「いいね! 」戦争 兵器化するソーシャルメディア

  • NHK出版
3.48
  • (5)
  • (8)
  • (6)
  • (1)
  • (3)
本棚登録 : 182
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140817797

作品紹介・あらすじ

その「つながり」が大量殺戮を引き起こす!

SNSは戦争や政治のあり方を根底から変えた。個人の「いいね!」「シェア」は瞬時に拡散され、それによる憎悪の連鎖は世界各地で紛争や虐殺を起こしている。軍事研究とSNS研究の第一線で活躍する著者が、誰もが戦争の当事者となり得るリアルな恐怖を突きつける衝撃作。
解説:佐藤優

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 原著にあった膨大な注がまるっとなくなっているのは辛い。原著の注も大概対照させにくいが。

  • 【感想】

    読みづらい。ただそれに尽きる。

    具体例が悪い意味で多い。
    本の内容のほとんどがソーシャルメディアで起こった動乱の説明だが、具体例を並べるだけで「結局何が言いたいのか」というのがまとまっていない。文体自体は平易で理解しやすいのに、議論があっちこっちに取っ散らかりまくっているため、相当に読みづらくなっている。
    一応9章に結論は書いてあるが、それも漠然としており、目新しいものではない。今の時代に生きている人ならば「まあ、そうなるよな」と直感できるものである。「ここまで詳細に書きながら結論がこれか……」と少しゲンナリしてしまった。

    幸いにも具体例そのものは面白いため、そのエピソードだけを楽しむという読み方のほうがいいかもしれない。


    以下は1章の「開戦」と9章の「結論」をまとめたもの。


    【本書のまとめ】
    ドナルド・トランプ、ISIS、ギャング。
    彼らはすべてソーシャルメディアの提供するフィードバックループに病みつきになる。自分達のメッセージを世界に広め、そのスピードが情報操作とプロパガンダとなり、争いの火種になるのだ。
    今ではオンラインの情報が戦争を左右する。言葉が暴力を生み、言葉が人々を死に追いやっている。そして、それは世界のどこに住んでいようと直接降りかかる。

    インターネットの5つのコア原則
    (1)インターネットは思春期を過ぎた
    (2)インターネットは戦場と化している
    (3)インターネットの戦場は戦いかたを変える
    (4)オンラインの戦闘は「戦争」の意味を変える
    (5)誰もがこの戦争の一部だ


    ○情報争奪戦の歴史
    電信、電話、ラジオ、テレビ。
    様々な技術は、出現してからすぐに政治や戦争のために利用された。特にラジオが出現した後の世界大戦では、世界中で24時間、人間の思考、感情、考え方を掌握するべく、絶え間ない電波争奪戦が繰り広げられた。テレビは人々の投票行動を変え、政権への支持率すら操ることができた。

    そしてインターネットとSNS、スマホが生まれる。
    それまで、インターネットが完璧でも、ユーザーは二者択一を迫られた。現実の世界でインターネットから遠ざかるか、デジタルの世界で現実から遠ざかるかだ。しかし、スマホの登場でその壁がなくなった。ポケットの中からスマホを取り出してSNSを見れば、二つの世界に同時にいられるようになったのだ。


    ○秘密はどこにもない
    人類史上初めて、誰にも気づかれないことがほぼ不可能になっている。私達に関することが私達によって送り出されている。誰もがニュースの一部になり、常に自分から共有しすぎる状態になっているのだ。


    ○「いいね!」戦争のルール
    (1)現代の情報環境は変動して見えても安定してる
    →インターネットが世界でも傑出した情報メディアなのは変わらない。
    (2)インターネットは戦場である
    →平和と理解をもたらすわけでは無い。
    (3)インターネットの戦場は情報そのものについてどう考えるべきかを変える
    →出来事の影響力は実際に発生する必要はない。偽情報であっても、それを信じるだけで力を発揮する。逆に、真実はたやすく覆い隠せるものとなる。
    (4)政治と戦争がこれほど密接に関係する状況は過去に例が無い
    →政治や戦争は情報戦になった。オンライン上の言論の攻防にますます影響されるようになる。
    (5)誰もが戦闘に参加している
    →共有する物、人全てが火種になる。

    アメリカがいい例であるように、どの国も諸外国からのプロパガンダ攻撃を避けられない。その結果、情報リテラシー教育はもはや教育上のものだけでなく、国家安全保障上の急務になっている。基本的な保健教育と同じように、オンライン上で自分の身を守るスキルを身に着けるのは、家庭にも学校にも同様の責任がある。
    同様に、ソーシャルメディア企業は自社のサービスの予期せぬ政治的・社会的・道徳的な影響について、先を見越して検討しなければならない。

