レイヤー化する世界 テクノロジーとの共犯関係が始まる (NHK出版新書)

  • NHK出版 (2013年6月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784140884102

作品紹介・あらすじ

情報技術の革新は、メディアや産業の構造を根底から変え、超国籍企業を生んで労働と富のグローバル化を加速し、国ぐにの力を殺いだ。ITを基盤としたシステムそのものが権力化するなか、個人もまた、生きかたの変容を迫られている。これから来る世界はいったいどのようなものなのか。そこでわれわれはどう生きていけばいいのか。斯界の第一人者が、テクノロジーの文明史を踏まえて未来の社会像を鮮明に描き出す。

みんなの感想まとめ

新しい時代の到来をテーマに、個人の生き方や社会の変容を深く考察する内容が展開されている。歴史を俯瞰し、国民国家から境界のない共有の場へと移行する未来像が描かれ、個々のアイデンティティが求められる新たな...

感想・レビュー・書評

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  • 歴史の外観、特にそれぞれの時代における国(というか帝国というか地域というか)の在り方が非常に分かりやすく書かれている。緩やかな境界しか持たない帝国の時代、国を単位として分割された国民国家体制の時代、そしてこれからは、限界に達した国民国家体制、すなわち"ウチ"と"ソト"が明確に区別される世界観から、一つの〈場〉を世界全体が共有する形へ移行していく、という未来予想図。なるほど、国民単位で何かに(例えば映画やアイドルに)熱中する時代は終わり、その代わりに大きな平べったい〈場〉においてそれぞれがそれぞれに好きなものを作り、またそれを手に入れるという時代、こういう捉え方はありそうでなかった気がする。それに、今起こっている現実にも当てはまる。
    ただこういう時代にありながら、なんとなく国粋主義的な傾向が強まっているという現実はなかなか興味深い。新しい時代を迎えるのとは逆の方に「戻す」力が働いているということか(時代の転換期にはありそうな話だ)。
    新しいレイヤー化の時代を生き抜くため、アメーバのようにくねくねと動きながら自分の居場所を見つけていくという新たなアイデンティティの模索方法が求められる。カチッと決まったアイデンティティを持たせてくれる今の時代と比べると、それは確かに自由がきいて、とりわけマイノリティには暮らしやすくなるのかもしれない。でも同時に、なかなかしんどそうな時代だな、とも思う。自由に自分の居場所を探せるということは、自立というか、自分の意思が当然求められるわけであって、なんとなく何かに追従しておきたい人には甚だ生きづらい時代ではあるだろう。そこには"思考"が求められるのだから。
    いずれにせよ、本書の時代を俯瞰する視点は面白い。所詮一人の人間なんて狭い視点でしか時代を眺められないから、こういう俯瞰的に時代を眺められる本の存在は貴重だ。

  • 勉強は何のために学ぶものかと思う中高生にこそ読んで欲しいし、その頃に読みたかった。答えは書いてないけれど、得た知識の使い方は書いてある。倫理的な指針としてではなく、世界史、世界情勢の流れからみる「君たちはどう生きるか」。

    この手の本の結論は皆同じ「好きな事をしていこう」だけれど、どこまでそれに絞っていっていいのかとか、その際に何が好きなのがいいのかとか、どのように世界に関わっていけばいいのかとか書かれていないものも多い。こういう本を読む人にとってはそれが一番知りたいことであろうが少ないながら例も出ている。著者の”キュレーションの時代”はそういう本だったような。

    今まで知らなかった「人々の生活の実情」がインターネットによっておぼろげながら見えるようになってきたのは、それもまた”レイヤー”の新しい効用だと思うがそれについてはあまり触れられていない。

    また、これからの時代を考える上で、世界史が承認欲求や快楽(満腹や快適な生活環境)といった脳科学的快感をより多く得るために行動を起こしてきた人々の歴史であるという視点は必要かと。

    内容的には同じような本が多く出ていると思う。
    著者のキャリアから見えるものを提示しているわけではないので、具体例に富む訳ではないけれど、かつての自分と同じような悩みを持った(しかし僕よりは明らかに優秀な)中高生の夏休みに将来を考えるための図書としては非常にいいのではなかろうか。

    平成25年6月21日追加
    産業革命を"肉体労働の外部委託”、"肉体労働の効率化”、"頭脳労働の外部委託、効率化”と捉えると、次は感情労働の外部委託?

