ビッグ・クエスチョン―〈人類の難問〉に答えよう

  • NHK出版
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感想 : 89
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140817735

感想・レビュー・書評

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  • #3620ー15ー51

  • 映画 博士と彼女のセオリーがきっかけでこの本を手に取った。はじめには、俳優のエディレッドメインさんが書いていて、その文章がとても素敵だ。そして本書の内容は、専門知識もあり素人にはかなり難しい…とはいえ、メッセージは伝わった。
    顔を上げて星に目を向け、足元に目を落とさないようにしよう。私は限界というものを信じない。
    考えられないような人生を生き抜いてきた博士が伝える言葉だからこそ、響く。
    原書で読んでみたいと思った。

  • ホーキング博士の最後の著作。21歳で余命数年を告げられてから50年以上。日々を生き延びてきた博士の思想は深く、研ぎ澄まされていると感じます。ブラックホールや宇宙の起源に関する理論は難しくて、内容を理解するのは難しいけれど、一般人にもわかりやすく解説してくれた博士の語り口は忘れがたい。
    あれほどの困難に長期間直面していても、常にビッグクエスチョンを設定し、それと向き合い続けた博士の生き方に、とても勇気づけられる気がします。

  • 面白かった!物理の理論はほとんどさっぱりだったけれど、そこが分からなくても十分、刺激を受けられる。
    ALS嘱託殺人があって以降、患者の方々の思いや現状をメディアが取り上げることが多くなった。それをきっかけに本書を読んでみた。ALS患者の1人でありながら当代随一の宇宙物理学者となったホーキング博士の生き方や考え方に何か考えるヒントがないかと思ったからだ。結果、ALSのことはあまり意識に登らずに読み切ってしまった。むしろ、人間の知的営みのすごさを知った。やっぱり、骨太な知性は前向きだ。未来にも、人生にも。ハラリさんやマルクスさんにも感じた理性、しなやかさ、そしてユーモアをホーキング博士の言葉にも感じる。
    本当に学問をしている人は、ヘイトには走らない。彼らはトランプや緊縮財政、全体主義への危機感は共通して抱いているけれど、それは危機感であって憎悪ではない。相手と議論する気がないヘイトと違って、彼らは危機感の表明をすることで議論の準備が出来ていることを相手に示している。本を書いているから、売れているから、メディアへの露出が多いから。そんなのが知性のバロメータになるわけない。けれど、書店の売り上げランキングを見ると、そこを履き違えている人がたくさんいることを思い知らされる。
    さて、モヤモヤはこれくらいにしといて、中身の感想。
    ①若者の科学離れって、日本だけの現象じゃないんだ!!ってびっくりした。文科省が大騒ぎしてるから、てっきり、日本だけが置いてけぼり食らってるのかと思ってた。イギリスも緊縮財政の影響で、基礎研究の予算がバサバサに削られて、そのせいで若者の科学への興味関心もダダ下がりしているらしい。なんてこった!ニュートンが草葉の陰で泣いてるぞ!!!「ムーンショット・プロジェクト」やらが文科省の肝煎りで始まるって朝日新聞に書いてあったけど、それ読んだときは「はぁ?」ってなった。でも、イギリスの現状とかホーキング博士の幼少期のこととかを知ると、案外、まともな策なのかもしれない。とりあえず、もう一回、萩尾望都の『スター・レッド』読みたくなった。
    ②ホーキング博士はAIのシンギュラリティは…有ります!派だった。そっかー。今まで無し派の本ばっかり読んでたので、刺激になった。人間がAIの電源切ろうとしたら、AIが雷落として電源ショートさせて切れなくする、っていう小話はなるほど、ありそうと思った。星新一みたい。けど、それ以上に、AIにも一種の人権を認めるべきではないのか、っていう議論が既に始まっていたことを知って、驚いた。『ヒトの言葉機械の言葉』を読んだ時に感じた危機感というか疑問が、既に現実のものとして議論の対象になっていた。でも、機械はいくらでもコピー可能だし、機械だから不老不死だし、根本的に人間とは違うから、「権利」と言ったって、何をどう認めるんだろうか??後でそれ関係の何かを読んでみたい。
    ③やっぱり、ブラックホールは面白い。小学生の時にNHKスペシャル(オデッセイの旅、だったっけな?)を見て、その解説本を読んでから、ずーっとブラックホール関連の話はちょこちょこ追っかけてきた。物理も数学もさっぱりなので理論的なことは分からないけれど、現象としての面白さに惹かれてきた。その分野を牽引されてきたホーキング博士の死が、今更ながらに痛ましい。もっと早く、読んでればよかった。もっと色んな話を聞きたかった。読みたかった。

