母と娘はなぜこじれるのか

  • NHK出版
3.61
  • (13)
  • (38)
  • (34)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 381
感想 : 45
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140816271

作品紹介・あらすじ

女性の謎、ジェンダーの壁、父親不在…問題の原因から、葛藤を乗り越えた体験、自立した関係の築き方まで語り合う魂の対談集。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 精神科医の斎藤環氏と5人の女性達による対談集。
    テーマは母と娘。
    対談相手の中に角田光代さんがいたので読んでみたくなった。

    いやー、色々あるんだなと言うのが正直なところ。
    私自身母との関係性は取り立てて問題もないと思うし、自分の子供も息子だけだからこれからも悩むこともない。
    それでも母と娘が特別な関係だというのはよく分かる。
    良くも悪くもその結びつきの強さだとか。
    そうそう、母に対して罪悪感を抱くって感覚は私にもあるなぁ。
    自分が母より幸せになってしまったら後ろめたい気分になったり。

    いわゆる毒親だったり、母から抑圧や過干渉を受けている人にはこの本、絶対お勧めですね。
    あー、私だけじゃないんだって思うんじゃないかな。
    ここまでひどくなくても周りには一卵性親子って呼ばれるような人達は結構いるし。
    過干渉がいやだいやだといいながら離れられないのが不思議でならなかったけれど、この本を読むとその気持ちが分からなくもない。

    欲を言えば、シンプルだとされる母と息子の関係に嫁が登場した時にどう変化していくのか知りたかったな。
    私にとってはこっちの方が気になる!(笑)

    • vilureefさん
      まっき~♪さん、こんにちは~。

      まっき~♪さんさんの「ナイトメア」のレビューを読んで、あ、内容かぶってるかも!とひそかに思っておりまし...
      まっき~♪さん、こんにちは~。

      まっき~♪さんさんの「ナイトメア」のレビューを読んで、あ、内容かぶってるかも!とひそかに思っておりました。
      興味がある内容であればなおさらこの本はお勧めですよ(*^_^*)

      斎藤環さんが対談相手に合わせて話の内容と知識の深さを変えていくのに感心しました。
      角田さんなどはさらっと読めるのですが、信田さんはぐっと専門的になって。

      レビュー、楽しみにしていますね(^_-)-☆
      2014/07/08
  • 対談の人たちは、「昭和の子育て」を受けた娘たちだから、よくも悪くも濃い。
    娘に期待して、支配して、娘は期待に応えようとして頑張るけど結局応えられずに逃げ出す。娘がどんなに成功しても、完全に母を満たすことはできない。

    田房さんが、毒親特集などでインタビューを受けて、見たらそれが「あなたは毒親になっていませんか」という、母親へ向けた特集になっていたそうだ。
    娘は、娘として苦しんでいるのに、メディアは「娘の苦しみ」には目を向けず、母親にばかり焦点をあてるんだなと。
    30歳、40歳、それ以降の「娘」は辛いなと思いました。

  • 他の本と併読をおすすめ 「母と娘はなぜこじれるのか」 

    「母は娘の人生を支配する―なぜ「母殺し」は難しいのか
    (NHKブックス)」を読んでからこちらを読むことをおすすめします。

    著者の斎藤さんが、母娘問題にゆかりのある方と対談していきます。

    角田さんの小説は同じ日に読み終わったばかり、
    萩尾望都さんの「イグアナの娘」はマンガもドラマも見、
    信田さよ子さんの「母が重くてたまらない―墓守娘の嘆き」も
    読んでいたので対談の背景を知った上ですっと読んでいきましたが、
    今、実際困っている人は、「母は娘の人生を支配する―なぜ「母殺し」は難しいのか (NHKブックス)」、
    「母が重くてたまらない―墓守娘の嘆き」の併読をおすすめいたします。

    田房永子さんとの対談が、一番付箋が多くなりました。
    実際の母との経験をマンガにされているということで、
    呪詛植えのメカニズムと、呪詛抜きについてなど、マンガで
    わかりやすく描かれているので、田房さんのマンガ作品にも
    興味がわきました。

