レイヤー化する世界 テクノロジーとの共犯関係が始まる (NHK出版新書)

著者 :
  • NHK出版
3.80
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本棚登録 : 1165
レビュー : 141
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140884102

作品紹介・あらすじ

情報技術の革新は、メディアや産業の構造を根底から変え、超国籍企業を生んで労働と富のグローバル化を加速し、国ぐにの力を殺いだ。ITを基盤としたシステムそのものが権力化するなか、個人もまた、生きかたの変容を迫られている。これから来る世界はいったいどのようなものなのか。そこでわれわれはどう生きていけばいいのか。斯界の第一人者が、テクノロジーの文明史を踏まえて未来の社会像を鮮明に描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 佐々木俊尚さんの著書には、いつも打ち出されるキーワードに注目している。漠然と無意識に感じていたような空気感が上手く言語化されており、僕にとっては自分と時代との距離を測るモノサシのような存在だ。

    ノマド、キューレション、当事者。そして今回はレイヤー。ノマドの時には、そのキーワードをずいぶん遠い世界のことのように受け取っていたのだが、キュレーションの時には「きっとこの先はこうなる」という確信を持つことができ、今回のレイヤーという言葉は、まさにリアルタイムな概念として受け取った。

    世の中は、大きな流れとして垂直統合から水平分散へ。これをレイヤーという概念を用いて紐解いていくわけだが、ITの世界に閉じた話ではなく、世界システムという大きな構えから論考しているのが本書の特徴である。このような立ち位置をとることによって、IT以前の世界、さらにもっと前の近代や中世の時代へと地続きに流れを追っていけるのだ。

    根底にあるのは、近代以降、蔓延ってきた国民国家及び民主主義というシステムの在り方が特殊事例だったのではないかという視点だ。これを中世以降の歴史を追いながら見ていく中に、レイヤー的な物の見方の一端が垣間見える。

    ある一定の幅をもった歴史を輪切りにして、その切り口の断面を分析する。言わば水平軸を導入して、テクノロジーと文明の相関関係を解き明かすというやり方。また中心点がヨーロッパに置かれていない。「中世 ー 多くの民族がともに栄えた帝国の時代」の章で描かれているのは、イスラムが栄華を誇った時代、”辺境”に追いやられたヨーロッパの姿なのである。

    このような歴史観というのは、先行する類書がないわけではないのだが、いずれもハードで難解な書籍揃いである。その中で本書は、徹底した分かりやすさという点において抜きん出ているという印象だ。

    背後にはおそらくこのパートだけでもヘビー級の書籍50冊分程度の知識がそびえ立っていることであろう。これが、わずか100頁ちょっとの分量に纏められているのだ。また、本文中に掲載されている新書らしからぬ味のあるイラストも、柔和な顔つきに彩りを添えている。

    著者によれば、中世の世界システムはとても強靭で、しなやかなシステムであったという。そこでは、様々な民族が同居し、帝国の内外を結んで交易のネットワークが整備されていた。いまのように「一つの民族が一つの国家」ではなく、複数の民族が集まって一つの帝国の下で暮らしていたのである。

    それを可能にしていたのが、ローマ帝国の場合は言葉であり、イスラム帝国の場合は宗教であった。つまり国民国家成立以前の世界を眺めることによって警鐘を鳴らしているのは、自分が立っている前提条件としての世界システムに無自覚であってはならないということであり、それが副題の共犯というキーワードへとつながっていく。

    現在、それに取って代わっているのが、Apple、Google、Facebookなどの超国籍企業が作り出す<場>というもの。この<場>と我々との関係というのが、実に奇妙なものである。互いが互いを出し抜こうと必至に動き、しかし結果としてそれが互いの存在を強くしてくことにつながっていくのだ。このいかにも人間らしい<共犯>という関係を、テクノロジーとの間に築くべしというのが、本書のもう一つの重要なメッセージである。

    その先に、はたしてどのような世界があるのか?答えは、マクロな歴史の話から、個人の物語へと集約されていく最終章にある。ソトとウチという境界があることによって担保されていた多様性、その行き先としての個人である。レイヤー化された世界とまるで合わせ鏡のように、個人がレイヤー化した模様が描かれている。

    事例の一人として登場する南 暁子さんについては、まさに僕自身も当事者として体験した出来事である。詳細は、こちらの記事を参考にしていただきたいが、このアイコンをきっかけに、僕自身、佐々木さんとレイヤーでつながる機会に恵まれ、さらにそのつながりはHONZのメンバーになることで、もう1レイヤー追加された。

