- Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140886052
作品紹介・あらすじ
親の脳も傷ついていた!
マルトリートメント(不適切な養育)の連鎖を断つ「ポジティブ脳」とは?
トラウマ治療の権威・杉山登志郎医師との対談収載
12万部突破『子どもの脳を傷つける親たち』待望の第2弾!
「子どもの行動が変わってきた」と親が実感できるだけでなく、科学的にもそれが証明される。日々がんばっている親にとって、これほど心強く勇気づけられるフィードバックはありません。「マルトリートメントは悪いことだ」という点のみを強調するのではなく、子どもを傷つけない方法を身につけることによって親に自信をつけてもらい、親の脳を「ポジティブ脳」に変えていく──。マルトリートメントを予防する観点からしても、これは非常に意味のあることです。──「第3章」より
第一章 こころの発達を阻む脳の傷つき
第一章 親のトラウマと子どもの成長
第三章 「親の脳」が変わると「子どもの脳」も変わる
第四章 負の連鎖を断ち切るための親支援
[特別対談]子どもを守る親子併行治療
感想・レビュー・書評
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親と子どもに関係する仕事をしている方、マルトリートメント(大人による子どもへの不適切な関わり)に関心がある方には、特にお勧めです。
著者は小児科医の友田さん。NHK「プロフェッショナル」にも登場。
「傷ついた親子を支えたい」
「マルトリートメントによって傷ついた脳も、適切な関わりを継続することで修復していく」
「マルトリされていた親も、脳が傷ついているので、親を責めない」
「親のがんばりを認める→傷ついた親の脳も修復していく→親の子どもへの関わり方が変わる→傷ついた子どもの脳が修復していく」
友田さんは、治療するだけでなく、虐待に至る前に親子を支える予防にも力をいれて活動しています。
→「マルトリートメント予防を広めているプロジェクト」(詳しくは「マルトリ予防」で検索してください)
本書で紹介されている、スウェーデンやドイツの例のように、マルトリ予防が広く知られますように………_(._.)_
最近よく目にするようになった、「ピアレントトレーニング」、「アンガーマネジメント(怒りの気持ちを制御する技術)」などのスキルも合わせて、親、教育関係者など多くの方が「育児」技術を高められますように………
本当に、多くの方に読んでいただきたいです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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「即実践!子どもの脳とこころから考える子育て術」を開催 2月19日、ティーペックのオンラインセミナー | OVO [オーヴォ]
https:...「即実践!子どもの脳とこころから考える子育て術」を開催 2月19日、ティーペックのオンラインセミナー | OVO [オーヴォ]
https://ovo.kyodo.co.jp/news/culture/a-1731885
「マルトリ」は子どもの脳に悪影響 親のつらさをケアしなければ 小児神経科医・友田明美さんが説く「とも育て」 | 子育て世代がつながる - 東京すくすく
https://sukusuku.tokyo-np.co.jp/support/26321/2022/01/26 -
言葉の暴力は人の心にどう作用する? 「マルトリートメント」は子育てのSOS|学習と健康・成長|朝日新聞EduA
https://www.as...言葉の暴力は人の心にどう作用する? 「マルトリートメント」は子育てのSOS|学習と健康・成長|朝日新聞EduA
https://www.asahi.com/edua/article/145602422022/04/22
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広く社会に知られて欲しい一冊
マルトリートメント、虐待は認められないが未だに減らない日本。
子どものケアと共に親の育った環境のケアも大切。
目に見えない心の傷を科学で数値化して見える化を図る友田先生、脳科学の観点からも書かれていてとても興味深い
フラッシュバックを起こす脳は左右の背外側前頭前皮質/はいがいそく が活動停止。ここが正常に機能しないと、時間の感覚を失う
子どもへの接し方のポイントを掴むことで親に自信をつけてもらい、親の脳を「ポジティブ脳」に変えていく
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■「聴覚野」―暴言によって肥大
…聴覚野は言語にかかわる領域で、他人とのコミュニケーションを円滑に行うはたらきを担っています。激しく怒鳴る、威嚇する、なじるなど、暴言によるマルトリートメントを受けると、左脳の側頭葉にある聴覚野の一部、「上側頭回灰白質」と呼ばれる場所の容積が肥大します。脳におよぶダメージの強弱は次のような結果になりました。
・両親からの暴言 > 片方の親からの暴言
・母親からの暴言 > 父親からの暴言
■最大7割弱の確率で次世代へと連鎖する虐待
人間における虐待の世代間連鎖については、イギリスの精神科医ジャック・オリバー氏による研究が知られています。それによると、子ども時代に虐待の被害にあった人が親になったときの連鎖に関する割合は以下のとおりです。
