知の逆転 (NHK出版新書)

  • NHK出版
3.83
  • (306)
  • (571)
  • (369)
  • (57)
  • (18)
本棚登録 : 4817
感想 : 514
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140883952

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • この本は、各分野の天才と言われる人達へのインタビューが本になったものです。
    めちゃくちゃ凄い人達の話が聞けるというのは、とても貴重なことだと思います。
    普通に生きていたら、会うことさえないような「知の巨人」達の話は、とても参考になりました。
    あと、インタビューしている吉成真由美さんも、天才ですね❕
    ぜひぜひ読んでみてください。

  • 約10年前の本であるが、政治、経済、環境、教育等の諸々の課題に対する知の巨人たちの提言・至言には首肯する他はない。6人が共通して無宗教という点も見逃せない...。あぁ、これは、経済至上主義が切り捨ててきた非労働力層としての高齢者の存在価値を見直す書なのだ。近所の物知りおじいさん、おばあさんも大切にしよう。

  • ☆4(付箋20枚/P301→割合6.64%)

    人選がグレート。こんな本が、あるんだ。

    ジャレド・ダイアモンド
    思い煩うことはない。人生は無意味なのだ。 ―サマセット・モーム

    ・(この地理的な要素というのは今後も重要な役割を果たしていくのでしょうか。もしそうだとすると、どのようなかたちでそれが現れてくるのでしょう。)
    二つの理由から今後も地理的な要素は重要な役割を果たしていくと考えられます。一つは現時点における地理で、もう一つは歴史的な観点から見た地理です。
    現時点では地理はまだ重要な役割を果たしています。アフリカが最も貧しい大陸であるのは、それ全体がほぼ熱帯気候であるからで、熱帯地方には、公衆衛生上の問題や、マラリア、黄熱病といった病気、土地が不毛であることなど、いくつもの大きな問題があります。アフリカの土地は日本の土地に比べてはるかに不毛で、今後も将来にわたってこの事実は変わらないでしょうし、またアフリカは公衆衛生面で、常に日本より多くの問題に対応していかなければならないでしょう。

    ・文明崩壊の五要素。
    ①環境に対する取り返しのつかない人為的な影響
    ②気候の変化
    ③敵対する近隣諸国との対立
    ④友好国からの疎遠
    ⑤環境問題に対する誤った対処

    ・日本では、歴史的には徳川幕府が森林の保存に成功して、人口増加にともなう日本列島の環境破壊を未然に防ぎましたが、イースター島では、最後の一本の木まで伐り倒されて、食料にする動物や鳥も消え、魚を獲るためのカヌーも作れず、ついには食人にまで追い詰められて、社会が崩壊してしまった。

    ・私はパプア・ニューギニアで長年調査研究を行ってきました。あそこでは理想に燃えて高等教育制度を導入しましたが、素晴らしくうまくいったものとかえって裏目に出たものがあります。多くの若いニューギニア人は小、中、高等学校まで教育をうけます。しかし、高等学校までの教育では、現代社会で良い職業に就くことは難しく、かといってこの教育を受けるために村を離れてしまっているので、農業に就くためのノウハウも習得していないわけです。ニューギニアで農業を営むのはたいへん複雑な作業になります。ですから中、高までの教育では、現代社会での職を見つけられず、またニューギニアで農業を営むこともできないということで、国家的な悲劇を生む結果になっているのです。

    ノーム・チョムスキー
    博学はまだ判断ではない。 ―ゲーテ

    ・アメリカは資本主義の国ということになっている。人々はコンピュータを使い、インターネットを使い、飛行機に乗り、薬を飲みます。では人々が使うほとんど全てのものはどこから来たのかというと、実は経済の公共部門から出てきたもの、つまりもともと税金によって、政府のプロジェクトとして開発されたものなのです。アメリカでは経済の公共部門は非常に強力で、MITはその中心とも言えるでしょう。