    今や、成毛眞を初め、メンバーの数人が使用しているアイコンがまさに彼女の手によって描かれたものだ。これが僕の目には、2つのレイヤーが重なり合う姿として映っている。

    本とアイコン、そんな身近なことがきっかけでも他人とレイヤーという概念でつながり合えると実感したのが、このわずか数年での出来事だ。中にはたったそれだけのことでと思われる方も、いるかもしれない。だが、要はたったそれだけのことを、どこまで面白がることが出来るかなのだと思う。

    自分自身のレイヤーを見つめ直せば、きっと何かが見つかる。レイヤーの数だけ青春がある。スケール感の大きな話題でありながら、素直に感情移入することができるのは、そんなパーソナルな着地点によるところが大きい。実に甘酸っぱい読後感であった。

    本書は全ての人におすすめ、それだけではもはや物足りないようにも思える。スタンダードな部分も、マイノリティな部分も含め、あらゆる人の全てのレイヤーに染み込ませたい、そんな一冊である。

  • 歴史の外観、特にそれぞれの時代における国(というか帝国というか地域というか)の在り方が非常に分かりやすく書かれている。緩やかな境界しか持たない帝国の時代、国を単位として分割された国民国家体制の時代、そしてこれからは、限界に達した国民国家体制、すなわち"ウチ"と"ソト"が明確に区別される世界観から、一つの〈場〉を世界全体が共有する形へ移行していく、という未来予想図。なるほど、国民単位で何かに(例えば映画やアイドルに)熱中する時代は終わり、その代わりに大きな平べったい〈場〉においてそれぞれがそれぞれに好きなものを作り、またそれを手に入れるという時代、こういう捉え方はありそうでなかった気がする。それに、今起こっている現実にも当てはまる。
    ただこういう時代にありながら、なんとなく国粋主義的な傾向が強まっているという現実はなかなか興味深い。新しい時代を迎えるのとは逆の方に「戻す」力が働いているということか(時代の転換期にはありそうな話だ)。
    新しいレイヤー化の時代を生き抜くため、アメーバのようにくねくねと動きながら自分の居場所を見つけていくという新たなアイデンティティの模索方法が求められる。カチッと決まったアイデンティティを持たせてくれる今の時代と比べると、それは確かに自由がきいて、とりわけマイノリティには暮らしやすくなるのかもしれない。でも同時に、なかなかしんどそうな時代だな、とも思う。自由に自分の居場所を探せるということは、自立というか、自分の意思が当然求められるわけであって、なんとなく何かに追従しておきたい人には甚だ生きづらい時代ではあるだろう。そこには"思考"が求められるのだから。
    いずれにせよ、本書の時代を俯瞰する視点は面白い。所詮一人の人間なんて狭い視点でしか時代を眺められないから、こういう俯瞰的に時代を眺められる本の存在は貴重だ。

  • 勉強は何のために学ぶものかと思う中高生にこそ読んで欲しいし、その頃に読みたかった。答えは書いてないけれど、得た知識の使い方は書いてある。倫理的な指針としてではなく、世界史、世界情勢の流れからみる「君たちはどう生きるか」。

    この手の本の結論は皆同じ「好きな事をしていこう」だけれど、どこまでそれに絞っていっていいのかとか、その際に何が好きなのがいいのかとか、どのように世界に関わっていけばいいのかとか書かれていないものも多い。こういう本を読む人にとってはそれが一番知りたいことであろうが少ないながら例も出ている。著者の”キュレーションの時代”はそういう本だったような。

    今まで知らなかった「人々の生活の実情」がインターネットによっておぼろげながら見えるようになってきたのは、それもまた”レイヤー”の新しい効用だと思うがそれについてはあまり触れられていない。

    また、これからの時代を考える上で、世界史が承認欲求や快楽(満腹や快適な生活環境)といった脳科学的快感をより多く得るために行動を起こしてきた人々の歴史であるという視点は必要かと。

    内容的には同じような本が多く出ていると思う。
    著者のキャリアから見えるものを提示しているわけではないので、具体例に富む訳ではないけれど、かつての自分と同じような悩みを持った(しかし僕よりは明らかに優秀な)中高生の夏休みに将来を考えるための図書としては非常にいいのではなかろうか。

    平成25年6月21日追加
    産業革命を"肉体労働の外部委託”、"肉体労働の効率化”、"頭脳労働の外部委託、効率化”と捉えると、次は感情労働の外部委託?