    宗教や国、民族によるアイデンティティはいまだに有効だと思われ、そのレイヤーでの規定がまた大きくなってきているように感じる。

    国は法による行動規制のレイヤーか?

    日本以外で法規制が強い&当該国民感情が許さない行為であっても、日本では問題がなく世界に貢献するものこそが日本発のイノベーションでは?

    いまの世界をひっくり返すにはなにをする?

  • 佐々木俊尚さんの著書には、いつも打ち出されるキーワードに注目している。漠然と無意識に感じていたような空気感が上手く言語化されており、僕にとっては自分と時代との距離を測るモノサシのような存在だ。

    ノマド、キューレション、当事者。そして今回はレイヤー。ノマドの時には、そのキーワードをずいぶん遠い世界のことのように受け取っていたのだが、キュレーションの時には「きっとこの先はこうなる」という確信を持つことができ、今回のレイヤーという言葉は、まさにリアルタイムな概念として受け取った。

    世の中は、大きな流れとして垂直統合から水平分散へ。これをレイヤーという概念を用いて紐解いていくわけだが、ITの世界に閉じた話ではなく、世界システムという大きな構えから論考しているのが本書の特徴である。このような立ち位置をとることによって、IT以前の世界、さらにもっと前の近代や中世の時代へと地続きに流れを追っていけるのだ。

    根底にあるのは、近代以降、蔓延ってきた国民国家及び民主主義というシステムの在り方が特殊事例だったのではないかという視点だ。これを中世以降の歴史を追いながら見ていく中に、レイヤー的な物の見方の一端が垣間見える。

    ある一定の幅をもった歴史を輪切りにして、その切り口の断面を分析する。言わば水平軸を導入して、テクノロジーと文明の相関関係を解き明かすというやり方。また中心点がヨーロッパに置かれていない。「中世 ー 多くの民族がともに栄えた帝国の時代」の章で描かれているのは、イスラムが栄華を誇った時代、”辺境”に追いやられたヨーロッパの姿なのである。

    このような歴史観というのは、先行する類書がないわけではないのだが、いずれもハードで難解な書籍揃いである。その中で本書は、徹底した分かりやすさという点において抜きん出ているという印象だ。

    背後にはおそらくこのパートだけでもヘビー級の書籍50冊分程度の知識がそびえ立っていることであろう。これが、わずか100頁ちょっとの分量に纏められているのだ。また、本文中に掲載されている新書らしからぬ味のあるイラストも、柔和な顔つきに彩りを添えている。

    著者によれば、中世の世界システムはとても強靭で、しなやかなシステムであったという。そこでは、様々な民族が同居し、帝国の内外を結んで交易のネットワークが整備されていた。いまのように「一つの民族が一つの国家」ではなく、複数の民族が集まって一つの帝国の下で暮らしていたのである。

    それを可能にしていたのが、ローマ帝国の場合は言葉であり、イスラム帝国の場合は宗教であった。つまり国民国家成立以前の世界を眺めることによって警鐘を鳴らしているのは、自分が立っている前提条件としての世界システムに無自覚であってはならないということであり、それが副題の共犯というキーワードへとつながっていく。

    現在、それに取って代わっているのが、Apple、Google、Facebookなどの超国籍企業が作り出す<場>というもの。この<場>と我々との関係というのが、実に奇妙なものである。互いが互いを出し抜こうと必至に動き、しかし結果としてそれが互いの存在を強くしてくことにつながっていくのだ。このいかにも人間らしい<共犯>という関係を、テクノロジーとの間に築くべしというのが、本書のもう一つの重要なメッセージである。