    ・もし「核抑止力」を本気で考えるのであれば、イランの核兵器開発を歓迎すべきだということになります。イランはアメリカの軍事基地に囲まれて、常に脅威にさらされているので、「核抑止」の典型的なモデルになりえる。アラブ世界の大部分は、イランが核武装すべきだと考えているのに、アメリカはそう思っていない。なぜなら、アメリカは本気で「核抑止」など考えてはいないからです。

    ・(人間の欲望を制御して、お互いに平和な関係を維持するためには武装することも必要になるのではありませんか。)
    もし平和的な関係というものが、互いを破壊する能力と、わずかでもそれが行使される可能性のうえに成り立っているのであれば、われわれはもうおしまいです。完全なる支配体制を築くのでない限り、軍事力は平和をもたらしません。

    ・先の(2010年の)中間選挙を見てください。当選した共和党議員の大部分が、地球温暖化を否定しています。主要委員会の若い共和党リーダーは、「そんなことが起こるわけがない。神が許すわけがないから」と言ったのです。

    ・「イラクに何が起こったかを目撃したあとで、もしイランが核兵器を開発しないとしたら、彼らはまともじゃない」
    ―マーチン・ファン・クレフェルト(イスラエル右翼軍事家)

    オリバー・サックス
    人生は経験だ。経験は多いほどいい。 ―ラルフ・ワルド・エマーソン

    ・共通しているのは、リズムとテンポという音楽のビート(拍子)の部分が重要だということです。人間の神経系は、音楽のビートに思わず反応してしまいます。小さな子供を見ていると、実際に鳴っている音楽もしくは想像の中で鳴っている音楽に合わせて、自然とダンスしています。音楽のビートに対してこのように反応する他の霊長類はありません。チンパンジーも犬もできません。

    ・「最も高い教育を受けた者たちの中で、一番幸福なのは科学者である。なぜなら、彼らの脳は仕事の内容で一杯で、感情面では非常にシンプルでいられる。あまりにシンプルなので、食べることや結婚することなどに楽しみを見出せるほどだ(笑)」―バートランド・ラッセル

    ・その昔ソクラテスは「書く」ことを拒絶していました。だから彼は一言も記述していない。弟子のプラトンのほうはもちろんのべつまくなし書いていたわけですが。ソクラテスは「書く」ことで記憶や会話というものが失われてしまうことを恐れていました。

    マービン・ミンスキー
    人生は自分探しじゃない、自分作りだ。 ―ジョージ・バーナード・ショー

    ・ほとんどのコミュニケーションには、新しい情報はほんのわずかしか入っていない。たいていの人は、情報を伝えるためにではなく、自分が安全な人間であることを示すために会話をしている。

    ・1980年といえば、その前年にアメリカのスリーマイル島で原子力発電所が故障して、誰も修復作業のために中に入ることができない、という事態が発生しました。そこで、人が入ることはできなくても、リモコン操作できるロボットを送り込むことは、比較的容易にできるはずだ、ということを説明したんです。ところが約30年を経て、全く同じ自体が起こっているんですね。

    ・チェスのようなものは、実はコンピュータにとっては非常に易しい問題なんです。人間は一度に七つの数字しか覚えられないけれど、コンピュータは数千分の一秒の間に100万もの数字を扱うことができる。人間にとって難しいこと、たとえばある種の数学などは、コンピュータにとっては実に簡単なんだけれども、そういうことが人々を感心させる。
    最も重要なことは、まずコンピュータに、人間の子供にできるレベルのことができるようにする。そこから成長させていけばいい。

    ・莫大な例をデータベース化することで、どれくらい言語の翻訳に進歩があったかを見てみるといいでしょう。ネット上では、膨大な数の文章がありますから、統計的な照合システムがあれば、ある普通の文章をデータベースの中から探してくることはほぼ問題なくできるでしょう。シンプルな表現であれば、自動翻訳は簡単で十分なものになってきました。
    しかし、複雑な文章であったり、「ある理論が、ある種の問題には対応できない」というような内容であった場合、自動翻訳機はこの「Not」を理解することができない。なんらかの「否定」が入っていることはわかっても、文章の内容を理解しているわけではないので、正しく翻訳することができないわけです。

