絶滅の人類史―なぜ「私たち」が生き延びたのか (NHK出版新書 541)
- NHK出版 (2018年1月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140885413
感想・レビュー・書評
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ホモサピエンスが優秀なわけではない
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ざっくりとした人類史の概要が分かりやすくまとめられていると思う。サピエンスやネアンデルタール以前の人類史はあまり触れてこなかったから新鮮で興味深かった。「サピエンスはネアンデルタール人よりも優れていたから生き残った」訳ではないということは、進化生物学や他の歴史学について考える上で忘れてはならないことだと思った。
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2018年の本で、今はさらに人類史は発達していようが、成程というところが多々あった。
ホモ・サピエンスがなぜ生き延びたか、体格も脳の容量(1550cc)も大きいネアンデルタール人を結果的に絶滅に至らしめたのは、ホモ・サピエンスの人口の増加、集団的社会力、他種からのDNAを受け継いだ適応力などなど、勿論言い切れないことがあろうが、そういったことが複雑に絡みあっているのは確実なのであろう。
人類の起源を探索するというのは、個人的でなく多くの人が興味をそそられるテーマであり、時たまこういった本を読み返してみたくなる。 -
私たちは本当に特別な存在なのか
第1部 人類進化の謎に迫る
欠点だらけの進化
初期人類たちは何を語るか
人類は平和な生物
森林から追い出されてどう生き延びたか
こうして人類は誕生した
第2部 絶滅していった人類たち
食べられても産めばいい
人類に起きた奇跡とは
ホモ属は仕方なく世界に広がった
なぜ脳は大きくなり続けたのか
第3部 ホモ・サピエンスはどこに行くのか
ネアンデルタール人の繁栄
ホモ・サピエンスの出現
認知能力に差はあったのか
ネアンデルタール人との別れ
最近まで生きていた人類
人類最後の1種 -
非常に知的好奇心をくすぐられた一冊。
隣人のネアンデルタール人。
自分たちがネアンデルタール人なんて呼ばれ方をしているともしらないだろう。 -
手軽に読みやすい新書なので、初めて人類史を読む人にもオススメできます。
内容は、サピエンス全史や「Nスペ 人類誕生」(テレビ番組)で追求していないところも多々あり、意見の相違も多々あるので、視点が広がりました。 -
なぜ「私たち」が生き延びたのか?非常に難しい問いかけにもかかわらず、わかりやすく尚且面白い例えで説明してくれています。なるほど〜とうなりながら読み進めることができました。
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人類の進化の歴史について書かれている。読みやすくて一気読みした。人類の成り立ちについて整理出来た。
初期の人類の祖先は弱くて捕食されるものとして生きていたのだろうが、直立歩行をして、石器を作り、走るのが早くなり、脳が大きくなり、ある時に世界に広がる力を持った。ホモエレクトゥスの時にその特異点がきたようだ。その後にネアンデルタール人とホモサピエンスという兄弟種が出来、一方は絶滅し、一方は生き残った。しかし交雑してネアンデルタール人の遺伝子は現代に受け継がれている。その辺の人類の黎明期の物語は非常に興味深い。人類が自我を獲得し、世界を発見し、世界に広がり、ネアンデルタール人という兄弟と出会った時に何を考えたのだろうか。その時の記憶は神話などに残っていたりするのだろうか。想像するとタイムスリップしたような気持ちになる。
しかし、人類の拡大と共に、多くの動物を絶滅させていることも書かれており、人類の罪についても考えてしまった。
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なぜ人が生き残ったのかについて、環境に一番適応できたのが人だと思っていたが、他にも色々な理由が考えられることを知った。たしかにどれだけ多くの子孫を残せるか、互いに協力できるかというところは生き残るためには重要な観点だ。
二足歩行をしている私は、この形が一番生活しやすいと思っているけれどそれはあくまでも現代だから。当時の環境から考えると信じられないような劇的な変化だったらしい。
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ユヴァル・ノア・ハラリ氏のサピエンス全史などを読む前にと手に取りました。
古生物学の分野には疎いのですが、純粋なる興味に基づいて読み始めると、学術名が乱立しているのと、イラストや表が少ないため素人目には見にくさを感じました。
しかしながら、筆者が一般人が考慮する定説や固定観念に対して丁寧な反論(根拠やデータに基づく)を多数展開しており、面白さがあります。
私たちが発展している理由を、脳が大きく進化したから、賢い知能があるからと短絡的な判断をするのではなく、具体的な根拠やアナロジーに基づく考え方をしています。
また、古生物学の様に、すべての知見を得られない状況での推測においては筋が通るだけではいけない、、、これはビジネスの場でも通ずるのかもしれないと感じさせられました。
更に人類史への知識がついた後に読み直し、筆者と同じ目線で内容を読み解けるようになりたい本ですね。