おとなの教養 私たちはどこから来て、どこへ行くのか? (NHK出版新書)

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  • NHK出版
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レビュー : 319
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140884317

作品紹介・あらすじ

いま、学ぶべき教養とは何か?現代人必須の7科目とは、「宗教」「宇宙」「人類の旅路」「人間と病気」「経済学」「歴史」「日本と日本人」。この7つを貫くのは、「自分がどういう存在なのか」を考えようとする問題意識だ。7科目のエッセンスを講義形式で明快に説く決定版。現代人の「生きる力」=教養の本質が一気に身につく!

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    読み物としては非常に面白かった。
    リベラルアーツとカッコ良く言っているだけで、正直かじっただけでは雑学と大きく変わらないなーとも思ったな。
    覚えたからといって、果たして本当に自由になれるのか?笑

    まぁ、勉強にはなった。
    池上彰の知識の幅広さには、毎回舌を巻きますねー


    【内容まとめ】
    1.リベラルは「自由」、アーツは「技術・学問・芸術」/リベラルアーツは「人を自由にする学問」
    2.ユダヤ教は「ユダヤ人のみが救われる」
     キリスト教は「信じる者は皆救われる」
     イスラム教は「コーランを声を出して読む」
     仏教は「良い状態に生まれ変わる事(輪廻)」が目標ではなく、「二度とこの世に生を受ける事がない事(解脱)」が理想
    3.宇宙は136億年前、地球が生まれたのは46億年前!
    4.スペイン風邪の猛威によって、あの第一次世界大戦が終戦した説。また、スペイン風邪=鳥インフルエンザという説もある。
    5.第一次世界大戦から第二次世界対戦が終わるまで、日本製品は「安かろう悪かろう」の代名詞だった。


    【引用】
    改めて勉強し直したいと思うようになった心の根底には、
    「自分がどこから来てどこへ行くのか?自分は今どこにいるのか?」
    という問いかけがあるのではないでしょうか?


    p13
    現代の教養=リベラルアーツ
    ・そもそもリベラルアーツとは?
    1.文法
    2.修辞学
    3.論理学
    4.算術
    5.幾何学
    6.天文学
    7.音楽

    リベラルは「自由」、アーツは「技術・学問・芸術」
    リベラルアーツは「人を自由にする学問」


    p30
    日本ではよく大学に対してすぐ役に立つ学問を教えて欲しいと言われます。
    ところがアメリカは、すぐに役に立つものを教えるのは専門学校(ビジネススクール)で、いわゆるエリート大学は「すぐに役に立たなくてもいいこと」を教えます。

    すぐ役に立つことは、世の中に出てすぐ役に立たなくなる。
    すぐには役に立たないことが、実は長い目で見ると役に立つ。


    現代のリベラルアーツは?
    1.宗教
    →「死んでしまったら人はどうなる?」
    →「この世界はどうやって生まれてきた?」
    →宗教によって古代の人々は過去や未来を考え、世界の成り立ちを理解しようとしてきた。

    2.宇宙



    p45
    ・ユダヤ教とはどのような宗教か?
    3000年以上前、ユダヤ人は今のイスラエルがあるパレスチナに移り住み、その一部はエジプトにも一部移住した。
    しかし、エジプトで大変な迫害と弾圧を受け、モーゼと共にエジプトを脱出した。
    これが「旧約聖書」でも書かれている「脱エジプト」である。

    ユダヤ教では、罪に対する罰や生活上の規範など、非常に細かい規定が決められている。
    まさに「律法」で、ユダヤ人はこの律法を厳格に守る事を重視した。

    しかし、このユダヤ教徒の中から、律法にとらわれることなく、独自の教えを広める人物が現れます。
    それがイエスです。


    ・ユダヤ教とキリスト教の違い
    ユダヤ教では、ユダヤ人こそが神に選ばれた特別な民族であると考えます。
    しかしイエスは、神を信じる者は誰でも救われると説きました。

