つながりの作法 同じでもなく 違うでもなく (生活人新書)

  • NHK出版
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レビュー : 41
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140883358

感想・レビュー・書評

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  • アスペルガー症候群と脳性まひというそれぞれの障害によって、世界や他者との「つながり」に困難を抱えてきた二人の障害当事者が、「マイノリティのコミュニティにおけるつながりの問題点」を経由し、「コミュニティの『つながりの作法』としての『当事者研究』の可能性」を考察する。

    人と人とが互いの違いを認めた上でなお、つながるために必要なことは何か?

    広い意味で「チームワーク」「チームビルディング」などを考えている人にヒントがある本だと思います。

    第五章の「『没入と俯瞰』の二重性」という節が、腑に落ちました。174-177ページ。

    「また、当時べてるの家に留学中だった宮西勝子さんが学会のワークショップで「当事者研究に向いている人は?」と問われた時、「笑われた時に怒るのではなく、『よし! やった!』と思える人です」と答えたのが印象的だった。渦中に片足をつっこみ、しかし半ば俯瞰された自分語りが、聴衆の笑いを誘う。その笑いの中に込められた「違うのに同じ」という感覚が、つながりの実感をもたらすのだろう。」p.176

    障害を克服しなければならない課題とみなす「治療の論理」、理解のない社会に団結して対抗しようとする「運動の論理」。
    そのどちらとも距離を置く「研究の論理」でつながる心地よさが興味深い。

  • “つながれないさみしさ”(綾屋さん)と、(熊谷先生)“つながりすぎる苦しみ”について述べられている。画期的だと思った。つながりが希薄すぎても濃密すぎても似たような支障がでてくる。

    「あふれる刺激」→「ほどける私」→「感覚飽和」→「全体像を見失う」…とても共感した。家電売り場、ドンキホーテなど情報量が多い場所に行くと、あまりの刺激の多さに自分がどこにいて、何をしているのかわからなくなることがある。残念なことに中高の修学旅行も同じ現象が起こってしまいグロッキーでした(涙)綾屋さんが感覚過敏と感覚鈍麻の過程を詳細に説明してくれているので、「そうそう。この感じ」と、一人でうなづいてました。代弁してもらった気分です。

    この新書は綾屋さんと熊谷先生の共著なのですが、熊谷先生の章は情報が濃くて専門的で難しい。(けど図解が多いので助かります)貴重なことに介助される側の心理を知ることができるので、介護している時に読みたかったです。

    つながりの作法
    ①世界や自己のイメージを共有すること
    ②実験的日常を共有すること
    ③暫定的な「等身大の自分」を共有すること
    ④「二重性と偶然性」で共有すること
    (第5章がメインディッシュになっている)

    共有であまり思いをしたことないのだけど適切な共有が大切。「言いぱなっし聞きっぱなっし空間」は、あると理想的だと思う。どんな優れた空間でも、わかりあえた喜びが差異になって苦しみに変わる…。それを一人で抱え込まずに差異を越えた共通感覚をはぐくみ、その偶然性に気がつくこと。(とても深い…)

    あとがきの自閉症診断増加の説明も興味深い。
    難しいけど読んで良かった。再読したい。

  • ある方からお借りした。
    かなり興味深い内容だったので、注文。(地方都市の本屋には、残念ながら在庫がなかった……)

    綾屋さんの本は『前略、離婚を決めました。』も違う方からお借りして読んだが、合わせて購入に値する本だと思う。

    発達障害を持つ綾屋さん、脳性まひを持つ熊谷さん共著で、それぞれの視点からのコミュニティに対する考えが読める。
    影響し合い、まとめられた二人の意見は大変参考になる。

