- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140816561
作品紹介・あらすじ
日本とスコッチはこうして出会った。本場スコットランドからウイスキーづくりの技術を持ち帰った男・竹鶴政孝。そして、かの地で運命的に出会い、彼を支え続けた妻・リタ。スコットランド蒸留所修業、猛反対された国際結婚、北の大地・余市での独立。戦時中、外国人妻としてのリタの奮闘…。夫妻の波乱の生涯を俯瞰。NHK連続テレビ小説「マッサン」夫妻の足跡を、英国人研究者が丹念に辿るノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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ドラマ「マッサン」のモデルとなった竹鶴政孝と妻・リタの国際結婚と、日本でのウィスキー製造について書かれた評伝。
資料に当たって克明に記されています。
竹鶴氏の実家はたいへんな名家で、兄達もびっくりするほど学歴が高く、家族に日本の未来を切り開こうという意識があったようですね。
リタのほうは、まず妹が知り合い、父親を亡くした家庭に留学生の竹鶴を下宿させたこと。
当時としては人種偏見がなかったということだと。
結婚に最初は猛反対した母親も妹の説得で許し、ずっと文通を続けたそう。
(ただし、戦時中は出来なくなりますが)
竹鶴氏は明るく社交的な性格だったそうです。
辛気臭いわけではなかったのかな?
頑固だったには違いないと思われますが。
ドラマの鴨居の大将こと実在の鳥井氏は、英国から技師を招くのにかかるはずだった高額な給料を竹鶴氏に払い(自伝によると竹鶴氏のほうからの要求)、後にはそれが負担になった可能性もあると。
竹鶴氏の自伝もあるそうですが、晩年に書かれたための記憶違いや、公表するものとして手控えた部分なども指摘されています。
ウィスキーの製造方法についてもドラマよりも詳しく、一通りの記述があります。
英国人が書いたものということで、一味違いますね。
写真で見るリタはほっそりと美しく可憐です。
お似合いの二人。
あまり身体の丈夫でないこの女性が、英語教師をして頑張ったり、和食を作ろうとこだわって奮闘したのですね。
酷寒の北海道で漬物つくりとは大変。
面白おかしく描かれたドラマの雰囲気こそありませんが、信用できる史実として、ひたむきなリタの献身と夫婦の愛情に感銘を受けました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
リタについての外国人が書いた伝記ということで読んでみました。なんといってもこの本の一番の評価点は、書いてある一文一文がどの参考文献に基づいているかきちんと載っていることでしょう。
政孝の自伝では分からなかったことも、こちらでは詳しく分かります。また、スコットランドの地図が載ってるのもいいです。それに政孝の自伝で、ホームシックで毎夜涙にぬれていたのにリタの家族と過ごすようになって、ホームシックがうそのように治ってしまったとあり、ここをリタの家族と行ったり来たりして、と読んでいたのですが、この本を読むとリタの家の下宿人となっていたとあり、そうだったのかと思いました。それで政孝がリタと会ったのはリタの父が亡くなってからである、と自伝にお孫さんが事実と違う点についてとして一文をのせていたのですが、その意味がわかりました。 -
大変良かった。
文章は論文のようなレポートのようで硬い。小説のようなふたりの伸びやかな感情の動きは出てこないけれど、事実を事実として積み重ねていったこの本を読んでいるうちに自分で想像できるのがいい。とはいえ朝ドラのマッサンをみていたから、もちろんその物語を下敷きにして想像してしまうわけだけど。
あと小説とちがって歴史的背景も事実として知ることができてよかった。なにより嬉しかったのは引用としてクララ・ホイットニー(勝海舟の息子の嫁)の言葉が出てきたこと。そうかこの時代にマッサンとリタは生きていたんだな。 -
ご参考までに。
“本書は、一九九八年九月に日本経済評論社より刊行された『リタとウイスキー 日本のスコッチと国際結婚』をもとに、増補・改訂したものです。 ”
〜238頁より〜 -
2015/07/03読了
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マッサンの時代に海外に留学ということを成し遂げるのは生半可なものではできないでしょう。人種差別を感じマイノリティを嫌ほど感じ、それでも自分の追求したいものをぶれずに成し遂げたのは彼自身の努力以外に語れないでしょう。
そしてリタにおいても、日本においてのマイノリティとして必死にマジョリティに合わせ溶け込もうとしたのは痛々しいほど伝わった。
1000マイルも離れた場所に嫁ぎ、飛行機などで一日ではいけない距離であったにもかかわらず、一生を夫マッサンに捧げた。彼女の覚悟に涙がでる。
自分にはもっと彼女のような海外で生きていくという覚悟が足りないのだろうと思わされた。 -