    ・普通の知能の人々がたくさん集まって協力すれば、一個人の知能より高い知能を示す行動をする、というようなことが期待をこめてよく言われるけれども、問題は、もちろんそういう場合もあるでしょうが、そうでない場合もあるということです。

    ・ウィキペディアというのは、初心者には便利です。私が知らなかったことについて調べようとするとき、とても役に立ちます。しかし私の知っている事柄についてウィキペディアを見てみると、たくさんの間違いがあることに気づくわけです。

    ・「感情」というのは非常に単純な動物でも持っている。ある状態ではとてもお腹がすいているから、食物がほしいと思ってそれが行動を独占する。別の状態では危険を感じる、だから即逃げる。そしてまた別の状態では―というふうに、単純な動物はこういった反応の仕方をするわけです。
    これに対して、哺乳類や鳥類の一部、タコなどの複雑な動物は、状況に応じて実にさまざまな反応の仕方をするわけで、これらを「思考」と呼んでいるのです。

    トム・レイトン
    20年後に人々は、やったことよりやらなかったことを悔いるものだ。だから、綱を放ち港を出、帆を揚げ風をとらえて、探検せよ、夢見よ、発見せよ。 ―マーク・トウェイン

    ・授業で例に使うんですが、n(2)+n+41という数式にn=0を入れてみると、答えは41という素数になります。n=1なら1(2)+1+41で、43で素数。n=2なら4+2+41で、47で素数となり、20回30回とそのまま計算を続けても、答えはいつも素数になります。ビジネスの世界なら、10回も20回も計算せず、数回計算しただけで、「いつも答えは素数になる。それで決まりだ」となる。ところが実際はそうじゃない。nに40や41またはそれ以上の数を入れてみると、答えはもう素数じゃなくなる。

  • 正直なところジャレド・ダイアモンド以外知らない方々だったのですが、世の中の「現在」が見えるという印象でした。
    「教育」について聞いているところが特に面白い。
    チョムスキー、面白かったです。
    逆転?というタイトルの意味は掴めませんでしたが、この方々をまとめてあるのはスゴイ!と思います。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ノーベル賞受賞者の利根川進の伴侶で、元NHKディレクターですから、それなりのネットワークが、、、(単なる憶測です)
      ノーベル賞受賞者の利根川進の伴侶で、元NHKディレクターですから、それなりのネットワークが、、、(単なる憶測です)
      2014/02/20
    • akasakeさん
      nyancomaruさん、
      コメントありがとうございます。
      は~!スゴイ方なのですね(存じ上げませんでした)、世の中にはスゴイ方がいらっ...
      nyancomaruさん、
      コメントありがとうございます。
      は~!スゴイ方なのですね(存じ上げませんでした)、世の中にはスゴイ方がいらっしゃるものですね。
      2014/02/20
  • 著者が利根川進さんの奥さんとは知らずに読み終り、利根川進氏を検索して知りました。道理でワトソンさんが「ススムは....」と言っていたのを了解した訳です。息子さんの死亡の件も検索で知りました。残念です。合掌。

    インタビュー相手全てが、インターネットとウィキペディアについて、その功罪について述べているが、ジェームズ・ワトソン氏が述べている意見が卓見かと思う。また、押し並べて知の巨人達は、〈集合知〉というものを否定していて、個人が〈集合意思〉に埋れてしまう危険性を指摘しているのには考えさせられた。

  • 人選が素晴らしい。インタビューの質も高い。

  • 知ってる人なら知っている(だろう)、豪華な面子を揃えたインタビュー集。

    『銃・病原菌・鉄』の「ジャレド・ダイアモンド」
    言語学者「ノーム・チョムスキー」
    神経学者「オリバー・サックス」
    人工知能の研究者「マービン・ミンスキー」
    アカマイ・テクノロジーズの共同設立者。数学者「トム・レイトン」
    二重らせん構造を発見した分子生物学者「ジェームズ・ワトソン」

