家族と社会が壊れるとき (NHK出版新書)

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感想 : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140886427

作品紹介・あらすじ

「不平等の世界」に、私たちは何をすべきか

貧困や差別に苦しむ家族や人々といった、社会の見過ごされがちな側面を一貫して撮り続けてきた二人の映画監督。彼らの目に、不寛容・不平等の増す世界はどのように見えているのか。コロナ禍で拍車がかかる分断と格差をいかに乗り越るべきか。搾取する側・される側という、単純な二項対立に終わらない複雑な現実の姿を、深い洞察と想像力によって浮かび上がらせた対話と書き下ろしを収載した一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 是枝裕和×ケン・ローチによる話題の番組が、追加取材と大幅加筆され書籍化! 「不平等の世界」で、私たちは何をすべきか? 新書『家族と社会が壊れるとき』が発売。|株式会社NHK出版のプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000261.000018219.html

    是枝裕和×ケン・ローチ “家族”と“社会”を語る - NHK クローズアップ現代+
    https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4325/index.html

    家族と社会が壊れるとき 是枝 裕和(著/文) - NHK出版 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784140886427

  • しょっぱなから「看護師や医師たち、それに介護福祉士たちは獅子のようだが、無能な政府というロバに率いられている」とパンチがある。
    2019年にNHKで放送された2人の対談の活字化だと思ってたら、コロナ禍以降の社会や政治に対する洞察や、2人のスタンスの違いといった追加取材が大幅加筆されていて、読み応えがあった。

  • 番組も拝見していた&ケン•ローチのコロナ禍でのインタビューも国際報道で拝見していたので、新しい記事というか語りは是枝さんの語りが個人的には多かったです。
    ケン•ローチさんのラディカルさは是枝さんの言うように、正直僕にもピンと来ない部分はあります。でも、社会に怒っている、という点ではやっぱり同じだし、それをやり切ることにもめちゃめちゃかっこよさを感じます。作品は毎回最高にラディカルで示唆に富み、何より面白いのですから。

    でも何より、やはり是枝さんの作品づくりへの姿勢。これにものすごく信頼できるな、と改めて感じました。言うべきはいい、やるべきことをする。それは映画人としても一市民としても。多分是枝さんのやろうとしていることは僕たち一市民ができることと地続き何だと思います。
    うまく言葉にできないけど、自分の思考を整理するいい機会になりました。

  • 読んだあとに、ケン・ローチ監督の映画「家族を想うとき」を観ました。とても余韻が残る良い映画でした。主義主張の押し付けではなく、考えさせられる余白のある映画は良いなあ...と思いました。

  • 是枝監督とケン・ローチ監督のテレビでの対談録を中心に、それぞれのインタビューや短い文章をまぜこぜした一冊。対談部分は、まあ実際に尊敬しあっているんだろうけど、ほめ合いが中心のような感じ。文章に起こすのならここまでしなくていいんじゃないかという無駄に思えるやり取りまで入っていてダラける。
    それぞれへのインタビューは対談部分に比べればなかなか。ケン・ローチという人を寡聞にして知らないまま読んでいたので、「ウイルスも気候変動も、その解決策や対応策が、私たちで自己管理できるものでなくてはならない、という点では同じです。しかし、それは自由市場経済のなかではできないのです。~中略~ 私たちは自由市場経済から脱却しなければなりません。共同所有・集団所有による計画された生産と流通に基づいた経済に、移行しなければならないのです。」(p.148)なんて言っててびっくりした。実はケン・ローチは筋金入りの社会主義者だそうで、是枝監督によれば(直接聞いたわけではないとことわってるけど)、「ある記者会見で意地悪な記者が、「もう社会主義なんて終わっているのに、なぜあなたはまだそれを信奉しているのか」という質問をした。そうしたらローチ監督は、「皆さんはまだ本当の社会主義を見たことがない。それはこれから生まれてくるものだ。過去のものではなく、未来のものだ」と答えた」(p.203)そうで、これには思わずうなずけた。確かに、100年もたたずに頓挫した例しか知らないけど、「みんなで作ってみんなのもの」的な共産の考え方・思想は悪くない気がする。
    こんな感じにラディカルなケン・ローチと是枝監督とだとちょっと役者が違うって感じ(監督だけど)。是枝監督も自分にとっては、日本ではわりとまっとうなもの申す監督って印象なんだけど、この本のなかではある程度空気を読んだりしながらの言動のよう。まあ、そんな清濁併せ吞むというか、小心っぽいこと言ってくれるのも、ちょっと残念なようで等身大っぽくて好印象だった。

