グリーン・ニューディール: 環境投資は世界経済を救えるか (生活人新書 292)

  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140882924

感想・レビュー・書評

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  • 本書は、オバマ発のグリーン・ニューディールの経済的有用性、実現の可能性、実施時の日本経済に対する影響などを様々な専門家が解説する。株式購入の少々の参考になる程度。

  • 2009年刊。各種再生可能エネルギーの開発、普及、商業化の進展のための課題、問題点に関し、日米の現状を検証。NHKドキュメンタリーの拡充説明本。色々あるが、事は温暖化問題に加え、エネルギー資源安定供給と安全保障の問題とも。太陽電池の技術的亢進と、個別電力供給に関する社会インフラ(自宅やマンションでも可能なのだろうが、コンビニ・郵便局、ガソリンスタンド)の構築ができるか、だろうか。ただ、ある一例だが、米国ビケンズ氏の風力発電投資と、高知県梼原町のそれの構想・規模・問題点や克服課題の余りの違いに絶句。

  • 震災の起こる前の日本の事が書かれているが、あれから3年経った今日本を取り巻く自然エネルギーの現状は僅かではあるが少しずつ変わっているのだろう

  • 環境雇用「グリーン・ニューディール」が叫ばれて久しいが本書が出版されたのが2009年でその間に東日本大震災やシェール革命という出来事も起こり2014年となった今では必ずしも現状を表した本ではなくなったという印象。またアメリカにおけるグリーン・ニューディール政策の利点と日本の政策批判が目につきその点が中心の文章の進め方は非常に読んでいて不快を覚えた。

  • (2012.12.11読了)(2012.10.25購入)
    【12月のテーマ・[政治を読む]その②】
    副題「環境投資は世界経済を救えるか」
    未来の党の代表代行の名前があったので読んでみました。
    ブッシュ大統領のときには、温暖化対策に全く見向きもしなかったアメリカが、オバマ大統領になって、温暖化対策で経済を活性化させ、雇用の増大をめざすということになったという話です。
    化石燃料エネルギー依存から、自然エネルギーへの転換がどのように進みつつあるかのレポートが、NHK記者たちによってなされています。
    NHKの番組のために取材したけれど、番組に盛り込み切れなかった分も含めて、収録したものということです。
    太陽光発電、風力発電、電気自動車、蓄電池、スマート・グリッド、政府の施策、等、が取り上げられています。
    原発については、触れるところはありませんでした。

    【目次】
    はじめに グリーン・ニューディールは世界を変えるか
    第Ⅰ部 アメリカ グリーン・ニューディールが変える経済と社会
    第1章 太陽光が雇用を生む
    第2章 風力発電で地域を再生する
    第3章 次世代電力網「スマート・グリッド」の衝撃
    第4章 〝グリーン・ファンド〟~投資が当たれば利益は莫大~
    第5章 オバマ大統領と「グリーン・エコノミー」
    第6章 グリーン・ニューディールを支える若者たち
    第7章 環境技術で〝勝ちにくる〟アメリカ
    第Ⅱ部 日本 世界一の技術力と迷走する環境政策
    第8章 「グリーン産業革命」は、日本が起こす!
    第9章 始動「日本版グリーン・ニューディール」
    第10章 越えられない省庁間の壁
    第11章 風力発電で地域活性化~理想と現実~
    解説 〝失われた8年〟からグリーン・ニューディールへ
    解説 グリーン・ニューディール 日米の格差
    おわりに

    ●カリフォルニア州(19頁)
    自動車から出される温室効果ガスを2016年までに2004年時よりも約30%削減することを自動車業界に義務付けた。さらに電力会社には2010年までに発電量の20%を自然エネルギーにするよう義務付け、産業界にも工場からの排出削減を定めたのだ。
    ●風力発電(41頁)
    世界風力会議によると、2008年、全世界の風力発電導入量は12万798メガワットで、労働者の数は40万人に上るという。国別の導入量では、
    1位 アメリカ
    2位 ドイツ
    3位 スペイン
    4位 中国
    5位 インド
    この上位5か国で、全世界のおよそ73%のシェアを占めている。
    ●風力発電地帯(70頁)
    テキサス州南部からノースダコタ州北部、カナダとの国境に至る、南北2000キロ余り、東西およそ100キロの地帯は非常に風が強いことで知られる。このアメリカ大陸を縦断する場所に、15万~20万基の風車を建設し、世界最大の風力発電地帯をつくろうというものだ。もし完成すればアメリカの電力需要の20%を賄うことができるという。
    ●三つの危機(89頁)
    われわれは今、3つの密接に関連した危機に直面しています。金融危機、エネルギー危機、そして世界に大きな影響を及ぼす地球温暖化の危機です。
    ●第二次大戦下の武器製造(109頁)
    アメリカでは、1942年から3年間、車は全く生産されませんでした。こうして武器の製造目標は達成することができたのです。
    ●日本の技術力(128頁)
    化石燃料の20世紀からクリーン・エネルギーの21世紀へ―。そのグリーン産業革命の担い手は、日本かもしれない。なぜなら、太陽電池、電気自動車、リチウムイオン電池(蓄電池)という環境分野の中核技術を持っているからだ。
    ●政治とは(219頁)
    「政治」とは「希少価値の権威的配分」と習った。
    「希少価値とは、水や空気のようにいくらでもあるものとは違って、予算や議席など、数に限りのあるもののことです」
    また、「権威的配分」とは、皆が満足するよう公平に振る舞うのではなく、ある層からは嫌われることを承知の上で、国家をある方向に持っていくということだ。