    ジャレド・ダイアモンドのインタビューに興味をそそられて購入。他の方々については、恥ずかしながら、かろうじて名前を聞いたことがある程度か、さもなくば誰かわからないという程度であったが、読んでみると、なかなかどうしてエキサイティングであった。

    個人的に特に印象に残ったのは、以下の2つである。

    チョムスキーの資本主義批判。すなわち、市場に任せていると世の中は絶対にうまくいかないとの考え。これは、市場主義経済社会における私たちの常識を揺るがすようでいて、どこかしら「そうかも知れないよなあ」という不思議な納得もあり、「科学」の危険な側面を感じさせる。

    一方、レイトンがインターネット上の交通渋滞を避ける方法を考えるために「n人の人がいて、m個のサーバーがあり、nとmが非常に大きな数字だった場合、みながハッピーに映画にアクセスするにはどれぐらいの時間を必要とするか」という数学的アプローチを用いたこと。これは、「科学」の可能性を感じさせる。

    良くも悪くも、「知」が私たちの社会、生活やものの見方に与える影響は大きい。難しいことを知らなくても生きていける。むしろ、素朴な生活感覚を失わない方がよく生きられる。そういう考えもアリだ。しかし、「知」と格闘してきた巨人たちの姿や言葉も、また魅力的だ。アスリートへのインタビューとちょっと似ているかもしれない。

    たまには知的な刺激を、という人に。

  • 2度目の読了。少し前の本だけど、中身が濃くて、新書の体裁ながら濃密。たまに読みたくなる一冊。

  • ☆☆☆☆
    『知の逆転』(吉成真由美)
    ジャレド・ダイアモンド、ノーム・チョムスキー、オリバー・サックス、マービン・ミンスキー、トム・レイトン、ジェームズ・ワトソン
    上記6名の現代の叡智に吉成真由美が「平和」「資本主義」「人生」「インターネット」「宗教」「教育」という共通の質問をぶつけながら6名の奥深い洞察を引き出してゆく。

    同じ内容の質問であっても、6名の人物の中から読者がもっとも興味があるだろうものを引き出すために、吉成がする問いが素晴らしい。
    それぞれの人物の頭のなかの観念やら、風景やらが良く伝わってくる。イメージとしては、6名の偉人を横並びにして同時にCTスキャンを撮り、6つの検査項目の画像データを披露しているような感じだ。(さすがに、どの画像データも常人のものとは違い、問題アリだ)

    個人的にはチョムスキーの「自分から知りたいと思うように励ますのが教育だ」という姿勢と、専門分野である‘言葉に対する考察’に興味を惹かれたのと、
    ジェームズ・ワトソンの『生命とは、分裂・成長することを目的とした、選択され組織化された分子の集まりである』という凝縮された言葉や、『事実の上に立って独立して考える能力が、事実から意味を汲み取ることができる人間にする』という科学者を目指す学生へ向けたと思われる言葉がジェームズ・ワトソンという人物に興味を持たせた。

    如何にしても、インタヴュー集なのでどうしても尺が短く、伝わってきた熱は微かなものにとどまってしまっている。
    それぞれの偉人の頭の中を旅するには、それぞれの人物の著書を読むことになる。
    是非、ノーム・チョムスキー、オリバー・サックス、ジェームズ・ワトソンの著書をトライしてみよう。
    2017/04/29

  • 20世紀の世界を変えた英知
    常識を覆すもとは発想の逆転にあったのか?