  •  2人とも好きな映画監督だったので読んでみた。対談とそれぞれの書き下ろしは興味深い話の連続でオモシロかった。2人とも「社会派」と呼ばれる映画監督だと思うけれど、その背景にある映画への思想は異なっている。けれど、お互いへのリスペクトを欠くことはない雰囲気が対談からは伝わってきた。
     ケン・ローチは義父からレコメンドされた「家族をおもうとき」があまりにもオモシロくて、すぐに「わたしはダニエルブレイク」も見た。本作は主にその二作にフォーカスがあたっており映画の内容を補完できるので、そういう意味でも興味深かった。何よりもオモシロいのはケン・ローチがゴリゴリの社会主義者であること。特にコロナ禍においては公的サービスの脆弱さがモロに露呈することが多かったと思うけど、それはイギリスも日本と変わらないようで国や企業といった支配階級への怒りを滔々と書いたり話したりしている。自分自身はここまで振り切った社会主義に賛同するわけではないけど、環境問題をはじめとしてひたすら成長を追い求めた結果のツケがコロナ禍もあいまって今露呈しているのは間違いないと思う。ゆえに彼の主張になるほどなと思うことが多かった。
     一方の是枝氏はある意味日本人ぽいというかノンポリに近いスタンス。けれど今の日本は右と左といった議論以前に民主主義の土台の部分がめちゃくちゃになっている点を厳しく指摘していてそれに同意した。2人の映画は自分の主義や主張が先行しているのではなく、あくまで社会の風景を彼の視点で描写することで、それらが浮き上がってくると説明されていた。ゆえに映画においてはカメラを置く位置を大事にしているという話もあり、誰かに寄り添う気持ちを2人が持っているからこその合致なんだろうなと感じた。ケン・ローチの作品は2つしか見れてないので他のも見たい。

  • 折々のことばで紹介されていて読む。

    読んでる途中に「わたしは、ダニエル・ブレイク」をアマゾンで観る。むぅ‥。お役所仕事の残酷さは他人事に思えん。弱者への手続きをわざと困難にしてるよな、と思ってたことが万国共通でくらっとする。公務員はなぜこんなに鈍い‥?推測するに、きっと「鋭さ≠偏差値」で、万人に対応しようとしたがうまく行かなかったことが積もり、感度を下げることで最低限のところでキャパオーバーを回避しようとしているのではないかと(サラリーマンあるあるだが、普通は社内のやりとりにおいてのあるある。公共の仕組みを考えれば市民への対応でそれは理不尽)。公務員に求められる資質からかけ離れた対応をされると、根本間違えてるとしか思えないときがある。

    ダニエル・ブレイクは自分の親世代でちょうど「オンライン対応」が難しい世代。でもたくさん税金を納めてきた人達だぞ‥。ほんともっと敬意を持って対応してほしい。

    本の中で「国営と公共の違い」についてのくだりにもハッとした。税金の再分配(公共事業)は、もっと国民として意識すべきこと。消費税やら住民税やらどんだけ納めとると思うとるんや。なんで忖度せんとあかんのや。

    いま生活に困っている人や、自分もそうなるかもしれない未来に対して今の自分ができる事はなんだろう。攻撃は最大の防御とするなら、無関心でいる事は最大のリスクかもしれない。だから少し頭の隅で考えていきたいと思った。

  • 改めて二項対立的に社会を見るのは良くないと思った。ナショナルに回収されやすい気質であることを自覚しなくちゃならないし、不要不急かどうかは「私」が決めるものでなくちゃならないと思った。

  • ●兵士たちは獅子のようだが、ロバに率いられている。
    ●私は依頼人でも顧客でもユーザでもない。怠け者でも、たかりやでも、物乞いでも泥棒でもない。国民保険番号でもなく、エラー音でもない。きちんと税金を払ってきた。それを誇りに思っている。地位の高いものには媚びないが、隣人には手を貸す。施しは要らない。私はダニエル・ブレイク。人間だ。犬ではない。当たり前の権利を要求する。敬意ある態度と言うものを。私はダニエル・ブレイク。1人の市民だ。それ以上でも以下でもない。ありがとう。
    ●今導入されているシステムは、決して持続可能ではありません。バンによる民間の宅配で何でも買い続けることはできないのです。私たちではなく彼ら、大企業を始めとする支配階級は、クレイジーな世界を作り上げようとしています。それは持続不可能で、破壊的です。環境を破壊し、人々を破壊するものです。

  • 東2法経図・6F開架:778.23A/L77k//K

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著者プロフィール

著者)是枝裕和 Hirokazu KORE-EDA
映画監督。1962 年東京生まれ。87 年早稲田大学第一文学部卒業後、テレビマンユニオン に参加し、主にドキュメンタリー番組を演出。14 年に独立し、制作者集団「分福」を立ち 上げる。主な監督作品に、『誰も知らない』(04/カンヌ国際映画祭最優秀男優賞)、『そ して父になる』(13/カンヌ国際映画祭審査員賞)、『万引き家族』(18/カンヌ国際映画 祭パルムドール、第 91 回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート)、『真実』(19/ヴェネ チア国際映画祭オープニング作品)。次回作では、主演にソン・ガンホ、カン・ドンウォ ン、ぺ・ドゥナを迎えて韓国映画『ブローカー(仮)』を 21 年撮影予定。

「2020年 『真実 La Vérité シナリオ対訳 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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