日本語と英語 その違いを楽しむ (NHK出版新書)

著者 :
  • NHK出版
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140883914

感想・レビュー・書評

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  • たぶん、日本語と英語の形式や様式についてなんだろう。小説を読んでも伝統的形式や様式ではない、おおやけではないもっと小規模なところでのそれを感じる。プライバシーというかなんというかそういった形式みたいな。

  • 片岡義男は常に真面目に考察を続ける。この本でも、「日本語と英語」の相違と共通点が極めて大真面目に論じられる。故にユーモアがないところが気になるのだが、しかし視点はユニークでこうしたシリアスさの中に遊び心を読むのがまっとうな読み方かもしれない。私なりに「いやそれは違うんじゃないか」と思うところはあるにせよ、マニアックに堕ちすぎない着眼点の鋭さとそこから理知的にマクロな相違を引き出そうとする力は侮れない。私もまた自分なりに「日本語と英語」の相違並びに共通点を考えて、自分なりのインデックスカードを作ろうかと思う

  • 片岡義男さんが、ほとんど英語ネイティブだったとは知らなかった。(ハワイ出身の日系二世の父と日本人の母)
    本書は、片岡さんが気になった長年インデックスカードに書き留めてきた、英語表現、日本語表現を紹介したもの。英語は主語、動詞がきっちりしているのに対し、日本語はそこが曖昧で、状況を表現することを優先しているようだ、などの視点は面白い。ただ、本当にカードに記載されている表現の断片的な紹介だけで、本としてまとまった内容ではないのが残念ではある。

  • なんともストレートな題名だが、ごくありふれた様々な表現を通して両者の違いを興味深く提示している。かつてドライな文体とクールなタイトルを持った魅力的な作品で楽しませてくれた著者ならではの身近な日米比較文化論でもある。

  • 日本語表現のプロが英語表現においてもプロであるということはまずない。両方にネイティブか、それに準じることが前提となるからだ。たとえば村上春樹の翻訳はすばらしいが、だからと言って彼が英語表現を云々することはないだろう。片岡義男のその点で希有な存在だと思う。なぜ日米の表現に、ときにずれが生じるのかがよくわかる。根本には文化の違いがあり、それは歴史に由来するからだ。本書の目的ではないだろうが、テレビの普及とともに、日本においては方言が均質化されつつあるように、外国語、なかでも英語においては今後均質化の道を歩むだろうことにも触れてほしかった。

  • ことば
    英語

  • 英語を学習する人に参考になる本。日本語ユーザーによる英語解説。覚えておくと役に立つフレーズが沢山ある。

  • 著者が長年カードに記録してきた、英語と日本語との対訳を紹介している。なにより驚いたのは、著者がその対訳を説明するさいに用いる日本語のなんと異質なこと。英語化された日本語とでも呼びたくなるような日本語だった。
    ちなみに、たまたま、鴨長明の「方丈庵」のレプリカを下鴨神社に見に行った今日に読了。本書は「方丈記」の英訳版について言及しているが、そのなんと論理的で理解しやすいこと。しかし、方丈庵を見る限り、そこにはむしろ不条理があった。どうしてこんなみすぼらしい家に住まうのか。そこには、日本語のもってまわった表現の不条理さと通ずるものがあった。

  • この言葉、訳すにはどうしたらいいだろう?どう言えば伝わるだろう? このニュアンスは伝わるだろうか? の軌跡。違う言語の違う感じがどういうところにあるのか色々と手元のメモを読み解く形で書かれてある。断片化しているので読みやすい。様々なニュアンスの違いがあり英語の勉強をこれから始める人に発想の点てそもそも違いがあることがよくわかるかもしれない。

  •  何か英語を使う時の根本的なピント合わせに繋がるようなヒントを期待していたのだが、残念ながらその手のヒントはあまり得られなかった。 ただ、日本語は状態を描き、英語は行動を描くというイメージは、今後時間と共にその感覚が掴めれば大きな助けになりそうな気がする。

     本書を本で何より感じたのが、ひとつの確固たるマザータングを持たないことの哀愁。 言語は世界の捉え方を代表するものであり、バイリンガルであることは異なる認識世界をより自由に行き来することを可能にしてくれる。 それはそれで素敵なことだ。 ただ、おそらく世界中の多くの人が無意識に享受している「共有の喜び」の中には、マザータングに基づくあるひとつの認識世界を深く深く、それ以外の認識世界がまるで不自然に思えるほど深く身に染み込ませることでしか生まれないものもある気がするのだ。 言語に限った話じゃない。 マルチカルチャーの環境で育つことで失ってしまうものは、たぶん間違いなくある。 でも、それと引き換えに得られたものに目を向けて生きてゆくしかないんだよなぁ。

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著者プロフィール

1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始める。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『日本語の外へ』『万年筆インク紙』『珈琲が呼ぶ』『窓の外を見てください』『いつも来る女の人』『言葉の人生』ほか多数の著書がある。

「2022年 『これでいくほかないのよ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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