    その先に、はたしてどのような世界があるのか?答えは、マクロな歴史の話から、個人の物語へと集約されていく最終章にある。ソトとウチという境界があることによって担保されていた多様性、その行き先としての個人である。レイヤー化された世界とまるで合わせ鏡のように、個人がレイヤー化した模様が描かれている。

    事例の一人として登場する南 暁子さんについては、まさに僕自身も当事者として体験した出来事である。詳細は、こちらの記事を参考にしていただきたいが、このアイコンをきっかけに、僕自身、佐々木さんとレイヤーでつながる機会に恵まれ、さらにそのつながりはHONZのメンバーになることで、もう1レイヤー追加された。

    今や、成毛眞を初め、メンバーの数人が使用しているアイコンがまさに彼女の手によって描かれたものだ。これが僕の目には、2つのレイヤーが重なり合う姿として映っている。

    本とアイコン、そんな身近なことがきっかけでも他人とレイヤーという概念でつながり合えると実感したのが、このわずか数年での出来事だ。中にはたったそれだけのことでと思われる方も、いるかもしれない。だが、要はたったそれだけのことを、どこまで面白がることが出来るかなのだと思う。

    自分自身のレイヤーを見つめ直せば、きっと何かが見つかる。レイヤーの数だけ青春がある。スケール感の大きな話題でありながら、素直に感情移入することができるのは、そんなパーソナルな着地点によるところが大きい。実に甘酸っぱい読後感であった。

    本書は全ての人におすすめ、それだけではもはや物足りないようにも思える。スタンダードな部分も、マイノリティな部分も含め、あらゆる人の全てのレイヤーに染み込ませたい、そんな一冊である。

  • ウチとソトで成り立っていた世界から、
    境のない真っ平らな地平の上に、横へ横へと広がっていく、そんな世界になるのではないかという考え。

    「レイヤー化する世界」の話も面白かったけど、
    人類の歴史が自分んとこ、と、それ以外で発展してきたのよっていう流れが
    はじめて知ったことだったから、
    じっくり読み込んだ。

    世界がレイヤー化するのはイメージついたけど、
    まだ自分がレイヤー化するのは感じが掴めていないな。

  • 佐々木俊尚さんの新作。IT技術の進展による国民国家の衰退と、超国家企業の登場が、世界をどのように変化させていくかを「レイヤー(階層化)」というキーワードを元に解き明かしていく。

    前作の『当事者の時代』が「言ってることは分かるけれども、読み物として面白くない」という感じだったので、どんなものかな~と思って読んでみたけれども、「世界の実像を解き明かし、これからの指針を与える」系の本としては、かなり間口が広く、面白く仕上げたな~と感心してしまった。現在→過去→未来の構成も納得度が高い。

    「レイヤー化」という考え方は、おそらくセス・ゴーディンがTEDで公演した『我々がリードする部族』の、「部族」というアイデアに近く、これを発展させたものなのかな~と思う。また、ジャレド・ダイアモンドが『鉄・病原菌・銃』のなかで描き出した世界を土台にしているようにも感じられた(ネグリとハートの『帝国』が土台になっているとあとがきにあるけれど)。

    佐々木俊尚さんは、こういう最新の学問の潮流を踏まえて論を立てることができる日本では希有な存在だと思うんだよね。ツイッターで朝にキュレーションをやっているけれども、これも大変参考になっている。というか、朝の楽しみ。

    ただ、実際の所、世界が佐々木俊尚さんが予測するような方向に行くか、それについては保留かなぁ。「レイヤー化」という考えはとても魅力的だけれど、人間としての限界はどうしてもあるからだ。

    無数の場があって、そこにアイデンティティーが横断的に存在できるようになっても、肉体は「1つ」だし、その肉体はものを食べていきている。その生物的な枷は、レイヤー化とは真逆なものであると言えると思う。ここで描かれていることは「事実」ではあるだろうけれども、「そういう流れがある」程度に考えたい。そして、その脇には無数の「別の流れ」があるものだ。