・自分の子どもに対して虐待を行うようになるのは全体の3分の1
・ふだんの生活に支障がないものの、精神的な重圧がかかったとき、かつて自分がされたような虐待を我が子にしてしまう可能性のある人たちが全体の3分の1
・虐待せずに子育てができるのは全体の3分の1 -
■軽度の体罰(お尻をたたくなど)でも成長段階にある子供の問題行動リスクが高まる。(エリザベス・ガーショフ氏、アンドリュー・グローガン・カイラー氏)
・規範や規則を守る心が育ちにくい
・攻撃的になりやすい
・集団での行動がしづらい(反社会的行動)
・対外的/内面的な問題行動のリスクが高まる
・心の健康が驚かされる
・親子間の愛着形成が損なわれる
・認知能力が低下する
■ペアレント・トレーニング(PT)はアメリカを中心に1960年代頃から急速に発展したトレーニング方式(別名「子育て教室」「子育てプログラム」)で、日常生活の中で子供とどのように関わると親子の関係を良好に築くことができ、子供が健やかに成長していくのかを実践的に学ぶもの。
■PT受講により親の脳にポジティブな神経回路が作られると、
①親の育児ストレスが改善
②子供の注意機能が向上
③子供の問題行動が改善
という効果がある。 -
【子どもの脳を傷つける親たち】の続刊にあたる本書。
タイトルからマルトリートメントを受けている子どもだけでなくその親も救いたいという友田先生の想いが伝わってくる。
マルトリートメントを行う危険性は誰もがもっていること、その結果どのような悪影響を及ぼすのか、そしてそれを防ぐためには何が必要なのか。
脳科学の見地から説明してくれているので、前作同様にとても分かりやすい一冊だった。
巻末の杉山登志郎先生との対談も興味深かった。 -
『子どもの脳を傷つける親たち』の続編を読みました。
子どもが、自分の脳を変えてでもなんとか生まれた家庭での状況にあわせよう、親を好きでいようとすることに衝撃を受けましたが、本作では親側が適切な扱いを受けることで傷ついた子供たちとの関係を修復できることに希望が見えました。 -
前作同様、我が家の子育てを振り返りながら読むことになる。虐待とかネグレクトとは言わないが、マルトリートメントと言われる行いは多々あったと認めざるを得ない。そのために子どもたちの脳に何らかの悪影響があった可能性は十分にある。自分の育ちを振り返るとき、そんな扱いを受けたおぼえは全くない。にもかかわらず、我が子のとくに小学高学年から中学生の間、要するに自分が子どもたちの学習に深くかかわる間、いらだち、厳しい言い方をたびたびしていた。そして、ほめて育てられたのに、ほめるすべを知らない。いやそんなことはない、いろんな方法を知っているはずだ。けれど、それが自分が思っているほどには子どもたちには伝わっていないのだろう。職場ではどうか。自信を持たせることができているのか。この言い方でよかったのか、他の言い方がなかったのか、内省の日々である。ところで、愛着障害がオキシトシンの点鼻薬で改善しているという話など、最先端の研究に驚かされる。一方で、対話のなかでのトラウマ処理の仕方だが、それは本当に有効か?と思わされてしまう。いやいや、きっと科学的に証明できないようなものが世の中にはいっぱいあるのだ。人間には、いや生物には計り知れない力が宿っているのだ。
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・平均すると1週間に1人以上の子どもが虐待死している
事実
・研究や診療の中では、「児童虐待」という表現を極力使わずに、「チャイルド・マルトリートメント」という言葉を使うようにしています。日本語では不適切な養育、不適切なかかわりと訳されます。一言で言うなら、「子どものこころと身体の健全な成長・発達を拒む養育」のことを指します。
・直接子どもを傷つける好意でなくても、暴力が存在する家庭で育った人たちは視覚野が萎縮していた
・マルトリートメントなどの逆境体験によってトラウマが生まれると、社会的障害・情緒的障害・認知的障害の可能性が高まる。また心臓疾患や肺がんなどにかかるリスクが3倍高くなり、寿命が20年短くなるという結果が出ている。
・人間における虐待の連鎖は、連鎖する可能性が最大で7割
・社会的なサポートが子どものレジリエンスを高める。
・ペアレント・トレーニング(PT)PTでは1〜2週間に1回くらいのペースで約10回専門家によるセッションが行われる。
・親の育児ストレス改善→子どもの注意能力向上→子どもの問題行動が改善
・母親となった女性の脳は、記憶力は学習能力の強化に加え、空間を把握する能力、恐怖やストレス反応を制御する能力が向上する。さらに視覚・嗅覚・触覚などにおいて、さまざまな刺激を感知する能力が高いという結果、マルチタスク能力が向上する。オスも子育てをすることで学習能力・空間認知量力が高まった。
・アロペアレンティング(共同子育て)
・虐待を受けた子どもの心の疾患の根底には2つの現象がある。一つが慢性的なトラウマ、もう一つは愛着障害。
・わたしたちの祖先は共同で子育てを行ってきた。わたしたちDNAの中には、集団で助け合いながら子育てをする仕組みが残っているのです。 -
戦争のトラウマの影響が印象的でした。
世代間連鎖。
それを食い止めるためにはどうしたらよいか。
医療でできることと、社会でできること。
それぞれの立場で、できることを重ね、マルトリートメントを少しずつでも減らしていけたらと思いました。
著者プロフィール
友田明美の作品





