ビッグ・クエスチョン―〈人類の難問〉に答えよう

  • NHK出版
3.76
  • (47)
  • (64)
  • (54)
  • (12)
  • (4)
本棚登録 : 1088
感想 : 89
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140817735

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ホーキングが生涯の最後に、次の世代に向けて書き残したかのような印象をうける。分量は体裁はかるい読み物だが、ホーキングは科学に対する信頼や底抜けの楽観主義とでもいうべきものによって、まさにビッグ・クエスチョンに真正面から取り組んでいる。

    時空の始まりやブラックホールに関する章は、さすがに専門分野だけあって、噛み砕かれて書かれているものの難しい。一方、専門外のところはいたって読みやすい。ナノ宇宙船をレーザーでかっ飛ばして恒星間飛行をするプランは面白かった。アルファ・ケンタウリまで20年で行けるとか(止まれないのでフライバイするだけだが)。

  • 知識が足りなくてわからないことがたくさんあるけど、極力一般の人にも分かるように説明してくれていると思う。
    宇宙にはすごく興味があるんだけど、宇宙について考えると死を感じることが多くて、怖くてなかなか読み進めることができなかった。

  • ホーキング博士が生前に残していた資料から作り上げた本。専門的な内容は個人的に分からないことが多かったが、広く見ると哲学的で面白かった。

  • とても壮大で想像しきれない世界だった。

    無神論者で宇宙開闢や進化論についてもギリギリと宗教界と切り結んでいた。

    そこにブラックホールの研究が合わさると彼の業績は偉大なものだった。

    六つの問い(神は存在するのか? 宇宙はどのように始まったのか? 未来を予言することはできるのか? ブラックホールの内部には何があるのか? タイムトラベルは可能なのか? より良い未来のために何ができるのか?)に対するスティーヴンの回答は、彼の科学に深く根ざしている。

  • ビッグ・クエスチョンとは、人間が問い続けてきた根源的な問いや、人類の未来を左右する課題など、人類にとっての難問のこと。
    →「私たちはどこから来たのか?」「人工知能は人間より賢くなるのか?」など。
    ホーキング博士は、理論物理学を使うことで、ビッグ・クエスチョンのいくつかに答えようとしてきた。

    例えば。。。
    ■神は存在するのか?
    ・昔、宇宙は神が創造したとされていたが、今では全てを自然法則によって説明できる。
    ・宇宙は、エネルギーと空間からなる。これらは、ビッグバンと呼ばれる宇宙誕生の際に生じた。
    ・原子サイズ以下の小さな世界では、陽子などの粒子が、何もないところから現れる。
     かつて宇宙はとても小さく、陽子と同様、何もないところから出現したと考えられる。
    ・宇宙の中で空間と時間は絡まり合っている。ビッグバンの瞬間、空間とともに、時間そのものが始まった。
    ・ビッグバン以前に時間は存在しないため、神が宇宙を創る時間もない。だから「神は存在しない」といえる。

    ■人工知能は人間より賢くなるのか?
    ・人工知能(AI)が人間よりうまくAIを設計し、自ら改良できるようになれば、人間より賢くなる可能性がある。
    ・AIの短期的な影響は、誰がそれをコントロールするかにかかっており、
     長期的な影響は、AIはそもそもコントロール可能かどうかにかかっている。
    ・人類にとって良い社会を作るには、どんなAIにするのか、失敗が許されないため確実に人間が計画するようにしなければならない。

  • 本を読む前にスティーヴンが主人公となっている映画「博士と彼女のセオリー」を見たため、スティーヴンの人柄などが少し分かっていた状態から、本に入った。
    だが、科学に疎い私にとっては理解に苦しむところも多々あった。専門的な知識があるとよりわかるし、おもしろいのではないか。
    だが、わからないと言って全てから目を背けてはいけないのだなと同時に感じた。
    一つのことに対して追求し続けることができる人間は、強い。そして自分の周りにいてくれる人たちへの感謝、思いやりは常に忘れてはいけないと改めて思い知らされた。

