子どもの英語にどう向き合うか (NHK出版新書 562)

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  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140885628

感想・レビュー・書評

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  • 5歳の子供を育てる親として、自分自身が留学を経験した上で高度な英語教育は現時点では不要と考えていました。
    ただ、相応のお金を払うことで、どれだけでも英語の環境が整う現代社会の中で、実際英語に取り組む他の親子をみていると少し焦るのも正直なところでした。鳥飼先生のお言葉で綴られた本を読むことで、そのままの考え方でいい部分や新しく発見することもあり、柔らかいお言葉だからか、心にストンと入ってきて手離せない一冊になりました。

  • 子どもを育てる親として英語教育にどう向き合うべきか心構えと知識を形成するのにとても役に立ちました。

    英語が小学校から授業になる、幼保でも外部講師によるクラスを取り入れることが当たり前、等子どもたちへの英語教育はどんどん積極的になっている印象があり、またそれに伴い英語教育の商業化も激化しているものの、学校教育で享受できるレベルは知れておりそれ以上望むか望まないかは本人次第。また英語の習得にはなにが必要か、どうなると成功しやすいかはとっくに歴史が証明しているという事実。英語教育とは、外国語を学ぶ、ということはそもそもどんなことか、生涯にわたり研究されてきた鳥飼先生の金言がどの章からも明確に伝わってきました。

  • 英語一辺倒の日本社会。子どもたちに本当に必要な英語力とは? 子どもを取り巻く英語教育の問題点を、言語、英語教育史、発達心理学など様々な視点から考察し、未来へつながる英語力を育てるための心得を説く。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40260807

  • 第75回アワヒニビブリオバトル「おうち時間DEビブリオバトル」4時間目 外国語活動で紹介された本です。オンライン開催。チャンプ本。
    2021.05.02

  • 全ての親に関係のある本。

  • 10歳前後の娘を持つ身として
    本当にタイムリーで今読めて良かった。
    焦りそうになっていた私に
    焦らなくていいと教えてくれた本。
    英語学習の歴史がおもしろくて、
    著者の言うように先人たちから学ばないともったない。

  • ●子どもが英語嫌いにならぬよう、小さい頃に英語をやったくらいで上達するわけではないと、肝に銘じておく。保育園幼稚園で少し位やったところで、母国獲得を阻害するほどの強い影響力は日本で暮らしている限り起こらない。
    ●日本語と英語は音声や文法などはまるで違うけれど、深層部分で言語能力が共有されている。「言葉で考える力」
    ●日常会話は2年ほどで使えるようになるけれど、学校の勉強に必要な学習言語は、5年から7年はかかる。
    ●英語で読む力が育っていないと、抽象的な話になると対応できなくなる。会話力と学習言語力の落差。
    ●実は日本の英語学習は、既に1989年から会話中心に方向転換している。話す聞くに比重を置きすぎているかも。読み書き文法は大切。
    ●普段使わない外国語を勉強することの苦労は、日本人の大人は誰でも知っている。単語や語句を覚えるだけでは並大抵のことではありません。無理をして覚えてもすぐに忘れてしまいます。いざと言う時に使えるようにするにはどうしたら良いのだろうか。意味のある状況や場面の中で、単語や表現がどのように使われているかを知ることで、語彙力が増すのです。小説や新聞雑誌などで単語や語句がどのようなコンテクストでどう使われているかを確認してときにはセンテンスことを筆写して学習しています。

  •  ALTに「面白いよ」と教えてもらって読んでみました。
     単に,現代の英語教育についてもの申す本ではなく,日本人と英語との出会いの話もあって,英語教育の歴史的な流れもわかりました。単純に,おもしろかったです。
     今の早期英語教育の問題は,100年前にもあったことがわかります。著者は,1894年に,すでにこのときから岡倉天心の弟であり英語学者の岡倉由三郎によって指摘されていた弊害を列挙した後で次のように述べています。

     条件整備が不十分なまま,問題山積であるにもかかわらず小学校英語の教科化が始まろうとしている現状を見ると,100年前にも同じようなことをしていたのに,なぜ歴史から学ぼうとしないのか不思議です。(本書91ぺ)