  • 「人生は出会いが全てかもしれない」と語る筆者。世界の叡智にインタビューして、分かりやすく編集できる彼女もまた、叡知なのだろう。
    常に学び続けることの重要さ。
    世界の叡智の最先端に触れただけでも大きな刺激になった。

  • インタビューアーの吉成さんによると
    ジャレド・ダイアモンド
    人生に意味などなく生命は存在するというだけと言い
    楽観的に多様な価値観と美意識を受け入れる
    ノーム・チョムスキー
    普遍文法を提唱する言語学者にして政治経済あらゆることに深く客観的に通じている
    自由(市場)では第三者を考慮せず環境汚染などの損害を計算から度外視しているから
    資本主義体制のもとでは政府による規制と介入が必要に成らざるをえない
    オリバー・サックス
    教師と生徒の前向きな関係と中身に対する情熱が教育にあるべき姿だという
    音楽は言語より先に脳に入り長く残りダンスできるのは人間だけだと言う
    マービン・ミンスキー
    PCは入力された単語を拾い集めるだけで関係性を理解することは出来ない
    エンターテイメント的なロボットより日常生活に添えるロボットを目指さる社会であるべき
    トム・レイトン
    サイバー戦争を語りネットが世界をダイナミックに変えるか
    好奇心とやる気が人生をはなやかにする語る
    ジェームズ・ワトソン
    革新的なアイディアは個人から出るものだから組織は常識という気配りを持ち込み
    個々を縛ることに溺れず知識や理性よりも情熱が大事だと言い
    尊厳死が認められるのも時間の問題だと断言する

    それぞれに経験も違い視野の方向も巾も違う故にその見解も様々である
    それでも宗教については全員が否定することもなく
    無宗教であるか依存することのない生き方を選んでいる
    コレが彼ら現代最高峰の知性が語る未来へのテーマ

    知識から意識への返還こそが生命の大河だろう
    その中で今人間が直面しているのは
    核エネルギーとどう付き合うか
    資本主義からどう脱皮するか
    人生をどう消化するか
    インターネットによる情報の洪水をどう受け止めるか
    個性を尊重する尊厳死か組織を優先する利権にまみれうか
    拠り所とはけ口を何処に求めるのか・・・

    あとがきにダイジェストされている一人ひとりの姿を先に見れば
    インタビューを理解しやすいだろう

  • 元々続編の「知の英断」を買うつもりでついまとめて購入。
    感想は・・自分があまり興味や情熱が持てない分野が分かった。インタビューに答える歴々の関心がものすごく高い・ユニバーサルな真理を探究する人たちで、自分はそうしたものより身近な問題や小さいところから社会の仕組みを考えていくとか、そういうことが好きなんだと改めて実感したのが読後の感想。それから、各人への質問に必ず宗教についてが入るのが、日本人としてはしつこい気がするが恐らくアメリカの知識人という文脈では無視できないのだろう。そういう意味では日本人著者によるものだがアメリカ的本だなと思った。
    心に残ったのは、最後のインタビュー、ジェームズ・ワトソンが現代は思春期の時間が長すぎる、自分が何に向いているかは10代で分かる、というなことを断言していたところ。わが身を振り返って痛いところをつかれた気がするものの、ノーベル賞受賞者やNBAバスケットボール選手の話なのでやはりそれは一部の人の話もする。このように、インタビューアー(著者)も含めて一流による一流についての話。
    著者は元NHKの子供番組・教育テレビのディレクターだそうで、以前からなぜNHKの子供・教育番組はあんなにレベルが高いのだろう、と思っていたがこういう人が携わっていたんだ、と腑に落ちた。これが、私にとってこの本を読んで一番身近に一流の意味を感じたところだと思う。

  • 知性の巨人たちのインタビュー。

    深く掘り下げての内容ではないが、
    こういう人がいるんだと、興味の対象が広がった。

  • 知の巨人たちのインタビュー集
    インタビュワーの元NHKディレクターの著者である
    吉成真由美さんがかっこいいと思いました。
    MIT卒・ハーバード大学院修士
    知の巨人たちと対等に話ができ、インタビューできる
    素養があること自体すごい人だなと思います。

