弁慶はなぜ勧進帳をよむのか: 日本の精神文化と仏教 (生活人新書 272)
- NHK出版 (2008年11月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140882726
作品紹介・あらすじ
大衆芸能のなかに隠された仏教文化とは?意外に知られていない歌舞伎や能などへの仏教の影響。日本人の精神文化を追究し続ける著者が、密教や浄土教そして神道や道教など多様な庶民信仰の姿を大衆芸能に探り、現代に息づく宗教の諸相を明快に解き明かす。
感想・レビュー・書評
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この手のタイトルの場合は、弁慶は一行か二行しか登場しないのが、昨今の新書の特徴だが、この本に限ってはそうではない。全体の約半分が、歌舞伎の『勧進帳』を、仏教から解釈するための説明に費やされている。経義の話~弁慶の話~山伏の話~密教の話~曼荼羅の話と、説明のための説明がネストされてしまい、迷子になってしまうし、難しい漢字・熟語が多くてゆっくりしか読めないというのが感想。『勧進帳』のほかに、能や謡曲の『道成寺』や『卒塔婆小町』という物語も、仏教の視点からの解釈を解説している。正直、仏教的解釈はよくわからなかったが、いままで知らない知識ばかりなので、面白かったとは言える。
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日本人の精神文化を、大衆芸能から読み解いた面白い本です。
はじめに抜粋
能や歌舞伎などの伝統芸能が日本を代表する文化といわれるのは、それが単なる娯楽ではなく日本人の心を反映しているからである。この芸能文化のなかに日本人の生き様が、さまざまな形で表現されている。
本書では、日本人の精神文化を紐解く材料として「勧進帳」のほか、「道成寺」と「卒塔婆小町」をとりあげ、仏教学的視点から論じたものである。
日本人の知識教養あるいは倫理道徳は、仏教を学ぶことによって身に付けられてきた。教育制度が整っていなかった時代は、芸能は重要な学びの場でもあったのであり、勧進芸能がなどが仏教強化活動の重要な役割を担っていた。芸能のなかに仏教の教えを内包し、繰り返し伝えることで浸透させていた。
これは宗教学的・民俗学的・歴史学的ではなく、また仏教教理を解く本ではなくて、日本の芸能(歌舞伎や能)という違う視点から、日本人の心に与えた仏教の別な側面を著しています。
「日本人は世界にまれな宗教意識を持った民族」
「宗教に対する思いや考えが西欧の人々と本質的に異なる」
「曼荼羅的思考」
「仏教の様々な宗派の良いところを取り入れただけでなく、神道、道教など異教まで包含する。このような思考は日本人の大きな特徴」
この本では密教が主として取り上げています。 -
[ 内容 ]
大衆芸能のなかに隠された仏教文化とは?
意外に知られていない歌舞伎や能などへの仏教の影響。
日本人の精神文化を追究し続ける著者が、密教や浄土教そして神道や道教など多様な庶民信仰の姿を大衆芸能に探り、現代に息づく宗教の諸相を明快に解き明かす。
[ 目次 ]
第1章 日本人の精神文化と仏教(「罪の文化」と「恥の文化」 宗教的寛容性を探る ほか)
第2章 勧進帳と弁慶と山伏(歌舞伎「勧進帳」の魅力 かぎを握る毘沙門信仰 ほか)
第3章 「山伏問答」は何を語っているのか(弁慶と富樫の対決 アビラウンケンとは ほか)
第4章 多様な庶民信仰を探る―「道成寺」(説話・芸能と仏教文化 『道成寺縁起絵巻』をめぐって ほか)
第5章 「卒都婆小町」に見る仏教理解(さまざまな小町伝説 小町物 ほか)
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20090708