     教育界の進歩のなさは今に始まったことではありません。勉強させすぎだ!という世論に負けて「ゆとり教育」を取り入れる。すると「学力が下がった」といって「授業時間を増やす」「学力テストで子どもたちを追い立てる」すると,子どもたちはまた学びから逃走し,不登校なども増える。最近また「教え込むのではなくアクティブラーニングで」と言ってみたが,それも中途半端に終わりそう。そして,いじめがあるからと「道徳教育の教科化」。アジア諸国に負けまいと「英語教科化」へと踏み出す。
     いずれにしても,教育史を読むと,20年に一度ほど,変化をし,それが進歩しているとは思えない変化なんですよね。
     そもそもの土台がまちがっているのではないか…と考えることができないのかなあ。

     話はそれましたが,本書を読むと,日本の教育界の進歩のなさを再確認するばかりでした。こんな状態で英語学習を進めても失敗するのは目に見えています。英語嫌いを生まないことを祈るだけですが,たぶん無理でしょう(人ごとのように言って申し訳ありません。わたし退職するので…)。

     著者は,英語早期教育にガッパになるような幼児教育ではいけないといいます。そりゃそうですね。そんなんで文化を話せるようにはなりません。せいぜいが,買い物の会話を人よりも少し早く言えるようになるだけです。外国語を話すためには,母国語でもしっかり自分の考えを述べることができなければなりません。まずは,そのための母国語の概念を身につけることでしょう。

     英語から学べること,それは「褒め言葉」が多いことのような気がします。日本人はなにかと謙遜しますが,少しは英語文化圏の風習を見習った方がいいかもしれません。子どもの自己効力感がどうしても高くならないからです。

  • 小学生の英語はあくまで素地を作るのみで、仕事で使える英語にはならない。仕事て使えるようにするには、そもそも必要かどうか見極めたうえで、必要なら、さらなる努力が必要。
    少なくとも、英語嫌いにならないような教育にしなくてはならない。
    著者の小学生への英語教育は、こんな感じかと理解した。

    うちの子ども達は、妻と祖母の強い意向で英語塾というものに通っていたりしますが、個人的には大して役に立たないからお金の無駄だよなーと常々思っています。素地なるものが出来ているのかどうかは甚だ不明ですが、少なくとも英語嫌いにはなってないなら、まあ害はないからいいか、、、(深いため息)と思う次第です。

    国語をちゃんとやらないと、二言語追いかけるもの、一言語も得ずということで中途半端になってしまうし、やめた方がいいでしょうね。

    この本は、英語教育に限らず、教育全般についても良いことがたくさん書いてあるので、子を持つ親は読んでみると良いと思います。

  • 2020年度から「教科」として導入される「小学校英語」とどうつきあうか

    ・どんなことを教えるの?
    ・早く始めた方が発音がよくなる?
    ・学校にまかせておいてだいじょうぶ?

    子どもの英語教育に悩み迷う保護者にむけて英語教育学の専門家がわかりやすくアドバイスする

    ・英語を学ぶには自律性、自己効力感が課題
    ・英語の習得には「読む・書く」が不可欠
    ・英語を習わなくて中学に入っても、英語の試験に差は出ない

    英語教育にとどまらず、“子育て”でほんとうにたいせつなことに気づかせてくれる良書

    『英語教育の危機』(ちくま新書)、『話すための英語力』『本物の英語力』(ともに講談社現代新書)とあわせ、子どもの英語にかかわる人、必読

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著者プロフィール

立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科教授(研究科委員長2002-2005、2008-2010)を経て立教大学特任教授、立教・異文化コミュニケーション学会(RICS)会長(2009-2011)。著書『通訳者と戦後日米外交』(みすず書房2007)(単著)Voices of the Invisible Presence: Diplomatic Interpreters in Post-World War II Japan(John Benjamins, 2009)(単著)『通訳者たちの見た戦後史――月面着陸から大学入試まで』(新潮社2021)(単著)。

「2021年 『異文化コミュニケーション学への招待【新装版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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