「五箇条の誓文」で解く日本史 (NHK出版新書 543 シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ)

著者 :
  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140885437

作品紹介・あらすじ

明治維新ひいては日本近代の精神を端的に表現している「五箇条の誓文」。そこに掲げられた「デモクラシー」「天皇制」「経済」「自由主義」「和魂洋才」は時を経るにつれ、どのような形で実現したのか。どのように歪められたのか。五箇条を切り口に、江戸から昭和、さらに平成にいたる日本史を明快に整理する。有名企業幹部が学ぶ白熱講義を新書化するシリーズ第3弾!

感想・レビュー・書評

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  • 日本のあらゆるところに蔓延する、無責任主義、たこつぼ思考が五箇条の誓文に読み取れるとする新説。なぜ明治維新はうまく行き、77年後の敗戦を招いたのか。元勲がいなくなって国の経営を統合できる人物がいなくなったからだ、という。非常に腑に落ちる仮説だ。
    戦後72年を過ぎ、リーダーシップのある首相に期待が集まる反面、ファッショとラベルをつけて馬鹿騒ぎするマスコミ。煽動を真に受けないものの、ちょっと危ういなと眉唾で聞く民衆。職域奉公に専念し我関せずの経済人。非常に危うい時期に来ているのは間違いなさそうだ。。。
    戦前と異なるのは、国民が本位ではなく足かせに見えるところ。愛国心の基礎を奪われた状態で、一朝事が起きたらこの国、わが国民はどう反応するのか。カルタゴと同じ経緯を辿らないと誰が言えるのか。

  • 表題から来るイメージで右掛かった内容かと敬遠していたが、とてもインテリジェンスな本でした。もう一度明治維新からの歴史学び直しが必要だと強く思った。

  • 自身に日本史の知識がなさすぎるのか、難しいと感じた。
    五箇条の誓文をベースにした、近代日本の大きな流れはなんとなく分かったし、日本が敗戦に至った理由も理解できたと思う。
    端的にいうと、内閣と立法府と陸海軍そして国民が同じ方向を向き、同じ目的を持って行動しないと国は破滅に向かう、ということだと理解した。

  • シラスの政治はコロナ禍の政策にも見られるように感じ、大変興味深い論考でした。エビデンスとして文献引用も適度にあり、説得力も有りました。
    終戦記念日に読了したのも、また感慨深く思います。

  • 五箇条のご誓文からデモクラシーやグローバル化への対処に議論を繋げ天皇制故に元老不在では決められない政治と政治不信が広がり民主主義は治安維持法とセットでないと展開出来ず背伸びしては自滅的になる日本人を描く。筆者の他の作品のまとめっぽくて面白い。

  • 東2法経図・6F開架 210.6A/Ka84g//K

  • 日本の近代史を様々な視点から見直すという作業は本当に難しい。その意味で、著者の試みは非常に重要である。
    特に、戦前の体制は権力の分立が徹底されていていわゆる「東条独裁」なるものは一切なかったという指摘は秀逸である。

  • <目次>
    序章  「五箇条の誓文」と明治150年
    第1章  尊皇攘夷再考~「未来の攘夷」と「方便の開国」
    第2章  明治国家のデザインの秘密~「王政復古」と「シラスによる政治」
    第3章  大正デモクラシーとは何だったのか
    第4章  昭和維新の論理~攘夷からアジア主義へ
    第5章  非常時国家のへの野望と挫折
    終章   「五箇条の誓文」と平成日本

    <内容>
    この本の魅力は、「五箇条の誓文」を利用して、明治~戦前までの日本近代史を俯瞰してしまったことだろう。こうした歴史論は面白い。あっているかどうかは二の次で、解釈されたものの筋が通っているものは面白い。昭和維新の①アジア主義②農本主義③国家社会主義 の考え方は、納得する部分が多い。

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著者プロフィール

1963年生まれ。政治思想史研究者、音楽評論家。慶應義塾大学法学部教授。著書に『音盤考現学』『音盤博物誌』(いずれもアルテスパブリッシング、吉田秀和賞およびサントリー学芸賞)、『未完のファシズム』(新潮選書、司馬遼太郎賞)、『鬼子の歌』(講談社)、『尊皇攘夷』(新潮選書)ほかがある。

「2023年 『日本の作曲2010-2019』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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