美術品でたどる マリー・アントワネットの生涯 (NHK出版新書)

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  • NHK出版
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レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140884973

感想・レビュー・書評

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  • 読みながらヴェルサイユ宮殿の近くにあった土産物屋を思い出していました。
    その店で私はマリー・アントワネットのグッズを買ったのです。

    「どうしてこれほど国民に嫌われ処刑された人のグッズがお店にあふれていたのだろう?」
    そして高知の坂本龍馬グッズを思い出し
    「でも坂本龍馬ならわかる。ドイツでヒトラーの、ルーマニアでチャウシェスクのグッズがこんなふうにならんでいるか?
    それはないでしょう。
    昔の人だから?フランス人特有の考え?」
    なんて考えていました。

    そしたら中野京子さんはこの本の最後にこう言われました。
    「最後の最後まで伝説を残した、このマリー・アントワネットという存在はいったい何だったのか?
    『小公女』(注)の著者のような階級主義を是とする時代の人間にとっては、彼女は紛れもない殉教者だ。
    アントワネットと同時代の改革派にとっては、国家の敵以外の何ものでもない。
    後世のフェミニストにとっては、女性であるがゆえにスケープゴードにされた被害者だ。
    人間平等が当たり前の社会に生きる我々は、神に授けられた権力を行使するのは当然で平民と自分では価値が違うとの信念と言動に、ただ戸惑わされる。
    彼女を応援すべきか、はたまた否定すべきか。
    贅沢三昧しただけの愚かな女と見做すべきか、悲劇の王妃として同情すべきか。

    だが考えてほしい。
    世界史的大トピックであるフランス革命に、もしマリー・アントワネットがいなかったら…。
    ロココの薔薇と呼ばれ、ヴェルサイユの女王として美の世界に君臨した後、一転、徹底的に辱められ、ギロチンで首を刎ねられる。
    この明暗の激しい落差。
    これほどのコントラストを世界に晒した王妃は空前絶後だ。
    愛され、憎まれ、殉教者とされ、文字どおり革命の敵だったアントワネット。
    だが彼女こそがフランス革命を華やかに彩った。
    彼女はツヴァイクの言う通り、平凡な女性が運命に鍛えられて何者かになったのだ。

    アントワネットのいないフランス革命はー龍馬のいない幕末みたいにーどれほど魅力を欠いたことか。
    平凡なお姫様だったアントワネットが、
    民衆からハルピュイアに擬せられるまでになり、
    ロマンティックな恋に燃え、
    友人に裏切られ、国を裏切り、
    敗北の決まった運命を引き受け、38年の人生を血汐とともに終えた。」

    この本で私がマリー・アントワネットから学んだのは、
    嫁にきたばかりのころデュ・バリー夫人との確執があったときに「負けて勝つ」という戦いができなかった彼女が、
    最期いよいよ裁判から処刑というところでは、
    ハプスブルクの皇女でありブルボンの王妃であり次期フランス王の母である自覚を新たにし、
    どんな辱めを受けても毅然たる態度でいつづけたことです。
    私も品格を保てるように努力したいと思いました。

    (注)『小公女』では主人公セーラの口を借りて牢屋の中のアントワネットが讃えられている。

  • 第1章 ハプスブルク家のプリンセス
    第2章 変わりはじめた国際地図
    第3章 嫁ぎ先ブルボン家
    第4章 王太子妃としての生活
    第5章 神に選ばれた王妃
    第6章 ロココの薔薇
    第7章 忍び寄る革命
    第8章 「パリへ!」
    第9章 逃亡失敗とフェルゼン
    第10章 引き裂かれた家族
    第11章 忘れ得ぬ王妃