    宗教や国、民族によるアイデンティティはいまだに有効だと思われ、そのレイヤーでの規定がまた大きくなってきているように感じる。

    国は法による行動規制のレイヤーか?

    日本以外で法規制が強い&当該国民感情が許さない行為であっても、日本では問題がなく世界に貢献するものこそが日本発のイノベーションでは?

    いまの世界をひっくり返すにはなにをする?

  • ウチとソトで成り立っていた世界から、
    境のない真っ平らな地平の上に、横へ横へと広がっていく、そんな世界になるのではないかという考え。

    「レイヤー化する世界」の話も面白かったけど、
    人類の歴史が自分んとこ、と、それ以外で発展してきたのよっていう流れが
    はじめて知ったことだったから、
    じっくり読み込んだ。

    世界がレイヤー化するのはイメージついたけど、
    まだ自分がレイヤー化するのは感じが掴めていないな。

  • 佐々木俊尚さんの新作。IT技術の進展による国民国家の衰退と、超国家企業の登場が、世界をどのように変化させていくかを「レイヤー(階層化)」というキーワードを元に解き明かしていく。

    前作の『当事者の時代』が「言ってることは分かるけれども、読み物として面白くない」という感じだったので、どんなものかな~と思って読んでみたけれども、「世界の実像を解き明かし、これからの指針を与える」系の本としては、かなり間口が広く、面白く仕上げたな~と感心してしまった。現在→過去→未来の構成も納得度が高い。

    「レイヤー化」という考え方は、おそらくセス・ゴーディンがTEDで公演した『我々がリードする部族』の、「部族」というアイデアに近く、これを発展させたものなのかな~と思う。また、ジャレド・ダイアモンドが『鉄・病原菌・銃』のなかで描き出した世界を土台にしているようにも感じられた(ネグリとハートの『帝国』が土台になっているとあとがきにあるけれど)。

    佐々木俊尚さんは、こういう最新の学問の潮流を踏まえて論を立てることができる日本では希有な存在だと思うんだよね。ツイッターで朝にキュレーションをやっているけれども、これも大変参考になっている。というか、朝の楽しみ。

    ただ、実際の所、世界が佐々木俊尚さんが予測するような方向に行くか、それについては保留かなぁ。「レイヤー化」という考えはとても魅力的だけれど、人間としての限界はどうしてもあるからだ。

    無数の場があって、そこにアイデンティティーが横断的に存在できるようになっても、肉体は「1つ」だし、その肉体はものを食べていきている。その生物的な枷は、レイヤー化とは真逆なものであると言えると思う。ここで描かれていることは「事実」ではあるだろうけれども、「そういう流れがある」程度に考えたい。そして、その脇には無数の「別の流れ」があるものだ。

    あと、岡田斗司夫さんの『評価経済学入門』でも感じたけれども、「世界の実像を解き明かし、これからの指針を与える」系の本って、歴史の流れも同じように竹を切ったように解説するよね。

    この本においても、そんなに変な(というか、納得できるくらいの)歴史観で世界が説明されているのだけれども、私個人の目で言えば「そうとは言い切れないだろ」と思う部分が多々あった。これは私が歴史学を専攻していたからかもしれない。そして、そういう目から観れば、「世界の実像と、これからの未来」というのも、まったく確かなものではないと言い切ることができると思うのだ。

    もちろん、一読する価値はある。古い価値観に生きているならなおさらのこと。でも、そういう人はこの本は読まないだろうね……(^_^;)

  • 面白かった
    レイヤーでつながる世界か
    これは頭の体操と言うか、発想の転換に役立つ考え方として覚えておいて損はない
    て言うか、もうすでに「レイヤー」と言う観念が私の頭にすっかり定着してしまった
    良い良い
    日々のニュースや記事の見方も変わってきたぞ

  • 中世から近代の歴史を振り返り、帝国が滅び国民国家と民主主義が取って代わったように今度は国民国家と民主主義が崩壊することによりウチとソトを分け隔てる壁が消滅し、グローバル開かれた世界に数々の「場」が設けられ、人々はその「場」群れ集いそして支配される。国民国家もレイヤーのひとつとなり、民族、言語、産業、雇用、文化なども様々な人々や団体がレイヤーを作り活動し、個人は数多くのレイヤーを身にまとい、「場」で自立的に活動する。

