あなたの隣の〈モンスター〉 (生活人新書 253)

  • 日本放送出版協会 (2008年5月10日発売)
3.21
  • (3)
  • (7)
  • (24)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 105
感想 : 23
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784140882535

みんなの感想まとめ

現代社会に潜む「モンスター化」というテーマを通じて、私たちの生活や人間関係の問題点を鋭く指摘しています。モンスターペアレントやモンスターカスタマーなど、日常で耳にする言葉が示すように、我々の自己中心的...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  言葉と共に、時代は変化していく。新しい言葉を生み出す雰囲気がある。
     2008年の出版で、その後、どう言葉が変化していったのかが興味深い。

     1998年頃は、ムカツクという言葉に大きな勢いがあった。
     ムカツクとは、うんざりする。イヤになる。勘弁してくれよ。あの人は好きじゃないという文脈の中にあった。それが、ウザイという言葉で済ますようになった。感情の起伏がなく、全てがウザイで済ませられるようになった。それが、イジメに集約されるようになった。ムカツクから、ウザイから、でイジメになる。

     そして、キレるという言葉は、我慢の限界、そして、人間が壊れたという意味となり、暴力的な行動に表現されていく。なぜ、人間はキレるようになったか?
     モンスターペアレンツ、モンスターペイシェント、モンスタークレーマーとモンスター化する。
     こんなまずいものは食べられない。「お前のせいで」と言って、責任を追及する。

     そこから、理由なき殺人が始まるようになる。「誰でもいいから、殺しかった」という言葉も生まれる。狂気の時代がやってきたとも言える。自傷行為も起こる。「生きていていいのか?生きる資格があるのか?」という。

     そして、時代とともに、エグい、ヤバイという言葉につながりながら、ウザイ、キレるも共存する。
     また、急速なSNSの発達によって、カンタンなレッテル貼りと自己承認要求の顕在化と炎上と分断が始ま李、フェイクニュースが横行する。

     本書は、モンスター化の概念の整理と日本の社会がどのような変質しようとしているのかを分析する。社会全体がモンスターを生み出しやすい空気に包まれている。人々は多少の不具合に我慢が効かなくなっている。堪え性がなくなり、感情が決壊する。

    社会的成熟とは、自己中心性を克服していく過程で、客観性を身につけるプロセスである。反省的思考とは、失敗して、なぜ失敗したかを学ぶことで、成長していく。人間は自己修正機能を形成することが必要だ。自己承認要求の過剰な膨張。他人を受け入れることができない。現実を客観的に見ようとしない。見たいものしか見ない。自分の置かれている状況が理解できない。無関心が当たり前になる。

     人間関係の希薄さ。独り家族の増大。孤独が押し寄せるようになった。下層社会の登場。派遣社員の存在によって、会社自体もバラバラになり、分断・格差が生まれた。
     コミュニケーションが上っ面となり、濃厚な人間関係が結ばれない。ソーシャールディスタンスが強調される。

     電車で、若者が携帯電話を使っていたら、おじさんが注意する。青年が無視すると、おじさんは「なんだその態度は」と言い、青年が謝るとおじさんは「その謝り方が気に入らない」と言って、大声をあげ、おじさんがキレてしまう時代となった。ストレスを抱えて生きているがゆえに、感情が決壊する。

     本書は、モンスターは隣の人だけでなく、自分の中にもあるのだ。そのモンスターとどう向き合うのか?と突き詰めていく。

     おじさんは、自分でおじさんをコントロールしなければならない。自分は正しいという思い込み。正義の暴走、時代とのミスマッチ、こうすべきだ。こうあるべきだというべき論で思考が固まっているアタマの状態から解き放ち、アンガーコントロール、メタ認識と自分の客観視、そして何よりもぐっすり眠ることだ。おじさんがおじさんであるための対処を自分ですることだ。わかりましたか?
     と言っても、おじさんは孤独なんだね。

  • 優雅の社会から、敵対の社会へ
    モンスター化とは、人間が本来持っている容姿的な自己中心性が表に出た形とも言える
    無差別殺人事件の犯人はよく誰でもいいから殺したかったと口にする。自分は支配者だと言うものもいる。つまり、彼にとっては、自分の欲求を優先させること、自己中心性を助長されることが最大の目的であって、そこに他者は存在しないわけだ

  • 現代社会では誰もがモンスター化する危険を
    持っています。

    モンスターペアレント、モンスターカスタマ
    ーなどは日常的に聞く言葉です。

    なぜこんなことになってしまったのか。

    元来日本人は我慢強い国民性と言われます。
    今でもほとんどの人はそうなのでしょう。

    著者は行き過ぎたサービスに原因があるので
    はないか、と推察しています。

    現代んお日本ではモノは一通り行き渡ってい
    るから、それに対する渇望や嫉妬は少ないと
    思います。

    住宅はともかく比較的生活が苦しいと言われ
    る人でも、テレビやスマホなどは持っていま
    す。

    そこで次なる要求は、サービスです。

    売り手側も売るためには付加価値をつけるこ
    とを考え、次々と客にサービスを提供してい
    ます。

    それが客側の意識を増長させ、いわば「王様
    気分」を味わえるようになっています。

    それがモンスターを育てているのです。

    もちろん要因は他にもあります。しかし世の
    中が我が儘を増長させている一面は否定でき
    ないと思います。

    そんな現実に対して我々はどう向き合ってい
    くべきか。

    自分もモンスター化しないための生き方を学
    べる一冊です。

  • モンスターという切り口で日本の現代社会の問題点を指摘。社会問題として取り組み解決していかなければならない。利便性の向上とスピード化がもたらした結果の一つと捕らえ、日本古来の社会が持っていた社会の重要性を指摘。また、自分の中にいるモンスターにも気づかなければならない。吐くことを意識する呼吸法は実践したい。