  • 簡単にアントワネットの生涯いを辿ることができる。蒔絵の小物入れやら、陶器やら日本製のものが現存していて美しい
    どうせなら、腕時計の写真も欲しいところだが、ま、いろいろレヴュー書かれていますが、やはりギロチンは同情してしまう いくら浪費化でもフランスがあの時点イギリスに負けた賠償を支払っていたこと貴族政における領主不在の政治のあり方が問題では、しみじみルイ15世は政治手腕が無い。残念な家族ですね。

  • 美術品でめぐる、というよりは、アントワネットの生涯の解説に時々美術品の説明が挿入されるという感じ。全体的に概略っぽい感じなので、詳しく知りたい方には物足りなく感じるかも。
    相変わらず中野先生は簡明で、想像力を掻き立てられる文章を書く方だなあと。

  • 「美術品でたどる」という割には、写真の掲載は少なかったように思う。
    しかし、アントワネットについては、凄くよくわかった。

  • 最近読んだ本の影響で、急に絵画や宮殿が見たくなり…。今すぐ旅行も難しいのでとりあえず、本を…。
    タイトル通りの内容でした。写真は少な目。
    フランス行きたいなあ…。

  • カメラのない時代、記念写真代わりになるのは「絵」だが、誰でも描かれるものじゃない。相当な財力と描かれるのにふさわしい家柄が必要だ。

    そんな条件を満たしていたのが、マリー・アントワネット。父親は神聖ローマ皇帝フランツ1世、夫はフランス国王ルイ16世。文句なしの家柄と財力を背景に、幼少から死の直前までのアントワネットには多くの絵画が残されている。

    本書はアントワネットが描かれた絵画を歴史順に並べ、彼女の生涯を追いかける。彼女の偉人伝だ。ヴェルサイユ宮殿での絶頂期からフランス革命を支持する大衆による監禁、そしてギロチン処刑と、空前絶後な波乱の一生を送ったアントワネットだが、その行動は常に受け身だ。姉の急死によりフランス王妃となり、ルイ16世の優柔不断と親国王派の人材が次々と亡くなったことが彼女を追い詰める。自らの意思なく、運命に弄ばれた不幸な一生だった。それゆえにフランス革命を象徴するアイコンにふさわしい。

    夫ルイ16世が処刑され、次の処刑に自分が選ばれることは間違いのない状況で、喪服を着た彼女の肖像画が一番印象的だ。まだ30代なのに、苦労と恐怖で白髪になったマリー・アントワネットにかつての威厳も気品もない。そんな自信のない表情こそが本当の彼女だったのだろう。

  • 読みやすい文章でマリー・アントワネットの生涯を振り返ることができる。
    著書はルイ十六世とマリー・アントワネットに同情した調子で筆を進めているが、限られた時間だったとはいえ享楽にふけり贅沢三昧を楽しんだ王妃と、ナチス高官の子供を生んだからという理由でフランス市民から袋叩きにあった女性を同列に語るのは私にはちょっと疑問が残った。庶民の感情論に流されず、「善悪を超え、忘れ得ぬ王妃」であることを念頭に置かねばいけないのだろうけれど。

  • かなり面白い!

  • 六本木で開催されているマリーアントワネット展と併せて楽しめる。知っている事実がほとんどだが、分かりやすくまとまっている。
    改めて、数奇な人生を歩んだ人だなと。

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著者プロフィール

中野京子

北海道生まれ。作家、ドイツ文学者。西洋の歴史や芸術に関する広範な知識をもとに、雑誌や新聞の連載、講演、テレビ出演など幅広く活動。『怖い絵』シリーズ(角川文庫)刊行10周年を記念して開催された、2017年度「怖い絵展」では特別監修を務めた。他の著書に『名画の謎』シリーズ(文藝春秋)、『名画で読み解く 王家12の物語』シリーズ(光文社新書)、『美貌のひと』(PHP新書)『怖い絵で人間を読む」(NHK出版新書)など多数。近著に『新 怖い絵』(KADOKAWA)、『画家とモデル』(新潮社)など。著者ブログは「花つむひとの部屋」

「2020年 『中野京子の西洋奇譚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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