    ジャレッド・ダイアモンド『文明の崩壊』
    ノーム・チョムスキー『帝国主義の終わり』
    オリバー・サックス『柔らかな脳』
    マービン・ミンスキー『なぜ福島にロボットを送れなかったか』
    トム・レイトン『サイバー戦線異状あり』
    ジェームス・ワトソン『人間はロジックより感情に支配される』

    ダイアモンドのの文明史・『銃・病原菌・鉄』の話
    サックスの脳に関する話
    ミンスキーのロボット・人工知能の話
    レイトンのアカマイ創設記
    後、著者のあとがきが面白くよかったです。

  • 現在の科学の巨人6人へのインタビュー本。限りなくグレーに近いワトソンさんとか興味深い内容だった。アカマイ社の話はすごく面白かった。知らない間にお世話になっているんだね。やっぱり数学ってすごいね。MIT率の高さにも驚いた。前後のポエムがなかったらもっと良かったのに。

  • なるほどそういう視点もあるのかとか、ちょっと時流を外れているのではとか、感じるところはいろいろあったが、巨人と言われるような人の意見はやはり興味深いものだった。

  • 時間を忘れて読んだ久々の本。
    著者の投げかける問いが鋭く面白かった。
    6人に共通する教育の大切さ、ネット上の集合知は万能でないこと、は説得力がある。各章最後の推薦図書も興味を惹かれる。

  • 話題の新書ということで店頭で購入。なんというか、まずはこのインタビュアーの人すごいなぁ、という。それぞれの分野・学問の第一人者に話を伺っていて、内容がオモシロいのは当然でありそれはそれで満足だが、タイトルにある「逆転」というよりは現状を肯定しつつプラスアルファの意見を付け加えるという印象。なので、「逆転」というのは言いすぎかなぁと個人的には思いました。スミマセン。

  • オリバーサックスやジェームスワトソンという生命科学の大御所のみならず、AIのミンスキー、生態学のダイアモンド、そしてチョムスキー。どの人物の話も刺激的で、一読の価値がある。

     チョムスキーの「言語か先か、音楽が先か?」の議論が面白い。言語は人間に特有の能力であり、進化上、言語はほんの一瞬にして発達したと言う。一方、人間の全ての種族に音楽、ダンス、アートというものが存在することも明らかである。しかし、言語の爆発的発達期より以前にこれらが存在したかは不明である。なにしろ言語の存在する前は「記録」が残っていないのだから。現状はわかっていないとしながら、彼は、音楽を形作るリズムや構造は、数学などと同じで、言語の副産物ではないか、と述べる。
     音楽の持っているリズムや抑揚、テンポというものは、直感的には人間の暮らす自然環境と密接に関連しているので、言語を必要としないで生まれて来るのではないか、と思う。むしろ、ある環境で生活する共同体に共通の「音楽」があり、それが言語の素になったとは考えられないだろうか?
     脳の言語野と音楽中枢は一部重複しているが、言葉は普通にしゃべれても音楽を聞くことができない「失音楽症」という疾患がある。言語と音楽の関係は、その進化的な順序のみならず、とても興味深い問題だ。

     この話はオリバーサックスの所でも出てくる。アルツハイマー患者で、個別の記憶やエピソード記憶が失われても、音楽に涙することがある。「ことば」とは違う次元に記憶されるものを音楽は持っていることに他ならない。

     そういう状況で思うことは、インターネット中心の情報化社会においては、「ことば」の力が相対的に増加し、「音楽」の力が低下しているのではないかということ。音楽業界の不振は今さら語るまでもなく、「音楽」のもつ根源的な意味を問うてみることが必要だな、と思った。

