トラウマの心理学: 心の傷と向きあう方法 (NHKライブラリー 139)

著者 :
  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140841396

作品紹介・あらすじ

思いもよらぬ犯罪が相次ぐ現在、人の対処能力を超えた圧倒的な出来事によって生じる心の傷、トラウマに人々の関心が集まっている。被害者学を専門とし、長い間犯罪被害者のカウンセリングを行い、援助してきた精神科医が、豊富なケースをもとに、この心の傷と支援の可能性について語る。

感想・レビュー・書評

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  •  被害者学を専門とし、犯罪被害者のカウンセリングを行い、援助してきた精神科医による書。2000年にNHK放映された、人間講座を書籍化したもの。
     平易な文章で、トラウマとそれによって生じる反応、その治療法、被害に遭ってしまったとき、被害者と向き合う時など、心の傷と向き合う方法が説明されている。取り上げられている話題は、東日本大震災、PTSD、DV、性暴力、犯罪被害、心のケア、被害者支援などである。
     初版に比べて、震災と支援、DV被害者の支援、犯罪被害者の裁判における権利、性暴力被害者のワンストップ支援センター、PTSD治療へのエクスポージャー療法の導入などの項目が大幅に修正・加筆されている。
     読みやすく温かみのある文章で書かれており、内容も信頼性があり、2012年発行で最新の情報を得ることが出来る。心の傷で苦しんでいる人や、その周囲の人が、トラウマを理解するために、まず最初に手に取る書として最適である。

     震災前から執筆が進められ、東日本大震災後、震災と支援について大幅に加筆されて出版されました。
    トラウマに関する本では、私はこの本が一番のお勧めです。解りやすく、読みやすく、正しく書かれています。興味のある方はぜひ読んでみてください。

  • 10年ぶりくらいに再読してみたのですが、この領域の知見ってあまり進歩しないのか少しも古さを感じなかった。改訂版がでたみたいだから、そっちも読んでみたほうがいいのかな。

  • 凄く読みやすい本。
    読みやすく解説してくれている本。
    トラウマについてはじめて触れる人にはオススメ!

  • 小西聖子さんの本は2冊目ですが、医師であり、研究者でもあるにもかかわらず、その立ち位置がとても人間的なのに、好感が持てる。

    扱っている話題は、大変に重く、特に虐待を受けてきた女性の手記の掲載などは、読んでいるだけで、心に重しがのったようで、つらい。

    しかし、小西さんは、その重さを自身も感じながら、等身大で、一歩先を目指されている。

    以下、気になって点を記します。
    ・PTSDの子どもの世代も、PTSDになりやすい。
    ・トラウマの因果関係の特定の難しさ。
    ・「侵入」と「回避」の二相性の病理がトラウマ。
    ・DV相談で一番多いのは、「家を出たいではなく」、「暴力をやめさせたい」。

  • [ 内容 ]
    思いもよらぬ犯罪が相次ぐ現在、人の対処能力を超えた圧倒的な出来事によって生じる心の傷、トラウマに人々の関心が集まっている。
    被害者学を専門とし、長い間犯罪被害者のカウンセリングを行い、援助してきた精神科医が、豊富なケースをもとに、この心の傷と支援の可能性について語る。

    [ 目次 ]
    犯罪被害者の苦痛
    トラウマとは何か
    よみがえる心の傷・PTSD
    性暴力への誤解
    ドメスティック・バイオレンス
    被害にあったとき
    子どもの心の傷
    トラウマの治療
    援助者は何ができるか
    被害者と加害者
    加害者への取り組み
    私にとっての被害者サポート

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

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    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 冒頭に書いてあるのですが、この本はNHKで放送されたものをテキストとして2001年に出版されたようです。放送終了後から半年で、すでに書き加えたりしなければならない箇所があったということなので2009年、2010年にもうすぐなろうとしている今、更に法律などが変わった部分も多いことだと思います。

    私は心理学に特別強い関心があるわけでも深いトラウマを抱えているわけではなく、単純に興味をひかれて読み始めました。
    とても分かりやすく書かれていると思いました。複雑で難解な言い回しなどがなく、専門用語など一般の人に馴染みのない言葉はあまり使われていません。
    使われていても註訳がのっていましたし、グラフや新聞、書籍の紹介、写真などの図解も多く、文字ばかりで疲れる…と言うこともなく最後まで読めました。
    けれど本の内容は分かりやすくても心の傷を本当に理解することは本を一冊読んだからといって出来ることではないです。

    被害にあうかどうかは運しだい…いつも自分の隣にある。
    怖いですね。でも…きっと自分が被害にあうか被害にあった人の話を聞く機会がなければ自分にはきっとこれ以上のトラウマについての理解は深められないでしょう。

  •  臨床心理士(他にも多数肩書きあり)の著者が、犯罪被害者・加害者の治療に当たった経験を基に「トラウマ」「PTSD」について分かりやすく説明されたものです。

    中でも、虐待経験のある子供が大きくなってから人や社会との関わり辛さについて書かれた章は印象的でした。
    どんなに親から酷い虐待を受けても、小さい子供の心の中には自分を責める気持ちが根深く残ってしまう。
    「自分が悪いから、親に殴られた」
    という気持ちを持ち続けている人の手記が記されていました。
    虐待をしてしまう「親の心のケア」も必要だということを感じずにはいられませんでした。
     
    また犯罪加害者の心のケアについて書かれた章も印象に残りました。
    殺人や性的犯罪を犯す人の多くが何らかのトラウマを抱えているケースが多いそうです。
    そんな受刑者へのカウンセリングやセラピーこそ必要だと思うのですが、何の問題もなく受刑中の加害者にカウンセリングなどを行うと、今まで眠っていた心の傷に触れることになり、バランスを崩してしまう危険があります。
    そうなると、順調に進んでいた受刑プログラムがうまくいかなくなることや、新たな問題が起きる可能性もありなかなか進んでいないのが現状だそうです。
    また、自分の気持ちを言葉にすることが苦手な人が多いのも特徴の一つだそうです。
    だからこそアクティングアウトに走ってしまうという説明に納得しました。
    トラウマはその人の人生を左右する大きな問題です。
    その傷とむきあうためには自分自身の努力もさることながら、正しい知識を持った人と関わることが大切なんだという感想を持ちました。

    この本は我が家のどのパソコンからでも見られる共通フォルダ内の[
    books」に夫が入れてくれていました。
    この本をきっかけに、心理系の本を色々読んでみようと思います。
    夫がお勧め本として入れてくれていたもので面白そうなものが何冊かあったので、順番に読み進めていこうと思います。

  • 事例がヘビー過ぎて、読むのがシンドくなって途中で読むの断念。

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著者プロフィール

愛知県出身。武蔵野大学人間関係学部教授。東京大学教育学部心理学科卒業、筑波大学医学専門学群卒業、同大学院医学研究科修了。精神科医、医学博士、臨床心理士。おもな著書に『犯罪被害者の心の傷』(白水社)、『犯罪被害者遺族』(東京書籍)、『ドメスティック・バイオレンス』(白水社)、『二次的外傷ストレス』(翻訳・誠信書房)など。大学での教育研究のかたわら、犯罪被害者等施策推進会議委員をはじめ被害者の心のケアと支援の活動に力を注ぐ一方で、毎日新聞「今週の本棚」欄の書評を担当して児童文学から解剖学まで、難易硬軟不問、あらゆる分野にわたる本の批評を10年以上続けている。 

「2009年 『ココロ医者、ホンを診る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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