絶滅する「墓」 日本の知られざる弔い (NHK出版新書 704 704)
- NHK出版 (2023年8月10日発売)
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感想 : 10件
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Amazon.co.jp ・本 (296ページ) / ISBN・EAN: 9784140887042
作品紹介・あらすじ
私たちにとって、墓とは何か?
時の権力や死生観、土地や風土に根ざした文化によって、日本ではじつに多様な葬送文化が育まれてきた。
だが、過疎化や高齢化により、今その文化が風前の灯となっている。
土葬の現在から、肉体と魂を分けて埋葬する「両墓制」、沖縄の風葬やアイヌの男女別葬、
無数の遺骨を粉末状にして固めた「骨仏(こつぼとけ)」まで――。
全国各地を歩いて取材した僧侶が、知られざる弔いのかたちを写真とともに明らかにしながら、
日本人がいかにして死と向き合ってきたかを問いなおす。
みんなの感想まとめ
日本における弔いと墓の変遷を深く掘り下げた一冊で、歴史的な背景から現代の葬送文化までを幅広く紹介しています。著者は、全国各地の珍しい墓や葬儀のスタイルを取り上げ、土葬や両墓制などの伝統的な形態がどのよ...
感想・レビュー・書評
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日本における弔いと墓の変遷を説く一冊。大名や天皇といった墓の他、各地の珍しい墓も紹介。後半にはデジタル供養や企業墓、散骨など新たな形を提示します。墓や弔いに興味がある方にはぜひ読んで欲しい内容。歴史と昨今の動きなどがコンパクトにまとまった好著といえます。
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鵜飼秀徳さんの著作を連読。寺院に続いては墓がテーマでしたが、無住が続出している寺と、土葬や両墓制など失われそうなものがあるにしても続いていく墓とでは緊迫感が違い、それが筆致にも感じられます。
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お寺に生まれた元新聞記者の筆者が、葬儀や墓の制度の歴史や全国の墓や祀り方の調査結果、墓じまいなど現代の弔い方の変化をまとめている。
「膝を折るのが最後の親孝行」
土葬ならではの言い回しも出てくる。
火葬は古来からなのか、庶民は墓など持てたのかと不思議に思っていたが腑に落ちた。 -
●墓の定義が難しい。墓地埋葬法第2条に書かれている。「死体を埋葬し、または焼骨を埋蔵する施設」つまりそこに「故人の遺体」が存在する場所を言う。しかし、墓は、必ずしも遺体が埋まる場所に限定されているわけではない。(両墓制)、遺体の埋まる墓と、魂を入れる墓とを分けている。むしろ魂の墓の方を重視する。
● 1800年も前に現代にも似た葬式が行われていた。卑弥呼。死後、喪に服する期間が設けられている。ここに「もがり」の発生を見ることができる。
●鎌倉以降。五輪塔は今もなお需要がある石塔だ。串を刺したおでんのような形状をしている。真言密教由来で5つのパーツからなる。「空風火水地」
●江戸時代に入ると、都市部では人口が急増して墓地不足に陥ったため、火葬がかなり普及していたと考えられる。
●慶応4年神仏分離例が発せられた。火葬禁止令が出され、土葬に切り替えることとなる。大正2年日本の火葬率は31%。終戦後に54%。昭和54年には90%となっている。現在は99.99%。
●埼玉には2カ所まだ両墓制が残っている。埋める墓と詣る墓。
●家康は日光。信長は京都阿弥陀寺。秀吉は京都市豊国廟。
●企業墓という文化。高野山全体でも140。比叡山にも。 -
「墓は、地域の歴史や習俗などを知る「生きた教材」でもある。ところが、日本各地に残された墓制が、まもなく消滅してしまう危機に瀕している。(中略)目的は、「絶滅危惧墓(あるいは絶滅墓)」を記録しておくことである。そうした滅びゆく墓制から、地域や日本人の弔いの歴史、さらには習俗を知ってもらうのが本書のねらいだ。――「はじめに」より
著者プロフィール
鵜飼秀徳の作品
