本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784140885628
感想・レビュー・書評
-
5歳の子供を育てる親として、自分自身が留学を経験した上で高度な英語教育は現時点では不要と考えていました。
ただ、相応のお金を払うことで、どれだけでも英語の環境が整う現代社会の中で、実際英語に取り組む他の親子をみていると少し焦るのも正直なところでした。鳥飼先生のお言葉で綴られた本を読むことで、そのままの考え方でいい部分や新しく発見することもあり、柔らかいお言葉だからか、心にストンと入ってきて手離せない一冊になりました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
子どもを育てる親として英語教育にどう向き合うべきか心構えと知識を形成するのにとても役に立ちました。
英語が小学校から授業になる、幼保でも外部講師によるクラスを取り入れることが当たり前、等子どもたちへの英語教育はどんどん積極的になっている印象があり、またそれに伴い英語教育の商業化も激化しているものの、学校教育で享受できるレベルは知れておりそれ以上望むか望まないかは本人次第。また英語の習得にはなにが必要か、どうなると成功しやすいかはとっくに歴史が証明しているという事実。英語教育とは、外国語を学ぶ、ということはそもそもどんなことか、生涯にわたり研究されてきた鳥飼先生の金言がどの章からも明確に伝わってきました。 -
2018/9/10発行。
(p.3)「英語を学ぶ子どもたちの保護者の方々に向けて書」いた本。
(p.227)本書 第二章「英語教育史から探る」は、NHKテレビ「歴史は眠らない」(2011年2月放送)のテキストに掲載された「英語・愛憎の二百年」を加筆・修正ののち、再構成したもの。
[目次]
はじめに
序 親の役割
「お子さま英語」から「大人の英語」へ
「ハット」事件
英語の発音指導
コミュニケーションの根っことなるもの
第一章 子どもと言語
1 母語と外国語--日本語と英語
言語力の土台/考える力はことばで身につく
「日常会話」と「学習言語」/「バイリンガルになれなかった」帰国生
「英語がペラペラ」とはどういうこと?
2 言語能力向上の基礎
AIに負けない「読む力」/中学校の教科書を正確に読めるか
意欲って、何?/動機づけ(モティベーション)とは何か
原動力は具体的な目標/自分で考える力
外国語学習と自律性/自分を信じる力はどう作られるか
子どもを伸ばす「褒め言葉」
第二章 英語教育史から探る
1 英語学習の始まり
きっかけは英国船襲来/オランダ通詞の奮闘記
オランダ語なまりの手引書『諳厄利亜興学小筌』/ネイティブ・スピーカーがやってきた!
貪欲な通詞たち/黒船来航、学習の成果は……?
ジョン万次郎の「英語漬け」生活/「読む」「書く」は英語力のかなめ
2 近代化に揺れた英語
明治初期のイマージョン教育/庶民に広がる英語フィーバー
福沢諭吉の英語ショック/民衆を啓蒙した翻訳文化
明治政府の極端な方針転換/明治にもあった小学校教育
英語教育は抑制から廃止論へ/漱石の英語教育論
3 "敵性語"の時代
戦争中、英語は御法度だった?/謎を解くキーワード
削減される英語の授業時間/みんな『クラウン』を読んでいた
戦時中の英語教科書/ESPに特化した職業系学校の英語
戦況に揺れる英語教科書の内容/戦時下に見る英語教師たちの熱意
4 "使える英語"を求めて
戦後日本の英語ブーム/コミュニケーション重視の教育へ
「英語が使える日本人」育成計画/学校英語にどこまで求めるか
第三章 二〇二〇年からの小学校英語
1 学習指導要領が定める英語教育
「学習指導要領」に見る小学校英語/これからの時代に求められる資質・能力
小学校の英語はどうなるの?/「英語活動」と「教科」の違い
ことばの「素地」を養う/英語の「基礎」を学ぶ
中学校の学習指導要領との比較/盛り込みすぎの指導内容
中学校との違いを鮮明に/単語は暗記しない
国語教育との連携/これからの教員養成をどうするか
研修方法への疑問
2 小学校で使われる英語の教材
「外国語活動」としての英語/ジェスチャーと文化
「教科」としての英語/絵本の読み聞かせ
小学六年生のWe Can!/スモール・トーク
実際に登場する英語/「海に行った」の英文表現からわかること
3 発達心理学が教えてくれること
英語塾に通わせると英語力がつくか/幼児期のしつけと学力--PISA調査から
追跡調査で判明したこと/大学入試にも有効な「共有型しつけ」
子どもの「遊び」は「学び」/ノーベル賞受賞者からのことば
親の目指すべき姿とは
終章 未来を生きる子どもたちと英語
1 子どもと英語をどう考えるか
英語一色の日本社会の中で/ことばを学ぶということ
「バイリンガル」という存在/バイリンガル幻想
2 未来へつながる英語力を育むために
不確実な時代を生きる/日本独特の「コミュ力」
コミュニケーションへの意欲/子どもの英語力は「小さな問題」
英語嫌いにならないために/子育てと英語
あとがき
注 -
英語一辺倒の日本社会。子どもたちに本当に必要な英語力とは? 子どもを取り巻く英語教育の問題点を、言語、英語教育史、発達心理学など様々な視点から考察し、未来へつながる英語力を育てるための心得を説く。【「TRC MARC」の商品解説】
関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40260807 -
第75回アワヒニビブリオバトル「おうち時間DEビブリオバトル」4時間目 外国語活動で紹介された本です。オンライン開催。チャンプ本。
2021.05.02 -
全ての親に関係のある本。
-
10歳前後の娘を持つ身として