    あと、岡田斗司夫さんの『評価経済学入門』でも感じたけれども、「世界の実像を解き明かし、これからの指針を与える」系の本って、歴史の流れも同じように竹を切ったように解説するよね。

    この本においても、そんなに変な(というか、納得できるくらいの)歴史観で世界が説明されているのだけれども、私個人の目で言えば「そうとは言い切れないだろ」と思う部分が多々あった。これは私が歴史学を専攻していたからかもしれない。そして、そういう目から観れば、「世界の実像と、これからの未来」というのも、まったく確かなものではないと言い切ることができると思うのだ。

    もちろん、一読する価値はある。古い価値観に生きているならなおさらのこと。でも、そういう人はこの本は読まないだろうね……(^_^;)

  • 面白かった
    レイヤーでつながる世界か
    これは頭の体操と言うか、発想の転換に役立つ考え方として覚えておいて損はない
    て言うか、もうすでに「レイヤー」と言う観念が私の頭にすっかり定着してしまった
    良い良い
    日々のニュースや記事の見方も変わってきたぞ

  • 中世から近代の歴史を振り返り、帝国が滅び国民国家と民主主義が取って代わったように今度は国民国家と民主主義が崩壊することによりウチとソトを分け隔てる壁が消滅し、グローバル開かれた世界に数々の「場」が設けられ、人々はその「場」群れ集いそして支配される。国民国家もレイヤーのひとつとなり、民族、言語、産業、雇用、文化なども様々な人々や団体がレイヤーを作り活動し、個人は数多くのレイヤーを身にまとい、「場」で自立的に活動する。

    グローバルなネット企業が国家に所属しない(雇用が少なくあっても自国に拘らない、タックスヘブンなどを利用して税金を払わない)ことから国民国家が崩壊するので、国や会社などに依存しない自己をレイヤーのつながりによって確立せよとのことだ。確かに、様々なレイヤーでの人々のつながりはTwitterやFacebookなどソーシャルメディアでも実感しているところではあるが、それらを人の繋がりができるレベルでやっている人はまだまだ少なく、日本人には敷居が高いのだ。

    近年、右寄りな言論が活発なのはこのような動きの防衛としての反応だろうか、大局的な歴史観から俯瞰する未来像としてとても興味深い論考でした。

  • 「社会のカタチ」の変遷を世界史から辿って行き、「今の時代」がどうやって成り立ったかを知り、「未来」と「未来をどう生きる」ことについて考えるためにとても役立つ1冊。

    100年も生きられない人間には、「今」は歴史の完成形ではなく、通過点にすぎないという当たり前のことが実はよくわかってない。

    歴史を学ぶというのは過去の叡智を受け継ぐことなんだなと。そしてそのことこそが未来を正確に、冷静に見つめることができるんだなと。

    新しい時代に希望を感じられるかどうかは、「今」どういう立ち位置で生きているかによる。

    まずは知ること、そして考えること。
    とても読み応えがあり、読んでよかった1冊です。

    長くなるのでブログに感想を書きました。

    http://rucca-lusikka.com/blog/archives/4924

  • たまに現る当たり新書!

    人と人の繋がり方&お金の流れ方の変移を、「世界史」を道具にして丁寧に説明した本。
    Amazonでの評価はなぜか低いけど、私はスーパーな書だと思う。

    今世界で音をたてながら猛烈なスピードで起こっている変化。

    ここ数年、変化が起こっていること(つまり世界がレイヤー化されてきていること)は、私自身肌で感じていた。

    そして、本書による「現代の解説」自体は、真新しくもなんともない。ここ数年、クリスアンダーソン辺りの、いけてる!?人が、いたるところで言ってる。

    (iTunesが何で流行って、何で儲かってるとか。
    同じく、YouTubeがなぜ?Facebookがなぜ?
    なんでPanasonicが厳しい状況になってもうたの?
    SONYが何で?みたいな話。)

