父として考える (生活人新書)

  • NHK出版
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感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140883242

作品紹介・あらすじ

娘ができて初めて見えた日本社会の問題点とは?若者の非婚や少子化をいかに乗り越えるか?育児体験の比較から、教育問題や男女のパートナーシップのあり方までを論じ、「子ども手当」など保育支援策を検討。ツイッターなど新メディアを利用した民主主義の新たな可能性まで、今日の知的課題をも浮き上がらせる白熱の討論。

感想・レビュー・書評

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  • 2022.2.24
    ちょっと古い本だが古本屋で手にとった。
    今でも的を得ていると思うし、最大のリスクヘッジはコミュニティとそれを形成する為のコミュニケーションスキルというのは理解できる。

    お2人のお子さんもいまでは高校生くらいか?今時点のお2人の対談も聴いてみたいと思った。

  • 【314冊目】批評家の東浩紀さんと、社会学者の宮台真司さんが父親になられてからの考察を対話形式にしてしたためたもの。2010年出版。論壇では時の人であったこともあり、従来からお二人の議論を追っている人には目新しさはないのかもしれないが、私は興味深く拝読。

     「大きな政府」ではなく「大きな社会」という相互扶助のネットワークを構築していかないといけない。だけど、絆を構築・維持するには相応のコストが必要で、その覚悟が日本人には希薄。今後は個人のスキルを磨くことよりも、スキルのある誰かと繋がれるコミュニケーション能力が大切で、そうした能力を培うことが教育の目的…というのが大まかな議論の流れかな?

     上記議論の多くを構成しているのは宮台氏の主張で、私の印象では、お子さんができたからこう主張しているのではなく従前からのお考えを披瀝しているだけに過ぎなさそう笑。なので、父になったからといって新しい発想に立ったわけではなく、単にこれまでのお考えが強化されただけなのかも。
     本書は後半になるにつれて、「父として考えているのはどの部分?」と首を傾げながら読み進めることが増えるので笑、その点は注意。前半の、子連れでも行きやすい郊外型ショッピングセンター必要論とか、子とのふれ合い時間を増やすために狭小でも職住近接肯定論は、父として考えているのかもしれないです笑

     印象的なのは、子どもを作らない・作れない人は、その分、社会や共同体を維持するためのコストを余計に支払うべきという両氏の主張。これは岸田政権による「異次元の少子化対策」を待つまでもなくツイッター上で散見される「子づれさま」論争への答えのひとつでしょう。子どもがいなければ共同体は維持できないのだから、その負担を保護者にだけ負わせ、子のない方にフリーライドさせることは不公平という主張は、子持ちの方々は口に出さないまでも薄々みんな感じていることなのではないでしょうか…子を持たないことには人それぞれ事情があるので、普通は口にしませんけれど。

     社会階層によって分断された社会に生きるのではなく、様々な背景を持った人々が交流する空間が大切であり、そこで生きるためにコミュニケーション能力が必須のスキルとなるというのが宮台氏の主張。ただ、あとがきではご自身の幼少期(京都にお住まいのころ、ヤクザの子どもとも交わっていたとか。)を論拠にされていて、残念。すでに存在しないものを懐かしみ、「俺が小さい頃は良かった」的懐古主義的な発想という後味になってしまいました。

  • 自分の感じていたことをきちんと説明してもらえたような気になる。私にとって社会学者や哲学者の本を読む意味は詰まるところそういうところにあるのだろう。

    抽象的な思考や概念がどのような私的な体験プラス些細な出来事から生まれてきているのかを語っているので、非常にわかりやすく腑に落ちる。私自身、結婚して家を持とうとして土地を探し始めた時、余りに人工的な空間に息が詰まるような気持ちがして、結局ある程度ごちゃごちゃした一言で言えばいろんな人が住んでいる今の土地を選んだ。
    それぞれの年齢や立場に応じて、土地に対する評価も変わってくることをお二人が自分の変化として語っており、人生のライフステージで、均質な空間が心地よい時期もあればそうで無いときもあり、ということ。

    あえて、お二人が言葉にしていないことをここで書こうと思うのだが、子育ては何物にも変えがたい経験だということ。そしてそれを語ることの大切さ、。そういう表現は出てこないし、正面切ってそう語っているわけでは無いのだが、言葉の端端から、そしてお二人の思考が複線化していることから、それを伺い知ることができる。
    子育ての有意義さについて語ればすぐ子供のいない人生を否定するのかという批判に晒されてしまうのだが、何も言えなくなってしまわずに自分の変化として子育てについてきちんと語っていくことは大切だと思う。それこそが少子化対策への第一歩だと思うのだが...

  • 東と北田暁大が編集を担当している『思想地図』(NHK出版)に収録された対談に、あらたにおこなわれた対談を増補した本です。

    最初のほうでは、ともに幼い娘をさずかった両者が、それぞれの子育てにおける体験などを語りあっていますが、しだいに日本社会の現状を批判し、あるべき共同体のかたちについての議論へとシフトしていきます。ただし、基本的には宮台が議論をリードしており、『一般意志2.0―ルソー、フロイト、グーグル』(講談社文庫)で社会思想を展開した東は、最初のほうでショッピング・モールの意義についてすこし独自の見解を語っているほかには、あまり踏み込んだ議論を展開していません。

    宮台の議論は、「コミュニケーション・スキルを磨け」といっていたころとおなじ主張を社会のありかたにまで敷衍したもので、首尾一貫していることはよいのかもしれませんが、彼にとって父になったことはけっきょくのところ従来の彼自身の立場を確認するためのものでしかなかったのかという疑問もおぼえます。

  • 子育ての方かと思ったが、もっと広い視座をもって社会全体のことを考えた本であった。
    不景気の時にかかれたものであるが、現在対談したらどうなるであろう。
    なお、ツイッターの効用については、先見の明があると思う。

  • 対談が「父として」を超えてその周辺テーマ・領域を広く縦横無尽に語られているのが面白い。しかし、良く読んでみると出発点はやはり「父として」であり、その微妙さ加減が興味深い。対談という形式によって、お二人の特徴も良く表れていると思う。

  • 父になったら、子供の成育環境には嫌でも興味がわきますわな。しかしあの宮台真司がねぇ、と思いながら興味深く読めました。公立小中高を出た公立至上主義としては、共感する点が多かった。

  • 長時間電車に乗るから気軽に読めるかなーと思って持ってったんだけど、読み終わったときには気が滅入ってた。
    コミュニケーション能力が必要ってことはわかるけど、そんなものはないのでもうしょうがない。

  • 非常に難しい単語も多いが、知的好奇心を満足させる一冊

  • お二人も自覚している通りタイトルのような話はほとんどなく。アタマのいい人たちの雑談。小説を読む気分じゃないとき用。

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著者プロフィール

1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015)、『観光客の哲学』(第71回毎日出版文化賞)、『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』など。

「2023年 『ゲンロン15』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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