NHKの朝ドラ「花子とアン」の再放送を見ていたのですが、それが終わり、その後「マッサン」が始まったので、ついでに見ているところ。
あの時代の国際結婚、起業家の妻、はさぞかし大変だったろう、と期待して見始めたのだが、使い古されたギャグ満載のバカップル物語に終始していて驚いた。
15分がやたら長く感じる。
「花子とアン」もそうだったけど、朝ドラは「おちゃめなアタシのドタバタ物語★」が基本路線なのね、と今さらながら知った。(←分かっていなかった・・・)
ということで、もっと本当のことが知りたいと思ったので、手っ取り早くこの本を読むことにしました。
留学中に結婚していたとは驚きです。
あの時代に、会社のお金で留学をさせてもらっておきながら、誰にも相談せず、奥さんの親にも内緒で結婚に至るとは、その事実だけ見ても、マッサンって、けっこう衝動的で、甘えん坊な人なのかな、という印象です。
異国での生活は本当に寂しくて、それを解消するために、すべての不利益に目をつぶって行動してしまったんだろうと思う。
リタさんがマッサンよりもずっとずっと先に亡くなった、という事実には胸が痛みました。異国の生活のストレスは尋常じゃなかっただろうと思うし、忙しい夫とは対照的なリタさんの晩年の孤独さを思うとたまらず、私は終始マッサンに批判的な気持ちで読んでいましたが、マッサンが自著の中で、「もし私とではなしに、英国人と結婚して英国で生活していたら」という悔恨のにじむ胸中をつづっていた、という部分を読み、そうか、ちゃんと自分の罪は分かっていたんだなぁ、と許せる気持ちになりました。(もちろん私には許すとか許さないとか言う権利はないんだけど)
あと、マッサンはスコットランドでウィスキーづくりを学んだ、というのは、私は勝手に5年くらい修行したのかと想像していたのですが、たった2年、しかもその2年もフルタイムではなくて、いくつかの蒸留所を短期で転々としただけ、っていう事実は衝撃でした。
ジュース作りに至っては、何の経験もなく、本だけを頼りにいきなり基幹事業として展開してみた、っていうのも、なんだか、マッサンの性格が表れているなぁ、っていう印象です。
それでも、会社をつぶさず、事業を拡げたっていうのは、やっぱりすごい、と思ってしまった。
あの時代だったからかもしれないけれど。
それとも、案外会社ってそういうものなのかな。
余市ではハイランド・ウイスキーを作り、それに対して仙台ではローランド・ウイスキー作りを意識したと書いてあって興味深かった。
確かに、関西や東京から見ると、北海道と東北って日本のハイランドとローランドみたいなイメージです。遠くて寒さが厳しい・・・ -
テレビドラマのおかげで便乗商法的に多くの関連本が出版されているようだが、いくつかの書評を慎重にチェックしてから、本書を選んだのは正解だったと思う。ドラマを想起させるタイトルになってはいるが、内容はまさしく原書のそれどおり、日本における本格的なウィスキーの誕生の物語であり、史実を丹念に追った学術書と言ってよい。
特に、マッサンとリタの出会いから結婚生活に関して、ロマンチックな愛情物語のようなものは徹底して排除されており、ドラマを見てそのあたりを期待した読者がいたとしたら、期待は完璧に裏切られる。学術書とは言いすぎかも知れないが、膨大な資料を元に、竹鶴正孝氏がどのようにスコットランドの伝統的なウィスキー造りを学び、日本でどのような苦労をして、ウィスキー製造技術を伝え、育て上げたか、またリタに関しては、当時の時代背景を踏まえ、一人のスコットランド人女性が日本で暮らす様がどのようにあったか、ひたすら正確に記録に残すべく書かれている。
二人の恋愛に関しては、お互いがどのように好意を持つようになったか、結婚生活がどのような愛情に満ちたものだったか、などには著者は一切踏み込まず、両人それぞれの感情を安直に推測したり、代弁しない姿勢を貫いている。あくまで遺された手紙や、本人や周辺の人々の発言を追いかけて、記録するに留めている。
本書を読んで、竹鶴正孝氏の偉業についてはよく理解できた。本書を引用すれば、氏の業は「正真正銘のウィスキー作りの技術の芽を日本の大地に根付かせるという使命を片時も忘れることはなかった」によく表されていると思う(本分215ページ)。
最後に役者あとがきの中で訳者は、著者のチェックランド氏には「人と人との出会いに歴史の源流がある」という視座があると語っているが、まさに正鵠であろう。さらに言えば、訳者は「世界史はひとつの文明が他の文明を駆逐する動態である...(中略)しかし、文化は融合する」と指摘する。それもまた真理であり、かつ人類にとっての福音であると感じた。
良書です。 -
ドラマ見てないけども、国際カップルの珍しい時期に日本で生活した女性に興味を惹かれて読んだ。強い女性だ
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NHKで放映中の「マッサン」が仕事の関係で毎日観えない為、内容がわからなくなるストレスを無くすために読んでみました。今後の展開予想やニッカウィスキーが出来る過程などが分かって良かったです。ただ、あくまで資料本なので、小説のような感情移入が出来ない点が寂しかったです。