本当にタイムリーで今読めて良かった。
焦りそうになっていた私に
焦らなくていいと教えてくれた本。
英語学習の歴史がおもしろくて、
著者の言うように先人たちから学ばないともったない。 -
●子どもが英語嫌いにならぬよう、小さい頃に英語をやったくらいで上達するわけではないと、肝に銘じておく。保育園幼稚園で少し位やったところで、母国獲得を阻害するほどの強い影響力は日本で暮らしている限り起こらない。
●日本語と英語は音声や文法などはまるで違うけれど、深層部分で言語能力が共有されている。「言葉で考える力」
●日常会話は2年ほどで使えるようになるけれど、学校の勉強に必要な学習言語は、5年から7年はかかる。
●英語で読む力が育っていないと、抽象的な話になると対応できなくなる。会話力と学習言語力の落差。
●実は日本の英語学習は、既に1989年から会話中心に方向転換している。話す聞くに比重を置きすぎているかも。読み書き文法は大切。
●普段使わない外国語を勉強することの苦労は、日本人の大人は誰でも知っている。単語や語句を覚えるだけでは並大抵のことではありません。無理をして覚えてもすぐに忘れてしまいます。いざと言う時に使えるようにするにはどうしたら良いのだろうか。意味のある状況や場面の中で、単語や表現がどのように使われているかを知ることで、語彙力が増すのです。小説や新聞雑誌などで単語や語句がどのようなコンテクストでどう使われているかを確認してときにはセンテンスことを筆写して学習しています。 -
ALTに「面白いよ」と教えてもらって読んでみました。
単に,現代の英語教育についてもの申す本ではなく,日本人と英語との出会いの話もあって,英語教育の歴史的な流れもわかりました。単純に,おもしろかったです。
今の早期英語教育の問題は,100年前にもあったことがわかります。著者は,1894年に,すでにこのときから岡倉天心の弟であり英語学者の岡倉由三郎によって指摘されていた弊害を列挙した後で次のように述べています。
条件整備が不十分なまま,問題山積であるにもかかわらず小学校英語の教科化が始まろうとしている現状を見ると,100年前にも同じようなことをしていたのに,なぜ歴史から学ぼうとしないのか不思議です。(本書91ぺ)
教育界の進歩のなさは今に始まったことではありません。勉強させすぎだ!という世論に負けて「ゆとり教育」を取り入れる。すると「学力が下がった」といって「授業時間を増やす」「学力テストで子どもたちを追い立てる」すると,子どもたちはまた学びから逃走し,不登校なども増える。最近また「教え込むのではなくアクティブラーニングで」と言ってみたが,それも中途半端に終わりそう。そして,いじめがあるからと「道徳教育の教科化」。アジア諸国に負けまいと「英語教科化」へと踏み出す。
いずれにしても,教育史を読むと,20年に一度ほど,変化をし,それが進歩しているとは思えない変化なんですよね。
そもそもの土台がまちがっているのではないか…と考えることができないのかなあ。
話はそれましたが,本書を読むと,日本の教育界の進歩のなさを再確認するばかりでした。こんな状態で英語学習を進めても失敗するのは目に見えています。英語嫌いを生まないことを祈るだけですが,たぶん無理でしょう(人ごとのように言って申し訳ありません。わたし退職するので…)。
著者は,英語早期教育にガッパになるような幼児教育ではいけないといいます。そりゃそうですね。そんなんで文化を話せるようにはなりません。せいぜいが,買い物の会話を人よりも少し早く言えるようになるだけです。外国語を話すためには,母国語でもしっかり自分の考えを述べることができなければなりません。まずは,そのための母国語の概念を身につけることでしょう。
英語から学べること,それは「褒め言葉」が多いことのような気がします。日本人はなにかと謙遜しますが,少しは英語文化圏の風習を見習った方がいいかもしれません。子どもの自己効力感がどうしても高くならないからです。 -
小学生の英語はあくまで素地を作るのみで、仕事で使える英語にはならない。仕事て使えるようにするには、そもそも必要かどうか見極めたうえで、必要なら、さらなる努力が必要。
少なくとも、英語嫌いにならないような教育にしなくてはならない。
著者の小学生への英語教育は、こんな感じかと理解した。
うちの子ども達は、妻と祖母の強い意向で英語塾というものに通っていたりしますが、個人的には大して役に立たないからお金の無駄だよなーと常々思っています。素地なるものが出来ているのかどうかは甚だ不明ですが、少なくとも英語嫌いにはなってないなら、まあ害はないからいいか、、、(深いため息)と思う次第です。
国語をちゃんとやらないと、二言語追いかけるもの、一言語も得ずということで中途半端になってしまうし、やめた方がいいでしょうね。
この本は、英語教育に限らず、教育全般についても良いことがたくさん書いてあるので、子を持つ親は読んでみると良いと思います。 -
2020年度から「教科」として導入される「小学校英語」とどうつきあうか
・どんなことを教えるの?
・早く始めた方が発音がよくなる?
・学校にまかせておいてだいじょうぶ?
子どもの英語教育に悩み迷う保護者にむけて英語教育学の専門家がわかりやすくアドバイスする
・英語を学ぶには自律性、自己効力感が課題
・英語の習得には「読む・書く」が不可欠
・英語を習わなくて中学に入っても、英語の試験に差は出ない
英語教育にとどまらず、“子育て”でほんとうにたいせつなことに気づかせてくれる良書
『英語教育の危機』(ちくま新書)、『話すための英語力』『本物の英語力』(ともに講談社現代新書)とあわせ、子どもの英語にかかわる人、必読
著者プロフィール
鳥飼玖美子の作品
本棚登録 :
感想 :