    グローバルなネット企業が国家に所属しない(雇用が少なくあっても自国に拘らない、タックスヘブンなどを利用して税金を払わない)ことから国民国家が崩壊するので、国や会社などに依存しない自己をレイヤーのつながりによって確立せよとのことだ。確かに、様々なレイヤーでの人々のつながりはTwitterやFacebookなどソーシャルメディアでも実感しているところではあるが、それらを人の繋がりができるレベルでやっている人はまだまだ少なく、日本人には敷居が高いのだ。

    近年、右寄りな言論が活発なのはこのような動きの防衛としての反応だろうか、大局的な歴史観から俯瞰する未来像としてとても興味深い論考でした。

  • 「社会のカタチ」の変遷を世界史から辿って行き、「今の時代」がどうやって成り立ったかを知り、「未来」と「未来をどう生きる」ことについて考えるためにとても役立つ1冊。

    100年も生きられない人間には、「今」は歴史の完成形ではなく、通過点にすぎないという当たり前のことが実はよくわかってない。

    歴史を学ぶというのは過去の叡智を受け継ぐことなんだなと。そしてそのことこそが未来を正確に、冷静に見つめることができるんだなと。

    新しい時代に希望を感じられるかどうかは、「今」どういう立ち位置で生きているかによる。

    まずは知ること、そして考えること。
    とても読み応えがあり、読んでよかった1冊です。

    長くなるのでブログに感想を書きました。

    http://rucca-lusikka.com/blog/archives/4924

  • たまに現る当たり新書!

    人と人の繋がり方&お金の流れ方の変移を、「世界史」を道具にして丁寧に説明した本。
    Amazonでの評価はなぜか低いけど、私はスーパーな書だと思う。

    今世界で音をたてながら猛烈なスピードで起こっている変化。

    ここ数年、変化が起こっていること(つまり世界がレイヤー化されてきていること)は、私自身肌で感じていた。

    そして、本書による「現代の解説」自体は、真新しくもなんともない。ここ数年、クリスアンダーソン辺りの、いけてる!?人が、いたるところで言ってる。

    (iTunesが何で流行って、何で儲かってるとか。
    同じく、YouTubeがなぜ?Facebookがなぜ?
    なんでPanasonicが厳しい状況になってもうたの?
    SONYが何で?みたいな話。)

    (ってことは、先進国のポジションを守りにかかっている時期の日本に産まれた、私をはじめとしたゆとり世代としては、テンションの下がる不都合な真実もたっぷり書かれてます。)

    本書が新しいのは、「今」の状況を「歴史」という道具によって説明しているところ。

    ローマ帝国の時代から現代の流れの中での今を説明している。
    今はあくまで歴史の真っ只中だと。

    道具として使われてる歴史は、噛み砕いてあってシロウトでもよくわかる。

    今ある、国家という場は、今たまたまあるだけで、場は代わるんだと。
    代わり続けてきたのだから、また代わると。今はその過程だと。

    今の状況を、俯瞰的に見えるようになったような気がしてる。

    ただ、レイヤー化された世界でどう生きるのかという命題については、ほぼ丸投げ。

    確かに、正しい答えなんてないから、自分で考えるしかないね。
    さて、どうしたもんかのぉ。

  • 時代の流れを中世、近代、未来に分けて解説をされていて、これまでの石階の流れをおさらいすると共にテクノロジーや時代の変化に世界の産業などが追いついていないことが指摘されています。
    これからはテクノロジーの発達によって生まれた「場」によって国民国家の境界があいまいになるというのは、共感出来ました。
    新しい働きを考える前に、時代の流れを知る事が重要だと感じるので、時代の流れがうまくまとまっていて、オススメです!

  • ホリエモンこと堀江貴文さんのブログを取っているのですが、
    書評コーナーで珍しく☆5つがついてた本です。
    辛口のホリエモンが☆5つつけるのは本当に珍しいのです。

    中世と近代と現代に分けて、今までの世界の状況を整理し、
    その上でこれからの未来を予測するという流れなのですが、
    世界の帝国の勃興を眺めるように見ていけるだけで
    ワクワクすることができました。

    そしてその流れからの予測としての未来。
    全ての人類が均質化した結果、<場>が支配する世界。
    これはリアルな未来像かもしれないと思いました。

    今や情報の産業革命により、
    どこにいても誰といてもいつでも同じ仕事ができるようになりました。
    環境の格差は日に日に無くなっていきます。

    そして世界の最適化の向かう先は均質化です。
    個が国などの団体に帰属する意識はどんどん希薄化し、
    個が持つ様々な属性がその一つ一つで
    いろいろなグループに繋がっていく。
    それぞれの個性は既に珍しいものではなくとも、
    そのグループの組み合わせは世界に一つしかない。
    個性とはそういうものになってきつつあるのかもしれません。