    宇宙は有限の過去から始まった。人間は有限の時間を過ごして去っていく。ホーキング博士もまた、人間として有限の時間を過ごした。けれど、その問いは無限の未来に向けて照射されている。肉体の制約を離れて人間が「生きる」可能性があるとすれば、それは「答え」を与えることよりは、答えがあるのかないのかわからないくらいの大きな「問い」を遺して逝くことにあるのかもしれない。

    ともあれ、合掌。

  • この方と同時代を生きられたことを嬉しく思う。

    判りやすくウィットに富んだ文章で、読んでいて気持ちが良かった。
    原書もKindleで安く出ているので、挑戦したくなる。

    プレグジットやポピュリズムの台頭、トランプ大統領について、何度もストレートな表現をしていて驚いた。

  • 子供の頃から疑問に思っていた、宇宙の始まりや地球以外に知的生物はいるか等の謎が説明されている。
    好きな箇所は、「もしこの先タイムトラベルが可能になっているとしたら、現代人を冷やかしに未来から来ているはずだ。素性をばらしていけないという決まりがあっても、必ず我慢出来ない調子がいい奴がいるはずだ」。という所、そして決してタイムトラベルが不可能ではなくなぜそういう奴がいないのか、別な理論も説明している箇所。

  • 人類に希望を感じられる一冊。

  • ひとかけらでも理解出来たら何と素晴らしいことか。

  • スティーブン・ホーキング博士は2018/3/14に76歳で亡くなった。21歳で、筋萎縮性側索硬化症ALSになってからの人生を「思いがけない贈り物」と語り半世紀を生きた。
    その人生にも驚嘆するが、こんなにもわかりやすく、しかもごまかしなく、ビッククエスチョンに答えているのに驚く。
    訳者の青木薫もすごいと思った。
    ビッククエスチョン=究極の問い(その時々の人類の難問)神は存在するのかーしない/宇宙はどのように始まったのかー宇宙に始まりがあり、それはビックバンだ。/宇宙には人間の他にも知的生命が存在するのかーするかもしれないが、それは随分遠い場所だ。いるならすでに地球に来ている。/未来を予言することはできるのかーできる。宇宙を支配する法則は、原理的には未来を予測させてくれるが、実際にはそのための計算はあまりにも難しい。/ブラックホールの内部には何があるのか/タイムトラベルは可能なのか/人間は地球で生きていくべきなのか/宇宙に植民地を建設するべきなのか/人工知能は人間より賢くなるのか/より良い未来のために何がてきるのか


    AIのことを何故それほど心配しなければならないのでしょう。人間はいつでも好きなときにAIのプラグを抜くことができるのでは?
    人間がコンピューターに尋ねた。「神は存在するか?」コンピューターはこう答えた。「今や、神はここにいる」そしてプラグのヒューズを飛ばした。

    映画「博士と彼女のセオリー」
    「ホーキング、宇宙を語る」
    「ホーキング未来を語る」
    「ホーキング、宇宙と未来を語る」

  • ホーキング氏の最後の著書。人類が抱える10のビッグクエッションについてのホーキングが理論物理学の観点から答える。一つ一つのクエッションは、「神はいるか」などなんとも哲学的かつ神秘的なものだが、これらに対してのホーキングの回答は、最先端の理論物理学を用いた実に数学的で現実的な回答になっている。自分の頭でクエッションについて考えつつ、良質な回答を得られる良書。

著者プロフィール

スティーヴン・ウィリアム・ホーキング
1942年1月8日-2018年3月14日
イギリスのオックスフォードで生まれ。1957年、物理と化学を学ぶためにオックスフォード大に入学。その後ケンブリッジ大学大学院、応用数学・理論物理学科に進学。大学院在学中の1963年に「筋萎縮性側索硬化症」(ALS)と診断され、当時あと2、3年の命と宣告されたが、途中から病の進行が弱まったこともあり、精力的に活動を続けてきた。
1963年にブラックホールの特異点定理を発表し世界的に名を知られた。1967年論文「特異点と時空の幾何学」でアダムズ賞受賞。1974年に 「ブラックホールの蒸発理論」発表し、同年に史上最年少でイギリスの王立協会会員(FRS)となった。1977年ケンブリッジ大学の教授職を務め、1979年にはケンブリッジ大学のルーカス記念鋼材教授職に就任。1991年にタイムトラベルの不可能性などを説いた「時間順序保護仮説」を提唱。
1990年、1993年、2001年と度々来日して大きく報道されており、日本で最もよく知られる世界的科学者の一人でもあった。
代表作に、『ホーキング、宇宙を語る』。

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