あなたが世界のためにできる たったひとつのこと 〈効果的な利他主義〉のすすめ
- NHK出版 (2015年12月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140816929
作品紹介・あらすじ
ピーター・ティール(『ゼロ・トゥ・ワン』著者)が語り、シリコンバレーも注目する、これが21世紀の倫理的ライフスタイル。
感想・レビュー・書評
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効果的利他主義とは、他者への貢献を定量化し、その効果が最も高くなるように行動するべき、という考え方。例えば自分が大きく稼いで寄付するのと、ボランティア活動をするのでは、前者を選ぶべきと考える。
また著者は、自分の効用が恵まれない者の効用と同じになるまで寄付をするべき、と提唱している。さらに他者貢献には、寄付だけでなく臓器提供も含まれる。これらはかなり急進的な考えだと思う。
効果的利他主義は、選好功利主義にあたるとのこと。古典的な快楽功利主義が全体の快楽の最大化を目指すのに対して、これは全体の選好充足の最大化を目指す。
本書は啓蒙的な内容で即実践できるという意味では優れているが、理論的な根拠が弱い。
著者が「功利主義とは何か」という本も出版しているので、それも読んで学問的系譜を抑えて、理論的側面をもっと学びたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「効果的な利他主義」とは寄付者の情けに訴えるチャリティではなく、費用対効果の高い方法で命を救い苦痛を減らすことを証明できるチャリティに寄付を行うことを指している。本書の中で紹介されている事例として、収入の大半を寄付する人、より多くの寄付を行うために高収入を得られる職業に就くもの、腎臓等身体の一部を赤の他人に提供するもの等々があった。これらは極端な例だとは思うが、少なくとも自己満足ではなく、命を救うために最も効果的なチャリティを選んで寄付をすべしという提言は納得。私は本書でいうところの「寄付することで気分が良くなり、その効果は問わない」寄付者で、さらに「こうした寄付はたいてい10ドル以下の少額で、それを処理する費用が寄付の効果を上回ることは、よく考えればわかるでしょう。」にまさに該当したので、とりあえず寄付額の引き上げをするところから始めることにします。
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私たちは自分にできるいちばんたくさんのいいことをしなければならない。盗まず、騙さず、傷つけず、殺さないと言う当たり前のルールに従うだけでは不十分で、世界をよりよいものにするために尽力すべしと言う 「効果的な利他主義」の話
与えるために稼ぐ、腎臓提供をする等 他者を気にかけ、そのために自分の人生を大きく変えることをいとわない人達。 度が外れていると感じるケースの紹介もあり、感心する。
慈善団体が効果的にチャリティーを使っているかを評価する組織、ギブウェルを調べてみたが、英語しかなく、チャリティー先としてもあまり私に合うなと言うものでは無かった。
【今後私が頑張ること】
私に出来ることを考えらた(そして実行しよう)
・おこずかいの3%を寄付する
・献血に行く
・ボランティアに参加する
と思ったが、こう決めてただ毎年ルーチンとしてやるのではなく、「世界を良くするために自分はなにが出来るだろう?」と継続的に考えることが一番大切なのではないだろうかと思い至る。
・ 「世界を良くするために自分はなにが出来るだろう?」と継続的に考える -
「人口減少社会のデザイン」を読んで、より多角的で広い視野で物事を考えた方がいいかな、と思い手始めに拝読。
利他主義が世の中にどういう好影響を与えるかについて述べた書籍。
一般的には、利他主義=ボランティア・募金、みたいなイメージだけど本書ではこれをより深掘りして、<いちばんたくさんのいいこと>を望む考え方を利他主義と呼んでいる。
では、何が<いちばんたくさんのいいこと>になるかというと、同じ金銭でより多くの人を救う(命を救う、劣悪な環境から救うなど)ことがより良いことであり、いちばん多く救えるものが<いちばんたくさんのいいこと>であるとしている。
この部分を読み、今までは募金といった時、それがどのように使われるか・どれだけを救えるかまで考えたことはなかったが、本当に<いちばんたくさんいいこと>をしようとするならば、募金したお金が何に使われ、どれだけの助けとなったかを測定する必要があるのだと感じた。この部分は考えさせられるところが多かったように思う。
また、利他主義といった場合、大なり小なり自己犠牲という言葉が同時に思い浮かぶが、本書では必ずしも自己犠牲が利他主義に必要だとは述べていない。効果的な利他主義を実践する人々は自己を犠牲にしているという思いなどなく、むしろ自分にとって気持ちいこと(=自分にも利のあること)をしているという感覚だというのも非常に新鮮であった。
最後部では、人類滅亡という非常に大きな、そして非現実的にも思えるテーマが取り扱われていたが、ここでは未来の人類がどれだけ価値があるものか、ということをテーマとしている。
目の前にいる人と、これから生まれてくるかもしれない人とだったら、どうしても目の前にいる人の方がイメージできるし、目の前にいる人の方が価値が高いように感じるが、本書では必ずしもそうではなく、価値は同等という立場をとっている。そう考えると、非常に小さな確率であっても、人類が滅亡するようなリスクは非常に大きな損失を被ることになるため、ある程度のコストをかけてでも何らかの形で立ち向かうべきだ(=ある程度コストをかけたとしても十分ペイする投資になる)ということを主張している。
このように言われてもやはり強くイメージできない部分ではあるものの、未来の人類まで想いを馳せて考えを巡らすということが大切なのではないかということを感じたし、当初の目的であった「自分の視野を広げる」ということに大きく寄与したので、大変参考になった部分だと感じた。
近年、単なる消費が限界を迎えつつあるように感じている。
では、余ったお金がどこにいくのかということであるが、本書を読み、利他主義的発想をより多くの人が持つことにより、お金が余っているところから不足しているところに配分するということを実践・体験するような世の中がくるのではないかと感じている。今後、利他主義が主流になり、お金の価値がもっと高いレベルのものになるのではないか、と感じさせる書籍であった。 -
そろそろシンガーの本でも読むかと思ったので
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ミニマリスト界隈に読んでほしい本。
利他主義と幸福の部分で、ミニマリストになって、稼いだお金をhednic dreadmillに巻き込まれないようにするための手段として、自分がいいと思うことにつかうみたいな記述があるよね。
ギブウェル系の指標も面白かった。もっとお金稼いでから戻ってくるね。 -
オーストラリアの倫理学者である著者が効果的な利他主義とは何かについて自身の見識やデータをもとに書いた一冊。
本書を読んで、利他主義の素晴らしさや効果的な利他主義の様々な選択肢を知ることができました。
同じ寄付でも多くの人を救うことのできるものを選ぶことの大切さを学ぶことができました。
そんな本書の中でも先進国よりも途上国に寄付する方が効果的であることは印象に残りました。
本書を読んで、効果的な利他主義という新しいムーブメントを通して自分に何ができるのか改めて問い直すきっかけとなり、他人を助けることについて多くの示唆を与えてくれる一冊でした。 -
☆効果的か否かの判断基準が問題となると思う。
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一気読みの面白さ。エビデンス・ベースドの寄付。理性と科学的アプローチの下に全てが数値化されていく。ランキングは作ったもの勝ち。こうして世界は征服される。