  • トム・レイトンによるアカマイ・テクノロジーズ社設立の経緯が興味深かった。

    ・・・と言いつつ、自分が引用した箇所を見てみるとノーム・チョムスキーからのものが圧倒的に多い。
    彼の思考はエキサイティングでいつも刺激される。
    国際文化学部で学んだ頃を否応なしに思い出した。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「彼の思考はエキサイティングでいつも刺激される。」
      私は、吉成真由美がスゲーって思った。
      「彼の思考はエキサイティングでいつも刺激される。」
      私は、吉成真由美がスゲーって思った。
      2013/07/06
  • これはこれで、刺激的な本。
    六人の世界を代表する知の巨人たちに作者がインタビューをしたものをまとめた本。
    ただ、作者が会いたい人というのが、どちらかというと二十世紀を代表する人たちで、すなわちかなりの高齢の人たちであり、その人選に個人的な趣向が強すぎるのでは、という気がしなくもない。
    というのは、この本は二十一世紀をどう生きるかを、二十世紀松の視点から語る、という読み方をした方がしっくりくるように思うからだ。
    なぜなら、9.11以降の明らかに狂ってしまったとしか思えないアメリカ合衆国の進み行きについての批判らしい批判が全くなされていないからだ。あのチョムスキーでさえも!
    唯一、トム・レイトンの記事の中で、9.11に触れられている部分はあるが、それは同僚がテロに巻き込まれて命を落とした、という個人的に悲しい出来事であり、そのような触れ方しかされていない。

    そんなわけで、ぜひ作者には続編として、二十一世紀を代表する知の巨人にも同様のインタビューをしてほしいと思う。

  • 頭のいい人6人と著者のインタビュー集。

    インタビューの最後に必ずおすすめの本は?という問いに対してそれぞれの答えがおもしろかった。

    もっと勉強しよ。

  • それぞれの分野で先鋭だった方達の考え方を面白い切り口でインタビューされていると思う。教育に関しても、感性・感情などに関しても様々な切り口と各個の仕事への関係も含めて愉しくよめた。

  • これは面白かった。同じ質問を投げかけても人によって見解が全く違っていて、でも、それぞれに筋の通っている答えで面白い。

  • その道の一流の人たちのインタビュー。短いけれど、新たな分野への関心を開く可能性のあるトピックが多い。
    とはいえ、今から10年近く前の本で驚き。今自分が面白いなと思って関心のある分野の話もそこで語られていることを思うと、全然ついていっていないんだろうと思う。
    Akamaiのことは全然知らなかったし、マーヴィンミンスキー、オリバーサックス、ワトソンのインタビューのそれぞれがエッジが聞いていて面白かった。鋭い率直な言葉でいろいろ語られている。

  •  あとがきの始めには、こう書かれています。《このインタビューは「この人たちに会うまでは……」という、ある情熱から生まれました。》

     この本を読み進めるうちにインタビュイー1人ひとりの言葉の重さ以上に、知の巨人を前に、堂々とインタビューし、彼らの知識や考え方を引き出し、それを分かりやすい日本語に翻訳することで、読者を鋭く刺激する本に仕立て上げたこの人は何者?と、インタビュアーであり、それをまとめ上げた吉成真由美さんに関心が向かいました。もちろん、ここで語られていることは、私の思考体系の修正を強いるものでしたが……

     文明が不均衡な発展を遂げた理由を解明したジャレド・ダイヤモンド氏は「紛争の解決策は、世界中の生活水準の均等化ということにならざるをえません。」という、生活水準を下げる側にあるアメリカ、ヨーロッパ、日本の抵抗が激しいのは言うまでもありません。

    「普遍文法」理論によって現代言語学に革命をもたらしたノーム・チョムスキー氏は「アメリカは資本主義の国ということになっていますが、コンピューターやインターネット、飛行機、薬など人々が使うほとんど全てのものは、政府のプロジェクトとして開発されたものなのです。」と言います。文明の発展には、先見性とリーダーシップが必要だということ…

     神経学・精神医学の教授であるオリバー・サックス氏は、没頭している「平和な時間」こそ科学や芸術の基盤になる。私自身も、没頭しているとき、神経症やうつ病が消えて、平和な時間を過ごすことができます。と言っています……私たちは、何かに急かされるように生きていると、幸せから遠ざかっていく…