    キリストが説く神も、ユダヤ教の神も、同じヤハウェである。
    それを英語で言えば「ゴッド」になるだけ。

    ユダヤ教はあくまでユダヤ人のみが救われるという民族宗教、キリスト教は「信じる者は皆救われる」という世界宗教。
    だから場所や民族を問わず世界中に広まった


    ・ムハンマドが洞窟で聞いた神の声
    今から1400年前からイスラム教は始まった。
    ムハンマドは洞窟で天使・ガブリエルから色々な教えを賜ったが、読み書きができないために全て暗記して人々に伝承した。
    人々も読み書きができない人ばかりで、次第に戦死をしてイスラム教を受け継ぐ事ができなくなっていった。

    そこで生まれたのが「コーラン」。
    コーランとは、「声に出して読むべきもの」という意味。


    ・仏教
    釈迦家の王子に息子が産まれる。
    神のお告げで、この子が世界を変えると言われたため、そうさせないように親は贅沢三昧をさせた。
    しかしある日、世の荒み具合を目の当たりにした釈迦は現実を知り、「いい世の中にするために自分は何をすべきか」を考えるようになる。
    そして28歳の時に妻子や地位を捨てて修行に繰り出し、6年ほど厳しい修行をするが決着がつかず、菩薩樹に座って瞑想したところ、ようやく真実にたどり着き悟りを開いた。

    古代インドには「バラモン教」という宗教があり、そこから派生して仏教とヒンズー教が生まれた。

    仏教の「輪廻」は決して明るい考え方ではない。
    人生はそもそも苦しいものであり、何度生まれ変わってもその苦しさから逃れる事はできない。

    そこから逃れる術は「悟りを開く」事であり、それを「解脱」という。
    また、一切の苦しみから解放される境地に入ることを、「涅槃に入る」という。
    →解脱して、涅槃に入る事が仏教の理想!

    仏教は、「良い状態に生まれ変わる事」が目標ではなく、「二度とこの世に生を受ける事がない事」が理想!

    宗教ではなく、ブッタが説いた哲学。


    p71
    ・カトリックとプロテスタント
    カトリックは「普遍的な」という意味。
    お金が必要だったため、免罪符を売り出して資金集めをした。
    このカトリックに対して宗教の堕落だと抗議する人達が現れ、プロテスタント「抗議する人」が生まれた。


    p80~ 第2章 宇宙
    ・天動説から地上説へ
    16世紀後半、コペルニクスは様々な天体の動きを見ているうちに、地球の周りを太陽が回っているのではなく、地球が太陽の周りを回っていることに気がつく。
    →コペルニクス的転回

    17世紀になると、アイザック・ニュートンが登場。
    リンゴは落ちるのに、月や太陽はなぜ地球に落ちてこないのか、また逆に地球がなぜ太陽に落ちないのかが気になる。
    疑問を探求した結果、すべての物体にはそれぞれ引っ張り合う力がある事に気付き、「万有引力の法則」を導き出した。


    p94
    138億年前に、インフレーションとビックバンによって宇宙が生まれた直後は、重さのない粒子が飛び交っていた。
    そこにヒッグス粒子が誕生すると、他の粒子が飛び交うのを妨害して、水飴のようにまとわりつく。
    そうなることで色んな粒子が遠くへ飛ばなくなり重さができて、その質量同士が結びつき、原子核・原子が誕生した。

    地球が生まれたのは46億年前!


    p126
    ・乳がん発生率は看護師が高い?
    夜間仕事をしている人間はがん発生率が高いことがわかっている。
    原因は、抗がん作用があるといわれているメラトニン分泌度の薄さにも起因している。
    日中、太陽を浴びている時は分泌度が低く、夜寝る時に分泌度が上がる。


    p132
    ・インフルエンザの語源
    人類とインフルエンザの間には、非常に長い闘いの歴史がある。
    元々は16世紀のイタリアで発症しだした。
    当時は占星術が力を持っていて、原因を星の動きと結びつけていた。
    影響をイタリア語で「インフルエンツァ」という。


    ・スペイン風邪の猛威によって第一次世界大戦が終戦した?
    また、スペイン風邪=鳥インフルエンザという説もある!


    p151~
    第5章 経済学について


    p153
    アダム・スミス「国富論」
    富とはそもそも何なのか?
    →「富とは国民の労働で生産される必需品と便益品である。」
    働く事によって生活に必要なものや便利なものをつくりだしている、これこそが富!

