「アメリカ社会」入門 英国人ニューヨークに住む (生活人新書)

  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140882931

作品紹介・あらすじ

ニューヨーカーたちは思いのほか丁寧で愛想もいい。でも、心しなくては。その親切な仮面の下では、何か巧妙な悪だくみが進行しているかもしれないから。「ニッポン社会」への入門を無事果たした英国人ジャーナリストの次なるターゲットはアメリカだった。スポーツ、ユーモア、社交、格差、幸福感…。母国イギリスとのさまざまな比較から見えてきた「アメリカ社会」の意外な素顔とは。

感想・レビュー・書評

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  • 元ニューズウィークジャパン記者のイギリス人が、アメリカ社会を皮肉交じりにみたもの。
    ワシントンの寓話から「アメリカ人は責任を取らない」と言ったり、階級を無視した「自己責任論」に疑問を唱えたり、ネットワーキングの功利さに文句を言ったりと、面白ろおかしく書きながらもうなずけるものが多い。
    逆説的に言う「アメリカ人とイギリス人はいずれの面でも同一である、ただ言語を除けば」は、イギリス人ならではの感性。

  • 一イギリス人が書いたニューヨーク社会の評論。定説であったり、確かなデータはないためあくまで一イギリス人の所感に留まる。凡作。

  • ナイーブな英国人ジャーナリストから見た、ユーモアと皮肉を交えたアメリカ人像。本書を読むと、アメリカ人のユニークさが良く分かるとともに、英国人と日本人の感性に共通点が多いことにも気付かされる。

  • 特に驚かされるトピックはなかったのは、イギリスに比べてアメリカの情報に多く触れているからだと思っている.アメリカの英語が上手く話せないという第10章の記述は納得できるものだ.アメリカ英語に慣れていると、イギリスの英語は聞き取りにくく、特にエリザベス女王の英語は難しい.

  • 日本社会入門ほどは面白くなかった。多分、文化とかが違いすぎて分かりにくいんだと思う。「ある、ある!」みたいなのがなかったし、日本版ほどのコリンさんの愛をアメリカ版には感じなかった。

  • 英国出身で日本で15年間に渡る記者生活を送った著者による米国見聞録。一口に「英米」と総称される2国ですが、中の人的には近い分のへだたりも感じられるようで、著者は、アメリカ英語より日本語のほうがまだうまく話せるとまで語っています。

    なんとなく外人一般は明るく快活なものだとのイメージがありますが、実はそれはアメリカ人特有のものだそうで、イギリス人の著者はやたらに話しかけてくるニューヨーカーに戸惑ったりもしています。

    イギリス的な奥深い皮肉と、アメリカ的なわかりやすさ。下記引用1つめのエピソードは片田先生の"プライドが高くて迷惑な人"にも通じる精神病理の現れとしても興味深いところ。

    ○謝罪がないくらいならまだいい方で、本来なら謝罪すべき人が逆に怒り出すことも多々ある。面白いことに、その人の落ち度が大きければ大きいほど、怒りの度合いも大きくなるようだ。言葉に怒気を含ませることで、相手に「悪いのはむしろ自分の方だ」と思い込ませようというのだろう。

    ○"That's what she said."(そう彼女は言ったんだ)は、誰かが意図せず性的な意味にも取れる発言をしたとき、それをまぜっ返すのに使う表現だ。たとえばある人が「うわ、君のは大きいね」などと口にしたら、すかさず横から"That's what she said."と言ってやるのである。イギリスでは、このようなときに"As the actress said to the bishop."(女優は司教にそう言った)と言う。

    ○ぼくが『ザ・シンプソンズ』で印象に残っているのは、母親のマーサがビジネスとしてプレッツェルの販売を始める話だ。夫のホーマーは、妻の行動に心を動かされる。「アメリカじゃ、スナック類はもう飽和状態だ。そこへ君はまたひとつ塩辛いお菓子を押し込もうとするんだね」。また、彼はアメリカ人の労働倫理や労使関係についてもコメントする。「たとえ仕事が気に入らなくても、ストライキはしない。毎日きちんと会社に行って、いい加減に仕事をする。これがアメリカ流さ」。