  • 賢人達に対するインタビュー本。非常に知的好奇心を揺さぶる。
    特に、ジェレイドダイヤモンド、チョムスキーの前2人はさっと読むと良いかもしれません。

    *****

    興味深いのが、賢人たちは無宗教であり、ハイテクとある程度距離を取っていること。

    <ジェレドダイアモンド>
    書籍
    銃、病原菌、鉄
    人間はどこまでチンパンジーか?
    セックスはなぜ楽しいか?
    文明崩壊

    食料の余剰と富の余剰、人口増えて、専門家が出て銃ができた、テクノロジーが進化した

    チャーチル名言、p.26

    結婚における大事なことも社会における大事なことも38余りの要素がある

    アメリカは崩壊寸前のローマ帝国のよう

    人間とチンパンジーは1.6パーセントの遺伝子の違いしかない

    20万年前、チンパンジーとかわらず、その後言語を獲得。5万年前?

    約5000年前、筆記を発明

    5500年前 大社会の出現


    <ノームチョムスキー>
    普遍文法理論の提唱者
    プラトン、フロイト、聖書と並んで最も引用回数の多い著者


    特にエリートは常に体制の提灯持ちになりやすい

    市場原理だけでは破綻する。金融市場が例。
    政府の介入は不可欠。テクノロジーの進化も軍事、国家の予算から。

    人間ではFOXP2遺伝子の変異によって言語障害を引き起こすと言われている

    試験のために勉強する子供たちは三万年前に消えたネアンデルタール人のようなもの。好奇心と創作力があるホモサピエンス。

    ネオテニー現象

    脳の成長を待つとお産が危険になる。自立まで時間が、かかる。育ててもらわないといけない。かわいい存在。

    乱読をチョムスキー先生に認めてもらえた。誰かに推薦されると驚き予想もしなかったものとの出会いを下げてしまうから。


    <オリバーサックス>
    医師であり作家

    妻を帽子とまちがえた男
    レナードの朝

    スティーヴンウィルトシャー
    ヘンリーキャベンディッシュ

    バートランドラッセル 名言

    ナブコフ、音楽不全、前頭葉ダメ
    リチャードグレゴリー

    デレクパラヴィチーニ
    ダーウィンは言葉より音楽が先
    ハーバートスペンサー
    アイリーンペパーバーグ
    フランシスゴールトン
    バラススキナー


    <マービンミンスキー>

    人工知能の父
    1959年にジョンマッカーシーと共にMIT人工知能研究所を創設

    個人知能
    アイザックニュートン
    ジョンフォンノイマン
    アランチューリング
    アルバートアインシュタイン

    ポールディラック
    エルヴィンシュレディンガー
    ユング間違ってる


    <トムレイトン>
    アカマイテクノロジーの設立者
    アカマイとは、ハワイ語でインテリジェンス

    DNSSEC
    トークン化

    <ジェームズワトソン>
    DNAの二重らせん構造の発見者

    リチャード・ファインマン
    デイビットヒューム「われわれは論理ではなく情熱に支配されている」

    アーヴィンシュレディンガー

    1990-1992年 ヒトゲノム計画

  • マービン・ミンスキーの話が興味深かった。ミンスキーが考えていた AI の方向性と、ここ数十年の実際の研究には乖離があるらしい。大量データから統計的な手法で答えを発見する技術は進歩しているが、仮説を立て検証することはコンピュータにはまだ難しい。しかし、それこそが AI 研究を行う上で大事な部分のようだ。

  • 分かったような解らなかったような! 人類の叡智がつまった至極の名言は、私には迷言です。勉強します。

著者プロフィール

1937年生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校。専門は進化生物学、生理学、生物地理学。1961年にケンブリッジ大学でPh.D.取得。著書に『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』でピュリッツァー賞。『文明崩壊:滅亡と存続の命運をわけるもの』(以上、草思社)など著書多数。

「2018年 『歴史は実験できるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジャレド・ダイアモンドの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
古市 憲寿
クリス・アンダー...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×