保守とは何だろうか (NHK出版新書)

著者 :
  • NHK出版
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レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140884188

作品紹介・あらすじ

安全保障問題から憲法改正問題まで。現政権が提唱する方向は、はたして保守本流か否かという議論が沸き起こる。今ほど保守のありかたが問われている時はないだろう。では、真の保守精神は危機の時代にどう対峙するべきか?一九世紀イギリスの"天才"保守主義者コールリッジの思索を導きに、経済、金融から財政、教育にいたる「国のかたち」の作り方を明快に説く。ステレオタイプな保守像を覆す待望の著!

感想・レビュー・書評

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  • 西部邁先生が亡くなられ、<保守>について今一度考えたいと思い、お弟子さんである中野さんの本を選んだ。

    中野さんの書籍でいつも驚くのは、参考文献である。この本は新書で250ページ余りしかないが、引用は100を超えている。特に、英語が苦手な自分は、英語論文や英語の著書からの引用は非常に勉強になる。

    福田恆存は、「保守主義などといふものはありえない。保守は態度で人を納得させるべきであつてイデオロギーによつて承服させるべきではない」と言っている。しかし、当時と異なり、現在は革新派が優勢となりつつある。
    筆者は、自らを保守主義と呼び、なぜ保守がいいのかを説明しなければならないと主張し、19世紀イギリスの天才保守主義者コールリッジの思索を導きに、経済ら金融から財政、教育に至るまで論じている。
    世間で言われる保守像を覆す著作。

    ------以下引用------

    保守は便宜を大事にする。便宜に基づく政治は、多元的で多様な世界と親和的である。

    「政治における人間の理性は、完全なものではない。それゆえ、理性による政治秩序の構築を企てるのは危険である。したがって、伝統的な制度や慣習、あるいは権威など、理性では論証されないようなものであっても、それらが秩序の基礎となっているのであれば、それを便宜的に保守した方が賢明である。かりに既存の制度の改革を行う場合であっても、理性の限界を肝に銘じて、慎重に、漸進的に進めるのが望ましい。保守的な姿勢の方が、かえって自由を守ることができる。これが保守主義の<不完全性の政治学>である。

  • 保守政党がなぜTPPをゴリ押ししたり新自由主義をとるのかやっと意味がわかった気がした。日本共産党のポジションは余計わからないけど。聖書研究に費やされている第4章はちょっと手に余ったけど、読んでよかった冬休みの宿題。

  • ――――――――――――――――――――――――――――――
    国家の富強こそが、政府の財源の本質である。159
    ――――――――――――――――――――――――――――――
    コールリッジは言う。国家とは、穀物の山のような、個人の単なる集合体ではない。かといって、国家は、有機的生体のように、全体がすべてで、個人を国家全体の中に埋没させてしまうようなものでもない。国家とは、無機物と有機体の中間にある概念である。すなわち、個人は国家の一部でありながら、同時に個人としても存在しうる。そういう個人が「国民」であり、そういう国家が「国民国家」なのである。

    それと同じことを説明するため、コールリッジは「常に原初状態にある社会契約」という、じつに興味深い概念を提示している。237

    コールリッジは、イギリスという国民国家について、個人が常に社会契約を結び続けている状態であるという比喩を用いて表現した。この場合、人々は常に、自発的な意思によって、自分の国を選び続けていることになる。238
    ――――――――――――――――――――――――――――――
    侵略も制服も、国民国家の独立を損なうのである。それゆえ、真のナショナリストであれば、無謀な野心に駆られた侵略や制服を企てたりはしない。

    一般に、国民国家のナショナリズムこそが、戦争の原因であるとみなされがちである。しかし、コールリッジは、そうは考えない。真のナショナリストは、現実主義的な政治判断に立ち、独立した国民国家から構成される多元的な国際社会を理想とする。239
    ――――――――――――――――――――――――――――――

  • 目次

    序章 迷走する「保守」
    第1章 財政―なぜ保守は積極財政を支持するのか
    第2章 金融―「過剰な営利精神」を抑制せよ
    第3章 社会―「改革」はどのように行うべきか
    第4章 科学―保守が描いた「知の方法論」
    第5章 国家―保守のナショナリズムとは何か

  • タイトルに惹かれ購入しましたが、新書とはいえ、深い内容で、勉強になりました。いまの日本の政策課題を理解する上でも、相当参考になります。コールリッジのマクロ経済論あたりから、引きこまれてしまった。

  • コールリッジの思想を主に経済学の観点から見ることができる。
    フランス革命が始まってから間もない時期に経済について広い視野を持っていたことに驚く。
    人間は保守的な動物であり、革新を保守するという状況が現在の日本で起こっている。
    人間だれもが身の回りの事をよく考えれば保守であることに気づくと思う。誰も壊すことなど望んではいない。
    保守を広めていくことが今後の日本にとって重要なのは、革新を求め続け国柄を失った現在の日本を見れば、明らかである。

  • 読みごたえのある本でした。最近感じていたことに,深い裏付を与えてくれたような気がします。

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プロフィール

1971年生まれ。東京大学教養学部教養学科(国際関係論)卒。通商産業省(現・経済産業省)を経て、評論家。エディンバラ大学より博士号(社会科学)取得。主な著作に『TPP亡国論』(集英社新書)、『真説・企業論』(講談社現代新書)他。

「2017年 『[新版]〈起業〉という幻想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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