愛と性と存在のはなし (NHK出版新書 640 640)

  • NHK出版 (2020年11月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784140886403

作品紹介・あらすじ

誰もが、性的マイノリティである

「男/女」と単純に分類しがちな我々の性は、とても繊細で個別的だ。
だが今性を語る言葉は、あまりに人を対立させ、膠着させるものに満ちている。
巷間言われる「LGBTQをはじめとする性的マイノリティの多様性を認めよう」ではなく、
「そもそも性的マジョリティなど存在しない」という立場から
セクシュアリティとジェンダーをめぐる言説をあらためて見直すと、この社会の本当の生きづらさの姿が見えてくる――。
草食男子、#Metoo、セクハラやDVから、映画『ボヘミアン・ラプソディ』の大ヒット、さらには戦後日本と父性の関係まで。
『モテたい理由』『愛と暴力の戦後とその後』などの評論で、この国の語り得ないものを言葉にしてきた作家が、
具体的なトピックから内なる常識に揺さぶりをかけ、いまだ誰も語り得ない言葉で新たな性愛の地平を開く、全霊の論考。

みんなの感想まとめ

テーマは、性と愛、そして個人の存在についての深い探求であり、著者はセクシュアリティの多様性を新たな視点から考察しています。読者は、他者との理解の難しさや、自己の内面を探る過程に共感を覚え、自身の思考や...

感想・レビュー・書評

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  • 難しいな

    それが最初の感想だった。
    捉え所のないような……。
    著者の心の中、頭の中を泳いでいるような印象だ。
    わかるような、わからないような。

    他人だもの、それは当たり前だ。
    だって私は、私でしかないから。
    どんなにわかろうと思っても、どんなに共感しても、私は私のフィルター越しにしか他人を見ることしかできない。
    それは決して無駄ではないけれど、完全に混ざることはない。
    それを悲しいと取るか、面白いと取るか。
    どちらにも言えるから、私は自分を、他人を、知りたいと思う。

    ロックバンド、Queenと映画ボヘミアンラプソディと、フレディ・マーキュリーが何度も語られる。
    私は映画は見ていないのでわからないが、たしかにQueenの曲は多感な少女だった私を震わせた。
    それから、性について。
    愛おしい触れたいと募る思いだけではなかった。
    あの人にもっと愛されたかった、どうでも良い、そんな思いもあった。
    叶えてしまえば消えてしまう欲、だからその直前までが好きだった。

    この本は心にしまってあったものを探し当てる。
    開いてみたら、手当てした絆創膏を大事にしまってあっただけだったり、また奥深くにしまいたくなったりするものもある。
    読みながら感じる私の存在。
    好きではないのに。
    だがその一方で狂おしいほどに私自身は愛おしい。

  • 「傷とは、そこから光が入ってくる場所だ。」
    素敵な言葉。

  • 極めて個人的な愛と性と存在の話でありながら、ある種普遍的でもある。
    問いそのものは非常に面白い。
    ただ、学問的にも個人的にも???となる部分は多々あるかな。

  • 磯野真帆さん(医療人類学者)が「NHK出版新書創刊20周年記念 あの人も読んでいる「研究者の口コミフェア」(https://shoten-pr.nhk-book.co.jp/news/n42428.html)で推薦されていて、「これは読んでみなければ」と思い読んでみた。

    社会的なるものと個人的なるものを結びつけながら、独特の世界を描きだす赤坂真理氏ならではの「愛」と「性」をめぐる思索の旅がめぐらされていて、おそらく読者によってはそれに振り落とされそうになるのではないか、とすら思う。
    しかし、想像力を駆使しながらその「愛」と「性」をめぐる旅の軌跡をおっていくことで、はじめて見えてくるものがある。
    「男」「女」というジェンダー二分法的な世界からはじまった世界が、足元から崩れ出していく。そして最後には、「愛」と「性」という複数の層からなるカオティックな感覚のなかで、「はじめに」で提示された「マジョリティという幻」が実感として伝わってくる。

    「生まれた性にくつろげる人は本当にいるのだろうか?」という問いの意味が、本書を読む前と、あととで、ほんの少しだけ異なって感じられる。

  • この本を読むきっかけは、たぶん日刊紙での赤坂真理氏の対談を見たことによる。
    サルトル『水入らず』、坂口安吾『私は海を抱きしめてゐたい』。存在と思考と身体性。ボーボアール『第二の性』。女であること。古くて陳腐なテーマだが、こんな本が生まれるのも、今の生きにくさの証かもしれない。
    「愛し方」も「セックスの仕方(作法)」は誰も教えてくれないと赤坂氏。その通りかもかもしれないけど、幾度も失敗を繰り返し、へこみながらも、あるいは本を読み、悪友のささやきや人様のふりを見て、自分なりを見つけるものだと思うのだが、どうもそうでもないようだ。(若いころの不甲斐なさを思い出す)
    「すべての人は、ずれている。」(本書)
    まさにその通りです。それを前提としないのが、国や政治でして、社会までもが同調圧力とやらで、それに合わせようとするこで、自分の首を絞めている。不便だな。

  • 何となく苦手。文体かな?こういう散文的なのは好きじゃないんだろうな。
    男の体は想像できても、その心のはたらきまでは実感はできない、というのはそうだなと思った。
    セックスは難しい、というのもそれで良いんだ、と安心を感じた。なぜか。

