中国見聞一五〇年 (生活人新書 075)

  • 日本放送出版協会 (2003年7月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784140880753

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  • 相変わらずの自分の中での中国シリーズ。
    当たり前だが、まだまだ知らない人たちが深く中国と関わり、活躍してきたんだなと感じる。色々と知らない著作等の情報を得たので興味をそそったものはもう少し詳しく追求してみたい。

    ただ著者の方の中台に関する記述につき、ところどころ違和感を感じながら読んだ。最終章で架空の人物が中国本土、香港、台湾を一つの国家的な扱いで書いている事からその違和感がわかったような気がする。現実的にどれだけ中国本土の人たちが同じ国家だと声高に叫んだところで、実質的には別の政府がおり、別のパスポートを持ち、違いを行き来するためにビザが必要である。そういう意味では、本土の人々も感覚的には別物として認識している部分があると思うが、その辺りを一切無視して同じものとして扱っている感がある。

    以下、興味深かったところの抜粋もしくはエピソードのまとめ。

    P30.後藤新平
    第4代台湾総督になった児玉が施政方針演説の草稿を書くように後藤に命じたところ、詩人が詩を作るようなものでつまらんのでやめましょう、生物学の原則にしたがってやると提言。

    P41.夏目漱石
    1901年にロンドン留学中の夏目漱石は、イギリス人が中国を見下し、日本を持ち上げるのを聞いて喜ぶ他の日本人を”世話になった隣の悪口を面白いと思って自分方が景気が良いというお世辞を有り難がる軽薄な根性なり”と苦言を呈している。

    P95.中薗英助
    日中戦争期の中国は日本占領下の淪陥区、国民党支配の大後方、共産党支配の解放区の三つに大きく分かれ、三地区の文芸界もそれぞれ独自の相貌を呈した。近代文化センターである北京と上海は、開戦後相次ぎ日本軍に占領され、大量の知識人が大後方と解放区へ去り、文化会は荒涼たるありさまを呈する。

    P134.韓瑞穂
    「私は国際人を実践した。私の考える国際人とは、国境をこえ、人間の誠意や愛を信じて生き、行動することができる人である」

    P176.有吉佐和子
    五度の訪中を通じて有吉は中国要人と親密な関係を結んでいた。それは中国側が「なまいき有吉」を対日宣伝係として重宝していたからである。ちょうどベルギー人を母とする英語作家のハン・スーインが、対欧米向けの宣伝係をつとめていたように。個人的友情と政治的利用関係とを混同していた有吉には、ついに中国農村の真実は見えなかったのではないか。

  • [ 内容 ]
    高杉晋作から大江健三郎まで、中国に深い関心を抱いて現地を訪れた日本人は少なくない。
    幕末からの一五〇年間、日本人は中国とどうつき合ってきたか―。
    今、ビジネスパートナーとして注目を集める中国の近代史を、現地に足跡を残した日本人約二〇人の見聞を通して読み解く、まったく新しい中国理解のための入門書。

    [ 目次 ]
    高杉晋作―「租界都市」上海の繁栄と外夷の影
    血脇守之助―天津、有力者の胸襟を開かせた歯科治療
    後藤新平―「生物学の原理」にもとづいた植民地台湾経営
    夏目漱石―列強に追随する日本への疑心
    清水安三―北京、魯迅との交友
    吉田茂―張作霖との会談、満州特殊権益を拡大せん
    川喜多長政―上海映画界を守り抜いた電影人の矜持
    李香蘭―敵対する二つの祖国、わたしはいったい誰なのか
    中薗英助―占領下の北京、友よ、交戦国のわが友よ!
    森繁久弥―「満州国の夜の支配者」甘粕正彦の思い出〔ほか〕

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著者プロフィール

(名古屋外国語大学教授・東京大学名誉教授)
現代中国語圏の文学と映画。著作:『中国語圏文学史』『魯迅と日本文学 漱石・鷗外から清張・春樹まで』『魯迅と世界文学』『中国映画 百年を描く、百年を読む』など。翻訳:魯迅『故郷/ 阿Q 正伝』、張愛玲『傾城の恋/ 封鎖』莫言『酒国』李昂『海峡を渡る幽霊』董啓章『地図集』( 共訳) ほか。

「2021年 『囚われて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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