  • 普通に面白い

  • イギリス人から見るアメリカ 両者の違いが楽しい 比較によってアメリカ人の特徴が良くわかる

  • p.57 ぼくは、多くのイギリス人の考えとはちがって、アメリカ人は皮肉を言わないわけではないと思う。イギリス人と皮肉の言い方が違うだけだ。イギリスでは、自分が冗談を言っていることを表現や声の調子に出すことなく、機知に富んだ言葉で口にするのが高く評価される。アメリカでは全く逆だ。きつい皮肉を言っても構わないのだが、そのときは目配せをしたり、笑みを浮かべたり、あるいは大げさな口調で言ったりなどして、それが皮肉であることを示さなければならない。それに、皮肉を言っていい時と場合がある。アメリカ人は、ふだんの会話では皮肉はあまり用いないようだ。

     さらに困ったことに、アメリカ人は「いま自分は冗談を言っています」ということを、まったく面白くない方法で相手に告げる。「いや、冗談」というような調子で、文末に ”not” とひと言付け足すのだ。こんな馬鹿げた、うんざりするような言い回しをイギリス人が仮に使うことがあるとしたら、こうした冗談を言ったアメリカ人相手に「そりゃ面白い。いや、冗談」と切り返すときくらいだろう。


    p.84 アメリカ社会の基本的な特徴のひとつは、誰も責任を負おうとしないことだ。この国の弁護士の数を見ればいい。彼らは、あらゆる訴訟に首を突っ込んできては、さまざまな主張や反論をくり広げる。かくして、どんな犯罪も、はてしない申し開きや自己弁護なしには決して裁かれないことになってしまうのである。たとえば、この国では、クルマで人をはねてしまっても、謝ったりしてはいけないとよく言われる。謝罪でもしようものなら、自分の落ち度を認めたことになるからだ。


    p.92 アメリカ社会に巨大な貧富の格差があることは、よく指摘されている。しかし、僕にとって驚きなのは、たいていのアメリカ人がこの格差にいかに平気でいるかということの方である。アメリカ人の考えでは、誰でも人生のチャンスは平等なのだから、お金持ちはそれに見合う努力を積み重ねてきたのだろうし、貧しい暮らしをしている原因はその人自身にあるということになるのだろう。自分が成功できたのは、恵まれた条件、たとえば親に資産があって教育に十分な費用をかけてもらえる環境で育ったことのお陰も大きいなど考える人はあまり多くない。

     低収入にあえぐ人びと自身も、富裕層に対して驚くほどやさしい。というのも、彼らは富裕層の暮らしぶりを、自分もしくは自分の子どもたちがいつの日かたどり着ける目標と見ているからである。


    p.150 たしかに、英米人はお互いの英語を、99パーセント理解できる。しかし、面白いことは決まって、残りの1パーセントの部分で起きるものだ。素晴らしく機知に富んだオスカー・ワイルドは、通念をひっくり返して、こう述べている。「アメリカ人とイギリス人は、あらゆる点で同一である。ただし、言語だけは例外であるのはいうまでもない」


    p.157 "That's what she said." (「そう彼女は言ったんだ」)は、誰かが意図せずに性的な意味にも取れる発言をしたとき、それをまぜっ返すのに使う表現だ。たとえば、ある人が「うわ、君のは大きいね」などと口にしたら、すかさず横から "That's what she said." と言ってやるのである。イギリスでは、このようなときに "As the actress said to the bishop."(「女優は司教にそう言った」)と言う。僕は何度もアメリカ人に、イギリス流の言い回しの方が良く出来ていると言い張ったのだが、残念ながら、アメリカでは広まることはなさそうだ。

  • 前半はなかなか面白く読めた。何かを学ぶという本ではない。暇つぶしに丁度良い。

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著者プロフィール

1970年イギリス生まれ。オックスフォード大学のセント・アンズ・カレッジで古代・近代史を専攻。卒業後は神戸で日本語を学び、イギリスの新聞の東京特派員を務めた。著書に『「ニッポン社会」入門』、『新「ニッポン社会」入門』、『驚きの英国史』、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの<すきま>』などがある。

「2018年 『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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