    (ってことは、先進国のポジションを守りにかかっている時期の日本に産まれた、私をはじめとしたゆとり世代としては、テンションの下がる不都合な真実もたっぷり書かれてます。)

    本書が新しいのは、「今」の状況を「歴史」という道具によって説明しているところ。

    ローマ帝国の時代から現代の流れの中での今を説明している。
    今はあくまで歴史の真っ只中だと。

    道具として使われてる歴史は、噛み砕いてあってシロウトでもよくわかる。

    今ある、国家という場は、今たまたまあるだけで、場は代わるんだと。
    代わり続けてきたのだから、また代わると。今はその過程だと。

    今の状況を、俯瞰的に見えるようになったような気がしてる。

    ただ、レイヤー化された世界でどう生きるのかという命題については、ほぼ丸投げ。

    確かに、正しい答えなんてないから、自分で考えるしかないね。
    さて、どうしたもんかのぉ。

  • 時代の流れを中世、近代、未来に分けて解説をされていて、これまでの石階の流れをおさらいすると共にテクノロジーや時代の変化に世界の産業などが追いついていないことが指摘されています。
    これからはテクノロジーの発達によって生まれた「場」によって国民国家の境界があいまいになるというのは、共感出来ました。
    新しい働きを考える前に、時代の流れを知る事が重要だと感じるので、時代の流れがうまくまとまっていて、オススメです!

  • ホリエモンこと堀江貴文さんのブログを取っているのですが、
    書評コーナーで珍しく☆5つがついてた本です。
    辛口のホリエモンが☆5つつけるのは本当に珍しいのです。

    中世と近代と現代に分けて、今までの世界の状況を整理し、
    その上でこれからの未来を予測するという流れなのですが、
    世界の帝国の勃興を眺めるように見ていけるだけで
    ワクワクすることができました。

    そしてその流れからの予測としての未来。
    全ての人類が均質化した結果、<場>が支配する世界。
    これはリアルな未来像かもしれないと思いました。

    今や情報の産業革命により、
    どこにいても誰といてもいつでも同じ仕事ができるようになりました。
    環境の格差は日に日に無くなっていきます。

    そして世界の最適化の向かう先は均質化です。
    個が国などの団体に帰属する意識はどんどん希薄化し、
    個が持つ様々な属性がその一つ一つで
    いろいろなグループに繋がっていく。
    それぞれの個性は既に珍しいものではなくとも、
    そのグループの組み合わせは世界に一つしかない。
    個性とはそういうものになってきつつあるのかもしれません。

    そんなことを考えさせてくれた本でした。
    良著です。
    すぐに役に立つような本ではありませんが、
    是非一読をお勧めします。

  • いわゆるパラダイムシフト系の本。膨大な文献を元に、中世からの近代までの世界史から、いまの国民国家が出来るまでを簡潔に説明されており、非常に分かりやすい。
    国民国家といった縦軸て分断された組織がなくなり、横軸に無限広がるレイヤーで人々が配置されていかだろうってことか。国民国家や大企業のあり方が、変わるのは、激しく同意。

  • 佐々木俊尚さんの新刊。

    「中世 ⇒ 近代 ⇒ 未来」という3部構成で、今後ネットがますます普及しグローバル化が進んで行く社会の中で、どういうスタンスで生きていけば良いか、そういった示唆というか方向性の1つを伝えてくれる。

    「未来」の部で語られる結論は、今まで読んだ氏の本とそれほど変わらなかったのであまり得るものはなかったけれど、過去の「中世」「近代」の歴史がすごく面白かった。

    で、結局は「民主主義」前の昔の状態に戻るだろう、という話が大変興味深い。

    結論読んで「希望」を感じられるかどうかはその人次第。いずれにせよ、この本読むと、今後は「誰かにお任せ」ではなく「自分が決める」という自立心が何より必要、という意識は身に付くと思う。