    みんな利己心から仕事をして、それが結果的に分業という形になって経済を回している。


    p156
    「見えざる手」とは?
    皆が利己心で勝手に分業しているのに、なぜか経済はうまく回っている。
    =市場での売り買いがうまくいっている。

    「見えざる手」というのは、市場経済が持つ自動調整機能のことを指している。


    p157
    ・マルクスの資本論
    「資本主義社会において、労働者より資本家の方が絶大な力を持っている」
    という原則に対し、
    「資本家と労働者は対等な立場である」
    と、パラドックスを唱える。

    資本家は生産にあたって、労働者から労働力を購入しないといけない。
    もちろん労働者はその販売の拒否権も持っている。
    そういう意味で対等で、これが封建社会と資本主義社会の大きな違い。

    利益増のために労働環境を悪くする
    労働者がそれに対して団結し、社会革命につながる。
    資本主義→社会主義に。これがマルクスの資本論!

    しかし、資本主義の欠点を唱えただけで、社会主義の利点までは「資本論」では詳しく書かれていない。
    レーニンやスターリン擁するソ連や、毛沢東を擁する中国、そしてそれらの国に派生した北朝鮮などの国々は、社会主義にして大失敗をしてしまった。


    p162
    ・ケインズ革命
    資本主義はいずれ終局を迎える事を前提として、ただ経済政策を適切に行えば資本主義を補強することができる、と説いた論。

    またケインズは、財政が赤字を迎えたとしても、不況時は国債を発行して国が公共事業を作る、という解決策も講じた。


    p169
    ・フリードマン「新自由主義」
    政府による一切の規制を排除させる考え。
    最低賃金などを撤廃し、企業の動きを活性化することで利益を高める。

    経済活動の自由化で好況になったが、格差が広がってしまった。



    人間は、必ずしも経済学のように冷静に論理のみで動かない!
    感情や心理に基づいて行動するので、論理だけで考えるとエライ目にあう!


    p218
    ・品質「メイドイン・ジャパン」
    第一次世界大戦から第二次世界対戦が終わるまで、日本製品は「安かろう悪かろう」の代名詞だった。
    第一次世界大戦では戦場がヨーロッパだったため、当時は世界から日本に様々な注文があった。
    日本は大量の製品を一刻も早く納品するため、商品の質は二の次だった。
    ワイシャツボタンの糊付けや、海産物に釘や石などの重いものを入れて目方を増やすような事をした人もいる。
    この悪いイメージを払拭しようと、第二次世界対戦後に日本人が努力した結果、今の「メイドイン・ジャパン」になってきた。

    昔から日本製品の品質が良かったわけではない!

  • 駆け足で学ぶべきことに触れることができました。
    内容は広く、浅く、ですけど、その分気軽な気持ちで読める良い本だと思います。

  • 今更ながら初めて知った事が多すぎて、無知だが「私は賢いです。しっかりニュースも見ています。」風なイメージで売り出していた自分が恥ずかしくなりました…
    今後読んでいくジャンルはリベラルアーツも意識していきたい。

  • 「宗教」「宇宙」「人類の旅路」「人間と病気」「経済学」
    もう、メッチャクチャ面白くて
    「池上さんと一緒に暮らして、毎晩飲みながらお話を聴けたらどんなに楽しいことか!!」
    と本気で思いました。
    (おそらく翌日にはほとんど忘れているであろうことを考えると申し訳ないのですが…。)

    しかし「歴史」「日本と日本人」で
    テンションがどーんと下がりました…。

    歴史好きで本をたくさん読んできたけど
    「どこまで鵜呑みにしていいものなのだろうか」と。
    そして私は中国韓国と仲良くやっていきたいと思っていて
    ヘイトスピーチの類は無視してきたけど、
    池上さんからこのような話をきかされてしまうと
    (もちろん池上さんがヘイトスピーチを薦めているわけではない)
    ヘイトスピーチする人たちに共感するほうにググッと近づいてしまいそう。

    私はわりと恵まれた環境にいるので、
    「イヤな気持ちになるものには極力かかわらない」で日々過ごしています。
    でも池上さんは、そういうことからも決して逃げないで、
    すべてを理解してうえで冷静におだやかに解説する。

