Numbers Don't Lie: 世界のリアルは「数字」でつかめ!

  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140818534

作品紹介・あらすじ

ビル・ゲイツも絶賛の著者が、数字で明かす71の真実

「人々を幸せにするものは何か?」「電力の本当のコストとは?」「日本の将来はどうなる?」「食品ロスのとんでもない量」……。数字やデータで比較してみることで、世界のリアルな姿が見えてきます。《人々》《国々》《機械》《エネルギー》《移動》《食料》《環境》の7つのジャンルから、71のトピックを厳選。グラフや写真など図版も満載で、目で見ながらも理解が進みます。この本を読めば、きっと世界の見方が変わるはず!

感想・レビュー・書評

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  • 「数字」には年月日や%(割合)や金額や各種の測定値などがあり、示し方も絶対値や相対値や複数の値の合算値や平均値といろいろあります。
    最近は"量的"に理解しなければいけない問題が、思想や感情が優先した"質的"な問題として扱われがちで、現実とはかけ離れた誤解を生みやすいようです。

    本書は「数字」を通じて世の中の色々なことを考察したエッセイです。
    説得力を持たせるためには適量の信頼できる数字を入れるのが効果的ということをふまえて書かれています。
    各5ページ程で71個のトピックスがあるのですが、新書でもいいくらいのサラッと読める内容でした。
    ただ、「これで終わり?」感が残ってしまったので、トピックスは半分でいいから、もう一段掘り下げて「へえ~」と思わせて欲しかったな。

    本書で学ぶべきことは、「あとがき」にうまく書いてあったと思うのでかみ砕いて紹介しておきます。

    ---ここから---

    数字は嘘をつかないかも知れないが、では、数字はどんな真実を伝えてくれるのだろう?
    かなり信頼が置けるどころか、申し分ない程正確なものであろうと、数字は多角的な視点から見なければならない。
    絶対的な価値を評価するには、相対比や比較比という視点が必要だ。

    杓子定規に作成されたランキングは、参考になるどころか、かえって誤解を生じさせる。
    いきすぎた正確性にこだわって正当性を欠くくらいなら、だいたいの近似を求める方がいい。

    常に疑いを持ち、用心して問いかける姿勢も確かに必要だが、現代社会において複雑にからみあう現実を数量化する努力もまた欠かせない。
    とらえにくい現実をしっかりと把握するためには、そして入手しうる最高の情報に基づいて行動すべきであるのなら、物事を数字であらわす努力を続けていかねばならないし、これに代わる手立てはない。

    ---ここまで---


    私も世界の幸福度ランキングなどを見て一喜一憂したりするが、この「幸福度」の根拠は極めて曖昧ですよね。
    確かに "国民の心身の健康を正確にとらえる指標" があれば信頼度は多少増すでしょうが「幸福度?」と言えるのかは分かりません。


    数字は事実を示していますが、解釈のしかたや都合のいい部分だけの引用によって、事実をねじ曲げることにも一役かっています。
    日本国民は長年「原子力発電はコストが安くクリーンなエネルギーだ」に騙されてきました。
    事故があって初めて原発の安全確保に必要なコストや、今後何万年も続く使用済み核燃料廃棄(保管)のコストも計上していないこと国民はようやく知りました。
    今は「(大量の化石燃料を使用して作られる)電気自動車は環境にやさしい」には多くの国民が騙されているのではないでしょうか。


    航空機は車より安全か?はよく死亡率で比較されますが、コロナとインフルエンザはどちらが脅威かも死亡率で比較されるでしょう。
    正しく比較するには、判断に使うデータの信頼度を上げることが必要です。
    コロナに関するデータは現時点では十分に精査されていないので今は比較されても信用しませんけど。
    (比較以前にコロナのせい?でインフルエンザが激減した理由も知りたいですが、、)


    最近個人的に気になっているのが、デジタルデータ量の爆発的な増加です。
    通信環境だけでも5Gだ6Gだと新技術の話題は尽きませんし、個人で使う外部記憶装置もT(テラ)Bの時代になっています。

    2020年世界の人口が80億として、一人あたり1.7MB/秒のデータが生成されているそうです。

    写真1枚5MBとして、1日10枚撮れば50MB。
    日本で1億人がそうしているとして、1日50億MB。
    1TBのHDが、1日5000台分必要になる計算。