  • 面白い!
    最近、自閉症の人が周囲の環境からどういう刺激を受けているのか、テレビなどで可視化されているが、この本はその先駆け。

    それだけではなく、当事者研究の豊かな可能性を示している。

    生きづらさを感じている人が生きやすい世の中に
    なるヒントであり、健常者、マジョリティと思っている
    自分も「地続き」であることを気づかせてくれる。

  • 当事者による自閉症の説明
    「バラバラな情報の大量のインプット」
    とても分かりやすい

    自閉症と診断される人が増えていることについて
    ウイルスでもなく、ワクチンでもなく
    社会の変化

  • 図書館で借りて1回読んだけど、落ちついて、またゆっくり読みたいから買おうかな。いい本なのに地元図書館がこれを持っていないのは問題だから、地元にリクエストを出そうかな。
    マイノリティが人とつながるための3段階の話は、障害の有無に関係なく役立ちそうです。有形無形のたくさんの集団に属して私たちは暮らしており、そのどこでいつマイノリティになるかわからないのですから。

  • 抽象的で難しい本だった。
    綾屋さんのあまりに細かな語りには、なぜか同族嫌悪的な苛立ちも感じた。(ここは言語化が難しい)
    終盤にある「話さねばならない責任」というくだりが胸に沁みた。問題を開示せず不機嫌に振る舞うことは相手を脅かす。沈黙は加害行為。
    その後の何度も話すことを肯定する引用の一文も好きだ。「同じ話ができるようじゃないとよくならないわよね」


  • 過剰につながれない綾屋と,過剰につながりすぎる熊谷の両氏が,それぞれの立場から,多様な他者を他者として認めた上でどのようにつながれるのかを考察した一冊。
    
    どのようにしたらつながることができるのか(つながりの作法)についての著者らの考えは大きく4つにまとめられる。
    
    1. 世界や自己のイメージを共有すること
    2. 実験的日常を共有すること
    3. 暫定的な「等身大の自分」を共有すること
    4. 「二重性と偶然性」で共感すること
    
    これらのポイントはなかなか実践するには困難があるものの,ポイント自体は納得できるものであるので,興味のある人は本書で確認してみてほしい。
    
    個人的にはつながりの作法よりも当事者研究の成果としての本書に感銘を受けた。
    
    ・自分の経験を経験として終わらせず,体系化した「知識」にまで昇華し,他者と共有できる形にしたこと
    
    ・その「知識」を得るために,自身の経験をどのように捉えたら良いのかについての視点
    
    ・両極の経験から同じ現象を考える方法
    
    など,自分の悩みをモヤモヤした曖昧なものに終わらせず,悩みを解消し,あわよくば他者の悩みを解消するきっかけになるものへと発展させている。本書で最も魅力的に感じたのはその点である。
    
    読めば読むほど,つながるのが簡単ではないと感じるかもしれないが,味の出る一冊であるように思う。

  • 社会

  • アスペルガー症候群と脳性麻痺の二人が、マイノリティの立場で自らの事情や経験を語り、外界の人々(マジョリティ=「健常者」)との繋がり方を述べたもの。個人個人をみていくと究極的にはその人一人であり、誰もがマイノリティとも言える。また、多様性や変化を善しとする社会においては、主流であることすら大変な作業であり、そうでない人々があたかも落伍しているような捉え方すらある。このような中で人々とつながることの大変さを正直に述べ、成功体験、工夫、ある種の諦めなどを使い分け、最悪の事態を避けている著者らの社会に向き合う姿勢がとても参考になる。

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著者プロフィール

自閉スペクトラム当事者。発達障害者が参加・運営する当事者研究会「おとえもじて」主催。東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程。
精神障害や発達障害など、外側からは見えにくい症状を内側から記述し、仲間と共に自らのメカニズムを探っていく「当事者研究」を行っている。2011 年より定期的な当事者研究会を開催中。発達障害者にとって居心地の良いコミュニケーションスタイルは何かを模索している。
著書『発達障害当事者研究―ゆっくりていねいにつながりたい』(熊谷晋一郎氏との共著、医学書院、2008)、『つながりの作法 --同じでもなく違うでもなく』(共著、日本放送出版協会、2010)、『増補 前略、離婚を決めました』(イーストプレス、2012)など。

「2018年 『ソーシャル・マジョリティ研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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