ロシアの眼から見た日本 国防の条件を問いなおす (NHK出版新書 699 699)
- NHK出版 (2023年5月10日発売)
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感想 : 11件
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784140886991
作品紹介・あらすじ
今こそ「戦争と平和」を冷静に問う
2014年、ウクライナ政変以後のロシアの行動は、我々日本人には”異様”に映る。だが逆に、「アメリカの核の傘」の下で平和を享受してきた戦後日本は、ロシアの眼からどう見えているのか? 急変する国際情勢の中で、東アジア地域の安定を生み出すために必要な、国防の論理とリアリズムとは何か。外交官としてロシアとの領土交渉などに関わってきた著者が、近視眼的に見ていては分からない日本の現在地と課題を歴史的に解き明かし、ウクライナ戦争以後の中長期的な安全保障のあり方を問う。
みんなの感想まとめ
国際政治や外交におけるリアリズムを冷静に描いた本書は、ロシアの視点から日本を見つめ直すことで、戦後日本の立ち位置や課題を浮き彫りにしています。著者は外交官としての経験をもとに、ウクライナ戦争を背景にし...
感想・レビュー・書評
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本書は外交官の立場から、国際政治や外交を感情を入れずに実利で冷静に判断し、徹底したリアリズムで国際社会が書かれている。
ウクライナ侵攻について、感情的にはロシアの蛮行は許せないが、一方的に我々の価値観で断じられるものでもなく、国家の関係を我々の価値観のみで考えるから間違っていると理解できた。
日本はロシアを経済的に弱小国と捉え格下に見ているが、ロシアは戦後日本を非主権国家として一人前には見ていない。これについて、戦前からの日露関係を紐解いて合理的に論じられており、納得できた。
戦前について自虐史観の反動なのか、最近は日本はアジア独立の盟主として振る舞ったとの史観に注目が集まっているように思う。どちらの主観も一面では真実であるかもしれないが、ロシアという明治維新以来の仮想敵国の目から日本を見ることで、日本の戦前の立ち振る舞いや現代ロシアの世界観、善悪で論じられない国際社会のリアルを見られる一冊であった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
出先の書店で見掛け、題名に惹かれた。そして登場して日が浅い一冊であることを知った。そして紐解き、大変に興味深く読了に至った。
本書の本文や「おわりに」という部分から、著者は2023年4月時点迄、本書に手を入れていたと察せられる。と言って、本書は「最新情勢」を説こうということでもない一冊だと思う。「最新情勢」も念頭に置きながらも、「積み重ねられた観方」、「(観方から)導き得る可能性」や「向き合うべき課題のような何か」を説こうとしているのだと思う。
日本国内で「ロシア」とでも言えば、色々なイメージが在るのだと思う。逆にロシア国内で「日本」とでも言えば、色々なイメージが在るであろう。更に「ロシアの〇〇」、「日本の〇〇」と踏み込めば話しは拡がり、深まる筈であるが、結局両者の互いに対するイメージがぶつかり合う、擦違う、そういうことから何かが生じる、または生じないという中で、日ロ間の関係というモノが経過しているのである。
本書は「ロシアの〇〇」、「日本の○○」の“〇〇”に「(広義の)外交」、または「国際政治」を入れていると思う。
「(広義の)」と敢えてしてみたのは「防衛」や「軍事行動」に踏み込んでいるからである。更に「または」として、「外交」と「少し被る?」という感も否めない「国際政治」としたのは、「両当事者」という感の2国間関係だけが決定的とはなり得ないという情況、多国間関係の中で色々な思惑が折り重なって動く情況というモノを、歴史を踏まえながら説いているからである。
ロシア国内で「日本の(広義の)外交」または「日本の国際政治」とでも言えば、当然ながら様々な観方が在ろうが、それらの中に公約数的な観方とでも呼ぶべき何かが在る筈だ。それが本書の題名になっている「ロシアの眼から見た日本」に他ならない。それを説きながら、その公約数的な観方を踏まえて、日ロ間の関係の経過を詳細に振り返り、現今のウクライナ情勢や「在り得るかもしれない日本の課題」を大局的に論じているのが本書であると思う。
上述の中に在るが、本書に綴られた詳細に振り返る日ロ関係の経過は、なかなかに秀逸だ。「日ロ関係の歴史」というような話しにでもなれば、本書の該当部分を一読すると好いと思った。幕末頃からの所謂“近代”の日ロ関係は、潜在的な敵対またはそれに準じた相互関係が明確な敵対に転じ、やがて互恵的連携を模索するようになるが、また敵対し、第2次大戦を経た多国間関係の中での両当事者としての関係性の構築、互いの認識が在るということが纏められているのだ。
現今のウクライナ情勢は、ウクライナとロシアとが両当事者であるが、実は最初から2国間の何事かに留まらない、多国間関係の中で色々な思惑が折り重なって動く情況という様相を呈している。本書ではそういうことがかなり判り易く整理されていると思った。更に翻って「日本が位置する極東の近未来?」ということ、「何を如何考え、如何して行くのか?」を考える材料を供してくれているように思う。
著者は「外交」を現場で知り得る、外務省勤務経験者で、日ロ関係を担当して様々な現場を知っている。そうしたことから幅広い理論と、様々な意味合いでの現場経験を織り交ぜて、本書を纏めることが叶ったのだと思う。