    1.7MB/秒のデータとは、102MB/分、6120MB/時、146880MB/日≒150GB/日。
    これは1日10枚写真を撮った場合の3000倍になるので、一人1日3万枚の写真を撮るのに等しい程の量です。
    1日のうち、10時間を写真撮影に使うなら、1時間で3000枚、1分間で50枚撮る量になります。

    写真1枚5MBなら、1.7MB/秒のデータとは、3秒に1枚の写真を撮り続ける量とイメージしてもいいでしょう。
    この量を凄いと感じるか、大したことないと感じるかは人それぞれでしょうが、現在はこんな世界になっているということです。

  • エッセイを読むような面白さ。

    特に学術的ではない。

  • 【感想】
    筆者のバーツラフ・シュミルは、大げさな物言いが嫌いだ。低コストで運用できる核融合、超音速旅客機を利用した安価な旅行、惑星のテラフォーミング計画など、我々の妄想を掻き立ててくれるようなスーパーテクノロジーは、どれも実現した試しがない。夢想で終わっていくシロモノよりも、ディーゼルエンジンや変圧器といった、シンプルかつ縁の下の力持ちである機械を取り上げ、「現代よりも1880年代のほうがイノベーションの時代だった(※発電所の開設、レジスターの誕生、電動式エレベータの導入など、現代に通ずる基礎的技術が作られた時代)」と言うぐらいアナログを好んでいる。

    そうした感性によって描かれた本作は、現代社会に存在する様々な事象を数字のファクトによって紐解いていく。タイトルだけでは、「FACTFULNESS」のような「数字によって人々の悲観性を覆そう」という内容を想像するかもしれないが、実際は逆。「現実は、善かれ悪しかれ、人々が抱く期待ほど極端ではない」という中庸のスタンスで、「数字ではこうなっております」と主張している。数字は嘘をつかないが、その数字をどう受け止めるかは、人それぞれに委ねているというわけだ。

    こうしたスタンスを明快に表している例が、住宅環境の分野である。
    筆者は省エネ対策についてある提言をしている。それは一言で言うと「窓を買い替えろ」というものだ。
    総発電量のうちの3割が民生部門の電力消費に回されており、うち半分は冷暖房に消費されている。とすると、最善の省エネ対策は、効率のいい太陽光発電システムや安全な原子力発電システムを開発することではなく、もっと断熱性の高い素材を取り入れることに他ならない。断熱材がもっとも効果をあげる場所は、エネルギーロスがもっとも多い窓である。窓は普通1枚のガラスで出来ているが、これを三層ガラスに変えれば、熱の損失を最大90%カットできる。窓を買い替えるだけで、今後数十年にわたってエネルギー消費量を減らせるのだ。

    こうした「目覚ましいイノベーションよりも先に、もっとやるべきことがあるだろう」という考えはなかなか面白いし、一人ひとりが問題に目を向けるきっかけになるため、かなり有用だと思う。世界を変革するイノベーションはときに消費者の責任感を麻痺させる。誰もかれも自分の生活の質を落としたくないし、今よりも便利な道具が手に入りかつ自分に直接不利益がなければ、それを使いたがるのは当然の道理だ。しかし、そうした便利さは長い目で見れば市民感覚を損なってしまう。省エネだけではなく、政治的課題や環境問題といった広い視点でも、筆者が抱くスタンスを大事にしておくべきだ。
    ―――――――――――――――――――――――――
    【メモ】
    ・ワクチンでの予防接種は、費用便益比がとびぬけて高い。ワクチンに1ドル投資するたびに、44ドルの便益が見込めるという結果が出ている。

    ・人間は体温を調整する機能がずば抜けて高い。馬やラクダも動物界の中では大量の汗をかくが、人間はその3倍程度(1時間あたり500g/m2)をかく。これにより、日中の炎天下でも長距離を力走でき、獲物を追い詰め続けられるのだ。

    ・不確かな指標として名高いGDPや、文化の違いがあるために非常にあいまいな判定基準になっている世界幸福度指数などだ。
    面白いのは、貧しいのに幸福と感じている国の多くは、以前スペイン領であり、カトリックだったということだ。