    そんなことを考えさせてくれた本でした。
    良著です。
    すぐに役に立つような本ではありませんが、
    是非一読をお勧めします。

  • いわゆるパラダイムシフト系の本。膨大な文献を元に、中世からの近代までの世界史から、いまの国民国家が出来るまでを簡潔に説明されており、非常に分かりやすい。
    国民国家といった縦軸て分断された組織がなくなり、横軸に無限広がるレイヤーで人々が配置されていかだろうってことか。国民国家や大企業のあり方が、変わるのは、激しく同意。

  • 佐々木俊尚さんの新刊。

    「中世 ⇒ 近代 ⇒ 未来」という3部構成で、今後ネットがますます普及しグローバル化が進んで行く社会の中で、どういうスタンスで生きていけば良いか、そういった示唆というか方向性の1つを伝えてくれる。

    「未来」の部で語られる結論は、今まで読んだ氏の本とそれほど変わらなかったのであまり得るものはなかったけれど、過去の「中世」「近代」の歴史がすごく面白かった。

    で、結局は「民主主義」前の昔の状態に戻るだろう、という話が大変興味深い。

    結論読んで「希望」を感じられるかどうかはその人次第。いずれにせよ、この本読むと、今後は「誰かにお任せ」ではなく「自分が決める」という自立心が何より必要、という意識は身に付くと思う。

  • 時代を貫くGPT(General Purpose Technology)「汎用技術」p15

    「人口ボーナス」p20

    政略結婚を繰り返したハプスブルク家の家訓「戦争は他家に任せておけ。幸いなオーストリアよ、なんじは結婚せよ」

    【自分で自分の尻尾を食べていく】p147
    ...これはなんだか、悪い冗談のようにも思えます。
    なぜならヨーロッパの国民国家が帝国主義と植民地支配を生み出し、そして国民国家から生まれた民主主義が、今度は植民地の独立をうながしたということだからです。まるで自分で自分の尻尾を食べていく蛇のようではないでしょうか。

    【政治イデオロギーではもはや解決しない】p158
    配分する富のなくなってしまった社会民主主義と、国に富をもたらさない新自由主義。Cf. 租税回避、タックスヘイブン

    世界の力の分散と、国内の社会の分断。
    このふたつの引力によって、ますます民主主義は引き裂かれていくのです。

    【あらゆるメディアが<場>に移行していく】p180
    ウィンドウズやグーグルのような自由な<場>が有利なのか、それともアップルやアマゾンのような管理された<場>のほうが有利なのか。それはこの<場>の設計では大きな論争となるテーマです。<場>をどう設計し、どう運用すれば、利用している人たちが納得し、たくさんのお金がもたらされるようになるのかという、その議論がいまさかんに行われています。
    決着がつくのはまだだいぶ先になるでしょう。

    【金融は人と人のつながりのなかに】p185
    P2Pファイナンスもクラウドファンディングも、銀行という組織のウチ側に取り込まれていたお金の流通を、<場>という開放された場所へと移していくものです。

    【<場>は試行錯誤の実験場となっていく】p192
    [Gov2.0]
    行政機関がさまざまな情報を公開し、民間の企業や個人はその情報を使ってさまざまなサービスを作り、公開し、皆に使ってもらうという考え方。民間のプログラマーも、よいアプリをつくってそれを有料で売ることができれば、参加しながらお金を儲けることができるようというメリットもある。
    Cf. 2008年、ワシントンDC、Apps for Democracy

    【教育の土台がかわっていく】p198
    Cf. Kahn Academy、TED

    《7章 レイヤー化する世界》
    【横にスライスされていく社会】p202
    eg. アイチューンズで買った音楽はどんな機器でも聴けるし、ソーシャル・メディアの音楽雑談も、ミュージシャンも、アイチューンズとは独立して勝手に活動しているのです。
    白い皿はインターネット。一枚のパンはアイチューンズです。キュウリやハムの具材が、ミュージシャンやディレクターやスマートフォン。最後に軽くかけられたマヨネーズは、音楽についての友達との雑談。
    そしてできあがったサンドイッチという全体が、素敵な楽曲。
    [レイヤーの例]
    ・インターネットというインフラのレイヤー
    ・楽曲や番組、本などが販売されるストアのレイヤー
    ・どんな音楽や番組が面白いかという情報が流れる、メディアのレイヤー
    ・購入した楽曲や音楽を、テレビや音楽プレイヤーやスマートフォンやパソコンで楽しむという機器のレイヤー
    ・そして楽曲や番組そのものというコンテンツのレイヤー