  • 性的マイノリティに対する理解を深めようという話をするとき、大抵の入門書などでは「性の4要素」が重要なキーワードとして語られる。「分かることは分けること」という言葉がある通り、その4要素(「身体の性」「心の性」「性的指向」「表現する性」)の中で男性もしくは女性にあたる部分はどれなのか、はっきりとさせることが理解に繋がることだと、本やテレビなどでも伝えられている。
    この本を読んでいるとその四要素に当てはめて考えることがふさわしくなく、セクシュアリティがめちゃくちゃになる人がいる(メチャクチャは酷い表現かもしれないが、当事者自身が「自認するセクシュアリティは〇〇なのだ」と断言できない状態になるということをメチャクチャと表現する)ように感じることがある。かと言って、著者の言いたいことは「その4要素に当てはまらない人もいる」という、世間的に知られるセクシュアリティより更に多くのマイノリティがいるなどという話では全くないのだ。それは誰が読んでもわかるようになっている。
    そういった一見矛盾を孕んでいるような「愛」「性」「存在」を、異性愛者だから、同性愛者だから、トランスジェンダーだから、という風に捉えず、人間みんなに潜んでいる普遍的なものとして感じられるように語っているのがこの本である。

  • 改行が多く短文節でエッセイか小説を読んでるようで「個人の感想か」という感想

    P82「加害者たちと同じ性を持った人間であるということが申し訳なく、消えてしまいたい」
    夫に男がしたことの話をしてもその辺は男たちがもっと考えないといけないと思ってもそれは俺じゃないしってスタンスで、これは多数派なのか少数派なのか

  • 面白い。
    マイノリティ、の前にマジョリティとされているものを考える。マイノリティが抱えている問題とまったく同じ問題を、個人個人が抱えている。
    男と女のズレ、異性愛者と同性愛者のズレ、わたしとあなたのズレ、わたしとわたしのズレ。
    マジョリティというのは幻想なのかもしれない。

    2019年の東大入学式式辞のせいで傷付いた人間への寄り添いが感じられた。こう考えてくれる女性が存在するという事実を知るだけで、日々の緊張感が和らいだ気がする。

  • 生徒は人格であり生きること(存在)につながる。著者の実感も含めて語られる深い話であった。

  • 作家が自身の体験を主軸として愛と性と存在について綴ったエッセイであり、学術的な考察を求めていると肩透かしを食らうかもしれない。あくまでも「~のはなし」。だが、「性的マジョリティ」など存在しないことをとても読みやす文章で語ってくれる。愛と性はすべからくパーソナルなことであり、答えを持っているのは自分だけ、ということか。

  • ずっと気になってたんだけど
    筆者の強い強い思い、ある種の呪いのようなものが込められている気がして読み進められなかった
    内容としてはとても興味深い予感がしている
    いつか読めるときがきたら読みたい

  • 愛に関する本は数多出ているが、性に対してフォーカスした本は少ない。ましてや公然と人に聞けない。老若男女、関わることだが、それぞれ異なる秘事。それを文字にしてくれた。ありがたい。

    男に欲されて初めて分かる。初めて個の形がくっきりする。受け身で発動する欲望の持ち主。Mama ooo.I don’t want to die. I sometimes wish I’d never been born at all.「Bohemian Rhapsody」時々思う、人間と思いでなければ味わわずに済んだ苦しみについて。愛について憎しみについて、不安について違和について、別にについて夢について、叶えられなかった夢について私について多いについて不安について疎外感について、孤独について。
    「男は女は」という言葉は異性愛者の中にだけある。あまりに違う生き物で分かり合うのが難しい。異性の内実は全く想像がつかない。ここが異性愛者の関係性の難しさ。
    「ラマン」
    人は自由を好むという。だががんじがらめの支配被支配構造の、なんと恋愛ににていることか。

    戦争で傷つくのは誰か?ずっと未来の人も含む、全ての人たち。戦争で傷ついた者たちへの慰めの物語、言葉を持つ事がリーダーには必要。

    女の人生は意思とアクシデントの狭間にある。人体はホルモンの乗り物で産むようにできている性と、産むようにできていない性。一緒にいたとしてもライフコースが全く違うというだけではなく、生まれてから死ぬまでの日常で感じることや世界の捉え方が全く違うのだろうという想像力。人間はどこまでも体のインプットと身体の情報誌取捨選択傾向や処理能力などによって世界を体験している。感じるものが想像を超えて違うはず。

    セックスって本来そんなに簡単な事じゃない。愛を育む事も。心を開く方法も。
    結婚するのは知らない女性。セックスはあるけど、愛がない。裸になっても心は誰とも愛を分かち合う事ができない。

    性愛の好みは受け身。コクられるのが好き、愛される自分が好き。面倒をみられたい。守るよりも守られたい。女として求められることが好き。私は身体イメージにコンプレックスを持っていて自分の体を女らしくないと思っていた。男を欲情させれる身体ではないと思っていた。
    恋愛に際していつも細かな選択を迫られるのが嫌だった。セックスする時コンドームをするのか。ピルを飲むのか。妊娠したらいいと思うのか、したら絶対困るのか。どちらかと言うと常にその中間に気持ちがあることで自分がよくわからない。避妊するしないでパニックになる。

  • 東2法経図・6F開架:367.9A/A32a//K

  • はたと気がつくと、私は性にかなり淡白だったのだろう。割ることをしたとは思うが、それのある程度生まれつきということかもしれない。と思いながら、申し訳ないなと思った。パートナーシップの中でかなり大きな部分を占めるから、この違いは困ったものだ。

  • 20/11/09。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。作家。95年に「起爆者」でデビュー。著書に『ヴァイブレータ』(講談社文庫)、『ヴォイセズ/ヴァニーユ/太陽の涙』『ミューズ/コーリング』(共に河出文庫)、『モテたい理由』『愛と暴力の戦後とその後』(講談社現代新書)など。2012年に刊行した『東京プリズン』(河出書房新社)で毎日出版文化賞・司馬遼太郎賞・紫式部文学賞を受賞。

「2015年 『日本の反知性主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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