「調べる」論 しつこさで壁を破った20人 (NHK出版新書)

著者 :
  • NHK出版
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感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140883877

作品紹介・あらすじ

プロの資質としての「しつこさ」は、その調べ方に表れる。科学者、弁護士から、狂言師、漫画家まで、多様な職種の人に聞いた調査の実態は、意外に人間臭いものだった-。彼らがつかんだ「発見」とは。正解のない現実と向き合う構えとは。「調べる」という観点から、仕事のしんどさと光明を鮮やかに切りだしたインタビュー集。

感想・レビュー・書評

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  • ありそうでなかった一冊

  • 様々な職種、学者、医者、狂言師、漫画家、雑誌編集者など20人の方を著者がインタービューしたものをまとめたもの。取材者の言葉は消してあり、一人一人の思いが伝わりやすいように構成されていて読みやすい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「調べる」論って、調べ方の話ですか?
      漫画家や雑誌編集者は調べ倒すだろうと思うのですが、狂言師って、、、
      「調べる」論って、調べ方の話ですか?
      漫画家や雑誌編集者は調べ倒すだろうと思うのですが、狂言師って、、、
      2014/04/28
    • komi333さん
      調べるというよりそれぞれの仕事の接し方という感じです。
      調べるというよりそれぞれの仕事の接し方という感じです。
      2014/04/29
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「それぞれの仕事の接し方」
      ナルホド。。。
      「それぞれの仕事の接し方」
      ナルホド。。。
      2014/05/02
  • PDF
    調べる力

  • 350

    狂言の魅力は、遊び心をいかようにも反映できるところにあります。はじめは型に献め られるところからでも、だんだん、型を超えた芸に抜け出ていける。それこそ、狂言師の ひとつの目標でもあり、最近、僕が楽しくなってきた部分でもあるんです。 若いうちは、技術をいかに見せるかが問われ、年を取ると技術を操る人間そのものが問 われてきます。最近、僕は酔っ払いの役をやるとほんとうにアルコールがまわったように、 顔が少し赤くなるんですね。前は型として酔っているだけで現実味が薄かったのに、今は 次第に型と日常がシンクロするようになってきた。これは、面白いことですよ。

    普段の僕の言動はたまに「型にしか見えない」と言われることもあります。もともと、 狂言の型は非日常的で、体にプログラミングされたものですよね。しかも、サイボーグの ように型を埋め込まれて育ちましたから、どんな動作も型に見えてしまうというのは不思 議ではありません。 しかし、かつては不自然だった型が体になじんできて、型に対して疑いもなくのめりこめるようになった時に、芸に格が出てくるような気がします。 基本がしっかりしていない中でリアルに体を動かしても、かえってウソ まうんですよ。ウソだし、きたないものに見えてしまう。これも、父に教えられたことで でもそういう演技を見せてしまうと「きたない声を出すんじゃない れていましたから。 分をモロに出しても、そのままでは他人は受けとめきれないんです。だか 人を思いやった、露骨ではない動作」が求められるわけで、それが型の美 言わば公共概念というものではないでしょうか?

    型の基本がしっかりしていない中でリアルに体を動かしても、かえってウソに見えてし まうんですよ。ウソだし、きたないものに見えてしまう。これも、父に教えられたことで すね。少しでもそういう演技を見せてしまうと「きたない声を出すんじゃない!」と叱ら れていましたから。 自分をモロに出しても、そのままでは他人は受けとめきれないんです。だから型という 「他人を思いやった、露骨ではない動作」が求められるわけで、それが型の美しさであり、 言わば公共概念というものではないでしょうか?

    また、海外生活が長くなるにつれて痛感したのは、いくら外国語に習熟しても、思考や 認識の源は母語だということ。この実感は、日本のナショナリズム批判に対する疑問につ ながりました。日本でのナショナリズム批判そのものが、日本語のなかの、さらに狭い世 界でしか通用しない日本独特のものだからです。ナショナリズムの批判者たちは意識の上 ではナショナリズムを超えようと言っていながら、存在の上では完全にナショナリストな んですね。

  • 著者: 木村俊介

    【版元】
    発売日 2012年09月11日
    価格 929円(本体860円)
    判型 新書判
    ページ数 288ページ
    商品コード 0088387
    Cコード C0236(社会)
    ISBN 978-4-14-088387-7

    スゴイ人の「調べ方」は、意外に泥臭かった
    プロの資質としての「しつこさ」は、その調べ方に表れる。科学者、弁護士から、狂言師、漫画家まで、多様な職種の人に聞いた調査の実態は、意外に人間臭いものだった――。彼らがつかんだ「発見」とは。正解のない現実と向き合う構えとは。「調べる」という観点から、仕事のしんどさと光明を鮮やかに切りだしたインタビュー集。

     
    木村俊介
    1977年東京都生まれ。インタビュアー。東京大学在学中に立花隆氏のゼミに参加。糸井重里事務所を経て独立。著書に『変人――埴谷雄高の肖像』(文春文庫)、『仕事の話』(文藝春秋)、『物語論』(講談社現代新書)、『料理の旅人』(リトルモア)など。2012年4月よりNHK「NEWS WEB 24」に出演。
    ツイッターアカウントは@shunsukekimura 
    https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000883872012.html