    ☆関連図書(既読)
    「総理の資質とは何か」佐伯啓思著、小学館文庫、2002.06.01
    「美しい国へ」安倍晋三著、文春新書、2006.07.20
    「大臣 増補版」菅直人著、岩波新書、2009.12.18
    「原発社会からの離脱」宮台真司・飯田哲也著、講談社現代新書、2011.06.20
    (2012年12月12日・記)

  • 津市津図書館---芸濃図書館。

  • オバマ政権の追い風もあって、スマートグリッド事業には、電力、家電、IT、自動車などの様々な業種の参入が相次いでいるが、実はもともとアメリカの送電網は老朽化が進み、漏電や停電も多いため、更新の時期に来ている。いち早くスマグリ技術を開発すれば、全国規模の次世代インフラ整備という巨大な市場への参入ができる。

    オバマは経済再建の政策の中核にグリーン・エコノミー政策を位置づけた。
    温暖化対策に後ろ向きだったブッシュ政権だが、その背面化でIPCCでは2007年の第四次評価報告書では、温暖化は人類の活動による二酸化炭素の増加が原因だとした。

  • オバマ大統領のグリーンニューディール政策に影響をあたえたワシントンのシンクタンクが作成したレポート「グリーンリカバリー」は、化石燃料への依存度を下げるとともに低炭素省エネルギー政策を進めることで雇用の拡大を目指す。日本の少女趣味環境議論は、この後半の雇用問題が抜けている。
    太陽電池は生産ノウハウのない企業もどんどん参入できるフルターンキー方式。ドイツのQセル、中国のサンテックなどは市場のリスクキャピタルをうまく活用した。

  • [ 内容 ]
    100年に1度と言われる大不況のなか、オバマ大統領が経済再生の切り札として期待をかけるグリーン・ニューディール政策。
    環境投資は、雇用と需要を生み出すのか。
    そして自然エネルギーへの転換は、私たちの生活と社会をどのように変えるのか。
    オバマの登場で急速に動き出したアメリカの「環境エネルギー革命」の実情、さらには日本の課題や最新環境技術までを網羅した一書。

    [ 目次 ]
    第1部 アメリカ グリーン・ニューディールが変える経済と社会(太陽光が雇用を生む 風力発電で地域を再生する 次世代電力網「スマート・グリッド」の衝撃 “グリーン・ファンド”-投資が当たれば利益は莫大 オバマ大統領と「グリーン・エコノミー」 グリーン・ニューディールを支える若者たち 環境技術で“勝ちにくる”アメリカ)
    第2部 日本 世界一の技術力と迷走する環境政策(「グリーン産業革命」は、日本が起こす! 始動「日本版グリーン・ニューディール」 越えられない省庁間の壁 風力発電で地域活性化-理想と現実)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 「グリーン・ニューディール」をここ2年弱の間で聞かれるようになったが、評者はITを駆使して効率的な送電を実現する"スマート・グリッド"程度しか具体的に知らなかった。
    グリーン・ニューディールはスマート・グリッドだけではなく、さまざまな自然エネルギーに投資をし、従来の化石燃料以外のオプションを得るだけではなく、地域の再生、雇用の拡大、暮らしの変容、ひいては"安全保障"にまで影響するという。
    本書ではアメリカにおける例を多数挙げているが、評者は羅列が多いと言わざるを得ない。また、本書にも書かれているが日本とアメリカは国土も風土も違う。専門家の中には「環境エネルギーの割合が拡大したところでインパクトは小さい」「技術の発展で原油はまだまだ採掘できる」という人もいるだろう。60兆円前後の経済効果も疑問である。

    だが、本書が問いかけているのはそれだけなのだろうか。
    承知の通り日本は石油や天然ガスのほぼ100%を輸入に頼っている。評者が"安全保障"としたのも資源を100%近く輸入に頼っている状態が異常だと考えなければならない。石油が安いうちは良かったのかもしれない。しかし、現在は新興国の急速な経済成長による資源重要、マネーゲームによる資源価格の乱高下、中東地域の政情不安。我々は日常生活に至るまで外国の要因に振り回されているのである。
    輸入地域の分散と技術の発展に加えて、新たなるエネルギーのオプションを持たなければならないのではないか?

    財界では反対だが評者は環境税に賛成である。ただし、環境税の税収は燃料電池への思い切った補助金や省エネ住宅への減税といった環境社会インフラに使わなければならないと考える。
    日本の産業構造が停滞している現在、政治が舵を切れるか?環境投資を地球環境だけではなく、安全保障にまで捉えられるか?大きな局面にあるかもしれない。

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著者プロフィール

1947年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究課程修了後、三井物産入社。調査部、業務部を経て、ブルッキングス研究所に出向。その後三井物産ワシントン事務所所長、三井物産常務執行役員等を歴任。現在は日本総合研究所会長、多摩大学学長。著書に『人間と宗教』『日本再生の基軸』(岩波書店)、『ユニオンジャックの矢~大英帝国のネットワーク戦略』『大中華圏~ネットワーク型世界観から中国の本質に迫る』(NHK出版)、『若き日本の肖像』『20世紀と格闘した先人たち』(新潮社)他多数。

「2022年 『ダビデの星を見つめて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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