    ・製造業の「相対的な地位」は低下しているものの、未だに製造業は重要な産業であることは間違いない。製造業は仕事を生み出すからだ。製造業が盛んな国トップ10のうち、近年、失業率が5%を超えているのは2国のみ。

    ・全世界で生産・採取された食料の少なくとも3分の1は廃棄されている。
    廃棄される理由は国で異なり、最貧国では食料を貯蔵するための設備がないからだ。したがって、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国におけるフードロスは、食料が消費者の手に届かないうちに廃棄される。一方で先進国は過剰生産が原因である。

    ・鶏肉の消費量が伸びたおもな理由は、鶏肉のほうが安価だからだ。なぜ安価かというと、鶏は飼育効率が豚や牛に比べて遥かにいいからだ。ブロイラー一羽を育てるのには、その1.7倍の重さの飼料があればいい。豚は5倍ほど、牛は12倍も必要だ。

    ・住宅のエネルギー消費の約半分は冷暖房によるものであることを考えれば、最善の省エネ対策は、もっと性能の高い断熱材を利用することだ。
    断熱材がもっとも効果をあげる場所は、エネルギーロスがもっとも多い窓である。三層ガラスを利用すれば、ふつうのガラス窓1枚だけの場合より、熱の損失を最大90%減らせるようになる。窓を変えるだけで、今後数十年にわたってエネルギー消費量を減らせるのだ。

    ・大量の電力を蓄えておけるもっといい方法が見つかれば、太陽光や風力エネルギー利用の普及はぐんと進むだろう。供給が断続的で不安定な再生可能エネルギーに完全に頼るには、長時間の稼働にあてられるギガワット規模の貯蔵電力が必要となるからだ。
    マスコミは、太陽光パネルのコストが急激に安くなっているとか、風力タービンの価格競争が厳しいとかいう記事を書き立てており、将来電気料金がものすごく安くなる時代が到来するのでは、との期待が寄せられているが、現実にはその反対のことが起こっている。例えばドイツでは、太陽光と風力を合わせた発電出力が化石燃料による総発電出力を上回ったが、この18年間でドイツの電気料金は2倍以上になった。

    ・現代社会はイノベーションにとりつかれている。イノベーションを崇め奉って、なんの疑念も差し挟まずに信じ込むのは、2つの意味でまちがいだ。第一に、これまで莫大な研究費を費やした挙げ句失敗に終わった大規模基礎研究(高速増殖炉など)が多々あるのに、それを無視しているからだ。
    第二に、わたしたちには、もっと優れた行動方針が多々あるとわかっていながら、それより劣る行動をつい習慣として続けてしまう傾向があるからだ。これは例えばサマータイム制や、航空機の搭乗方法、経済指標にGDPを使うことである。
    目を引くスーパー技術に踊らされるよりも、飛行機の搭乗方法を見直す方がよほどましではないだろうか。

  • 『エネルギーの人類史』(青土社)、『エネルギーの不都合な真実』(エクスナレッジ)のバーツラフ・シュミルだから気になる、、、

    Numbers Don’t Lie  バーツラフ・シュミル(著/文) - NHK出版 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784140818534

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ワイン離れが止まらない」フランス人がワインの代わりに飲み始めたもの【2021上半期BEST5】 日常的にワインを飲む成人は16% | PR...
      「ワイン離れが止まらない」フランス人がワインの代わりに飲み始めたもの【2021上半期BEST5】 日常的にワインを飲む成人は16% | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
      https://president.jp/articles/-/50451
      2021/10/04
  • factfullness のように数字はウソをつかないので、そこから事実を捉えよう、という内容です。
    具体例が多いです

  • エネルギー研究の専門家である著者が、身の回りの様々な話題に関する数字を取り上げ、異なる視点や視座から分析することで、表面的に見ただけではわからない真実を明らかにする一冊。

    著者は世界経済や環境、社会問題やイノベーションなど多様な話題にまつわる数値データを提示し、それらをどのように見るかによって我々が認識すべき事実が時に誤解に基づくものであることを、多くの事例を基に説明するが、例えば類似の書籍であるハンス・ロスリングの「ファクトフルネス」のように我々が数値を見て誤解するメカニズムを類型として整理するわけではなく、またスティーブン・ピンカーの「21世紀の啓蒙」のように、科学的思考を信頼すべきというような全編に通底する明確なテーマがあるわけでもない。

