<眠り>をめぐるミステリー 睡眠の不思議から脳を読み解く (NHK出版新書)
- NHK出版 (2012年2月8日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140883723
作品紹介・あらすじ
現代人がおろそかにしがちな"睡眠"。日本では5人に1人がなんらかの問題を抱えているとされている。そもそも、人はなぜ眠らなければならないのか。そのとき脳では何が起きているのか。本書は、まったく眠ることができなくなる不眠病や、眠りながら複雑怪奇な行動をする夢遊病など、眠りにまつわる不思議な生理現象や症例を通して、最新の脳科学の知見から、我々が生きる上で不可欠な"睡眠"の謎を解き明かす。
感想・レビュー・書評
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動物が進化の過程で捨て去らなかった〈眠る〉というシステム。捨て去らなかったのは、必要があったからである。
「睡眠」はどのようなシステムで成り立っているのか?現在分かってきたことを知るだけでも、相当に面白い。「睡眠」を知ることは、「脳」を知ることにも繋がる。 -
“睡眠の不思議から脳を読み解く”という副題が付いているように、睡眠に関する脳科学の本。
ミステリーとあったので、睡眠・夢についての実例が沢山あるのでは?と期待したけれど、期待するほどではなかった。
それでも「睡眠中に活動する人々-ノンレムパラソムニア」の章は面白く読んだ。
いわゆる「夢遊病」で、脳が深く眠っていて、意識がない状態で行動を起こしてしまう。食事を摂ったり、料理までしたり、絵を描いたり、果ては殺人まで起こしたりもする。殺人については、全くの無意識での行動なので、別人格が起こしたものと判断され、無罪になったりもしている。
ここでふと思い出したのは、「名探偵コナン」の毛利小五郎。コナン君が打った麻酔銃で眠っている間に、毛利小五郎が名推理を語るという形をとっているけれど、どう考えても「アリエナイ」ことで、それを他の登場人物や毛利小五郎自身も不思議に思わないのは、皆が「毛利小五郎は多分ノンレムパラソムニアなのだろう」と思っているからなのだ!と想像してしまった。普段はトンチンカンな推理しかしない毛利小五郎も、眠っている間に別人格になって、無意識にすごい推理をしちゃってることになっているのね。
コナン君、そこまで考えて麻酔銃を打っているんだろうか??? -
よく眠ることによって学習効果や良い思い出は記憶として定着し、悪い記憶は消え去っていく。睡眠を大事にすべし
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オレキシンがモノアミン動作性ニューロンを活性化し覚醒。
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眠りをテーマに、脳の仕組みを解説している本。専門用語も出てきて、割と科学的な理系な本だが、文学、音楽、映画の話題も時々出てきて、文系な魅力もハイブリットで楽しめる本。
眠りの段階(レム睡眠、ノンレム睡眠1~4)の脳の状態をわかりやすく説明している。
また、睡眠に関する病気からの脳の働きを説明している部分が面白い。
文学関連では、色川武大の睡眠障害の話から、まだ読んだことがない、色川武大の小説を読んでみたくなった。(麻雀放浪記の映画しか見たことない)
また、改めて漱石の夢十夜の深淵さを感じた。
泳ぎつづけながら、片方の脳づつ眠れるイルカはものすごい器用に、生き続けているんだなと感じた。 -
眠りについていままで知らなかったことが学べた。少し怖い話もあったが、それも含めて睡眠に関心を持つことの大切さはわかった。夢にももう少し興味を持ってみよう。
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「睡眠の科学」と重なるところが多いけど、こちらの方が読みやすい。先にこっち読めばよかったな。
眠りに関連する映画や音楽などの解説が、巻末に収録されててちょっと面白かった。
【ちょっとメモ】
●レム睡眠
・前頭前野の機能は低下するが脳は活性化。
・感情を司る大脳辺縁系が活動。
→記憶の断片の重要性、重みづけによる分類と整理
その過程におけるノイズが夢(本来は意識にのぼらないはずのもの)
・骨格筋の弛緩(麻痺)が起こる(夢のままに行動しないように)。→金縛り
前頭前野(運転手)がいない状態で大脳(エンジン)を活動させるため、暴走を防ぐ必要がある。エンジンを空ぶかしするためにギアをニュートラルに入れた状態。
●ノンレム睡眠
脳は活動休止。
シナプスの最適化→記憶の固定化、最適化
(たこ足配線の整理)
●完全な断眠は体重減少につながる。睡眠不足は体重増加につながる。(睡眠不足になるとレプチン(食欲抑制ホルモン)が減り、グレリン(食欲亢進ホルモン)が増える)
●植物状態や麻酔状態は大脳皮質の直接の機能低下
●睡眠や脳死は脳巻の機能低下
によって、意識がなくなっている。
著者プロフィール
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