  • 時代を貫くGPT(General Purpose Technology)「汎用技術」p15

    「人口ボーナス」p20

    政略結婚を繰り返したハプスブルク家の家訓「戦争は他家に任せておけ。幸いなオーストリアよ、なんじは結婚せよ」

    【自分で自分の尻尾を食べていく】p147
    ...これはなんだか、悪い冗談のようにも思えます。
    なぜならヨーロッパの国民国家が帝国主義と植民地支配を生み出し、そして国民国家から生まれた民主主義が、今度は植民地の独立をうながしたということだからです。まるで自分で自分の尻尾を食べていく蛇のようではないでしょうか。

    【政治イデオロギーではもはや解決しない】p158
    配分する富のなくなってしまった社会民主主義と、国に富をもたらさない新自由主義。Cf. 租税回避、タックスヘイブン

    世界の力の分散と、国内の社会の分断。
    このふたつの引力によって、ますます民主主義は引き裂かれていくのです。

    【あらゆるメディアが<場>に移行していく】p180
    ウィンドウズやグーグルのような自由な<場>が有利なのか、それともアップルやアマゾンのような管理された<場>のほうが有利なのか。それはこの<場>の設計では大きな論争となるテーマです。<場>をどう設計し、どう運用すれば、利用している人たちが納得し、たくさんのお金がもたらされるようになるのかという、その議論がいまさかんに行われています。
    決着がつくのはまだだいぶ先になるでしょう。

    【金融は人と人のつながりのなかに】p185
    P2Pファイナンスもクラウドファンディングも、銀行という組織のウチ側に取り込まれていたお金の流通を、<場>という開放された場所へと移していくものです。

    【<場>は試行錯誤の実験場となっていく】p192
    [Gov2.0]
    行政機関がさまざまな情報を公開し、民間の企業や個人はその情報を使ってさまざまなサービスを作り、公開し、皆に使ってもらうという考え方。民間のプログラマーも、よいアプリをつくってそれを有料で売ることができれば、参加しながらお金を儲けることができるようというメリットもある。
    Cf. 2008年、ワシントンDC、Apps for Democracy

    【教育の土台がかわっていく】p198
    Cf. Kahn Academy、TED

    《7章 レイヤー化する世界》
    【横にスライスされていく社会】p202
    eg. アイチューンズで買った音楽はどんな機器でも聴けるし、ソーシャル・メディアの音楽雑談も、ミュージシャンも、アイチューンズとは独立して勝手に活動しているのです。
    白い皿はインターネット。一枚のパンはアイチューンズです。キュウリやハムの具材が、ミュージシャンやディレクターやスマートフォン。最後に軽くかけられたマヨネーズは、音楽についての友達との雑談。
    そしてできあがったサンドイッチという全体が、素敵な楽曲。
    [レイヤーの例]
    ・インターネットというインフラのレイヤー
    ・楽曲や番組、本などが販売されるストアのレイヤー
    ・どんな音楽や番組が面白いかという情報が流れる、メディアのレイヤー
    ・購入した楽曲や音楽を、テレビや音楽プレイヤーやスマートフォンやパソコンで楽しむという機器のレイヤー
    ・そして楽曲や番組そのものというコンテンツのレイヤー

    【これからの世界システムの4つの構造】p238
    ①超国籍企業がつくる<場>
    ②<場>の上でレイヤー化されていく世界
    ③レイヤー化した世界で、プリズムの光の帯になっていく私たち
    ④私たちと<場>の共犯関係
    これらが新しい世界を駆動させていく

    《9章 新しい世界システムと私たち》p239
    国民国家と、民主主義と、経済成長。20世紀を支えたこの3つの連携は、もう終わろうとしています。

    アメリカの国家情報会議が4年毎に発表している「グローバルトレンド」というレポート「2030年には、アメリカが世界で唯一の超大国である時代は終わる。ひとつの大きな国家が世界を支配するような時代は終わり、さまざまな国や世界企業、さらには非政府組織(NGO)のような団体まで含めて、ばらばらに権力が分散される時代がやって来る」p240
    ⇒それは形のはっきりしない大きなネットワークのようなものです。だれも覇権を奪えないけれど、だれもが覇権に参加している。そういうアメーバみたいな姿が、世界の未来なのです。