現今のウクライナ情勢に関しては、個人的には生命を擦り減らすような振舞いが少しでも早く停まることを祈るばかりであるが、情勢を「考える材料」は幅広く求め、それらに積極的に触れ、静観しながら考えたいと思っている。本書は、そういう自身には不可欠な内容を示唆して頂ける1冊だった。他の方にも広く御薦めしたいと思う。 -
力を背景にした秩序構築がロシアの考える「国際の平和」であり、それだけのパワーを持たない日本は対等な真の主権国家ではない、とのロシアの思考を著者は指摘。小泉悠の著作でも同趣旨の指摘があった。
ただ、書名に即した内容はこの部分のみ。本書の半分ほどは19世紀末から20世紀半ばまでの日露関係に限らない東アジア通史。他はホッブズやスピノザといった政治哲学、「地政空間」という概念の解説、米の衛星国でありつつもバランサーが望ましいとする日本の国防への含意。
内容が誤りとは思わないが、「AはBだった」という断定も、同時に回りくどい表現も共に気になる。本書全体としては重点がぼやけてしまったように思う。 -
日本はアメリカの衛星国であり主権国家ではないという前提のもと、中露による日本の南北統治という最悪のシナリオまで想定している点等々、随所にリアリズムは感じられるのだが、最終的な提言が「バランサー」とか「小日本主義」とか少々オチが弱い印象。また専門外なので仕方ないのかもしれないが、歴史認識については疑問に感じる部分も多々ある。全くのデタラメということもないのだろうが、できれば注を付けて欲しかった。この辺は新書の限界かなとも思うが。
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はじめに 今こそ「戦争と平和」について考える/第1章 ロシアの眼から見た日本ー主権国家と衛星国家/第2章 揺籃の日露関係ー対立から同盟へ/第3章 不審に支配された関係ー覇権か均衡か/第4章 日本の国防を考えるー可能性としての戦争を生き抜くために/おわりにー「現実感覚」による外交
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ロシアが国際法をうまいこと解釈して飄々と利用することと、日本が世界からアメリカの属国として見られていることはわかった。
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令和6年GWの部屋の清掃で発掘された本で、読みかけになっていたものです。読みたい本が多くあり、今後もこの本を読み切る時間が取れないと思われます。
尚、評価は「★」となっていますが、私の中で読了できなかったものをこの分類にしており、内容が悪かったわけではありません。
読み終わった場所までに、気になったポイントを記しておきます。
・ロシア人には日本に対する二つの相反する見方があることがわかる、1つは独自の文化を育んだ尊敬すべき国としての日本のイメージ、この日本はサムライ精神を濃厚に持ち、アメリカと戦って負けた。もう一つは、第二次世界大戦の敗戦としての日本を象徴するイメージ、この日本はアメリカの衛星国となってアメリカ帝国主義の片棒を担いでいるというもの(p18)
・現代のロシアは、日本をアメリカとの関係を通して見ている、なので日本人が肝に銘じるべきは、国際政治の世界においては、誰もありのままの姿を見てくれないのだという事実(p19)
・約束というものは、約束を与えた人の変わらない間だけしか有効でない、約束を破る力を持つ者は、利益より損害が多くなると判断すれば自己の裁量に従って、自然権(自然力)に従ってこれを破棄する(p53)
・ウクライナのNATO加盟が実現されれば、ウクライナは対露包囲網の前哨基地となり、ロシアはNATO、つまり米国に対してより弱い立場に置かれるだろう。それよりは、一刻も早い段階でのウクライナの立場を変更させるために実力を行使した方が良いとロシアは判断した(p63)
・樺太・千島交換条約は、今日の観点から見れば、千島列島を抑えることで、ロシアを北西太平洋から切り離すという戦略上の意義ば強調されることがある(p88)
未読了
2024年5月1日作成 -
ロシアから見た日本は、アメリカの「衛星国」としてしか見られておらず、交渉相手ともみられない冷徹なまなざしがあるのが現実。アジア諸国からは本来期待されている(た)はずが、その期待がしぼんでいるかも知れない。
「シアター」として、日本の周りには北朝鮮、北方領土、尖閣地方、台湾等、リスクに囲まれており、いつ何が起こってもおかしくない。長い目で見れば、平和は戦争と戦争の間のつかの間の平和であり、大国間やアクターたちの微妙な均衡で成り立っているに過ぎない。
このような状況で、衛星国である日本はいかにふるまうべきか。正面から切り込んだ良著と言える。著者はこの本を書くために外交官を辞めたのか?と思わせるほど、持論、正論をしっかりと示して、国民が正しい危機感を持つことと外交の重要性を示していると思う。
特に後半の、日本を守る観点からの論説は、その複雑性、重要性、現実性から大変勉強になった。外交とは大変幅広い要素からなる芸術品のようなもので、単に国力や戦力をカバーして行うだけのものではないようだ。人類の英知とも言える複雑な思考とセンスが求められる。
北京で読んだことも、より現実感を感じる一因だったかも知れない。また、いまやっている仕事に厚みや意義を与えてくれる一冊でもあった。出会いに感謝。 -
東2法経図・6F開架:319.3A/Ka36r//K