    【これからの世界システムの4つの構造】p238
    ①超国籍企業がつくる<場>
    ②<場>の上でレイヤー化されていく世界
    ③レイヤー化した世界で、プリズムの光の帯になっていく私たち
    ④私たちと<場>の共犯関係
    これらが新しい世界を駆動させていく

    《9章 新しい世界システムと私たち》p239
    国民国家と、民主主義と、経済成長。20世紀を支えたこの3つの連携は、もう終わろうとしています。

    アメリカの国家情報会議が4年毎に発表している「グローバルトレンド」というレポート「2030年には、アメリカが世界で唯一の超大国である時代は終わる。ひとつの大きな国家が世界を支配するような時代は終わり、さまざまな国や世界企業、さらには非政府組織(NGO)のような団体まで含めて、ばらばらに権力が分散される時代がやって来る」p240
    ⇒それは形のはっきりしない大きなネットワークのようなものです。だれも覇権を奪えないけれど、だれもが覇権に参加している。そういうアメーバみたいな姿が、世界の未来なのです。

    [心のなかの国境線]
    「グローバリゼーションで世界はひとつになっていく」というようなことがよく言われます。しかし世界はそんなに単純にひとつになるわけではありません。
    「グローバリゼーションで世界は均質化し、全員がマクドナルドのハンバーガーを食べるようになる」という批判もあります。しかしそのような均質化も起きません。
    <場>はまるで、パイ生地のように重層的にレイヤーを積み重ねていきます。
    ・民族のレイヤー
    ・国境のレイヤー
    ・言語のレイヤー
    ・その国のこれからについて皆で議論して世論をつくる、政治のレイヤー
    ・お金が流れる、金融のレイヤー
    ・モノが流通する、産業のレイヤー
    ・仕事がやりとりされる、雇用のレイヤー
    ・その国の音楽や映像や書籍など、文化のレイヤー

    ↑こうしたレイヤーは以前から存在した。
    これを顕在化させ、可視化させたのがツイッターやフェイスブックをはじめとするソーシャル・メディアだった。

    【<場>の時代を生き延びていく戦略とは】p250
    ①レイヤーを重ねたプリズムの光の帯として自分をとらえること
    ②<場>と共犯しながら生きていくということ

    Cf. 「リープフロッグ」:先進国が、19世紀から段階的に技術を進化させてきたのに対し、途上国ではそうした段階を全部飛び越えて、ぽーんと新しい技術へと進んでしまう。まさにカエル跳びです。p264

  • 世界の文明が発達していく経緯を大雑把に紹介しながら、これから世界がどうなっていくかを予想している本。
    現在では欧米がリードしているが、中世まではイスラム、中国の方が世界をリードしていた。昔は国という概念もあまりなかったようだ。
    現在では国家という考えが当たり前だが、この先は労働力の流動化により、国境は徐々に意味がなくなってくる。労働の報酬は安い地域に合わせることにより、全体がさがってくるらしい。

  • 歴史を踏まえて大局的に書かれている、面白い。

  • 今の我々を取り囲む構造の解説であって、その解決策、対応策が記されているわけではなかった

  • 本書は3部構成。レイヤー化は第3部にて言及されている。レイヤーという表現とニュアンス。「人の多面性」=「多層化」と表現しているように感じた。「層=レイヤー」であり、同じ層の人同士だとうまくコミュニケーション取れる。まるでOSI7階層モデルのように。