    いつかそういう人間になれたらいいなと思う。

  • リベラルアーツがどういうものなのかがコンパクトにまとめられています。「現代の自由七科」は中高生も参考にしてもらいたいと思いました。

  • 教養とは何ぞや。知らないで身につけないでのほほんと生きてこれてしまった30年…。ここ最近のほほんとしていられないぞと…教養がないと、知識も意見も、話題も何も膨らまないんですよね。記事読んでても知識が薄いとこって読むの遅くなるし…。
    ということでプライドなど捨ててこつこつお勉強してる30歳目前。
    とかぐだぐだ言いつつ、この本は純粋に「へぇ」「ほぉ」と唸ること多し。大人に撮っては当たり前の教養かもしれないですが…特に宇宙とか、宗教の章ね。おもしろい!宗教は最近興味があっていろいろ読んでいることもありますが成り立ちとか、その経緯とか、社会とのつながりとか知れば知るほど「社会は宗教で成り立っている部分が大きい」という発見があっておもしろい。
    こんな興味を持つことや理解できたのは、分かりやすい文の賜物です。ありがたやありがたや

  • この本をきっかけに様々な分野について学び続けなければならないと改めて感じた。
    目に見えない力に頼りたくなってしまう人類は宗教を作った。
    なぜ神がこの世界を作ったのかを知ろうとして科学が生まれた。
    ビッグバンによって生命は誕生し、突然変異と奇跡の積み重ねによって人類は生まれ、アフリカ東部からやってきて、文化の程度が高かったから存在している。
    病気を知ることで人類の歴史を知ることができる。
    アダムスミスの自由競争、カールマルクスの資本論、ジョンメイナードケインズの乗数効果と累進課税、ミルトンフリードマンの新自由主義を経て、今では行動経済学がトレンドになっている。
    現存する歴史はそれを形に残すことのできた文明や勝利国からの視点によって記されている。また、新たな発見や政治的思惑によって歴史は常に変えられていく。
    違うところで生まれ、違う生き方をしてきた人たちと関わることで自分や自分の国のことを意識するようになる。
    すぐには役立ちそうにないものを積み重ねていく。

  • 相変わらず分かりやすい池上さんの本。特に宗教のくだり。ユダヤ教もキリスト教もイスラム教もすべて同じ神様を信仰しており、誰が伝承するかで形態が変わっているという事実。鳥インフルエンザに始まり、ケインズの経済理論。確かに知っていると知っていないではものの見方が変わってくる知識。教養とはかくも重要ということなのか。

  • あらゆる人間の営みの基盤となり得る、現代の教養(リベラルアーツ)を7科目選ぶとしたら、それは何か。この問いに池上さんの出した答えは、1.宗教、2.宇宙、3.人類の旅路、4.人間と病気、5.経済学、6.歴史、7.日本と日本人。

    講座をベースにした文章で、とっても読みやすい。
    反面、最近の読みやすい本ほど、そこで考えること、汲み取れるものも減る傾向もある。サラッと読めて、後には何も残らないことも多い。でも、池上さんの文章には、背後からここに書かれなかった膨大な情報と、読み手への丁寧な配慮が感じられて、静かな奥行きがある。ここから広げて、色々な本を読みたくなった。

  • 若い人にすすめる本

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著者プロフィール

ジャーナリスト。1950年、長野県生まれ。慶應義塾大学卒業。NHKで記者やキャスターを歴任、94年より11年間『週刊こどもニュース』でお父さん役を務める。2005年より、フリージャーナリストとして多方面で活躍中。東京工業大学リベラルアーツセンター教授を経て、現在は名城大学教授、東京工業大学特命教授、東京大学客員教授など。著書に『見通す力』『おとなの教養――私たちはどこから来て、どこへ行くのか?』『はじめてのサイエンス』『おとなの教養2――私たちはいま、どこにいるのか?』(以上、NHK出版新書)、『伝える力』(PHPビジネス新書)、『そうだったのか!現代史』(集英社文庫)、『わかりやすさの罠』(集英社新書)など多数。

「2021年 『おとなの教養3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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