    それもそのはずで、本書はもともと専門誌に短編コラムとして連載された内容をまとめたものであり、最初から書籍として出版する予定はなかったという。なので、項目の一つ一つは簡潔で読みやすくまとめられているものの、それぞれが話題として興味深いというレベルに留まり、一冊の書籍としての読み応えという点では前述の2冊とは趣を異にしている。とはいえ、著者の主張には頷く点も多く、特に最先端の技術動向に踊らされることなく、もっと身近にある単純な解決法に目を向けるべきという意見は説得力があり、また親日家でもある著者の時に厳しく、時に模範として取り上げる日本の事例も興味深い。

  • 数字はウソをつかないが、それをどう捉えるか、もっと言えばどういう視点から捉えるかによって、見える景色は大きく異なる。
    発表されてる失業率だって、カテゴリーの分け方で6つもあるため、これが真の失業率だと思って眺めていても、雇用や失業に関する複雑な現実は把握できない。
    "ものづくりニッポン"などと囃し立てても、現実は世界経済に占める製造業の割合は年々下落していて、かつての農業と同じ道を辿っていることがわからないだろう。

    わからないと言えば、お隣の中国も同じで、日本のメディアは連日取り上げない日がないほど盛んに取り上げている。
    20世紀以降、100年以上続いた帝国は存在しないことを考えると、建国70周年を一昨年祝った中国共産党の支配がこの先も続くかどうかわからない。

    第一次世界大戦の意図せざる結果を物語るエピソードも面白い。
    戦争を早期に終わらせるためにイギリスが行なった海上封鎖が、爆薬の製造に欠かせない硝石の輸入が断たれたドイツの産業界を奮起させ、世界初のアンモニア合成による国産化の成功を生み、かえって戦争を長引せる。
    さらにさらに、この時に開発された合成技術によって、世界の食料生産を支えることになるのだから、ホントわからないよな。

    思い込みをただすと言えば、卑近な例で、イタリア人がパスタを食べなくなっているし、フランス人はワインを飲まなくなり、アメリカ人は牛肉を食べなくなっているそうだ。代わりに伸びているのが鶏肉の消費量で、飼育の効率化によるものだ。飼料から肉への変換効率が群を抜いて高いのだが、暗くてA4用紙一枚程度の狭い鶏舎に閉じ込められ、胸が異常に発達した奇形になるべく、人間に食べられるためだけに急激に太らされていく死んでいく鶏の身にもなってよ。環境への負荷を下げ、長生きのためにも、牛肉を減らし鶏肉の生産割合が今後も増えそう。

    地球規模で影響を与える現象は、依然として人間の介入を超えたものなのだから、人新世なんておこがましいとか、自然の生態系に目を奪われるが、実は人工物の多様さもそれを上回っていると、著者の視点はとにかくユニーク。

    見通しの悪い技術に資金をつぎ込むより、エネルギーの変換効率を重視した新しいテクノロジーを推奨していて、断熱効果の高い三層ガラス窓や、低炭素で発電効率の高いガスタービンは著者の一押し。
    原発は「いったんは成功をおさめた失敗」と断じ、加圧水型原発などは、1950年代の原潜のために設計された古い技術だと言い切る。

    太陽光発電は、他の再生可能エネルギーよりエネルギー密度が高く、パネルのトラッキング技術や大容量蓄電技術の進展によっては、エネルギー変換効率が今後進むかもしれないが、現状では、冬には必要な電力がまかなえず、初夏には余るという不安定さを持っていると指摘する。
    新たな再生可能エネルギーの比率が高まって、電気料金は将来ものすごく安くなると、期待に胸を膨らませている人には悪いが、電気代は今後高くなる。

    実は、人類史で最も創意工夫に富んだ時代は1880年代で、この時代を上回るほどの画期的で根本的な発明は生まれていない。
    携帯電話が世界中で普及したように、ものすごいペースで技術革新が進んでいるように見えるが、脱炭素化は一桁の比率でしか進んでおらず、炭素排出量は今後も増える一方。
    市販されている電池のエネルギー密度は、70年前から4倍にもなっていない。
    ムーアの法則はどこへ行ったと思われるかもしれないが、科学技術だけでなく、食物やエネルギーの生産、人や貨物の輸送に至るまで、進歩のペースは意外なほど遅く、一桁低い割合でしか進んでいないのが現状だ。