    [心のなかの国境線]
    「グローバリゼーションで世界はひとつになっていく」というようなことがよく言われます。しかし世界はそんなに単純にひとつになるわけではありません。
    「グローバリゼーションで世界は均質化し、全員がマクドナルドのハンバーガーを食べるようになる」という批判もあります。しかしそのような均質化も起きません。
    <場>はまるで、パイ生地のように重層的にレイヤーを積み重ねていきます。
    ・民族のレイヤー
    ・国境のレイヤー
    ・言語のレイヤー
    ・その国のこれからについて皆で議論して世論をつくる、政治のレイヤー
    ・お金が流れる、金融のレイヤー
    ・モノが流通する、産業のレイヤー
    ・仕事がやりとりされる、雇用のレイヤー
    ・その国の音楽や映像や書籍など、文化のレイヤー

    ↑こうしたレイヤーは以前から存在した。
    これを顕在化させ、可視化させたのがツイッターやフェイスブックをはじめとするソーシャル・メディアだった。

    【<場>の時代を生き延びていく戦略とは】p250
    ①レイヤーを重ねたプリズムの光の帯として自分をとらえること
    ②<場>と共犯しながら生きていくということ

    Cf. 「リープフロッグ」:先進国が、19世紀から段階的に技術を進化させてきたのに対し、途上国ではそうした段階を全部飛び越えて、ぽーんと新しい技術へと進んでしまう。まさにカエル跳びです。p264

  • この本が2013年に既に書かれていたことに驚く。2023年の今、まさにこの流れで動いている。
    歴史を読み解くところから始まって、その上で今後の世界の動向について語っています。最初から最後まで大変読みやすい文章でした。
    世界の動きをダイナミックに語ってくれています。
    地球の上の人間たちの動き、思考の変化を宇宙から見たら面白いんだろうなぁなんて思いました。


    【読み取った概要】
    ヨーロッパ中心の経済の社会が終わろうとしている。ずっとヨーロッパが世界の中心だと思っていたけど、イスラムが中心の時代があったとして知ってびっくりしている。その頃のヨーロッパは辺境で野蛮なイメージ!

    国家と言う概念も、最近のもの。昔は大きな帝国の中で多民族、宗教もいろいろでゆるい枠の中で暮らしていたらしい。

    これからの時代は、インターネットのベースがあって、その上に趣味や特技でつながる構造(レイヤーと佐々木さんは呼んでいる)になる。そこにはもはや国家は関係しない。

  • 中世・近代における世界の歴史を紐解きながら、現代・未来の世界システム(国民国家・民主主義の崩壊、古くて新しい権力構造)を説いています。佐々木さんの本は、参考本リストが豊富で嬉しい。

  • 世界の文明が発達していく経緯を大雑把に紹介しながら、これから世界がどうなっていくかを予想している本。
    現在では欧米がリードしているが、中世まではイスラム、中国の方が世界をリードしていた。昔は国という概念もあまりなかったようだ。
    現在では国家という考えが当たり前だが、この先は労働力の流動化により、国境は徐々に意味がなくなってくる。労働の報酬は安い地域に合わせることにより、全体がさがってくるらしい。

  • 歴史を踏まえて大局的に書かれている、面白い。

  • 今の我々を取り囲む構造の解説であって、その解決策、対応策が記されているわけではなかった

  • 本書は3部構成。レイヤー化は第3部にて言及されている。レイヤーという表現とニュアンス。「人の多面性」=「多層化」と表現しているように感じた。「層=レイヤー」であり、同じ層の人同士だとうまくコミュニケーション取れる。まるでOSI7階層モデルのように。

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著者プロフィール

ジャーナリスト

「2022年 『楽しい!2拠点生活』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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