  • 霑台サ」繝ィ繝シ繝ュ繝?ヱ縺ョ縺、縺上▲縺溷嵜豌大嵜螳カ縲√◎繧後↓蝓コ縺・縺乗ー台クサ荳サ鄒ゥ縺ィ縺?≧繧キ繧ケ繝?Β縺ッ邨ゅo繧翫↓霑代▼縺?※縺?k-縺薙?譛ェ譚・繧定??∴繧九◆繧√↓縲∽クュ荳問?霑台サ」縺ョ荳也阜縺ョ繧キ繧ケ繝?Β縺後d繧?*縺」縺上j縺ィ縺?縺碁撼蟶ク縺ォ繧上°繧翫d縺吶¥隗」隱ャ縺輔l縺ヲ縺?k縲ゅ◎縺ョ蠕後?∽サ雁セ後?荳也阜縺後←縺?↑縺」縺ヲ縺?¥縺九?∽サ翫∪縺ァ縺ョ邵ヲ蜑イ繧翫?遉セ莨壹〒縺ッ縺ェ縺乗ィェ縺ォ縺、縺ェ縺後k=縲後Ξ繧、繝、繝シ蛹悶?阪r繧ュ繝シ繝ッ繝シ繝峨↓隗」隱ャ縲らエ榊セ励〒縺阪k驛ィ蛻?b螟壹¥莉雁セ瑚?蛻?′縺ゥ縺?d縺」縺ヲ逕溘″縺ヲ縺?¥縺九r閠?∴縺輔○繧峨l繧九?

  • 2016年10冊目
    めちゃくちゃ面白かった。本書は中世にさかのぼり世界の変化から未来予測に繋げている。
    前回読んだメイカーズ進化論とも共通するような事が書かれていて、
    モノづくりのあり方が今大きく変わっている。本書ではそれだけなく、金融や教育、公共サービスなどもInternetの基盤の上に気づかれた環境により既に世界が変わりつつある事を教えてくれる。
    今起こっている「第三次産業革命」は仕事を増やさず、企業は人を雇わない。
    そして、世界中の仕事の給料はだんだん均等にならされていく。
    そんな世界でどう生きていくか?
    それを教えてはくれないが、考えるきっかけを与えてくれた本でした。

  • 【要約】
    ・文明の発展を概観した上で、これからの世界はネットを中心とした「場」での活動が中心になり、国の境界はなくなっていくというのが本書の骨子。国家という枠組みを強固なものにした西欧文明も、かつては辺境のマイノリティだったわけで、今また、それが移ろっていっても不思議ではない。本書では、帝国全盛の時代から国家と民主主義の興隆への変遷を紹介することでそう主張している。

    ・「レイヤー」というのは、属性が分解されて、それぞれがそれぞれのつながりを持って広がっていく、というイメージ。これまでが縦割りのパッケージだったのに対して、これからは各人が持っている色々な側面が、それぞれ薄く横につながっていく、というようなものだろうか。

    ・「不安だけど、アメーバのようにくねくねと動き回りながら、自分の居場所を見つける努力を一生続けること(P268)」というのは示唆的だが、今の日本で、こういう考え方がマジョリティになるにはもう少し時間がかかるのではないかと感じた。

  • 佐々木氏は思想と経済を、生きる知恵に解して伝えてくれようとしているのだと思う。分かたれた重箱ではなく、まさにレイヤーとして、プリズムの糸が見えるようにする。ジャーナリストが極まると使命の作家になっていくのだなと思うし、その仕事に道を示してもらえて深く感謝をするのだが、本当は、本当は言いたくても言えないことがあるんじゃないかと邪推してしまう。報道やキュレーションを通じての示唆とかではなく、それを聞いてみたいと思う。そうする資格というか環境(信頼していい読者)が佐々木氏には既にあるんじゃないかと考えるのは、しかし無責任で勝手な期待。

    【目次】[more]
    プロローグ 現代―第三の産業革命が起きている
    第一部 中世−多くの民族がともに栄えた帝国の時代
     1.かつてヨーロッパは辺境の地だった
     2.なぜ中世の帝国は滅んだのか
    第二部 近代−私たちが「国民」になった時代
     3.「国民」は幻想からやってきた
     4.「民主主義」という栄光
     5.崩壊していく民主主義と国民国家
    第三部 未来−<場>の上でレイヤー化していく世界
     6.すべては<場>に呑み込まれる
     7.レイヤー化する世界
     8.「超国籍企業」が国民国家を終わらせる
     9.新しい世界システムと私たち

  • <a href=\"http://rashita.net/blog/?p=10802\" target=\"_blank\">http://rashita.net/blog/?p=10802</a> にて紹介。

  • これまでの歴史を中世から振り返ると、世界が決してずっとアメリカ中心の自由主義経済や民主主義社会でやってきたというのがいかに幻想かというのが、当たり前だがより自然に理解出来た。

    その昔、ヨーロッパが世界の辺境の地であり「陸」の時代の頃は中国やペルシャ、地中海の人々が中心であった。そして「海」の時代へ変わるきっかけになったのは、新大陸を発見することが出来たからだが、それには海洋技術の発展も大きかったのではないか。そこから地理的に辺境であったヨーロッパが世界の中心の軸となり繁栄を手にすることが出来た。