    「母親から植えつけられた呪い、呪詛を抜いていく
    『呪詛抜き』が必要だと思っています」

    「いびつな母娘関係のラスボスは、男性の怠惰」

    というような発言にひとつひとつ、頷く経験がある方が
    いらっしゃるのではないでしょうか。
    また、逆に全くぴんと来ない方も同じくいらっしゃるのでしょう。
    それは、とても幸せなことだと知ってほしいです。

    「母親の呪縛から解放される一番のポイントは、
    自分は母親の思う通りじゃない、
    母親の望む言動をしなくてもいいんだ、
    イヤなことはイヤだって思っていいんだ、
    と気づくことでしょうか。」

    とありますが、このような本に出あっているということは
    なんらかの気づきがあって読んでいるのかなと思うと、
    それは大きな一歩だなと思います。
    自分がそのような問題を抱えていることすら気づかず、
    そう振る舞うのを当たり前と思っている人も多いはず。

    また、

    「今は母親との関係は、距離を置けているので、
    直接的な被害はないんですが、自分のなかにある
    母の呪縛みたいなものから、夫や子どもへの対応に
    問題を抱えています。

    お母さんとの関係が安定していなかったから、
    夫に対してこれでいいのか、子どもに対して
    これでいいのかと不安を感じたり、不安によって
    夫に対してキレちゃったりする」

    という言葉があったのですが、そういった、距離を置いてから、
    自分が母となったときのよすがになるような
    本というものも読んでみたくなりました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「それは、とても幸せなことだと」
      このような声が上がり始めて、知った人間としては、返す言葉もありませんが、、、
      辛い目に遭われている方に...
      「それは、とても幸せなことだと」
      このような声が上がり始めて、知った人間としては、返す言葉もありませんが、、、
      辛い目に遭われている方には、人間関係の様々な縛りは自ら動く以外に逃れる術は無いから。ご自身が安全と思える居場所を見つけてください。←簡単に出来るなら苦労しないでしょうけど、、、
      2014/06/23
    • ヒロセマリさん
      私の場合は、友人など、第三者の目で親身になってくれる人のおかげで距離を取れましたが、
      若い人などは辛いと思います。
      絶望せずに離れる準備...
      私の場合は、友人など、第三者の目で親身になってくれる人のおかげで距離を取れましたが、
      若い人などは辛いと思います。
      絶望せずに離れる準備をしてほしいです。
      2014/06/24
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「第三者の目で親身になってくれる人のおかげ」
      一人で悩んじゃ駄目なんですね、、、苦しんでいる人に、判って呉れる人が見つかりますように。。。
      「第三者の目で親身になってくれる人のおかげ」
      一人で悩んじゃ駄目なんですね、、、苦しんでいる人に、判って呉れる人が見つかりますように。。。
      2014/07/07
  • 母と娘の確執ってのはものすごく奥が深いだね。
    ひいてはそのまた母親の母親との問題でもあるわけだから。
    ここに出てくる母親たちは、あまりにもひどい。
    娘を自分の所有物と勘違いしてるのではないか。

  • 理解が七割。
    知的な理解の先をどう乗り越えるか。
    同じような状況の他者、カウンセラーなどと繋がって数で対抗していく。
    母は無敵。弱くなるほど強くなる。

    斎藤「娘の側も接近を望んでいるのでは?」
    信田「望んでいるというより、罪悪感がそれによって少し軽減されるという意味ではあるでしょう

  • 水無田先生以外の方の本は読んでいたのでより深く理解できた。「母がしんどい」「さよなら、お母さん」「母は娘の人生を支配する」など事前に読んでおかれるといいかもです。
    今まで対談形式の本は面白いと思ったことがなかったけど、これは最後まで飽きることなく読めた。
    特に水無田先生ところがググッと来る。明治30年以降の急速な変化の中で、良妻賢母とロリコン言説と少女趣味と、家父長制の強化と幼児虐待と言うのは、同時期に発生している云々

