古生物学者、妖怪を掘る―鵺の正体、鬼の真実 (NHK出版新書 556)
- NHK出版 (2018年7月6日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140885567
感想・レビュー・書評
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古生物学の科学的見地から、妖怪のルーツを探る。
第1章 古生物学者、妖怪を見なおしてみる
第2章 古文書の「異獣・異類」と古生物
第3章 妖怪古生物学って役に立つの?
参考文献、図版の出典一覧有り。
古生物学的視点で、古い文献に記載された不可思議な生物や
怪異について、読み解き、その謎や正体について、探る。
ツノのある生物は、ほぼ草食。では何故、鬼にツノ?
『平家物語』や『源平盛衰記』に登場する、鵺の正体は?
一つ目の妖怪、竜骨、大蛇骨の正体は?
『信濃奇勝禄』を読み解き、特徴の詳細な記述から生物を考察。
『雲根志』『怪石志』から化石を考察。
なるほど~。
日本列島って広いし、大陸と繋がっていた太古もある。
ゾウの化石があれば、クジラの化石だってある。
化石や実物を見たこともない骨って、当時の人々からすれば、
わからないから、妖怪とか化け物の骨と考えてしまうかも。
遠い過去に渡ってきた大型のレッサーパンダが山奥深く棲み、
里に下りてきて、わけわかんないから妖怪?なんてことも、
もしかしてあるかもしれない。
現代だって、ある生物の絶滅が話題になることから、
遥か過去に存在し、時代を経て絶滅した生物もいるかも。
その妖怪の姿が詳細に記された古文書の数々や骨、化石の
正体を探る、江戸時代の本草学者や文化人たちのように、
現代の古生物学の科学的見地で探っていくのは、面白い。
更に、異文化の専門家も巻き込み、妖怪を掘る妙味。
「荒俣宏妖怪探偵団」の一員だけあって、
知的遊戯と嘯いても、ガチに本気な研究になっていますね~。 -
才能の無駄遣いーー著者にはこの言葉を進呈したい。
文章はユーモアが散りばめられ、素人でも大変読みやすかった。古生物学に憧れながらその道に進まなかった者ゆえ、この手の噛み砕かれた読みものはとても素敵! 学問って面白いなと改めて噛み締める。 -
この本の著者が監修を務めた「怪異古生物考」と同じような
主旨の本。古生物学者がその知識で妖怪とその起源を考えて
みる、という本だ。「怪異古生物考」が古生物学で妖怪を
考えることを通して読者を妖怪の世界に導こうとしている
本だとすれば、この本は逆に古生物学の方へ導こうとして
いる本だと感じた。 -
真実は確かめようもないからこその面白さがあった。ヤマタノオロチを始め、なるほどそうかも!ということの連続。現在の科学の立ち位置について考えさせられた。
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自分は歴史には明るくないが、
生物好きなので妖怪を昔の生き物の記録としてみるという発想には惹かれるものがあった。
恐らく歴史をもっと勉強し、でてきた書物について理解してから再度読むともっともっと面白く読むことができる一冊になるのだろうと思った -
書名のみで買ってみたものの副題の内容は僅かで肩透かし。これが講演などであれば面白く聞けると思うが、話がころころ変わってどこに向かうかわからず書籍としては読みづらかった。
ただ古文書における妖怪や異類の記述は単なる想像の産物ではなく、なんらか見聞したものを精緻に描こうとした結果と考えてみるのは案外盲点。読者が行うには知識が足りないので、やはりこのあたりをもっと上手く幅広く書いてくれればと残念である。
ツノのある生物は草食というのも言われてみればって思ったけど、イッカクやら海棲生物はどうなんだろ。 -
妖怪を具体的に古生物と比較することにより古生物学への興味をひこうとする本のよう。面白そうな書名だし掴みはいいんだけど残念ながら文章力と構想力が伴っていないよう。話があちこち飛んだりわかりにくい文章。もうちょっと何を言いたいかまとめてから書いてほしい。著者は監修的な立ち位置のほうがいいのかも。
なお、「掘る」といっても実際に発掘するというのではなく、深掘りする的な意味。