    【簡易目次】
    はじめに [003-008]
    目次 [009-014]

    第一章 調査取材で、一次資料にあたる 015
    「一次情報を、引いた視点で集めたくて」  鈴木智彦 フリーライター 017
    「選挙活動って、やっぱりいやなものでしたよね」  出井康博 ジャーナリスト 026
    「罪深い取材をするからには,まっとうなものを書きたい」  栗原俊雄 毎日新聞学芸部記者 038
    「一五分間で一〇〇〇字を書かなければならない時もある仕事です」  加藤弘士 スポーツ報知プロ野球担当記者 048

    第二章 「世間の誤解」と「現実の状況」の隙間を埋める 059
    「現実の解決策は、面倒な作業の後にしか見つからない」  本田由紀 教育社会学者 061
    「少し前まで、日本に貧困は『ない』とされていたんです」  阿部彩 貧困問題研究者 071
    「情報の流通が、病気への誤解を深める場合もある」  本田美和子 内科医 081
    「本当の話は、何回言っても嘘にならない」  浅川芳裕 雑誌編集者 089

    第三章 膨大なデータや現実をどう解釈するか 099
    「流れに逆らうと、非効率的なお金の使い方になる」  佐々木 融 為替ストラテジスト 101
    「調査は、降りてくる瞬間に一気にまとまるもの」  渡辺 靖 文化人類学者 110
    「世界初の調査ができても、意味を捉えるのが難しい」  佐藤克文 海洋生物学者 117
    「私の役目は、企業が改革を進めるための触媒です」  中田 亨 ヒューマンエラー研究者 135

    第四章 新しいサービスや市場を開拓する 149
    「営業の業務を調べなければならなかった」  宮川淳一 航空機開発者 151
    「M&Aの仕事って、結構、人間臭いですよ」  淵邊善彦 弁護士 161
    「人の話は、評価しながら聞いてはならない」  高木慶子 悲嘆ケアワーカー 175
    「業界の常識を調べ、別の常識を作り上げた」  北村明子 演劇プロデューサー 183

    第五章 自分自身の可能性を調べて発見する 195
    「過去を調べなければ、美しさは生まれない」  野村萬斎 狂言師 197
    「同じ方針を取り続けたら、時代の変化がよくわかりました」  国広 正 弁護士 206
    「知性の本質は、アウトプットに宿るもの」  萱野稔人 哲学者 214
    「調査や経験を、作品にまで高めるために」  田島 隆・東風孝広 漫画家 222

    終章 インタビューを使って調べるということ 243
    人の肉声を使って歴史を記録する 245
    「偉そう」でないのが、聞き書きの魅力 253
    「ほんとうの話」がしたくて 258

    おわりに(二〇一ニ年八月 木村俊介) [276-277]
    初出一覧 [278]

  • 【要約】


    【ノート】

  • なんだか本全体的に、読んだことがある雰囲気だな〜と思ったら、糸井事務所から独立した方の本でした。
    人との対談がなんとなくほぼ日に似ているのだと思う。
    それはさておき、全体としては、調べる論というよりは、
    職業論のような内容(ほぼ日のはたらきたいを思い出した)
    それもまた面白かった。

  • 002.7

  • ◆研究者や漫画家、弁護士やジャーナリスト、「正解のない現実と向き合う」さまざまな人たちは、どのようにして現実と向き合うことになったのか。そしてそこからなにを得たのか。刺激に満ちたインタビュー集です。

    ◆全体的に、一次情報にあたる大切さが強調されていました。ただそれだけでは当たり前のことなのですが、この本では、彼らが一次情報から引き出したもの、あるいは引き出した方法といった、過程のドラマに焦点が当てられています。足で調べまわることもあれば、じっとデータを見ていて、なにかの拍子にそのデータが意味するものがみえてくることもあるようです。そしてそうした発見によって、関係の無いように見えることが思わぬところで関連していることが分かったりして、通説と異なる現実の姿がみえてくるのですね。

    ◆この本は、さまざまな分野での調査の方法を説明するような本ではありません。むしろ調べる(答えのない問いを立て、答えを探す)人たちの人間的なドラマに関心がある方が楽しめる本だと思います。

  • 調べるには、二つの方法がある。人に聞くのと本で読むかだ。この本は、その内の一つ、人に聞く方法「インタビュー」について書かれている。そして、その方法を「本で読む」ことにより得ている。
    筆者は、インタビューを「質問と回答の繰り返しの中から、過去の解釈をやり直すための触媒」だと考えている。
    ほとんど、評価が定まった過去の事実も、無数の過去の記録が集まって作られた過去の記録にすぎない。
    調べることにより、それらの記録の解釈が変化されるかも知れない。

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著者プロフィール

明治大学公共政策大学院教授
東京大学法学部卒業。一橋大学博士(法学)
行政法及び地方行政論を専攻。総務省に入省し,内閣官房参事官(国民保護法担当),総務省大臣官房参事官(財政担当),一橋大学教授等を経て,現在に至る。

「2023年 『パンデミックと行政法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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