マネー革命 2 (NHKライブラリー 217 NHKスペシャル)

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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140842171

感想・レビュー・書評

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  • 本日2冊目は「マネー革命 金融工学の旗手たち」相田洋 NHK「マネー革命」プロジェクト茂田善郎著。NHKで紹介された番組の書籍化ですね。

    「金融工学」と聞くと、文系の銀行マンや証券マンは「うへーデリバティブか、数学か!クオンツの仕事だぜ!」という方も多いであろう。

    この書籍はそんな金融工学の誕生から、発展、そして現状を著した書物である。

    本書にもあるが、デリバティブというと「先物取引、オプション取引、スワップ取引、そしてそれらを複雑に組み合わせたもの」ということをご存知の方もいらっしゃるだろう。

    そして、金融機関のディーリング・ルームではやっているが、「プットオプション」といえば売りだし(”プット”で「置く」ことから売りと連想すればいい)、「コールオプション」といえば、買い注文である(”コール”で「呼んでくる」ことから買いと連想すればいい)

    ところで知っている方は知っているだろうが、世界初の先物市場は日本で生まれたのである。

    それは大阪堂島の米の先物取引所であった。これは江戸時代とても盛況であったが、明治政府がせっかくの先物市場を壊してしまったとのことだ。

    ノーベル経済学賞・受賞者のマートン・ミラー教授は堂島の米・先物取引所を「人類に対する貢献」だといって、同地に訪れて献花したそうだ。

    だから、現代の日本当局が当初、先物やオプション市場を持つことを許可しないと聞いて笑ってしまったそうだ。

    最終的には大蔵省も先物やオプションの取引を許可したのだが、それはアメリカ人がうるさく言ったかららしい。

    この本の著者も、なぜ法科出身者が大蔵省や金融界を牛耳っているか、分からないということであった。

    ところで、金融先物取引所は世界ではシカゴに初めてできた。シカゴはニューヨークからニューオーリンズまで水路ができたことで、それらの中間地にあたり、農産物の取引が盛んに行なわれるようになった。

    そこで、堂島のように農産物の先物取引が始まった。
    「通貨を先物取引する」という発想は、シカゴ・マーカンタイル取引所(以下CME)名誉会長のレオ・メラソッド氏が考案したそうだ。

    彼がCMEの代表になったとき(1969年)、なにか新しい上場商品はないかと考えていたら、1944年にブレトンウッズ体制でまとめられた固定相場制が、うまく機能していないことに目をつけたのだ。

    ミルトン・フリードマン博士(シカゴ学派のノーベル経済学賞・受賞者)もやがてブレトンウッズ体制が崩壊して、変動相場制に移行すると見ていた。

    メラソッド氏も同感であった。そうなると通貨取引が自由に行われるために、リスクをヘッジ(回避する)ために先物取引が必ず必要になる、と考えていたのだ。

    そしてメラソッド氏は、金融先物取引をする後ろ盾として、フリードマン博士に「金融先物取引の必要性」を題材にした論文の作成を5000ドルで発注したのである。

    その結果、ニクソン大統領が金とドルとの兌換を中止することを宣言した翌年の1972年5月16日、CMEの一角に、通貨の先物取引市場が開設された。

    それが成功すると間もなく、通貨に続いて債券や金利や株価指数など、さまざまな金融商品の先物取引が始まった。これが第二の「マネー革命」であった。

    と書評はここで終わるが、もっとデリバティブ取引に詳しくは知りたい方にはうってつけの書物である。銀行マンや証券マンにぜひ読んで欲しい。大野は半分ギブアップしました。取材班の苦労が手に取るように分かりました。

  • [ 内容 ]
    ひとつの方程式が時代を変えた!
    そもそもデリバティブとはどういうもので、なぜ生まれたのか。
    ポートフォリオ理論やリスク管理モデルなどを駆使する金融工学の世界はいかに発展していったのか。
    これらの金融理論を作り上げてきたノーベル賞受賞経済学者たちの波乱万丈の人間ドラマを紹介しながら、現代金融界の全貌を分かりやすく解き明かす「金融工学」入門書。

    [ 目次 ]
    1 大坂堂島米会所に始まる「第一のマネー革命」
    2 金融先物取引の誕生・シカゴ発「第二のマネー革命」
    3 リスクを科学するポートフォリオ理論
    4 古代ギリシャ哲学者のオプション誕生物語
    5 MITに集結した金融工学の気鋭たち
    6 科学者とギャンブラーが支えたオプション市場
    7 ノーベル経済学賞の受賞と親友の死
    8 金融工学の発展を陰で支えた日本人数学者
    9 ロシア危機で破綻した「夢のヘッジファンド」

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 金融の本質をよく考えてみたい人は、必読ではないでしょうか。

    (3巻ともお勧めです)

  • 10年くらい前にNHKで放映した番組を単行本化したもの。ブックオフで安かったので購入。

    初心者が金融工学を勉強するのに、この本は最適である。なぜなら、読み進めるうちに、同じく金融に疎いNHK取材班と一緒に成長していけるように、本が構成されているからだ。さながら、高校生の学習参考書のようでもある。

    また、ノーベル賞を受賞したマーコヴィッツの「ポートフォリオ理論」も載っている。さらに、本人からのインタビューも収録することに成功している。

    それだけでなく、いまや金融工学の代名詞的存在の「ブラックショールズ式」をつくった、マイロン・ショールズ、フィッシャー・ブラック両博士のインタビューもある。そのインタビューでは、ブラック・ショールズ式が物理学の熱伝導方程式から導き出したことや、ロシア危機の時に破たんしたLTCMの内情まで、聞き出すことにまで成功している。

    金融工学に興味のある人もない人もすべてのビジネスパースン、いや日本人が読むべき本だと思う。

    メーカーにいっても、為替オプションに取り組まなければならないし、IT系にいっても、金融系のシステムをつくるのに必須だと思われるからだ。それだけではなく、一般の主婦でも、あるいは年金暮らしの老人でも、為替や年金基金の運用に間接的に関わっているから、読むべき本だと思う。


    金融が政治よりもわれわれの生活を支配する現代を生き抜くためにも、この本は必須だ。300ページくらいで、生活防衛の知恵を手に入れることができる良書である。

  • 第二巻は、金融工学の旗手たち。この巻が読みたくて、全巻買ったといっても過言ではありません。
    「夢のヘッジファンド」「金融界のドリームチーム」いろいろな代名詞を持つLTMC。
    ノーベル経済学賞を受賞した、ロバートマートンとマイロン・ショールズが創設したヘッジファンド。取材3ヶ月後に破綻します。破綻後の話が3巻に続きます。

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著者プロフィール

1941年、中華民国張家口に生まれる。福岡教育大学教授、青山学院大学教授を経て、現在、福岡教育大学名誉教授。著書『中国中世の民衆文化』(中国書店)、『異人と市境界の中国古代史』『橋と異人 境界の中国中世史』『シナに魅せられた人々 シナ通列伝』(ともに研文出版)『中国妖怪鬼神図譜 清末の絵入雑誌「点石斎画報」で読む庶民の信仰と俗習』ほか

「2024年 『中国生活図譜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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