  • 四年前に書かれた本。今はもっと一人一人のモンスター化が進んでるなあ。と怖くなりました。まず自分が自分をちゃんとコントロールできるように意識しようと思いました。

  • 確かに便利な世の中によって、我慢することが減ってちょっとのことでイライラしてしまったり、「金を払ってるからサービスを受けて当然」という考え方が蔓延してしまってる。教育現場や医療機関でのクレーム対応係、最後に書いてあるように実現すればいいのに。

  • 洞察力がある人だと改めて思う本でした。はっとするほどシンプルに的確に、モヤモヤと感じていたことを説明してくれる本です。

  • モンスターペアレンツやモンスターペイシェント、つまり「切れる大人」のことである。
    以前は「切れる」のは子供達であったが、最近は大人達が切れるようになってきた。
    大人たちが切れるようになってきたということは、
    現在の社会が切れやすい構造になってきたということかもしれない。
    社会の進歩が急激に早くなっているのは事実だが、それについていけなくなっていることも事実。
    また、自分自身をもコントロールできなくなってきた大人が居ることも事実。
    昔の教育方針のように、我慢強さ・粘り強さというものを体の中に染みこませることが大切かと・・思う。

  • 「キレる大人が増えている!」という帯の言葉に引かれて買ってしまいました

    そう・・・私、最近キレやすいから・・・

    今流行りの「モンスターペアレンツ」のことも書かれています
    私には子供がいないので、最近話題になる学校のおかしな親というのが想像できませんが
    小学生のお子さんを持つ先輩知人に聞くと、こんな田舎でも普通に「モンスターペアレンツ」は
    いるとのこと・・・都会だけの話だと思ってたけど、田舎にもいたのかぁ~

    モンスターペアレンツだけでなく、日常的に普段の生活の中で最近の大人はキレやすく
    なっていると齋藤先生は言っています
    私もその中の1人でしょう・・・
    「待つ」と言うことが出来なくなってきています
    ちょっとレジとかで待たされただけなのにイライラモード全開です
    そして態度が悪いともう最悪・・・ヒドイ時は舌打ちしてるかも知れません・・・
    品格もなにもあったもんじゃないですよね・・・

    齋藤先生はこういったサービスに対して、お客側の態度が非常に悪くなっていると言っています
    「お金を払っているのは私」と言う意識が、普段は常識的な人でも相手の態度が悪いと
    レジで急にキレて怒りを爆発させてしまう・・・
    日本人はここ数年でサービスと言うものに対して慣れすぎ、ちょっとやそっとのサービスの良さでは
    満足しなくなってきていると・・・

    昔の日本は自分の感情を外や人前で現すのは恥とされてきた文化をもっていた
    だから今のように「キレる」しかも人前でなんてあり得なかったと・・・

    あぁぁっぁぁ、耳が痛い・・・
    私はキレまくっています・・・感情出しまくっています
    汚い言葉を言いまくっています・・・反省、反省、反省です

    いつも紳士な人
    誰に対しても紳士な人
    そんな人を見ると尊敬の感情でいっぱいになります

    もう少し穏やかな心をいつも過ごしていきたいな・・・

  • [ 内容 ]
    いきなり怒鳴る、殴る、蹴る…こうしたキレる大人の増加は、日本社会のモンスター化の始まりに過ぎない!
    ちょっとしたストレスで簡単に現れる、一人一人の心の中に潜むモンスター。
    日本社会は、どこへ向かおうとしているのか。
    硬くなった日本人の心を解きほぐし、成熟した日本社会を目指す。

    [ 目次 ]
    プロローグ 「モンスター化」する日本社会
    1章 あなたの隣に潜む「モンスター」
    2章 キレる大人たちはどこから来たのか
    3章 日本人の美徳はどこへ消えたのか
    4章 社会の変容が人を追い込んでいく
    5章 「KY」の圧力が生んだ「モンスター」
    6章 「日本人気質」再興への道

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • (11/04)

  • モンスターと社会情勢

    モンスターペアレント、モンスターペイシェント
    などと言われる人が増え、目立っていると聞く
    少し前までは信じられないようなクレーマー達の事である

    彼らは個人で先生などの指導者に向かってでも平気で
    クレームを言うらしい
    威厳の喪失なのかクレーマーの存在が問題なのか
    良く分からないが
    一つ言える事は、社会情勢がバブル崩壊後大きく変わり
    日本人はシビアにお金を払う者、受け取る者という単純な図式に
    視点を変えてしまった事が大きいと思われる