  • 野放図と化したSNSの現状を、これでもかというほどに生々しく見せつけられる一冊。SNSに対する距離感を、日常生活における位置づけを、今一度考えさせられる。SNSを一切使わないことが社会的な死を意味するのもまた事実であり、こういった二律背反の現状に、今後に対してどうするべきなのか、私たちは考えて議論していくしかない。

  • 本当に戦争の本だった。より正確には、兵器としてのソーシャルメディアについて論述した本。キャッチーなタイトルだが、現実に差し迫った危機について書かれた本で、テーマは深刻。

  • 副題のとおり、ソーシャルメディアの兵器化について論じた本。著者の一人P.W.シンガーは[ https://booklog.jp/item/1/4140811161 ][ https://booklog.jp/item/1/4140810106 ]等、新しい時代の戦争について興味深い本を書いている。
    2000-2010年代頃、ソーシャルメディアは市民が権力と戦い、個々人が情報発信を介してフラットにつながる、社会を変える手段としてもてはやされた。その一つの頂点が、「アラブの春」。この運動においてはFacebookやTwitterが大きな役割を果たした。しかし振り返れば、それはまだ社会の大勢が新しい武器の可能性に気づいていなかっただけだった。
    現在は各国の政府や組織が、ソーシャルメディアを使った戦いを繰り広げている。イスラエルとパレスチナは現実の戦争を戦いながら、同時に双方ともソーシャルメディアでの情報発信を続けた。こうした情報戦の効果により、現実の軍事行動にも影響が出たという。
    一方で草の根活動が活躍できる余地もまだある。ベリングキャットもそれにあたる。誰もが記者となり、情報発信できる。しかしそれは本当に草の根なのか。ロシアがアメリカの大統領選挙において世論操作を行ったような、ソックパペットの可能性もある。また検閲もある。中国に限らず、すでにインターネットは自由な空間ではない。
    ソーシャルメディアという戦場の武器は色々ある。バイラル性と物語性。物語はシンプルで分かりやすく、感情に訴えかけることが求められる。これらの多くが、沈着な判断や、粘り強い議論の末の相互理解とは相いれない。恐ろしいのは、p342-343で触れられる「騎虎難下」の問題。政府がソーシャルメディアを使って自国民を極端な愛国主義に誘導した結果、国際社会のわずかな挑発にも怒りを爆発させやすくなっており、党幹部自身も止めることができない。ソーシャルメディアが原因で現実の戦闘が引き起こされる可能性もある。もちろん、中国に限った話ではないだろう。
    その上で著者は、ソーシャルメディア企業の責任に触れる。こうした企業の創業者の多くは、政治に関心を持たないテックマニアだ。しかし運営企業は、「中立」のふりをしてヘイトやフェイクニュースの氾濫に無責任でいることはできない。インターネットは思春期を過ぎた。
    そして個々のユーザもまた、この戦争の一部である。何を発信し、何を信じ、何をシェアするかについて無責任ではいられない。

  • P・W・シンガーの最新作だが,8カ月くらい経ってようやく読了.これまでの「戦争請負会社」や「ロボット兵士の戦争」は多くの読者にとって未知の存在を扱ったものだろうが,本書のテーマはSNSという馴染み深いもの.よって,出てくる事例の多くはニュース等で一度は目にしたものが多いだろう.それでも本書内で「いいね!」戦争を構成する力はさすがで,一読する価値ある書に仕上がっていると思われる.おススメ.

  • 4chanはこのテーマで話題が上がるほどのサイトなんだな。

  • 私たち(一般市民)自身、既に無自覚のうちに「戦争の当事者」となっている。

    メディア関係者は、自らが戦争当事者であるとの自覚を持っているか。戦時国際法(Law of War)、交戦規定(Rules of Engagement : ROE)等について、自らの課題として学んでいるのだろうか。

全18件中 1 - 10件を表示

P・W・シンガーの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
トーマス・セドラ...
リンダ グラット...
アンデシュ・ハン...
フィル・ナイト
ジャレド・ダイア...
ジャレド・ダイア...
カルロ・ロヴェッ...
劉 慈欣
有効な右矢印 無効な右矢印

「いいね! 」戦争 兵器化するソーシャルメディアを本棚に登録しているひと

ツイートする
×