稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則 (NHK出版新書)
- NHK出版 (2015年5月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140884607
感想・レビュー・書評
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取り組みのポイントが簡潔に分かりやすく書かれています。
町づくりに関する事業を興したいと考えて動きだす時の参考になると思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
やる気のある人なら、一日でも楽しく読めてしまう爽やかな本でした。
まちづくりを成功させる「10の鉄則」
①小さく始めよ
②補助金を当てにするな
③「一蓮托生」のパートナーを見つけよう
④「全員の合意」は必要ない
⑤「先回り営業」で確実に回収
⑥「利益率」にとことんこだわれ
⑦「稼ぎ」を流出させるな
⑧「撤退ライン」を最初に決めておけ
⑨最初から専従者を雇うな
⑩「お金」のルールは厳格に
「付録」まちを変える10の覚悟
1行政に頼らない
2自ら労働力か資金を出す
3「活動」ではなく「事業」としてやる
4論理的に考える
5リスクを負う覚悟を持つ
6「みんな病」から脱却する
7「楽しさ」と利益の両立を
8「入れて、回して、絞る」
9再投資でまち全体に利益を
10 10年後を見通せ
コンサル、学者さんは要りません、要は、始めることです。
お上の示した中心市街地活性化3法など愚の骨頂でしたね(笑) -
前評判通りの良書。素晴らしかったです。
高校時代から商店街活性化、地域活性化に文字通り体当たりで取り組んできた著者が放つ、隆盛するゆるい”まちづくり”への抗議書。
ポイントは、本文中に出てくる「10の鉄則」そのままに明快です。
特に、
・補助金および行政への依存体質からの脱却
・自らコストとリスクをとること
・「みんなの合意」の不必要性
の3つは、本文中においてあまりに繰り返して主張されます。
これまで日本で語られてきた、まちづくりに関する言説の中に、事業性が完全になかったとは思いませんが、それよりはむしろ客観評価の不可能な美談的要素にかき消されている印象でした。
そんな中、本書ほど明確に事業性の重要さを主張するものには初めて出会いました。
まちづくりに対して煮え切らない思いや胡散臭さを感じている人にとって、その違和感を代弁してくれることへの痛快さがあるでしょう。
他論者との比較。
コミュニティデザインの山崎亮氏も、まちづくりと「稼ぐこと」のつながりについて可能性を提示した最初の一人だと思いますが、どちらかと言えば視点は行政的で、本書ほどの”地域に稼いでもらう”という視点とは立場が違ったように思います(近年の山崎氏の活動については不勉強ですが。。。)
昨年くらいからは、アフタヌーンソサエティの清水義次氏やらいおん建築事務所の嶋田洋平氏のように、リノベーションなどを通じて地域が稼ぐことのできるような環境を整え、火をつけていくという潮流があるようですね。(ちなみに両氏については未読)
実際、複数のプロジェクトにおいて著者の木下氏と全景のかたがたは連携されています。
私事と絡めて。
郷土や、現在住んでいる地域社会というものに対して、ここ数年思いだけは高まっていたものの、何をしたいのか、すればいいのか燻っていた自分でした。
仕事という命綱と首輪に繋がれ、せめてもの抵抗は資格取得や勉強といったシャドーボクシング的な自己研鑽のみ。
そんな身で読んだ本書は、あまりに耳の痛いものでした。
さあ、始めねば。 -
広義には町興し、狭義には不動産価値の向上を民間主導で行うための考え方とか実例とか、心意気とかを筆者の莫大な経験を通じて語っている、講演を文字に起こしたような本。なので、読み易い。とても参考にもなる。
筆者の木下くんは実は彼が高校生の時にこの本にも出ている有名な早稲田商店街のリサイクル事業の取り組みをしているときに会いに行って以来の仲。その後にこんないろんな苦労や成功があったとはこの本を読んで始めて知った。私も地方に住んでいるので分かるが、その"まあまあなあなあ"な空気の中で新しいことを進めて、しかも成功することは本当に至難のことだと思うし、なんというかイライラすることもあると思い(それが直言的な文章に現われていて面白い)
