筋縄でいかない挫折、人間の醜さ、常人であれば、くじけてしまうことがたくさんあっただろうことが推察される。
    現場で起こっていることはマスコミや政治家は正しく伝えない。何らかの力のために歪曲して伝えるということが四六時中おこっていることもよくわかった。

  • とても信じられない報道を聴いて、先ほどから涙がとめどなく流れ嗚咽を堪え切れず泣きじゃくっています。

    わが敬愛する中村哲医師が身罷った。なぜ彼が殺されなければならなかったのか。

    35年間にわたってパキスタン・アフガニスタンで、民衆のためにそれこそ命を投げ捨てて尽くしてきた彼がなぜたった一発の弾丸で死ななければならないのか、こんな理不尽なことがあっていいものか。

    ・・・12月4日、アフガニスタン東部ナンガルハル州の州都ジャラーラーバードで車の移動中に何者かに銃撃され、胸などに複数の銃撃を受け、緊急手術を受けた。当初は意識があったが、術後に医療施設の整った首都郊外の病院に移そうとして救急車で飛行場に運ばれた際、容体が悪化したという。心臓に近い左胸に2発の銃弾が当たったのが致命傷となった負傷後に現地の病院に搬送された際には意識があったが、更なる治療のためにパルヴァーン州バグラームのアメリカ軍バグラム空軍基地に搬送される途中で死亡・・・

  • #世界一受けたい授業 で故・#中村哲 さんの特集を見て読了。

    どうして医師としてアフガニスタンに渡ったのか、その人がなぜ用水路建設に取り組んだのかに興味を持っていたが、そこはびっくりするぐらいサラッと書いてある。そういう流れ、必然だったから、と。もうその心境が信じられないぐらいにすごい。

    今の日本を憂うメッセージも胸に刺さる。「些末な言動をあげつらい、多勢を頼んで石を投げる迎合的な世情」「経済力さえつけば被災者(東日本大震災の話)が救われ、それを守るために国是たる平和の理想も見直すのだという」

    今の自分の悩みが情けなくなる、本当に大事なことは何だろうかと考え直させる生き様だと思います。

  • アフガニスタンで銃撃により亡くなった中村哲さんの道のりを知りたくて読む。
    伯父の作家・詩人の火野葦平や安保闘争など戦争と平和への想い、昆虫好きな少年だった医師としての成り行き的なパキスタン行き、ペシャワールでのらい病などへの医療、アフガン難民事情から医療以前の水・農業対策と政治や自然との対応など、ペシャワール入りの1984年から2013年までのアフガニスタン、パキスタンでの活動が俯瞰でき、加えて終章の日本人の方々へのメッセージが心にしみた。
    アフガニスタン情勢が政治的なもの、テロ組織の動向だけでなく、気候温暖化による旱魃、渇水、農業への影響があることを初めて知った。
    都市中心、経済中心、武力による平和などの世界観の虚構に気づくため、現地・現場の視点を意識すること。自然・風土・人々に寄り添うような支援の大切さを感じた。
    ドクターサーブ中村さんの死を美談とすることなく、また批判するのでもなく、遺志が天と共に現地に生かされ続けることを願う。
    19-127

  • まずは、中村哲さん、素晴らしい方です。
    最近、何かと話題になるアフガニスタン。当然中村哲さんの話も出、では一冊読んでみようとこちら手に取りました。
    ところどころに写真挿入があり、何もない砂漠が緑化していく様は目を見張るものがあります。また、アフガニスタンの風習や、人柄にも言及。用水路建設では現地での人間関係や根回し、関係機関や日本サイドのやり取り等、想像を超える苦労があったことが伺えます。
    用水路建設の詳しい説明は、こちらの知識がなく、難解な部分が多少ありました。
    単なるお金の援助や型だけのものより、現地の人と手を取り合い、共に成長していくことこそが本当の意味での人道支援のあり方だと。
    また、いかに日本の報道がアメリカよりなのか。ワールドトレードセンターが崩壊したとき、悲惨な状況に自分自身洗脳されていた気がします。でもアフガニスタンの多くの人は私達と同じ日常があり、普通の生活を送っています。その人たちのことも忘れてはなりません。各個人がしっかり情報収集をし、真実を自分で見極めて、判断することが大切です。
    これは教科書に採用されて、全国民に読んでほしい本の一つです。
     

  •  人として何を大切にすべきか考えさせられる良書。この本に出会えたことに感謝。
     以下、心に響く2文。

    『平等や権利を主張することは悪いことではない。しかし、それ以前に存在する「人としての倫理」の普遍性を信じる。そこには善悪を超える神聖な何かがある。』
    『「信頼」は一朝にして築かれるものではない。利害を超え、忍耐を重ね、裏切られても裏切り返さない誠実さこそが、人々の心に触れる。』

  • 政府主導の海外協力なんてかすんでしまう。中村哲医師の人生を捧げたアフガンでの活動に頭が下がります。医師というよりも早く建築家設計士あるいは現場監督のような存在。無謀と思われた砂漠に水が導かれ周囲が緑に覆われている写真に感無量です。こういう活動こそが国際平和の力になると信じたい。
    不幸な形での死が本当に惜しまれます。

  • 米軍アフガン撤退を機に積んであった本
    をよんで見た。クリスチャンで医者である中村先生のアフガンへの愛を用水路旁を通して描いている。アフガニスタンは大干ばつに見舞われ地球の気候変動が原因だと言っている。アフガンのことは外国軍ではなくアフガン人によってだけしか解決できない。最終章の「日本の人々へ」は日本人への遺言になってしまった。

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著者プロフィール

1964年福岡県生まれ。九州大学医学部卒業。国内の病院勤務を経て、1984年パキスタン北西辺境州の州都ペシャワールのミッション病院ハンセン病棟に赴任し、パキスタン人やアフガン難民のハンセン病治療を始める。その傍ら難民キャンプでアフガン難民の一般診療に携わる。1989年よりアフガニスタン国内へ活動を拡げ、山岳部医療過疎地でハンセン病や結核など貧困層に多い疾患の診療を開始。2000年から、干ばつが厳しくなったアフガニスタンで飲料水・灌漑用井戸事業を始め、2003年から農村復興のため大がかりな灌漑事業に携わる。同年、「アジアのノーベル賞」と呼ばれるマグサイサイ賞を受賞。2019年にはアフガン政府から名誉市民権を授与された。同年12月4日、アフガニスタン・ジャララバードで武装集団に銃撃され、73歳で命を落とす。

「2020年 『希望の一滴 中村哲、アフガン最期の言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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