    本書ではまったく述べられていなかったが
    バブル崩壊後、日本経済はデフレに向かい
    会社員の定期昇給は控えられ、賞与も厳しく
    物が売れず、値下げする品物も多い
    そんな中、モンスターのターゲットとしている
    学校や医療の世界ではほぼまったくといっていいほど
    費用の値下げは行われていない
    そうするとお金の価値が上がり
    結果的に多くの費用をかけているから
    それに見合った結果を求めるという事も考えられる

    ただ、本書に書かれているようなキレる形での
    要求は問題であることは確かで
    そのような要求の仕方をすることは
    それはそれで解決をしないといけない

  • もうちょっとモンスターの具体例が出てればもっとわかりやすかったような。
    結論:本を読め。かな。

  • 時代を近眼視しているところがある。つまり,少しの変化を大げさに書きすぎだと思う。
    また,日本的美徳があった時代からいきなりキレる時代に移行したかのような飛躍した記載がある。

  • 茶道と仏道の求めているところは相通じている。
    茶道で大切なのは安定した心を保つことである。あるいは静かな空気を全身としてコントロールし、それをお客様に味わっていただくもてなしの心である。
    私たちはせっかく仏教が隆盛してきた国に育ったのだから、それを利用しない手はない。じつは仏教は世界的にメジャーな宗教でなくなりつつある。日本が穏やかな国民性を維持してきたのは、仏教のおかげも大きいのではないだろうか。主眼は仏教の教えの内容ではなく。お釈迦様が悟った手法であるアナパーサチという呼吸法だ。息を長くコントロールしながら吐き、同時にとらわれを落としていく。

  • 平成21年3月9日読了。

  • 最近ドラマにもなりましたよね。「モンスター・ペアレンツ」
    そのモンスターに焦点を当てた内容になっています。基本的には、
    公的な空間でなりふり構わずキレる大人多くなってきた事、自らの権利ばかりを
    主張する人が多くなってきた事、我慢する事が出来なくなってきた人が多くなってきた事を
    指摘し、その理由・改善策を述べているっていう感じです。

    内容をまとめると、最近は自己権利主張・自己統制が取れない大人が増えてきた、
    その理由はアメリカ化と同時に教育の問題でもある。年を取った子供は、もはや
    改善策はない。しかし未来ある子供には、読書と音読、メンタルトレーニングを
    行い、改善していこうって事です。

    まぁ、結局は「昔懐かし良い日本人・日本的心を取り戻そう」って事に集約されていきます。
    つまり、それを言うための入り口として「モンスター」を題材にしたのだろうと思います。
    しかし、読んでいてなかなか共感できる部分があるし、改めて納得できる部分がありました。
    まぁ、普段何気なく感じている思考が、他者の言葉で明文化され、自分の思考により自信が
    持てたという事ですね。

    特に、「無我夢中に勉強すると周りから孤立してしまう」って事や(過去に経験あります)、
    今の若い世代は、「認めてもらいたい症候群」の人が多かったり等ですね。

    また本書を読んでいて感じた事は、「想像力の欠如」が激しいのでは?という事。
    キレる人も、喧嘩をする人も、人の話を分からないという人も、結局は想像する力が
    欠如していて、「仮に自分が、この人で同じ立場だったらどう感じるだろうか?」とか
    「この人と違う考えであっても、なぜこの人がこのように考えるのだろうか?」とか
    「この人と全く同じ経験はしてないが、似た経験はないだろうか?」等々を考えない
    のだろうな〜って思います。まぁ、私自身にも言えるんですけどね。

    最後に、一点だけ良い事が述べられていて、読書は「自分がこの人には共感できない」と
    思う本でも最後まで読む。しかも、自分目線ではなく、相手目線に立って相手に感情移入し
    読んでいく、そして多面的視点で考察する。このトレーニングが大切っていう事。

    心理学でも「人間は都合の良いものしか受け入れない」と言われています。
    私自身も、買う本と言えば自分が期待する将来や共感できる内容の本がほとんどです。
    もっと自分の意見に反論している本も読むべきでしょうね。

  • よくよく考えたら
    自分も例外ではないかも。

    穏やかに健やかに
    楽しく生きましょう!!!!

  • 2008/6
    ありがちのテーマをありがちに語っている一冊。著者が有名でなければまず書棚の奥で埋もれてしまっているだろう本。
    ま、現段階で一番広まっている正論を書いているだけに可もなく不可もなくない印象。特に読む必要はない。

全20件中 1 - 20件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

明治大学文学部教授。1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒。同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。『身体感覚を取り戻す』(NHK出版)で新潮学芸賞受賞。『声に出して読みたい日本語』(草思社)がシリーズ260万部のベストセラーになり、日本語ブームをつくった。著書累計出版部数は1000万部を超える。NHK Eテレ『にほんごであそぼ』総合指導のほか、フジテレビ「全力! 脱力タイムズ」、日本テレビ「ZIP!」など、TVコメンテーターとしても活躍中。

「2026年 『齋藤孝と生み出すあなただけの名言レッスン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

齋藤孝の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×