    あぁ、それ以前に帰りたい(笑)

  • 図書館にて。
    娘を産んだあと、一番最初に読んだ本がこれ。よりによって。
    萩尾望都さんのエピソードは知らなかったので驚いた。
    あの名作の数々を生み出した作家なのに、母親は娘が漫画家だということを認めていないという。
    娘のことになると現実をそのまま受け止められない母親は珍しいことではないのだと改めて思った。

    後半は母親の置かれている現実について詳しく書かれていたけれど、申し訳ないけれど読み飛ばしてしまった。
    どんな現実にあろうとも、だからといって娘に対してしていいことと悪いことが変わるわけではない。
    母親の大変な状況について読む気がしなかったのは、まだ私が娘側の気持ちでこの本を読んでいたということだろうか。

    ずっと娘の立場で今まで母との関係を考えてきたけれど、これからは母として娘との関係を作っていくのだ。
    どんな母親になれるかわからないけれど、冷静に娘の話を聞いてあげられる、娘を一人の人間として尊重できる母親になりたいと思う。
    自分が母との関係性で悩んだという経験は、こうはなるまいという経験として自分の中でプラスにできると信じているし、娘のためにも自分のためにもそうでなければと思っている。

  • 精神分析的な視点から見て、極論すれば男性は身体というものを持っていません
    健康な男性の身体はいわば"透明な存在"で、それゆえ彼らは、日常的に自らの身体性を意識することはほとんどありません

    序文にあった言葉が、とても驚きで
    でも、続く対談を読むと、本当に納得する
    それは、インタビュアーが男性だから

  • 「女は女装する」が印象的。たぶん男も男装しているんだろうが。親の支配というのは多かれ少なかれ誰にでもあるものだろうが、男の場合は父親は乗り越えるべき存在であるのに対し、母娘というのは支配関係が永続するのが男女の違いなのかな?と感じた。それは社会的・時代的なものだったり、肉体的なものが原因だったり。その支配関係に気がつかない人はある意味幸福で、気がついちゃうとキツイのかもしれない。
    斉藤先生が精神科医なので、作家・心理士と話す場合は同類的に心の問題にフォーカスして話をするのだが、社会学者と話する場合には社会性・時代性にまで話が広がるので多面的な考察が出来ていたように思う。
    基本的にはこじれた関係は修復不可能で、この本を読んでも解決はしない。分析してるだけで原因がわかるだけ。それでスッキリして納得できるならそれはそれでよいのだろうが、こじれる前に幼少期からの対策が必要なんだろう。まあたいがいの子育ては失敗するんだろうが、それでも社会は成立するんだろうけど。
    斉藤先生曰く「女を理解するために男が読む本」だそうで、なかなか興味深かった。類似本も読んでみようかと思う。

  • 母と娘の関係についての、対談集。
    やっぱり、いろんなひとがその関係について、違和感を抱いてるのね、と思った。
    親子はこじれたとき、育てられてきたからこそ、つらくなる。残酷ではあるけど、そんなときに親を突き放して考えることができたら、楽になるやろうなあ。
    田房さんのところに出てきた、「呪詛」の考え方がしっくり来すぎて、感動した。

全45件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1978年東京都生まれ。漫画家、エッセイスト。武蔵野美術大学短期大学部美術科卒業後、漫画家デビュー。2001年第3回アックス新人漫画賞佳作受賞。2012年、母との確執による葛藤を描いたコミックエッセイ『母がしんどい』(KADOKAWA/中経出版)を刊行。そのほかの著書に『しんどい母から逃げる!!』(小学館)、『キレる私をやめたい』(竹書房)、『ママだって、人間』『お母さんみたいな母親にはなりたくないのに』(共に河出書房新社)、『大黒柱妻の日常』(MDNコーポレーション)などがある。

「2021年 『なぜ親はうるさいのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

田房永子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
川上 未映子
辻村 深月
三浦 しをん
朝井 リョウ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×