習近平と米中衝突―「中華帝国」2021年の野望 (NHK出版新書 568)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140885680

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  • オバマ→トランプ:理念外交からディール外交へ。以前の歴代アメリカ政権は最も敏感な台湾問題に対してそれなりに気を使ってきたため現職の大統領が直に台湾総統と電話はありえなかった。トランプは政権交代後すぐ、「武器を何十億ドルも買ってくれている相手なのになぜ祝福の電話を受けてはいけないのか」と祝福の電話を受けた。

    トランプ政権のスローガン「Make America Great Again」は習近平政権の「中華民族の偉大なる復興」と瓜二つ。

    一帯一路:中国にもたらす5つの恩恵①中国を頂点とした経済の雁行システムがユーラシア大陸にできる。②悪化しつつある地方経済(企業)が国境を越えて周辺国に進出し、活性化できる。③過剰生産の解消にむけて、周辺国に過剰生産物を捌ける。④AIIBと一体化させ、人民元の国際化。⑤南シナ海やインド洋をはじめとする中国の軍事進出に活用できる。

    2018年、憲法改正によって「習近平思想」を明記し、国家主席の任期を撤廃して半永久政権への道を開いた。加えて、逆らうものを処罰できる国家監察委員会の摂津まで入れた。

    2018年3月、トランプ政権は600億ドルもの中国製品に高関税をかける制裁措置を行うことを発表。加えて、鉄鋼、アルミニウムに高関税を課し輸入制限を行った。

    国連とIMFは、トランプ政権発足以降、明らかにアメリカよりも中国に傾倒していた。グテーレスは2017年に中国の支持を得て事務総長に就任している。

  • 冒頭にあるようにトランプ以降の米中関係(2017年当初〜2018年秋:本書は2018年11月刊行)を、中国の視点から分析した著作。日米の視点はあり触れているが、中国目線で、中国国内の動きや中朝関係も絡めて見ていくとこれまで見えなかったものが見えてくる。例えば、2017年の時点で北のミサイル発射が米国も去ることながら中国への威圧も意識したタイミングや方角距離で撃たれて中国を辟易させて制裁に同調したという視点は非常に面白い。それもこれも、対トランプで安心して2017年のAPECやEASでアジアの皇帝面したことでトランプの懸念を生み、強硬派の思考とも同調して、儲からない北敵視策から中国敵視策へシフトしていく。米中朝韓とも良し悪しは別として動きがダイナミック。日本外交は追随出来ているか・・

  • 米中衝突までの経緯がよくわかる。また、中国共産党の遠望思慮である一方、習近平の2期目に際しての油断と放漫な対応が更なる衝突を招いたことは明白である。後の歴史を見るに、この衝突からコロナ対応が起点となることが見て取れるのではないかと思う。

  • 東2法経図・6F開架:319.2A/Ko73s//K

  • 世界は一触即発である

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著者プロフィール

1965年生まれ。埼玉県出身。東京大学卒業。国際情報学修士。講談社入社後、中国、朝鮮半島を中心とする東アジア取材をライフワークとする。講談社(北京)文化有限公司副社長を経て、現在、『週刊現代』編集次長(特別編集委員)。Webメディア『現代ビジネス』コラムニスト。『現代ビジネス』に連載中の「北京のランダム・ウォーカー」は日本で最も読まれる中国関連ニュースとして知られる。2008年より明治大学講師(東アジア論)も兼任。2019年に『ファーウェイと米中5G戦争』(講談社+α新書)で岡倉天心記念賞を受賞。他に『アジア燃ゆ』(MdN新書)『パックス・チャイナ 中華帝国の野望』『ファクトで読む米中新冷戦とアフター・コロナ』(以上、講談社現代新書)など著書多数。

「2023年 『日本人が知らない!中国・ロシアの秘めた野望』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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