菩薩の願い 大乗仏教のめざすもの (NHKライブラリー)

  • 日本放送出版協会 (2007年4月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (276ページ) / ISBN・EAN: 9784140842201

みんなの感想まとめ

仏教の深い教えとその発展を探求する本書は、インド文化の影響を受けた大乗仏教の誕生や、重要な経典の成り立ちを分かりやすく解説しています。特に、般若経や法華経、浄土経などの経典を通じて、利他行や人との関わ...

感想・レビュー・書評

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  • 「慈悲」や「利他」が分からないわけではないのだけど、ブッダの教えのどこからそれが出てくるのか分からなかった。
    もし大乗仏教が仏教とは別の、阿弥陀如来一神教であったとするのならば、なぜ慈悲や利他が大切かは、「阿弥陀様がそう望まれているからです」で良かったと思う。でも、仏教ってそういう宗教には思えない。

    答え。空に由来している。
    虚無を想像させる空というよりも、今どきの人間には生態系で説明する方がわかりやすいだろう。本質的に他と分別された自己というものは存在せず、自分自身と自分自身がみなしているものは、生態系のネットワークの中の、ひとつのノードである。これを認識するのならば、自己と他者を分けて考えるのは、道理に合っていない。
    たしかにこれは、縁起というブッダの教えそのものを発展させた考え方である。縁起はひねりも韜晦もない直感的で誰でも観察しうる理性であり、その意味で極めて科学的である(科学的というのは物質的ということではなくて、他者による検証が可能であるということだと私は認識している。)
    縁起>空>慈悲・利他。この流れは、たしかに分かる。

    しかし、やはり納得できないところは残る。
    理論がそうであったとしたところで、利己と利他は「よく考えればみんなおなじでした」みたいにハッピーエンドで終わるわけじゃない。
    それらの現実社会の葛藤を、きちんと受け止め、解きほぐし、方向を示すところまでやるべきじゃないかと思う。
    西方浄土の麗々しい記述(2000年前はぐっとくる文学的記述だったかもしれないが、今となっては誇張が過ぎる)や、43億2000万年の間修行しているとか、生きとし生けるもの全てが救済されるのを目指すとか、意気込みは分かるのだけど、すべっている。
    1970年代の新左翼のアジビラなみに、悲愴がってすべっている。
    政治の例で言うのならば、これはマニフェストどまりであって政策論になっていない。

    ものすごくきつい言い方をすれば、現実の問題に立ち向かうかわりに、でかいことをいって逃げていないか? と思う。

    あえて断っておくけれども、言語やロジックで表現できることには限度があり、こうしてここで書いていること(言語と論理)において正邪をいうのは間違いであるということは、あるていどは理解しているつもりだ。
    その上で、大乗仏教に対して、「はっきりと言うが、手抜きの胡散臭さを感じるぞ」と思っている。

    これから、この私の疑惑に対する反論を読んでいこうと思う。
    仏教に対して確信を持っていることがあるとすれば、私の考えたようなことについては、はるか昔にすでに考え尽くされている、ということだ。
    傲慢な私とて、今ここで呈した疑問が、この2000年来ではじめて提出されたものだなどと思っているわけではない。

    そこまで含めて弥陀の慈悲と言えばその通りだけど。

    般若経
    維摩経
    法華経
    浄土三部経(大無量寿経、観無量寿経、阿弥陀経)
    華厳経
    涅槃経

    どれからいくか。ディベートっぽい維摩経からにしようか。

  • とてもとっつきやすい本なんだけど、僕にとっては知るべきことが満載。本当に幅が広く奥が深いです、大乗。人と人との関わりにフォーカスしてるところも感じるところがあります。

  • 原始仏教と大乗仏教の根本的な違いは、自己完結か他者との関係を見るかの違いにあるという主張。
    同時に経典の成り立ちの大まかな流れもわかる。

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著者プロフィール

1948年東京都生まれ。京都大学理学部物理学科卒業。東京大学大学院人文科学研究科印度哲学専攻博士課程満期退学。(財)東方研究会専任研究員,日本大学文理学部専任講師,東京大学東洋文化研究所助教授,ミュンヘン大学客員研究員,東京大学東洋文化研究所教授を経て,現在,浄土真宗本願寺派総合研究所所長。著書『菩薩の願い―大乗仏教のめざすもの』(日本放送出版協会)ほか。

「2021年 『悟りと解脱 宗教と科学の真理について』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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