でも、それでも諦めず、その土地、その土地にいる主体者を探し出して拙速に事を始めるその姿勢は本当に素晴らしいと思うし、なんというか順調に紆余曲折を経て百戦錬磨の"地域興しの達人"になっていることが頼もしく思えました。
本当に直ぐに読めるので内容はさしてかかないが、町興しに興味がなかったとしても、自分の持っている不動産価値をあげたい人や、なんだかよくわからなく0から始めるプロジェクトをやるような人にもたいへん参考になる本だと思います。
木下くん、これからもがんばろう!! -
補助金に頼らずに自分たちで稼ぐ、大事なことやなあって思った。専任者をおかない、小さく始める、とか、街づくり以外のことにも通用することやと思う。
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地方を活性化させることは、個人的に興味がある。江戸期、宿場町や各藩の城下町が栄えた様を想像すると、とても活気があったのではないかと思う。交通網・手段の発展によって移動時間が短くなり、ITによってメール・テレビ会議等のコミュニケーション手段が増え・使い勝手が良くなっている状況を思うと、人々が首都圏に集中する状況から地方分散に進んで良いのではないかと思う。
筆者は地域での事業立上の経験から、次の10箇条を鉄則としている。
・小さく始めよ
・補助金を当てにするな
・パートナーを見つけよう
・全員の合意は不要
・先回り営業で確実に回収
・利益率にこだわる
・稼ぎを流出させるな
・撤退ラインは最初に決めておけ
・最初から専従者を雇うな
・お金のルールは厳格に
ビジネスとして基本的なこともあるが、「地域」という点では、「補助金」「全員合意」「専従者」は重要だと思う。補助金は地方での事業での売上に比べると、高額であり、棚から牡丹餅である。当然、みんな群がるが、補助金がなくなればおしまい。これでは地方を継続的に発展させることはできない。また、地方の取組では、みんなフラットに集まって考えるためか、納得して進めるような形が多いように思うが、そうすると何も決まらないか、決まってもだれもうれしくないモノになる。本書の例では、何でも使える体育館、だれも使わない体育館が挙げられていた。最後の専従者だが、地方では大きな収益を上げる事業を立ち上げることは不可能である。お金を出す人が限られているわけなので。そうすると、それぞれの人が空いた時間・持てるスキルを使ってやっていくこと。これは互助の考えでも素晴らしいと感じた。ボーイスカウトをやっていた経験からも、頷けるものだ。 -
20150828 これからに都市再生の基本がわかるように書かれている。読んでやる気になるだけではダメ。読んで行動しないと何も始まらないとの主張は年代を超えて正しいと思う。
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素晴らしい本である。
今のまちづくりの問題点、課題が記載されており、その解決方法が、本当の民間の事業にあることが述べられている。
市役所でボヤッと考えていることがまとめられているといった感じ。この方向性で役所の職員全員が同じベクトルになれば素晴らしいが、著者も述べられていたとおり、小さく始めることも大切なのだと思う。
何回も読むべき本である。 -
・アメリカの地域再生は不動産オーナー(資産価値の上昇を狙い、共同でエリアに投資)を中心に据えている。
・日本では、まちづくりは税金でやってもらうのが当たり前という感覚(役所依存の気質)が蔓延している。
・民間の力は、「成功しない事業は実行できない」から強い。
・「まちづくりワークショップ」では参加者に当事者性は得られない(みんなの計画は自分の計画ではない)。
・まちを変えるためには、自らが当事者になる必要がある。労働力を出すか、資金を出すか。
・経費を削減する方が、売上を増加させて同じ額の利益を生み出すより難しくない(トヨタが改善にこだわる理由)。
・民間には高い公共意識、行政には高い経営意識、が求められる。
・人口減少そのものが問題なのではなく、減少することがわかっているのにそれに対応しようとしないことが問題。新たな時代に合わせた新たな社会のあり方は確実に存在する。