  • ホーキング博士が、神はいるのか?などのビッグ・クエスチョンに答えてくれる本。
    論理的というよりは、もう少しだけ大胆に飛躍した答えを出してくれているのが興味深いです。未来と人類の進化を見据えての回答に感じます。
    なので、人類は宇宙に出るべきだし、AIなども活用して科学文明を進めるべきだという、大きな問いに対して大きな答えを出しているのではないかと思います。
    おそらくそれは、博士がご自身の残り時間を考えて、我々に託した思い、希望なんだと思います。

    訳者の青木氏には「フェルマーの最終定理」を面白く読ませてもらいましたが、本作も博士の特徴がよく分かる本になっています。

  • 45 宇宙をつくる3つの要素、物質・エネルギー・空間。それらがビッグバンで自発的に生まれた。つまり、宇宙は何もないところから自発的に生じた。空間は負のエネルギーで満たされている、差し引きゼロの状態で常に一定。では何もないところに宇宙誕生の引き金を引いたのは何か、それが量子力学の領域。陽子のスケールでは、何もないところに粒子が出現し、消滅しては別のところに姿を現す。

    52 ブラックホールの中では時間そのものが存在しない。時間の消失こそ、宇宙の始まりに起こったこと。

    61 一般相対性理論が明らかにしたのは、空間と時間は、宇宙に含まれる物質とエネルギーによって形作られる力学的な量であって、永遠に過去から未来へと存在するのではない、ということ。アインシュタインは、空間と時間を統一した。

    68 無限大の密度を持つ時空の特異点、ビッグバンにおいて、アインシュタインの一般相対性理論は破綻する。宇宙の起源を理解するには、不確定性原理(位置を正確に予測すれば、速度予測の精度は低くなる)を組み込む必要があり、理論物理学の大きな課題となっている。

    76 三という次元には特別なところがある。もし空間が四次元なら、惑星は恒星の周りに安定した軌道を描くことができない。

    193 ブレイクスルー・スターショットはアイディアとして興味深い。

  • わたしには難解すぎる内容だったけれども、自分がいかに無知だったか、空の向こうに広がる宇宙に想いを馳せるのってわくわくするっていう、新しい感覚。科学のリテラシーの必要性は今まで考えたこともなかったけれども、勉強してみたい。想像力とやむなき探究心の大切さを知った。いつか読み返して、半分くらいは理解できるようになりたい。

  • ホーキング博士の人類、というか、地球の未来に対する期待や不安が詰まった本。科学好きの子供たちが増えてほしいと切に願いたい。ただ、帯にあるように、人類の疑問に答えようとか、そういうセンセーションな内容とはちょっと違って、ホーキング博士の遺言、というとちょっと重いけど、アドバイスだと思って読むといいんじゃないだろうか?

著者プロフィール

スティーヴン・ウィリアム・ホーキング
1942年1月8日-2018年3月14日
イギリスのオックスフォードで生まれ。1957年、物理と化学を学ぶためにオックスフォード大に入学。その後ケンブリッジ大学大学院、応用数学・理論物理学科に進学。大学院在学中の1963年に「筋萎縮性側索硬化症」(ALS)と診断され、当時あと2、3年の命と宣告されたが、途中から病の進行が弱まったこともあり、精力的に活動を続けてきた。
1963年にブラックホールの特異点定理を発表し世界的に名を知られた。1967年論文「特異点と時空の幾何学」でアダムズ賞受賞。1974年に 「ブラックホールの蒸発理論」発表し、同年に史上最年少でイギリスの王立協会会員(FRS)となった。1977年ケンブリッジ大学の教授職を務め、1979年にはケンブリッジ大学のルーカス記念鋼材教授職に就任。1991年にタイムトラベルの不可能性などを説いた「時間順序保護仮説」を提唱。
1990年、1993年、2001年と度々来日して大きく報道されており、日本で最もよく知られる世界的科学者の一人でもあった。
代表作に、『ホーキング、宇宙を語る』。

スティーヴン・ホーキングの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
川越 宗一
リンダ グラット...
劉 慈欣
アンデシュ・ハン...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×