    電気自動車が二酸化炭素の排出を減らすなんて信じている人はさすがに少なくなっていると思うが(もっと言えば、従来より3倍の有害物質が排出される)、くだらないニュースに踊らされて、物事がまるで俯瞰できていないのが我々だ。
    日本にゆかりがあるのだから、もっとリニアモーターのエネルギー効率の悪さを取り上げてもらいたかったが、雑誌のコラム記事の寄せ集めにしては、歯ごたえがあり読み応えがある。

  • さまざまな数字で、この世界のリアルを表現しています。希望的観測で、今後のイノベーションする世界を記した書籍も多いですが、この本は、数値によるどちらかというとネガティブな現実や、今後の世界予測を書いています。そして数値がいかに大切を教えてくれます。さまざまなテーマを短い文書で、書いてありとても読みやすかったです。

  • 発表や新聞などで伝えられる数値を鵜呑みにしてはいけない。その前提を確認し、いろいろな視点を考えて検証し、自分なりに理解する必要がある。そうしないと、荒唐無稽な結論や方向に向かってしまう、ということだと思う。

    経済指標としてのGDPに手厳しい批判がされている。アルコールの販売が増えて、それによる様々な悪影響があっても、そこに本来は必要のない支払いが発生すればGDPは増大してしまう。人の幸せとは関係ない。著者にとって、物やお金ではなく人が中心で大切であるという意志を感じた。

    様々な分野について数字で規模の把握や比較がされている。省エネについては三重窓などの効果が大きく、新技術に熱を入れるより、効果が大きく現実的であるところから始めようという視点も忘れていない。好感が持てる。

    風力発電についても盲目的に称賛するのではなく、潤滑油など様々な付属物を用意・構築する必要があり、それには環境負荷がかかることを理解した。

    飛行機のエネルギー効率が想像よりよく、感覚で判断していたなあと反省した。

    後半は数字というよりは技術の紹介と歴史の説明に費やされており、ここが著者が言いたいところなのだろうと感じた。数字で語るところは依頼に沿ったものかもしれない。それはそれで面白いのだけれど、私にはどこかで読んだことのある内容だった。

  • エネルギー問題の学際的研究の第一人者として知られる学者が、様々な数字を元に「世界のリアル」を浮き彫りにする教養書。71のトピックが、各数ページにまとめられている。

    「数字を元に」といっても、難解な数式は出てこない。象徴的な数字をピックアップした面白いコラムを楽しむうち、〝世界のいま〟がクリアに見えてくる本である。グラフや図版も多くわかりやすい。
    著者は親日家で、日本についての言及も多く、我々にはとくにためになる。
    (つづきます)

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著者プロフィール

カナダのマニトバ大学特別栄誉教授。エネルギー、環境変化、人口変動、食料生産、栄養、技術革新、リスクアセスメント、公共政策の分野で学際的研究に従事。研究テーマに関する著作は40冊以上、論文は500本を超える。カナダ王立協会(科学・芸術アカデミー)フェロー。2000年、米国科学振興協会より「科学技術の一般への普及」貢献賞を受賞。2010年、『フォーリン・ポリシー』誌により「世界の思想家トップ100」の1人に選出。2013年、カナダ勲章を受勲。2015年、そのエネルギー研究に対してOPEC研究賞が授与される。米国やEUの数多くの研究所および国際機関で顧問を務める。これまでに米国、カナダ、ヨーロッパ、アジア、アフリカの400以上の会議およびワークショップに講演者として招待されるとともに、北米、ヨーロッパ、東アジアの多くの大学で講義をおこなう。日本政府主導で技術イノベーションによる気候変動対策を協議する「Innovation for Cool Earth Forum(ICEF)」運営委員会メンバー。おもな著書に、『エネルギーの人類史』(青土社)、『エネルギーの不都合な真実』(エクスナレッジ)。

「2021年 『Numbers Don't Lie』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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