    そして確か自分が学生だった20年ほど前には、その当時経済の面で落ち込んでいた中国が、「これからは中国の時代が来る」というのをよく聞いた。その時はここまでの凄い発展を想像していなかったが、今や覇権を握る大中国になり、そしてさらに超国家主義的な意思を持つ巨大企業が列強国の規模を遥かに超える資産や影響力を持つ社会が現実になっている。この本は2013年に書かれた本であるが、今現在2018年には、いわゆるGAFA(Google.Apple.Facebook.Amazon)の時代である。

    今後どうなるか、またいくらでも覇権を争う企業があとからあとから出てくる可能性はあるが、この本で言及されている通り、相対的に国の力が小さくなることはその通りだと思う。

    僕たちに出来ることは、技術を使いこなせるようになり、とりあえず乗っかって複数の弱いつながりを作りながら、自分で自分を助けるセーフティネットを作るという、この著者の意見に全く同意する。

    場=プラットフォームを利用しながら利用されながら小さくたくさんを稼いで、それを賢く運用しながら生きていく。ワンチャンスにかけながら生きていく落合陽一の言う通り百姓の時代かも知れない。

  • 場の概念について
    地球に住む人類がどんな歴史を踏んで、生きてきたのか、
    そしてこれからどんな世界が待っているのか、筆者が主張する世界はそう遠くない未来にあぐらをかいで待っているように感じた。

  • 国民国家が生まれる

  • 凄まじい。
    だれしもが読むべき良書。

  • 第三の産業革命の中で生きていく私たちは、「場」の中で、利用されつつも利用し、柔軟に考え方・働き方・生き方を変えていく必要がある。

  • 帝国主義→民主主義と続く歴史を踏まえたうえで、現在はレイヤー化して今後世界がどうなるかを綴った一冊。

    ITが促進して世界がタコ壷化して行く中で、どう生きるかというのを考える1つのヒントとなった。

  • この本を読んだとき、これからやってくるであろう新時代の訪れにワクワクしてドキドキしました。

    副題に〈テクノロジーとの共犯関係がは始まる〉とありますが、これに尽きます。インターネット上で次々と生み出される仮想の〈場〉。mixiでもfacebookもそうです。その〈場〉を利用して私達はコミュケーションをとったり、仕事をしたりします。
    しかも、それは多くの場合、利用だけなら無料です。なんと素晴らしいのでしょうか!

    しかし、諸手を上げて喜んではいられません。当然デメリットもあります。〈場〉を運営する側に私達の情報は筒抜けです。それを個人情報の侵害だ、と批判することもあるかもしれません。ただ、〈場〉はそうした意見も情報も吸収し、さらに強大な〈場〉として、私達の生活に欠かせないものになっていきます。

    これが佐々木俊尚氏が述べる〈共犯関係〉です。私達は〈場〉によってコミュケーションや、仕事をする。〈場〉は私たちに利用させることによって、利益をあげている。
    〈場〉がなければ私達の生活は一気に不便になります。逆に〈場〉は私たちがいなければ利益を上げられません。私たちも〈場〉は持ちつ持たれつの関係なのです。

    新しい時代には新しいテクノロジーやサービスが生まれ、一昔前の時代を生きた人にとっては奇妙にうつるかもしれません。しかし、この第3次産業革命は今以上に発展し、より進化していくと思います。
    今後生まれてくる新しい世代の子供たちは幼少期よりSNSに触れて、出会い系サイトの利用なんて普通になるのかもしれません。

    でも、そういう時代や文化を感じとれて受け入れられる人が、これからやってくる未来を楽しく生きていけるのではないでしょうか。使えるものは使って、自己利益につなげていこう、〈場〉と私たちの 共犯関係をうまく利用してやろう、そんなふうに思っていました。

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著者プロフィール

佐々木 俊尚(ささき としなお)
1961年生まれ、兵庫県出身。早稲田大学政治経済学部政治学科中退後、1988年毎日新聞社入社。記者として勤めたあと、1999年『月刊アスキー』の編集部デスクに転身。2003年退職後、主にIT分野やメディア業界に関わるフリージャーナリストとして活躍。大学非常勤講師なども担当している。
代表作として、2010年度大川出版賞を受賞した『電子書籍の衝撃 -本はいかに崩壊し、いかに復活するか?』、『キュレーションの時代』など。近年は『家めしこそ、最高のごちそうである。』といった自宅料理についての著作もある。

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